管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
13 巻, 1-2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • Vitoon Puripunyavanich, 明城 聡, 金澤 雄一郎
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 3-23
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    これまで耐久消費財の維持および修理にかかる費用に関しては,ライフサイクルコスト計算においても無視できない費用であるにもかかわらず消費者はあまり知らされてこなかった.一定の故障頻度を持たない多くの耐久消費財についてその維持および修理費用を推定することは困難である.しかしながら例えば自動車のような財については,少なくともその信頼性に関しては大まかにではあるが情報を得ることができる.そこで本研究ではアメリカ自動車信頼性データから維持・修理費用を算出方法について提案する.この方法ではまず広く利用可能な信頼性データから統計的モデルを推定する.そしてモデルから推定される自動車の信頼性から費用へ変換を行う.ここで用いる統計的モデルでは部分的に欠損している信頼性データから起こりうる偏りの問題に対処することを可能にしている.具体的な費用算出例として1996年モデルイヤーにおいて人気のあった26車種を取り上げた.

  • 緒方 勇
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 25-38
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,企業資産として無形資産の重要性が認識されている.本稿は,無形資産の代表例であるブランドを貨幣額で評価する.ブランドを評価するためのアプローチは種々存在するが,本稿ではSimon and Sullivan(1993)のアプローチに依拠して日本企業のブランド価値を評価する.彼らのアプローチは対象企業のブランド価値を株価等,証券市場で付く価格を基準にし,統計的手法を用いて評価するものであり,経済的妥当性・客観性・比較可能性に優れている.分析期間は1990年から2001年までの12年間であり,東証1・2部に上場している製造業の企業を対象とする.

    実証分析の結果,企業のブランド価値を高める為には,広告が非常に有効であることが判明した.また同時に,マーケット・シェアや株価を高める為には,広告・宣伝費と開発費・試験研究費は同程度に有効であることも判明した.

  • 大鹿 智基
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 39-54
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    新規公開株式について観察されている3つのパズルのうち,公募価格の過小評価の問題と中長期的な低収益率の問題は,公募価格や公開3~5年後の株価と比べて,初値が相対的に高いことに起因している.そこで,公開時点での理論的企業価値を残余利益モデルに基づいて算出し,公募価格,初値と比較することで,初値の過大評価が存在する可能性を検討した.また,複数の株主資本コストと成長率を仮定し,理論的企業価値の推定の際の困難さを克服しようとした.その結果,1999年と2000年に新規株式公開を行った企業を対象とした分析では,公募価格が初値から有意に乖離していることが観察された.また,この現象は一般にIPOバブルと呼ばれる1999年に新規株式公開した企業のみをサンプルとした分析において顕著であった.一方,2000年に新規株式公開した企業のみを対象とした場合には,初値が理論的企業価値から乖離しているという状態は観察されるものの,統計的な有意性は非常に弱い結果となった.

論壇
  • 横田 絵理
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 55-66
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    日本企業が米国から紹介されたマネジメント理論を導入する際に困難が伴うことを踏まえ,日本企業のマネジメントコントロールがもつコンテクストとはいかなるものであり,どのように変化しようとしているかを質問紙調査,インタビュー調査,事例研究などから仮説探索的に検討した.結果として,従来,長期的な心理的契約を構築することに寄与してきた人事管理システムの変化により,マネジメントコントロールの2分割構造は変わりつつある.業績評価システムは,両者をつなぐ役割を果たし,新しいコンテクストの移行に影響を与えることもできよう.

  • 星野 優太
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 67-82
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は,日本企業における業績評価と経営者報酬の決定要因との関係を検証することである.この研究の主要な論点は,成果主義導入の過程における人事評価の実行で観察された組織活性化にある.筆者は,報酬制度が企業業績や株主利益に及ぼす経済的影響を分析した.業績連動型インセンティブ契約の視点からは,ストック・オプションとコーポレート・ガバナンスを考察することが非常に重要である.企業業績を向上させるには賃金改革が不可欠であることは明らかだが,本稿では成果主義を単に賃金制度としてだけでなく,人材開発やモラールの向上など,効果的な人的資源管理と連動して活用する必要があることを示している.

  • 梶原 武久
    2005 年 13 巻 1-2 号 p. 83-94
    発行日: 2005/03/31
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,業績評価システムの「定量化」や「客観化」などを目指して,バランス・スコアカード,活動基準原価計算,EVA,成果連動報酬制度などを導入する日本企業が増えている.しかし,いたずらに「定量化」や「客観化」を重視するだけの業績評価システム改革は,日本企業の競争力を低下させる危険性がある.なぜなら,日本企業においては,評価者の主観的な判断に基づいて業績評価を行う主観的業績評価が,方針管理や人事評価において一定の役割を果たしてきたからである.本論文では,先行研究に基づきながら,主観的業績評価の概念や特徴を整理した上で,日本企業における主観的業績評価の役割や特質について考察を行う.

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