機能性神経障害は純粋に心理的な病態と考えられてきたため, 心身症に含まれてこなかった。一方近年注目されている, 機能性身体症候群は, 身体的には重篤でない機能性の疾患だが, 患者の心身の苦痛は大きく患者数も多いため注目をあびている。心理社会的問題が病態に関与することも多く, 心療内科の治療対象の中核の一つとなっており, 医師患者関係を中心とした心身医学的アプローチも確立している。機能性神経障害も, 心理社会的問題の関与の仕方や, 専門診療科における受診患者割合からは, 機能性身体症候群と重なる部分が多い。身体要因不明の中枢神経の機能性疾患として考え, 機能性身体症候群の一つと考えることもでき, 心身医学的アプローチが効果的な患者がおられる可能性は高い。一治療経験を通して, 心身医学的治療法につき紹介する。
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