発達心理学研究
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11 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 矢藤 優子
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 153-162
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    母子間における`注意の共有(joint attention) 'は, 認知的発達にも情緒的発違にも重要な役割を果たすものである。その注意の共有には, 指さしや提示など母親の注意喚起行動のありかたが大きく関わっている。本研究は, 20〜22カ月齢の幼児とその母親を対象とし, 数種類のおもちやを用いた自由遊び場面における母親の注意共有方略 (応答/転換) や手段 (提示/例示/手渡し/指さし) , それに対する子どもの反応を明らかにすることを目的としてなされたものである。その結果, 母親は「転換」よりも「応答」によって子どもに働きかけることが多く, 「応答」と「転換」ではその際に伴う発話や用いる手段に違いがみられた。「応答」では`命名'や`使い方の教示'などの情報提供的な発話が, 「転換」では指示的な発話がより多く伴っており, 「転換」では「応答」に比ベ`提示'がより多く用いられていた。母親の「転換」は半数が子どもの「無視・拒否」という反応を受けたが, 手段別に見ると`指さし'や`手渡し'という手段による母親の「転換」は子どもの反応をより多く引き出し, 「言葉のみによる転換」は子どもに拒否・無視されることが多かった。「転換」が成立した場合も, その後の注意共有は子どもを開始者としたものよりも継続時間が短く, 注意を共有する目的としては「転換」は有効な方略ではないことが明らかとなった。
  • 齋藤 瑞恵
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 163-175
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は3歳児, 4歳児, 5歳児を対象に, 「知る」「知っている」ということの理解を検討した。「知る」ということの意味として, l) 真実 (事実についての正しい表象) , 2) 適切な情報へのアクセス, 3) 知識に基づいた行為の成功の3つの側面を用いた。そしてそれぞれの側面について異なる状態にある二人の登場人物によるストーリーを幼児に提示し, どちらの人物が対象を知っているか判断させた。その結果, 以下のことが示された。l) 「知る」「知っている」ということの理解は加齢と共に進んだ。2) 3つの側面は判断材料としての情報の利用しやすさには違いがないことが示されたが, 適切な情報へのアクセスの側面が他の側面に先立って4歳頃から言語報告可能になることが示唆された。3) 「知る」ということの理解と心の理論の発達の間に関連が示唆された。4) 「知る」ということの理解と理解語彙数とは関違していた。以上の結果に基づいて, 「知る」などのさまざまな心的過程について, 個別に詳細に検討していく必要性が考察された。
  • 佐久間-保崎 路子, 遠藤 利彦, 無藤 隆
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 176-187
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 幼児期・児童期における白己理解の発達的変化を, 特に自己描出の内容的側面および評価的側面に着目し検討することである。そのために保育園5歳児クラス (32名) , 小学校2年生 (37名) , 4年生 (35名) , 計104名を対象に, 自己評価・自己定義・自己の関心についての質問からなる自己理解インタピューを実施し, その描出をDamon, & Hart (1988) の自己理解モデルに基づきその一部を改作した分析枠に沿って分類した。その結果, まず第lに, 年齢の増加に伴い, 身体的・外的属性に関する描出が減少し, 行動および人格特性に関する描出が増加することが明らかになった。そして第2に, 協調性に関する言及が各学年で多く見られ, 年齢の増加に伴い, 勤勉性や能力への言及が増加することが示された。また人格特性に関する描出では, 年齢の増加に伴い, 使用される特性語の種類が増加する傾向が見られた。第3に評価的側面の理解に関しては, 年齢の増加に伴い, 肯定的側面 (好き・いいところ) のみを描出するものが減少し, 否定的側面 (嫌い・悪いところ) を描出するものが増加した。加えて, 4年生では「好き嫌い」質問と「いい-悪い」質問に異なる反応を見せ, 「いい-悪い」質問の方がより否定的に捉えられていることがうかがわれた。
  • 渡部 雅之, 若松 養亮
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 188-199
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    青年期から成人中期に至る環境意識の発達的変化と関連諸要因の効果が検討された。2つの調査が実施された。調査1では大学生とその母親78組が, 調査2では中高生とその母親504組が対象とされた。これに若松・渡部 (1996) から抜粋した936名分の資料を加えて分析対象とした。環境意識の測定には, 10の環境問題ごとにその身近さと関与可能性を問う, 若松・渡部 (1996) の質問項目が用いられた。発達差の検討には女性の資料のみが用いられ, 関連諸要因の検討には男子を含む適当な資料を要因ごとに選別して用いた。多くの環境問題において, 年齢群間で環境意識の高さの違いが示されたことから, 環境意識は加齢に伴い変化すると推測した。特に中高生群と大学生以上の群との間で, 家事関連の環境問題意識が大きく異なっていた。関連要因の検討からは, 学校での環境問題学習経験とボランティア参加経験に, 環境意識を高める効果が示された。母子間の関連や家事経験の効果は弱いものであった。これらより, 環境意識形成には環境学習経験が童要であると結論し, 効果的な環境教育の在り方について考察した。
  • 高濱 裕子
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 200-211
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本論は, 幼稚園の教師が熟達化にともなって, 保育上の間題をどのようにとらえ, それをいかに解決するようになるかを検討した。対象は33名の保育者であり, 経験年数によって3群 (2-4年群, 5-l0年群, 11年以上群) にわけられた。対象者の所属する幼稚園で, 個別の面接をおこなった。3人の幼児の事例を読んでもらい, 対応の難易とその理由, 設定する目標, 幼児の変化の予測, 各事例で不足だと思う情報などについて答えてもらった。3つの仮説の検討を通して, 次のことが明らかになった。幼児と指導についての知識は, 初心者より中堅者と経験者で多かった ; 中堅者と経験者の知識量に差はないが, 経験者の知識はより構造化されていた ; 経験によって対応の難易の認識に差はないが, 難易の認識の理由には違いがあった ; 初心者と経験者の違いは, 幼児をとらえる文脈とそのとらえ方に示されていた ; 経験者は指導の難しい幼児に多くの推論をし, 幼児の状態を具体的かつ詳細な文脈情報を使ってとらえていた。これらの結果から, 保育者は熟達するにつれて豊富な構造化された知識をもつようになること, 保育上の問題解決には, 文脈と結びついた手がかりやこつが使われること, その手がかりやこつは幼児の個人差や発達的変化によって変わることが示唆された。
  • 今川 峰子, 譲 西賢, 齊藤 善弘
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 212-222
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    この研究の第一の目的は, 親子間, 夫婦間, 義理の親子間のパーソナル・スペースを中年者と高齢者で比較し, 発達的な視点から検討することにある。第二の目的は, 三世代同居が家族メンバーとのパーソナル・スペースに, どのような影響を与えるのかを検討することである。パーソナル・スペースは会話場面での相手との対人距離により測定した。すなわち, 会話場面を想像させ気づまりにならない程度にまで接近した位置を, 被験者に求めるシミュレーション法を用いた。被験者は35歳〜59歳までの中年世代の285名と65歳以上の高齢者世代の219名であった。対人距離は, 中年者の方が高齢者よりも, 息子や娘とは接近していた。中年者と高齢者に共通して, 母親→娘の対人距離は, 母親→息子, 父親→娘, 父親→息子よりも接近していた。特に女性中年者では, 娘との距離が近い。配偶者との距離は, 世代による差が認められなかった。中年者と高齢者は共に, 義理の関係になる相手とは離れ, 実の親子問は接近していた。義理の親子間の対人距離は, 同居・別居による差が認められなかったが, 女性中年者では, 婿養子として同居している夫との距離が離れていた。
  • 須田 治
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 223-224
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 倉持 清美
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 224-226
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 麻生 武
    原稿種別: 本文
    2000 年 11 巻 3 号 p. 226-227
    発行日: 2000/12/31
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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