テンサイの生産者価格は、1986年より根重のみで決定される重量制から根重1トン当りの根中糖分で最低生産者価格が決定される糖分取引制度に移行した。 これを期に、過剰施肥による糖分低下で収益が減少することが問題となり、糖分向上をめざした施肥管理のために、単位面積当りの生産高の把握が必要となった。そこで、十勝地方のテンサイ畑地を対象に、収穫期のランドサット TM データからテンサイの根中糖分および根重を推定し、これらをもとに生産高、重量制との収益差を評価した。
根中糖分は10月のTMデータのTM1とTM3、 根重は9月のTMデータのTM1、TM4、TM5を説明変数とする次の式から推定できた。
糖分(%) =0.172TM1+0.342TM3-3.103 (n=22, r=0.826**)
根重(t/ha) =2,664TM1+0.849TM4-1.395TM5-198.839 (n=22,r=0.909**)
生産高は、褐色火山性土で高く、低地土や黒色火山性土で低かった。また、収益差が正になる圃場は褐色火山性土および低地土で多く、負になる圃場は黒色火山性土で多く確認された。したがって、解析結果は、TM データから画素に対応する地点ごとにテンサイの根中糖分・根重の推定および生産高の評価ができ、施肥管理に活用できることを示した。
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