神経伝導検査 (NCS) をどこまで行うべきかの判断は, 検査時の様々な条件によっても異なるが, 基本的には, 1) 臨床にて疑われた疾患や障害の肯定 (合致) あるいは否定 (除外) が可能な情報, 2) 臨床症状に対する説明あるいは裏付けが可能な情報, 3) 検査における技術的な信頼性が保たれていることを確認できる情報が重要と考える。1) には, 局在性や限局性の確認があり, 手根管症候群 (CTS) での手掌刺激, 肘部尺骨神経障害 (UNE) での肘部inchingの他にも, 前骨間神経の運動神経伝導検査 (MCS), 外側前腕皮神経 (LAC), 内側前腕皮神経 (MAC), 尺骨神経背側皮枝 (DUC) の感覚神経伝導検査 (SCS) などが有用となる場合もある。2) では, 原則, 症状が認められる部位を検査することが重要となる。3) には, 刺激の波及があり, その確認方法として, 正中神経MCSでは短母指外転筋 (APB) と小指外転筋 (ADM) の同時導出, LAC SCSでは母指, MACやDUCのSCSでは小指との同時導出, 比較法である虫様筋–骨間筋 (2L-INT) 法では4チャンネル導出, 環指法では小指との同時導出などが有用となる。さらに, 刺激の波及が避けられない場合には, 衝突法も有用となる。
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