システム農学
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13 巻, 2 号
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投稿論文
  • Ho Geun Lee, Theodore H. Clark, 松田 友義
    1997 年 13 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    最近、情報化市場が、従来の市場制度に替わり得るものとして議論を呼んでいる。本論文は情報化市場システムが、新たな市場制度創出のため、あるいは既存市場強化のためにどのように役立ち得るかを考察するとともに、情報化市場システムの適用が関連企業にどのような影響を与えるかを分析するものである。情報化市場システムの導入が関連企業や市場に与える影響を理解するためには、システムの導入によって探索費用・調整費用・取引終結費用それぞれにどのような影響を与えるかを分析する必要がある、というのがわれわれの基本的立場である。取引に関する情報通信技術の利用については情報化企業統合と情報化市場の二つの方法があるが、どちらを選ぶかによって、当然、取引費用に与える影響は異なると考えられる。本論文では、まず取引の三つの過程、探索過程・調整過程・取引終結過程における取引費用についての議論を簡単に整理するとともに、情報化企業統合(インテグレーション)と情報化市場の相違について検討する。さらに情報化市場導入の結果として一般的に期待される経済的便益、導入の背景にある経済的誘因について議論する。また、情報通信技術は市場制度そのものを再編するためにも、現行制度のままで取引方法のみを改善することにも適用できることを明らかにする。さらに、情報化市場システムの導入を阻む、社会的・組織的障壁の存在について明らかにし、情報化市場システム導入を成功させるための条件について考察する。最後に残された課題について簡単に紹介する。
  • 杉本 安寛, 保田 拓洋, 武藤 勲, 豊満 幸雄
    1997 年 13 巻 2 号 p. 82-90
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    南九州地域における畜産経営と地下水の硝酸汚染との関係に関する基礎資料を得る目的で、宮崎県内のA酪農経営(搾乳牛40頭および育成牛25頭飼養、飼料畑6ha所有)における窒素フロ-を検討した。A酪農経営で使用されている井戸(井戸深約70m)の硝酸態窒素濃度を測定するとともに、1994年10月より翌年9月までの飼料給与量、乳量、圃場に投入されたスラリ-量、飼料作物生産量とそれらに含有される窒素量などを実測した。井戸の硝酸態窒素濃度は測定開始時(1994年5月)に10ppmを越えており、2年後には11.5ppmを示した。A酪農経営では家畜に対する年間窒素給与量7,326kgのうち、自給飼料によるものは26%で、残りの74%は購入飼料に依存していた。窒素給与量の22%が家畜生産物(牛乳、子牛の生産、増体および低泌乳牛の更新)へ移行し、71%がふん尿として排泄されると推定された(ふん尿窒素はスラリ-として貯留され、飼料作物圃場に2回/年散布される)。ふん尿窒素のうちの41%(2,110kg)がスラリーとして飼料畑に散布されたが、残りの59%(3,066kg)がゆくえ不明であり、スラリ-貯留中に漏出および空中への揮散などによって損失したと推定された。飼料作物(秋期~春期;イタリアンライグラス、春期~秋期;トウモロコシ/ソルゴー混植)による年間窒素吸収量は2,142kgで、スラリーと化成肥料による窒素施用量(450kg/ha)の79%に相当した。以上の結果から、1.A酪農経営は、大部分が海外に由来する購入飼料を通じて窒素が系内へ多量に持ち込まれること、2.そのために、窒素循環に関して相当量の窒素を系外に排出する開放系として機能していること、3.排出された窒素の一部が、地下への漏出を通じて井戸水の硝酸態窒素濃度を高めている可能性のあることが示唆された。
  • 川島 博之, 川西 琢也, 安江 千恵, 林 良茂
    1997 年 13 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    食料の供給と消費より発生する窒素負荷の河川や湖沼への流達量について検討した。わが国において食料の供給と消費に伴い環境に排出される負荷量は8.33×105[ty-1]と推定される。この一部は河川や湖沼に流達する前に浄化される。行政データを基に都道府県ごとに発生負荷量、河川や湖沼への流達負荷量を推定したが、発生した負荷量の中で河川や湖沼へ流達する割合、すなわち流達率と降雨量の間には良い相関があった。降雨量が多い都道府県では大きな流達率となる。わが国における平均流達率は0.49であり、食料の供給と消費により環境に影響を与えている負荷は4.05×105[ty-1]と推定された。
技術報告
  • 小林 一, 酒井 美幸
    1997 年 13 巻 2 号 p. 96-103
    発行日: 1997/10/10
    公開日: 2024/01/05
    ジャーナル オープンアクセス
    水田作経営の発展にとって、一筆ごとの圃場情報を正確に収集・整理し、その結果を経営の運営管理に効果的に活用することが重要である。そのため、コンピュータ利用による圃場管理に係る経営情報システムの開発が求められている。ところが、これまで開発されてきたソフトウェアは、取り扱う圃場情報が部分的であったり、価格面や操作性において問題を持っていたりして、本格的な普及段階に到達していない。そこで、本研究ではパーソナルコンピュータを用いて、作図機能の基礎となるマッピングシステムとそれにもとづく圃場管理システムを備えたソフトウェアを開発し、適用効果について考察した。本システムでは、まず、圃場図をもとにデジタイザで白地図を作成し、それらの複数の白地図を結合することにより、広域を一括表示する白地図データを作成する。次に、その白地図データをもとにして、一筆ごとに土地台帳、作付台帳、栽培管理台帳、作業受託台帳の四つの圃場データを入力する。それらのデータを利用することにより、以下の項目について農業者の意思決定を支援して効果を発揮することができる。1)水田の権利関係や属性、利用状況が正確に把握できるので、土地利用高度化の推進に役立つ。2)転作圃場の団地化やブロックローテーションのためのシミュレーションを行うことができる。3)作付圃場の選定と作業面積の確認が容易となり、作付・作業計画資料の作成を簡単に行うことができる。4)受託作業・小作料金の計算を自動的に実施し、事務作業を大幅に軽減することができる。
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