本論文は,資本予算における洗練された評価方法の利用と企業業績の間の関連性を確認することを目的とした実証研究である.これまでの欧米の先行研究では,両者の間に正の関連性が確認されたものは少ないという結果が得られている.本論文は,当該論点について,日本企業のデータによる初めての実証結果を示したものとなっている.当該分析を通じて,日本企業における両者の間には弱度の正の関連性が確認された.
他方,本論文では,洗練された評価方法の利用のみならず,事後フォローを活用しているかどうかという点にも注目して,企業業績との関連性について検証を行っている.これは欧米の先行研究にもない追加的検証であり,新たな知見をもたらすものとなっている.分析の結果,事後フォローそれ自体,および,洗練された評価方法を前提とした事後フォローの活用は,企業業績に対して正の関連性をもたらすという結果が確認された.
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