現在,企業を取り巻く地球環境は大きく変化している.現代企業は,地球温暖化に伴う気候変動,水,生物多様性など従来の管理会計では対象としてこなかった社会的コストまで把握する必要がある.また企業グループ・マネジメントにおいて全体最適と部分最適の間で整合性を保った経営を行う必要があるが,上記の課題を抱える現代企業においても同じだろうか.
本稿では,持続可能な社会を実現するために,企業グループ・マネジメントにおいて,これまでの全体最適の範囲を地球全体へと拡張する必要があり,持続可能な経営に資する環境管理会計手法として,フルコスト会計および自然資本会計に注目した.そこで,日本の環境会計および環境管理会計,日本企業の環境活動の現状と課題を明らかにし,企業グループの環境経営・環境会計については質問票調査を実施した.また,自然資本会計については事例研究を行ない,気候変動に伴う企業グループの環境管理会計の新たな展開について検討した.
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