システム農学
Online ISSN : 2189-0560
Print ISSN : 0913-7548
ISSN-L : 0913-7548
33 巻, 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
研究論文
  • 渡辺 盛晃
    2018 年 33 巻 4 号 p. 111-121
    発行日: 2018/01/30
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル フリー

    本研究はJICAが支援を行ったラオス南部山岳丘陵地域生計向上プロジェクト(LIPS)の参加農民を対象とし、プロジェクトが行った特定の家畜種支援に対して、地域住民が家畜飼育あるいは特定の家畜種への依存を強め、複合生業に影響を与えたのかどうかを考察することを目的とした。プロジェクトの支援によっても、地域住民は当該家畜飼育に集中することを選択せず、現金収入源を複数持ち、複数の家畜種を保有する形を選択している。ラオス南部の農村では貨幣経済の浸透とともに、特にスイギュウ、ウシ、ヤギは蓄財目的の動産として、ブタ及び家禽は現金収入源としての役割が強くなっている。鶏肉は自家消費用のたんぱく源として利用されるが、牛肉、豚肉、及びヤギ肉についてはそれほど自家消費されていない。また、システム外から配合飼料を購入するケースも若干見られるようになっているが、多くは外部資源に依存しない稲作ベース複合生産システムの中で家畜は飼育されている。

  • ブー ミン ホアン, 川島 博之
    2018 年 33 巻 4 号 p. 123-136
    発行日: 2018/01/30
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル フリー

    ベトナムの大都市であるホーチミン市とハノイ市の土地価格は、現在の経済発展水準に比べて極めて高い。ベトナムの土地開発システムを分析したが、農地転用による土地供給が住宅需要の増加に対応できないことが土地価格高騰の原因と考えられる。価格が安いために、農民は農地売却に消極的である。また、開発業者は不安定な土地市場と高い税率のために意欲を失っている。この問題を解決するためには、農民により高額の補償金を支払い、かつ開発業者に対する税金を減じる必要がある。農家と開発業者双方の農地転用に対する意欲を同時に高める必要がある。都市中心部への人口集中を軽減するために、政府が郊外に接続するインフラに積極的に投資することも重要である。

  • -京都府綾部市を対象地域として-
    寺谷 諒, 守屋 和幸
    2018 年 33 巻 4 号 p. 137-147
    発行日: 2018/01/30
    公開日: 2018/10/22
    ジャーナル フリー

    近年、耕作放棄地の増加によって、耕地面積が年々減少しており、問題となっている。農地は多面的機能を有しており、保全していくことが求められる。また、不作付地である自己保全管理農地は、農林業センサスの耕作放棄地には含まれていないが、実質的に耕作放棄地化しているものや、今後耕作放棄地となる可能性のあるものが含まれる。そこで、本研究では、京都府綾部市を対象地域として、自己保全管理農地に関して分析を行った。農地一筆単位のデータを利用し、自己保全管理農地の発生に関する現状やその要因の分析を行うとともに、発生を予測する高精度なモデルを構築することを目的とした。要因分析では、機械学習のアルゴリズムの一つであるランダムフォレストを用いてモデルを構築し、重要度の高い変数を算出した。また、構築したランダムフォレストモデルについて、交差検定を通じてモデルの予測精度を検証した。分析の結果、対象地域においては年々、自己保全管理農地が増加していることが分かった。また、農地を保有している農家のタイプや、DID(人口集中地区)までの距離、農地貸借の有無が重要な要因であり、自己保全管理農地の発生に大きな影響を与えていることが分かった。さらに、交差検定の結果、要因分析によって得られた重要度の高い14変数を用いたモデルにおいて、平均正答率は97.4%となり、自己保全管理農地の発生を高精度に予測できることが分かった。

feedback
Top