真菌と真菌症
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13 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 松田 良夫
    1972 年 13 巻 1 号 p. 1-6_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Cascade Impactor を使用する吸気法で神戸市内の業態別3地域6地点, 環境別5地点および一定点で休祭日を除いて毎日1回, 約1年間にわたつて空中真菌の培養同定を行い354.25m2の空気から29,208コロニーを得た. 同定の結果分離菌の大部分は Deuteromycetes で上位5菌種は Penicillium, Aspergillus, Cladosporium, Alternaria, Fusarium の順であつた, コロニー数の月別変動は6月から増加し7, 8, 9月と8月にピークを示す山をえがき, Moldseason は夏季に一致する. 粒径別検出率は全コロニー数の69%は粒径22μ~2.3μにおいて捕集された.
    神戸市における空中真菌相を諸外国の報告と比較すると一般に Cladosporium が少なく, Penicillium, Aspergillus が多い特徴を示す.
    採集操作と同時に調査測定した気象諸因子ならびに大気汚染因子との関連を追及し, その結果, 大気中から検出される真菌コロニー数は天候, 気温, 湿度, 風速などの気象因子および大気汚染因子と密接な関係があることを明らかにした.
  • 木村 義民
    1972 年 13 巻 1 号 p. 7-11_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギー症におけるアレルゲンとしての真菌の重要性を示唆する従来の知見から, 私共は附属病院耳鼻咽喉科アレルギー・クリニークの協力をえて, 鼻アレルギー患者を材料として真菌抽出抗原による皮内反応, PK反応を行うと共に, 下記の in situ テストを行い, その相関について検討した.
    試験管内アレルゲン・テストとしては, 鼻アレルギー症の患者白血球にアレルゲンを in vitro で添加した際, 上清中に遊離するヒスタミン率を以て比較する法, 正常ヒト白血球を患者血清 (レアギン) を以て被動性に感作し, 当該アレルゲンの添加によるヒスタミン遊離率を以て示す方法について検討した. 更に皮膚反応の現われ方とMIFの相関についても併せ考察を加えた.
  • 高橋 昭三
    1972 年 13 巻 1 号 p. 12-15_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Alternaria, Aspergillus, Cladosporium, Penicillium および Candida albicans と気管支喘息との関〓性を検討した.
    皮膚反応の面からは, 即時型反応のみ陽性のものに比し, これに Arthus 型や遅発型反応の加わつたものでは, 喘息重症度分類の中等症ないし重症群の頻度が増す傾向がみられた. Boyden 法, Middlebrook 法および Ouchterlony 法により血中抗体を検したが, Alternaria で約5%に沈降線が認められ以外には正常者との間に差は認められなかつた. 末梢血で蛍光抗原法陽性を示したのは多核白血球のみで, その陽性率は喘息群に明らかに高かつた.
    Sephadex G-200により3分劃が得られ, 最初に elute される分劃の皮膚反応活性が強かつたが, 特定の分劃が皮膚反応3型のいずれかに特に強い活性を示すという成績は得られなかつた.
  • 渡辺 昌平, 須藤 直文
    1972 年 13 巻 1 号 p. 16-20_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    1. 最近6年間の京大, 天理病院における白癬疹症例について検討した. 足部白癬から手に好発する汗疱様白癬疹は足部白癬の3.05% (61例) に認めた. T.mentagrophytes によるものが大部分を占め. T. rubrum によるものに比し白癬疹の発生部位が広く, 症状も強い. 苔癬状白癬疹は1例を認めたに過ぎない.
    2. トリコフィチン反応および湿疹型皮膚反応を惹起する活性因子について検討した. 活性因子は Carbohydrate-protein complex であるが, 糖, 蛋白の含有率の多寡によつては反応の強弱に影響を与えなかつた. また, 蛋白融解酵素の処理によつて活性が低下した. cell wall のみから抽出した抗原は whole cell からのものに比し, 活性が弱かつた.
    アトピー素因を有する白癬症例では遅延反応の低下を認めた.
  • 中嶋 弘, 斉藤 胤曠, 片倉 仁志, 樋口 光弘, 吉田 貞夫, 杉本 純一, 丸山 光雄
    1972 年 13 巻 1 号 p. 21-28_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    トリコフィチン皮膚反応を蛍光抗体法を用いて検討した. 即ち T. asteroides 感染1ヵ月後のモルモットに同菌体よりフエノール法で抽出したトリコフィチン(P1)皮膚反応を行い, 3, 6, 12, 24, 48時間に生検し, クリオスタツト標本を作製, P1, 抗 T. asteroides 家兎血清, 抗家兎標識山羊血清の順に作用させた. 特異蛍光を有する細胞は単核性細胞で, 他に多数の浸潤細胞があるにかゝわらずごく少数かつ散在性に認められた. この肉眼的, 病理組織学的反応は24時間で最強となつたが, 特異蛍光を有する細胞は12時間でピークを示した. ヒト・トリコフィチン皮膚反応も同様所見であつたが特異蛍光を有する細胞は更に少数で, 1例では基底膜部にも認められた. これら所見よりその局所に特異的な液性抗体が関与していること, 特異抗体を有する少数の細胞が多数の非特異的単核性細胞を集めるのに関与していることを想定した.
  • 山下 憲治
    1972 年 13 巻 1 号 p. 29-31_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    40年近くのオトミュコーシス研究の特に真菌学的方面を極く簡単にまとめて記載した. 西欧や米国に比べ日本と台湾には本症が甚だ多く, それも北の札幌から南の台南に移るに従い頻度が高くなる. 病原菌は9割近くがアスペルギルスであり, そのアスペルギルスのうちの約7割がアスペルギルス・テレウスである. ア・テレウスは外国では散発的に極く小数の報告があつたに過ぎないが. 近頃英国で可成多く出て来た. ア・テレウスの病原性はウサギ及人の耳での実験的本症成功により確証された.
  • 西山 千秋
    1972 年 13 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 三浦 隆, 牧野 好夫, 高橋 伸也, 佐藤 昭彦
    1972 年 13 巻 1 号 p. 38-43_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    43才男子, 約7ヵ月前より落屑性紅斑局面が多発し, 疣状丘疹や膿瘍形成もみられ, 一般状態も悪化して来診. 初診後約2ヵ月の経過で死亡, 血液学的に急性骨髄性白血病の所見で, 剖検によつても各種臓器への白血病性浸潤が証明された. トリコフィチン反応, ツベルクリン反応はともに0×0ミリ. 認められた汎発性白癬は, 角質増殖型汗疱状白癬, 疣贅様丘疹の形をとつた疣状白癬, 中心治癒のない頑癬, 白癬性爪甲白斑, 〓ようの深在性白癬, さらに瘻孔をもつた皮下硬結ないし皮下膿瘍の形をとつた膿瘍型生毛部深在性白癬, などの異常病型が多発した点特異なものであつた.
  • 池本 秀雄, 柴田 貞子
    1972 年 13 巻 1 号 p. 44-46_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    肺アスペルギロームの免疫学的診断としての沈降反応に使用する培養濾液からの抗原を種々の方法で作製し, これらの評価ないし優劣について検討した. その結果, 菌株は Aspergillus fumigatus (I F O5840など), 培地は Sabouraud's broth を使用し, 37℃, 3週間振盪培養または静置培養し, 培養液をSeitz濾過, 透析, 濃縮, 凍結乾燥したものを抗原として使用したときは, 肺アスペルギロームの患者血清に対し, 最も多くの沈降線が, 免疫電気泳動法による寒天ゲル内沈降反応で認められた.
  • 宮治 誠, 藤原 喜久夫, 西村 和子
    1972 年 13 巻 1 号 p. 47-52_1
    発行日: 1972/03/20
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    Aspergillus fumigatus のマウスの脳への侵襲性の強弱は菌株個有の性質か, それとも宿主の状態により左右されるものであるかを検討した. 使用菌株はマウスの脳に対して侵襲性があまり強くない4株を, 実験動物として22±1gのdd系のオスのマウスを, また宿主の抗抵力を弱める目的でリン酸ベタメサゾンナトリウム (以下「リ」と略す) を使用した, マウスは1群2匹とし, 8群に分けられ, 各株につき2群が割り当てられた. この2群のうち1群は対照として無処置のまま5×106個の胞子を尾静脈に接種されたが, 他の1群は「リ」の連続投与 (2mg/day) をうけつつ同数の胞子を接種された. 胞子接種後72時間後にマウスを犠牲死させ肉眼的, 顕徴鏡的観察および侵されている範囲の測定を行なつた. 結論として「リ」を投与された群は対照群と比較して脳での感染の促進を認める事は出来なかつた.
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