システム農学

投稿論文

異なるニューラルネットワークを組み合わせた野菜の最適出荷システム

仙北谷康, 笠原浩三, 竹嶋大介

1999 年 15 巻 2 号 p. 142-149
発行日: 1999/10/10
公開日: 2023/12/04

DOIhttps://doi.org/10.14962/jass.15.2_142

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本稿の目的は､相互結合型ニューラルネットワークを用いて､農産物の市場への出荷の最適化を行うシステムを開発することである｡ニューラルネットワークの一種類であるボルツマンマシンは､状態の決定などの選択問題には適用できるが､アナログデータの出力に適用することは困難である｡そこでわれわれはボルツマンマシンのアルゴリズムに改良を加え､青果物出荷の最適化システムを開発した｡これはリスクを押さえかつ販売金額を最大化する出荷量の割り当てを得ることが可能である｡一方､銘柄産地における出荷量の変化は､市場価格に影響を与える｡この点を考慮しないシステムによるシミュレーション結果は､実際の分荷結果と照らし合わせた場合､やや現実性に欠けるものになる｡そこで銘柄産地における分荷の結果から市場での取引価格の変化を予測し､それを分荷システムにフィードバックさせ分荷を再考するようにシステムを改善した｡価格の予測には階層型ニューラルネットワークを用いる｡この改善されたシステムによるシミュレーション結果は､より現実的な分荷方法を提示することが確認された｡

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地価水準区分別地域における地域農業資源の利用形態と外部効果

寺内光宏, 清水昂一

1999 年 15 巻 2 号 p. 150-159
発行日: 1999/10/10
公開日: 2023/12/04

DOIhttps://doi.org/10.14962/jass.15.2_150

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地域農業資源の機能は､本来的機能である｢農業生産機能｣と､｢洪水防止機能｣｢水資源涵養機能｣｢土壌浸食･土砂崩壊防止機能｣｢土壌浄化機能｣｢農村景観･保健休養機能｣｢大気浄化機能｣等の多面的･公益的機能である｢非農業生産機能｣を有している｡こうした多面的･公益的機能の効果は､当該地域における｢居住環境保全機能｣として発現し､居住環境水準に多大な影響を及ぼす｡本論文においては､茨城県笠間市を事例として､地価水準区分別視点から､地域農業資源における外部効果発現過程の解明を行った｡加えて､それら地域農業資源の外部効果の有無と､当該地域における経営耕地利用の差異の有無を確認した｡農業資源が有する外部効果の発現は､地価水準区分別にみた場合､田､畑及び樹園地面積とも推計地価水準が高い既成市街地においては比較的小さいものの､推計地価水準が低位な地域においては明確に確認された｡推計地価水準区分地域の経営耕地利用形態は､地価水準が高い中心地域の周辺から土地純収益が高く土地集約的な農作物が生産され､地価水準が比較的低位になるにつれて土地純収益が低い､土地利用型農作物の生産が行われていることが確認された｡経営耕地利用形態の相違による多面的･公益的機能の発現に関して､地価水準が高い地域においては､｢農村景観･保健休養機能｣が高い農作物生産がなされているのに対し､地価水準が比較的低位な地域においては､｢国土保全機能｣が高い農作物が生産されており､極めて対照的であることが確認された｡

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作物病害データベースの開発

鈴木大助, 河本征臣, 相原貴之, 御子柴義郎, 梅原正道, 西山幸司, 大久保博人, 手塚信夫

1999 年 15 巻 2 号 p. 160-172
発行日: 1999/10/10
公開日: 2023/12/04

DOIhttps://doi.org/10.14962/jass.15.2_160

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農作物に発生する病害は多種多様であると同時に､病原の分類･同定､病気の診断､その生態と防除対策､抵抗性品種など､植物病理学の研究成果の蓄積も膨大である｡このため､これらの情報を効果的に収録し､研究者､農業技術者などを対象に､病害診断から防除までの幅広い情報検索ができるデータベースを開発した｡本データベースにはイネ、ムギ、トマト、キュウリなど代表的な23種類の農作物を対象に､関係する807病害についてデータを入力した｡開発に用いたデータベース管理システムは㈱アスキーが提供する市販のInformixとし､開発言語にはInformix-SQLおよびInformix-ESQL/Cとした｡データの検索は宿主名､病原名から病害名が検索ができ､また､検索した病害名から､その病害に関する伝染経路､防除対策､病徴､病原名､病原の識別性状および病徴･病原の各画像情報を入手できる｡その他､病原名､病原の識別性状､判別植物の反応､病徴･伝染･防除に関するキーワードなどの情報から病害名を検索することができる｡

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