システム農学
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6 巻, 2 号
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投稿論文
  • -青果物の市況情報伝達を事例として-
    今野 睦
    1990 年 6 巻 2 号 p. 1-10
    発行日: 1990年
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    現在の青果物流通における各卸売市場の情報を各産地に伝達する費用を分析し、情報需要者である生産者販売組織にとって最も有利なネットワーク形態と負担費用を明らかにした上で、最新の通信回線サービスであるISDNが青果物市況伝達に及ぼす影響を明らかにすることを課題とした。課題の解明に当たり、各県経済連が全国青果物卸売市場から市況情報を収集する全国規模の広域ネットワークシステムを想定し、同システム下で各県経済連が負担する情報送受信の費用を分析した。各県経済連に全国卸売市場の市況情報を伝達するネットワークシステムとして、①メッシュ型、②スター型、③分散メッシュ型、④分散スター型の4形態を考えた。これら4形態について、各市場-産地間で最も有利な通信回線サービスを適用した場合の形態別費用を明らかにし、この形態別費用を比較することで、青果物市況情報伝達の費用面からみた効率的広域ネットワークシステムを明らかにした。結論として、青果物の情報伝達においては、通信回線サービスとしてISDNを用いた高速の分散メッシュ型ネットワークを適用するのが最も有利であることが明らかにされた。そして、ネットワーク形態別の費用差が大きいことが明らかにされた。また、ISDNのサービスが開始されたことにより、高速で安価に情報が伝達できることが確認された。つまり、最有利なネットワーク形態を選択する限りにおいて、ISDNは青果物市況情報伝達の費用節約に効果がある。
  • 松本 成夫, 三輪 睿太郎, 袴田 共之
    1990 年 6 巻 2 号 p. 11-23
    発行日: 1990年
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    農村地域において有機物資源を有効利用し、富栄養化などの環境汚染を軽減するためには生物生産に起因する有機物の管理方策を確立することが重要である。そのためには、有機物フローの実態を把握する必要がある。著者らは農村地域における有機物フローシステムを明らかにし、現存量とフロー量を推定する手法を提案した。農村地域における有機物フローシステムは「農作物主産物」「農作物副産物」「食生活」「畜産」「耕地」「環境」「購入食飼敷料」「出荷農畜産物」の8つのコンパートメントから構成されており、それぞれの現存量および相互間のフロー量を主として官庁統計から、補助的には研究文献資料から次の通り求める。農作物主産物と農作物副産物の生産量および食生活と畜産の有機物消費量と生産量は統計資料を用いて求める。食生活、畜産、耕地については現存量を求める。食生活と畜産の消費量より農作物主産物と農作物副産物の自給量および食飼敷料の購入量を求める。畜産および農作物主産物の出荷量を求める。食生活と畜産から出る廃棄物の一部は耕地へ投入され、残りは利用されずに廃棄される。農作物副産物も同様に一部が耕地に還元され、残りが廃棄される。耕地に還元されない有機物が廃棄される場を総称して環境とする。耕地に還元された有機物は分解され、炭素は土壌呼吸により大気中に放出され、窒素などは無機化される。この分解量は岩元・三輪の有機物分解モデルを用いて推定する。本手法を1985年時点の茨城県牛久沼集水域に応用した結果、有機物フローの実態が明らかになり、有機物管理の方向を鮮明にすることができた。本手法は基本的に官庁統計を使用しており、比較的客観的に、また経年的に有機物フロー量を求めることができるため、農村地域の有機物管理方策を検討する際に有効である。
技術報告
  • 岡本 勝男, 福原 道一, 森永 慎介
    1990 年 6 巻 2 号 p. 24-35
    発行日: 1990年
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    建設省国土地理院で作成されている国土数値情報をパーソナルコンピュータで扱い易くし、リモートセンシング・データ等とも組み合わせて利用できるようにするため、これらのデータをフロッピィディスク・データベース化した。さらに、さまざまな設定条件に基づいて地域別の土地利用状況をパソコン上で表示するプログラムを開発した。国土数値情報のフロッピィディスク・データベース化では、まずオリジナル・データを1次メッシュ単位で切り出してフロッピィディスクに転送した。次にデータを利用区分ごとの面積値から比率値に変え、ASCII形式からバイナリ形式に変換して圧縮した。さらに3次メッシュごとに標高データを加えた。最終的には日本全国を北海道、東北、関東・甲信越、中部・近畿、中国・四国、九州の6地域に分け、各地域ごとにフロッピィディスク1枚に入力し、計6枚とした。データを圧縮する際に、市町村境界部で重複する3次メッシュ・レコードは統合し、更新されたレコードがある場合には最新レコードを採用した。このファイルは3次メッシュ・コードの昇順にデータが入っているので、表示を高速に行うためにラスタ順にデータを並べ替えた。フロッピィディスク化したためデータの保管・参照・利用が容易になり、各地域の土地利用区分の傾向を見るのに便利になった。また、メッシュ化されている他のデータ(例えば、フロッピィディスク版自然エネルギー資源賦存量図やNOAAのデータ)との重ね合わせも容易となった。
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