システム農学
Online ISSN : 2189-0560
Print ISSN : 0913-7548
ISSN-L : 0913-7548
12 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
投稿論文
  • 山田 一茂, 山村 光司
    1996 年 12 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本試験は、個体群の品種や栽植密度等の条件を同一にしたとき、肥料等の資源が集中分布することで個体群の一部に資源の過不足を生じ、個体群の収量が低下するとの仮定のもとに実施した。まず、肥料を列状に集中的に施用することにより、個体群の穂数や地上乾物重、収量が不均一になることを確認し、このときの個体群の不均一の程度を分散で表した。その結果、個体群の分散の大きさは肥料を集中的に施用した位置の個体の生育に左右されていることが認められた。また、個体群の収量と分散との間には、1991年のデータでは不明瞭であるがやや負、1992年のデータではやや正の関係が認められた。この結果、個体群を不均一に生育させたことによる収量と分散との間の定量的な関係は見いだすことができなかった。分散の大きい個体群で収量が高くなった要因の1つは、肥料を列状に集中的に施用したことで稈の強度の異なる易倒伏性と難倒伏性の個体が混在し、個体群全体として倒伏が発生しなかった点(もたれあいの助長効果)を指摘することができる。このような効果が加わった個体群では、収量は単純に個体数に比例した値とならないことが示された。また、この場合の個体群について、気象的生産ポテンシャルが異なるときの収量特性の考察(仮説)を加えた。なお、ここでは個体群のサンプリング法として層化無作為抽出法を用いた。肥料を列状に集中的に施用することで生じた、パターン化した不均一な個体群の代表値を得る方法として妥当であると判断された。
  • ―教師データ選択法の検討―
    生出 真里, 森永 慎介, 二宮 正士
    1996 年 12 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    ニューラルネットワークによる識別が農業研究でも導入されつつある。本論文では、パーセプトロン型ネットワークにおける教師データの選択法について検討し、より効率的に学習できる方法を提案する。パーセプトロン型ネットワークは教師データに対して正しく応答するように学習するため、汎化能力を議論するうえで教師データの選択法は重要である。しかし、ダイズ草姿判別への適用のように、識別要因となり得る特徴が明確でなく、特徴の分布に関する知識が不完全である場合、最適な教師データの選択法は確立されていない。そこで、ダイズシルエットの形状に関する21パラメータから育種家による評価(“Good”、“Fair”、“Poor”の3段階)を推定する問題にニューラルネットワークモデルを適用し、教師データの選択法について検討を行った。その結果、教師データ中の目標出力の分布に偏りがないこと、入力パターンの各成分の最大値及び最小値を含めることの2点の条件を満たす教師データで学習させると識別率が向上することが実験的にわかった。この教師データ選択法によって、従来の選択法に比較して約20%識別率が向上した。
技術報告
  • 山田 康晴, 江口 尚, 林 唯博, 平藤 雅之, 木浦 卓治
    1996 年 12 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1996/04/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、インターネットの発展は著しく、研究者にとって、電子メール、ファイル転送、ネットワークニュース、研究成果公開などに使われ、不可欠なものになりつつある。農林水産技術会議事務局では、欧州をはじめ、東南アジア及びオーストラリア等におけるインターネットを用いた学術教育研究機関ネットワーク事情について調査を行っている。ここでは、東南アジア、オーストラリア地域のネットワーク事情を報告する。一般に、アジア諸国は欧米に比較して、学術教育研究機関ネットワークの面で遅れている。しかし、重要な社会基盤であるとの認識から、各国とも急速にこの分野の基盤整備を行っている。日本とこれらの国々との研究協力、特に農業技術情報の相互交換が、望まれている。農林水産研究ネットワークと、これらの国々との高速回線による接続が、国際共同研究の推進を進める上で、重要なインフラストラクチャとなると考えられた。
feedback
Top