発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
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6 巻, 2 号
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  • 藤崎 春代
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 99-111
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, 3・4・5歳児に対して園生活の流れについて個別面接調査を行い, 一般的出来事表象 (GER) の形成と発達的変化について検討した。すべての子どもに, 登園から降園までの園生活全体の流れを聞く質問 (上位レベルについての質問) を行うとともに, 一部の子どもには, 給食時および昼寝時の流れを問う質問 (下位レベルについての質問) を重ねて行った。分析の結果, まず, 3歳児でも行為を述べる際に主語なしで現在形表現をしており, また時間的順序も一定であるなど, GERを形成していることが確認された。しかしながら, 3歳児においては, 報告行為数は4・5歳児より少なく, 遊びのようにルーティン化の程度の低い活動については, 具体的な遊びの内容や遊び仲間の名前をともなって述べることが多い。また, 上位レベルで述べられなかった行為が下位レベルで報告されるようになるのも, 4歳以降であった。なお, おやつをそのメニュー内容からごはんと呼ぶ子どもがいることからは, 子どもが園以外の場で獲得した知識を汎用していることが示唆された。多くの5歳児は, 日常活動を階層的に報告していたが, そうでない児もいた。報告行為数と構造において個人差がありそうである。
  • 西尾 新
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 112-123
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    発達心理学で言われていた概念形成における感覚運動スキーマの重要性について言語哲学の立場からLakoff (1987) , Johnson (1987) によって新しい洞察が加えられた。彼らは「イメージ図式」(Image scheme) と「隠喩的投射」 (metaphorical projection) という概念を用いて, 概念形成と理解の成立にとって人間の身体的経験が重要な働きをなしていることを述べている。本研究は, 5, 6歳の園児103名 (平均年齢6 ; 0) を対象とし, この2つの概念のうちイメージ図式についてその心理学的妥当性を検討することを目的とした。第1実験では, 「敢る」, 「渡す」という言葉について, 装置操作においてそれらの言葉の持つ「運動イメージ」と同方向である順図式条件と, それとは逆方向である逆図式条件で反応の正誤数を比較した。結果は「取る」, 「渡す」という言葉の違いによらず, 逆図式条件の方が正反応数が有意に少なかった。第2実験では, 言葉の持つイメージが実際の運動の学習に及ぼす影響をより明確にするため, 装置操作の学習速度を指標とし, 敢る一渡す教示条件 (運動イメージ語) とこっち教示条件 (非運動イメージ語) とを比較した。結果は, 敢る一渡す教示条件の方が学習試行数が有意に少なかった。このことは, 実際の運動と言葉の「運動イメージ」とのズレが学習手がかりとなったとも考えられ, 第1実験と合わせてイメージ図式の心理学的妥当性を高めたが, 実験方法上に問題があった可能性も否定できない。
  • 西川 由紀子
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 124-133
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究では, 絵本を手がかりとした物語産出課題場面において, 幼児が使用する「語り」の様式の差異に注目し, 物語的語りと情報伝達的語り, それぞれの「語り」の様式の特徴を明らかにすることを目的とした。実験1では, 3・4・5・6歳児52名を対象として, 「語り」の様式が安定する時期を検討した。その結果, 4歳半以降で一定の「語り」の様式を用いて作話することが可能になることが示された。実験2では, 4・5・6歳児50名を対象として各「語り」の様式の特徴を検討した。その結果, 物語的語りを用いたプロトコルでは, 叙述内容は物語の骨格がとらえられ, また, 物語展開を精緻化する表現が用いられること, 叙述形式としては接続詞, 副詞が多く用いられ, 標準語的アクセントが使用されることが示された。また5歳半以降では「語り」の様式に応じて叙述内容に差が出る傾向が示された。実験3では, 実験1に参加した4・5・6歳児のうち19名を対象として, 3歳児におはなしをするという状況で同一課題を繰り返し実施した。その結果, 実験lと実験3で物語的語りと, 情報伝達的語りの双方を使用した被験児が5歳半以降にに3名見られ, テスターが物語を語ることを要求しているのか, 情報を伝達することを要求しているのかという課題場面の解釈に応じて「語り」の様式を選択している可能性が示された。以上の結果にみられた5歳児の特徴を, 課題場面の解釈と物語産出能力の関連において考察した。
  • 松田 文子, 田中 昭太郎, 原 和秀, 松田 伯彦
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 134-143
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    27名の児童が, 小学1年生から小学6年生まで, 毎年1回約30分, 時間, 距離, 速さの間の関係概念 (速さ=距離/時間) の形成過程を具体的操作を通して調べる縦断的研究に参加した。この児童達が小学5年生になって算数「速さ」を学習したとき, このような実験に参加しなかった児童と比較して好成績をあげたことから, その原因が探られ, そしてそれに基づいて, 一般に大変理解度が低いと言われている算数「速さ」の授業改善について, 若干の提言が試みられた。すなわち, (1) 文部省指導要領及び指導書の算数編におけるように, 異種の2つの量の割合として速さを提え, 単位時間当たりの道のりで表される, とするのではなく, 時間, 距離, 速さ, それぞれを1つの関係概念を形成する対等な3つの量として, それぞれに秒, m, m/秒, という計量単位を導入すること。 (2) 速さについての計量的な操作に入る前に, 具体的操作を通して等速直線運動を実感させ, (a) 時間, 距離, 速さの関係概念の論理構造と, (b) 同じ速さで走るということは, 時間や距離が異なっていても速さが同じなのだという速さの同値性に関する論理構造を, しっかり構成しておくこと。
  • 平井 誠也, 竹中 郁子
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 144-154
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    本研究は, 子どもにおける描面行動の発達的変化を明らかにしようとする試みである。4歳児, 5歳児, 6歳児, 7歳児, 8歳児, 9歳児とも, それぞれ同一の3種類の課題を与えられた。最初は一組のカードの中から, 彼らが最も円筒形を表していると思う線画を選択することであり, 第二は, 彼らが最も描きたいと思う円筒形を表した線画を選択することであり, 最後は, 円筒形をクレヨン (幼児) または鉛筆 (児童) で描くことであった。3種類の課題のうち, 認知課題は最も簡単な課題であり, 5歳から6歳にかけて急激な発達を示した。次に困難だったのは構想課題であり, 6歳から7歳で急激な発達があった。描画課題は最も困難で, 9歳児の30%しか遠近画法によって円筒型を描画することができないことが示された。幼児および児童の円筒形の描画が認知一構想 (プランニング) 一描画の3つの過程を中心として, その関係が分析され, 発達的に考察された。
  • 高濱 裕子
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
    自己主張タイプの5歳児2名の遊びをめぐる交渉の発達を, 縦断的に検討した。対象児の行動は, 2つの幼稚園の自由遊び場面において, 1年間に3回, 合計6目間観察された。交渉過程をプラン共有不成功後に状態改善を図る行動ととらえ, 3つの視点から分析した。すなわちどのようなスキルを用いて交渉が行われるか, どのような問題をめぐって交渉が行われるか, どのような遊びグループとの問で問題が発生するかである。当初は交渉不成立後の状態改善の試みは少ないが, 2カ月後には状態改善を試みるようになり, しかも状態改善数が増加した。5カ月後には状態が改善されない場合にも, 遊びが進行した。交渉するためのスキルは, 対象児と柏手の双方で変化し, 対象児はより方略的、説得的になった。交渉の行われる問題は, 遊びの成立に関わる問題から, 遊びの進行に関わる問題へと移行した。しかも, "構造面"から"内容面"へと分化した。問題の発生するグループは, 同じ遊びグループ内 (IN) から外部のグルーブ問 (OUT) ヘと移行した。本研究は, 先行研究で指摘されたINとOUTとの方略の和違を裏づけ, さらにINの発達的変化, INとOUTとの関係性をも明らかにした。
  • 原稿種別: 付録等
    1995 年 6 巻 2 号 p. 164-
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 荻野 美佐子
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 164-166
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 美奈子
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 166-167
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 井上 雅彦, 藤田 継道
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 168-169
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
  • 小石 寛文
    原稿種別: 本文
    1995 年 6 巻 2 号 p. 170-171
    発行日: 1995/12/10
    公開日: 2017/07/20
    ジャーナル フリー
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