管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
21 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文
  • 福嶋 誠宣, 米満 洋己, 新井 康平, 梶原 武久
    2013 年21 巻2 号 p. 3-21
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は,経営計画の有用性について検討することにある.現在では,経営計画はマネジメント・コントロール・システムの基礎的な構成要素として理解されるようになっている.実際,我々が行ったレビューの結果でも,多くの管理会計の教科書が経営計画に言及していた.しかし,マネジメント・コントロール・システムとしての経営計画の有用性に関する経験的な知見の蓄積は十分とはいえない.そのためか,経営計画に関して,教科書間で異なる説明がなされている点も存在するというのが現状である.そこで本論文では,経営計画の諸要素が,企業業績に与える影響を探索的に検証した.その結果,経営計画の策定目的や更新方法が,適切な資源配分の評価尺度といえる総資産利益率(ROA)に有意な影響を与えていることが明らかとなった.

  • 長澤 賢一, 伊藤 彰敏
    2013 年21 巻2 号 p. 23-40
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本論文は,無形資産への投資規模が大きい企業(無形資産集約企業)の科益調整行動を資金調達の観点から分析することを目的としている.この目的のため,無形資産集約企業においては,経営者が利益を上方に調整するという「利益シグナル仮説」と,逆に経営者が利益を下方に調整するという「節税効果仮説」を設定した.さらに,これらの対立仮説を検証するために,2004年から2008年までの5年間における日本の製造業企業をサンプルとして,裁量的会計発生高を被説明変数とし,無形資産の代理変数である研究開発費売上高比率を説明変数とした重回帰分析を行った.その結果,無形資産集約企業においては,無形資産への投資規模が相対的に小さい企業(無形資産非集約企業)よりも裁量的に利益の計上を抑え,利益減少型の利益調整を行う傾向があることを確認でき,節税効果仮説と整合する結果となった.さらに,節税効果仮説の頑健性を検証するため,減価償却割合を被説明変数とし,研究開発費売上高比率を説明変数とした重回帰分析を行った.その結果,研究開発費売上高比率と減価償却割合とは正の関係を有し,統計的にも有意となり,節税効果仮説を裏付ける結果となった.

  • 浅田 拓史, 吉川 晃史, 上總 康行
    2013 年21 巻2 号 p. 41-60
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は,Burns and Scapens(2000)による制度的フレームワークと知識創造理論の視点から管理会計知識が変化するプロセスを分析した.日本電産株式会社における経済危機後の経営改革事例では,経営者によって示された正当化基準(WPR^<TM>ガイドライン)と,マニュアルなどに表現されたルール(組織レベルでの形式知),言語的に表現されていな知識としてのルーティン(組織レベルでの暗黙知)の相互作用を通じて,管理会計知識の変化が生じていた.そして,このような変化を促進した要因は,経営者によって危機後に示された意図や新たに生じた組織横断的なネットワークだけではなく,危機以前の経営(事業所制)の中で培われた自律性や冗長性,その下で個々の事業所において蓄積された知識であったことが明らかとなった.

  • 北尾 信夫
    2013 年21 巻2 号 p. 61-75
    発行日: 2013/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,わが国企業におけるリアルオプションの利用実態を明らかにし,その利用を促す環境要因を解明することである,先行研究では,DCF法が投資案の採算性を過小評価する傾向があるのに対し,リアルオプションは過剰投資を促す危険性が指摘されてきた.本稿では,これらの先行研究を踏まえつつ,利用実態調査をもとに,不確実性の大きさや,ガバナンスのタイプなど特定の環境に置かれている企業は,投資案に含まれるリアルオプション的特性を評価する傾向を持つことを明らかにした.

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