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深澤 壽太郎, 村越 悟, 寺村 浩, 那須野 慶, 西田 尚敬, 吉田 充輝, 山口 信次郎, 神谷 勇治, 高橋 陽介
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0351
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物ホルモン・ジベレリン (GA) は発芽・伸長成長・開花時期を制御することが知られている。GA信号伝達において、植物固有のGRAS family に属するDELLAタンパク質は、核内で主要な抑制因子として機能し下流の信号伝達を抑制しているが、GAの添加にともない速やかに分解される。GAレセプター、SCF複合体の発見によりDELLAタンパク質の分解までの経路が明らかとなったが、下流の信号伝達経路は明らかとなっていない。
我々は、独自に開発したTup1-Two hybrid 法によりGA信号伝達における主要な抑制因子であるDELLAタンパク質(GAI,RGA)と相互作用する転写因子GAF1を単離した。ゲルシフト解析の結果、GAF1は、塩基配列特異的な結合能を有する転写因子であることを明らかにした。GAF1過剰発現体は、開花時期の促進、胚軸の伸長、葉の展開といった表現型を示した。また酵母を用いたモデル実験においてGAF1は、単独ではほとんど転写活性化能を示さないが、GAIと相互作用することによって強い転写活性化能を示すことが明らかとなった。
以上の結果より、GA信号伝達において、GAF1は、塩基配列特異的な結合能を有する転写因子であり、GAIと相互作用することにより強い転写活性化能を有し、GA量依存的なGAIの分解によりその転写活性化能を変化させる可能性が示唆された。
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鈴木 昭徳, 黒森 崇, 篠崎 一雄, 斉藤 和季, 高橋 秀樹
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0352
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物の栄養吸収においてトランスポーターは中心的な役割を果たすが、トランスポーターをコードする遺伝子の発現制御に関する研究は立ち遅れている。転写制御は遺伝子発現制御の基本であり、制御機構の詳細な解明のためには転写因子の同定と機能解析が必要である。シロイヌナズナでは約2000遺伝子が転写因子をコードすると推定されている。今回の解析では、理研トランスポゾンタグラインコレクションから265遺伝子の転写因子の破壊株のホモ系統を確立し、以下の解析に用いた。硝酸イオントランスポーターNRT2;1は窒素同化で主要な役割を担う。本研究では、リアルタイムPCRにより
NRT2;1の発現量を指標としたスクリーニングを行い、野生型株と比較して
NRT2;1の発現量が増加している変異株を遺伝子破壊株コレクションの中から単離した。この変異株はMADSボックス転写因子AGL21の遺伝子破壊株であった。AGL21は根で発現し、窒素欠乏による発現誘導を受ける。同じファミリーに属する転写因子ANR1は硝酸イオンに応答して側根の伸長を促進するが、AGL21の遺伝子破壊株は低窒素条件下で生育させると主根の伸長が著しく阻害された。以上のことから、AGL21はANR1とは窒素応答における役割が異なり、低窒素栄養条件における生育に必要な転写因子であることが示唆された。
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三屋 史朗, 三宅 博, 高倍 鉄子
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0353
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物がNaClにさらされると、Na
+またはCl
-が体内に吸収・蓄積して障害が引き起こされる。我々はこれまでにシロイヌナズナやイネの膜タンパク質PMP3が植物のNa
+の吸収抑制に関与し、耐塩性に重要であることを見いだした。本稿では、
PMP3遺伝子欠損酵母を用いて、イネおよび酵母PMP3の様々なイオンホメオスタシスにおける機能解析を行った。酵母の野生株、
PMP3遺伝子欠損株(
Δpmp3)および
Δpmp3に酵母
PMP3またはイネ
OsPMP3-3遺伝子を導入した酵母(
Δpmp3+
PMP3,
Δpmp3+
OsPMP3-3)を作製し、様々な塩を含む培地において成長させた。その結果、それぞれの塩に対する表現型は、野生株と比較して、1)
Δpmp3において感受性が高いもの、2)
Δpmp3において耐性が高いもの、3)
Δpmp3+
PMP3導入株において感受性が高いもの、4)違いなし、の4つが見られた。興味深いことに、
Δpmp3株では熱ストレス(37℃)に対する感受性も高かった。
以上より、イネおよび酵母のPMP3は、イオン輸送の駆動力となるプロトンの輸送に直接的または間接的に関わることにより、様々なイオンのホメオスタシスに関わることが示唆された。
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藤原 崇志, 三屋 史朗, 尾崎 啓子, 横田 有香, 服部 侑, 高倍 鉄子
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0354
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物が備えている耐塩性、耐乾性機構の一つとして、グリシンベタイン(ベタイン)の蓄積がある。我々はこれまでに、ベタイン蓄積植物であるオオムギでは、ベタイン合成の最終段階を触媒するベタインアルデヒド脱水素酵素BADH(
betaine
aldehyde
de
hydrogenase)が、ペルオキシソーム型(BBD1)とサイトゾル型(BBD2)の二種類存在することを見いだした。
そこで本稿では、この二つのBADHがどのような機能を持つかを調べるために、BBD1およびBBD2について酵素学的解析を行った。その結果、BBD2のベタインアルデヒドに対する親和性はBBD1に比べて約1000倍高いことが明らかとなった。また、他のアルデヒドとして4-アミノブチルアルデヒド、3-アミノプロピオンアルデヒドについても調査したところ、BBD1はこれらのアルデヒドを基質とすることが示され、その親和性はBBD2と同程度であった。
ベタインアルデヒドに対する親和性の差は、オオムギでは、ベタイン合成は主にサイトゾル型BADHであるBBD2が担っていることを示唆しており、オオムギは葉緑体でベタインが合成されるアカザ科植物とは異なり、サイトゾルでベタインが合成されると考えられた。
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多田 雄一, 江澤 祥太, 山中 拓哉, 深山 真史
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0355
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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塩生植物のオヒルギ(
Bruguiera gymnorhiza)の耐塩性遺伝子を同定するためにマイクロアレイを用いて塩応答遺伝子の発現プロファイリングを行い、いくつかの塩応答性遺伝子の過剰発現ベクターを構築した。これらを導入したアグロバクテリウムの耐塩性検定を実施したところ、350mMのNaClを含む培地で耐性を示すクローンが2種得られた。1種はシロイヌナズナのZinc Finger型転写因子であるSTO遺伝子と相同性が高かった。STOは酵母や過剰発現させたシロイヌナズナで耐塩性を向上させることが報告されている。STO遺伝子は塩応答的な発現が報告されていないことから、塩性植物であるオヒルギで塩応答的にSTOホモログが発現することが高度な耐塩性と関係している可能性が示唆される。もう1種の遺伝子は、ankyrin遺伝子であり、これまでに耐塩性との関連の報告が無いことから新規な耐塩性機構に関連している可能性がある。これらの遺伝子については組換え植物を作出中である。また、耐塩性に関係する液胞型Na
+/H
+アンチポーター遺伝子のホモログは、塩処理したオヒルギでは発現の増強が見られていない。従って、転写量を指標にしたスクリーニングでは全ての耐塩性遺伝子の同定はできないと考えられる。そこで、オヒルギcDNAを網羅的に過剰発現させたアグロバクテリウムや組換え植物の耐塩性スクリーニングも試みている。
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小柴 隆二, 山田 晃世, 川野 寛史, 谷本 靜史, 小関 良宏
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0356
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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当研究室では、大腸菌を用いた機能スクリーニング法により塩生植物由来の耐塩性関連遺伝子の探索を進めて来た。その結果、シチメンソウ (
Suaeda japonica) から作成した cDNA ライブラリーから 670 アミノ酸からなる親水性の高いタンパク質をコードする cDNA (
s284) を導入した大腸菌に顕著な耐塩性の向上が認められた。このアミノ酸配列は PSTTK とそれに類似するアミノ酸配列が合計 17 回繰り返される領域 (PSTTK repeats) を有すこと、キンギョソウのトランスポゼース (TNP1) と一部相同性を示すことが明らかとなった。そこで、s284 における PSTTK repeats をプローブとして、様々な他種植物を用いてサザンハイブリダイゼーションをおこなった結果、非塩生植物ではバンドが検出されなかったのに対し、シチメンソウと同属の塩生植物であるハママツナでは非常に相同性の高い配列を有していることが確認された。次に、シチメンソウゲノムライブラリーをスクリーニングし、s284 周辺ゲノムの単離、配列の解析を行った。その結果、CACTACTACAAAAT を terminal inverted repeats (TIR) とする
En/Spm 型トランスポゾン (
Tsj1) 内に
s284 がコードされていることを見出した。
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坂本 光, 松田 修, 射場 厚
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0357
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々はシロイヌナズナの耐塩性変異体
stm1を単離し、その原因遺伝子がアンキリンリピートタンパク質をコードすることを明らかにした(第47回植物生理学会年会)。本研究では、
STM1遺伝子の欠損による耐塩性獲得の分子的背景を解明することを目的とした。この変異体では、活性酸素の生成酵素であるNADPH oxidaseの遺伝子群(
RBOH)の塩ストレスによる発現誘導が野生株よりも低下しており、それに伴い、活性酸素の蓄積が抑えられていた。活性酸素はストレス応答のセカンドメッセンジャーとして機能する一方、その過剰な蓄積はネクロシスを伴う細胞障害の原因となる。この変異体では、ABAによる
RBOHの発現誘導も抑制されていた。これらの結果から、STM1は塩ストレス下において、ABAシグナルリングを介した活性酸素生成の促進に関与することが示唆された。ABA誘導性マーカー遺伝子(
RD22,
RD29A)の発現を解析した結果、
stm1変異体では、ABAによる
RD22の発現誘導は正常であったが、
RD29Aの発現誘導が損なわれていることが明らかになった。
RD22とは異なり、
RD29Aの発現のABA誘導性はABRE経路を介したABAシグナリングに依存している。以上の結果から、STM1は、塩ストレス下においてABRE経路を介して活性酸素の生成を促進させる制御因子として機能する可能性が示唆された。
stm1変異体においては、塩ストレスに応じた過剰な活性酸素の蓄積が回避されることによって、細胞障害が緩和されている可能性がある。
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松本 雅好, 小川 健一
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0358
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
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我々は、これまでにカルビン回路を構成する酵素であるシロイヌナズナ葉緑体型フルクト-ス-1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBA)が in vitro、およびin vivo でグルタチオン化依存的な活性制御を受けることを明らかにした(松本ら、日本植物生理学会2006年大会)。
ここでは、グルタチオン化依存的な活性制御を受けるFBAはカルビン回路のアルドラーゼ反応の単なるスイッチではないことを報告する。FBAの過剰発現体とノックダウン変異体において、CO2固定量、デンプンの蓄積量はFBA量に相関していたことからFBAの反応はカルビン回路の律速段階と考えられたが、CO2濃度を2倍にいた場合、CO2同化速度は初期のRubiscoに依存した段階まで上昇した。クロロフィルあたりのRubisco量もFBA量と相関していたことを考えると、グルタチオン化されるFBAは、単なるひとつの酵素反応のスイッチではなくカルビン回路全体の制御とも深く関わっていると示唆された。
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小川 健一, 柳田 元継, 岩崎(葉田野) 郁, 内山 和子, 小野 清美, 渡辺 一郎, 八坂 通泰, 来田 和人, 原 登志彦
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0359
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々は最近、シロイヌナズナにおいて脂質のリノレン酸量(LAC)が活性酸素レベルと花成との両方に負の相関を持つことを見出した。ここでは、この相関が北方林針葉樹でも成り立つことを報告する。LACが樹木の花成の決定と負の相関があるのかを調べるために、北海道立林業試験場に生育するグイマツ、カラマツ、アカエゾマツ、トドマツの針葉を毎月採取した。グイマツとカラマツの6月のLACは球果量と負の相関があった一方で、7月のLACは正の相関を示した。トドマツはグイマツやカラマツよりもLACが高かったが、5月、6月、7月のLACは負の相関を示した。アカエゾマツはグイマツとカラマツよりも常に低いLACであったが、球果量と正の相関が認められた。こうした結果とリノレン酸の派生物のひとつが花成を誘導するという事実をもとに、花成制御におけるリノレン酸の役割を議論する。
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大野 良子, 兒玉 なつ美, 柳田 元継, 小川 健一
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0360
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々は、シロイヌナズナの花成が膜脂質のリノレン酸 (LAC) によって抑制されることを見出した。野生型(Col)を低温(15°C)で生育させると、22°Cの場合と比べてリノレン酸量が増加し遅咲きとなる。リノレン酸の合成酵素が欠損した
fad3, fad7, fad8三重変異体は低温による花成の遅延が軽減されたことから、低温による花成の遅延はLACに起因することが考えられる。本研究ではLACによる花成とAP1の制御との関係について解析した。野生型Colを22°Cで生育すると
AP1の発現はリノレン酸量が減少した後に見られた。リノレン酸量を高めた
35S-FAD3植物では、
AP1の発現は遅れ開花が遅延したが、
fad3, fad7, fad8三重変異体では、野生型に比べ
AP1の発現が早まった。また、
AP1を高発現させた
35S-AP1植物は早咲きであるが、その表現型は低温で抑制され、さらに
35S-FAD3植物との交配によっても抑制された。以上よりLACはAP1の花成促進機能をタンパク質及び転写レベルで制御すると考えられた。
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逸見 健司, 岩渕 雅樹, 小川 健一
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0361
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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動物細胞のプロテインチロシンフォスファターゼ(PTPase)は活性中心に存在するシステイン残基の酸化修飾により容易に失活するが、植物のPTPaseも同様の制御を受けると考えられている。しかし我々は、シロイヌナズナのPTPase(AtPTP1)活性が活性中心以外のシステイン残基でレドックス制御されることを見出した。野生型AtPTP1は濃度依存的に酸化型グルタチオン(GSSG)およびH
2O
2で失活した。175番目のシステイン残基をセリン残基に置換した変異酵素(C175S)はGSSGまたはH
2O
2に対する抵抗性が大幅に増した。これらのことからAtPTP1は活性中心にあるC265よりもC 175の酸化還元状態で活性が調節されると考えられた。C175S変異酵素を導入した植物の方が、野生型酵素を導入した植物に比べて表現型が強いことを考え合わせると、植物体内でもC 175はレドックス制御を受けると考えられる。
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米満 美紀, 丸田 隆典, 薮田 行哲, 石川 孝博, 重岡 成
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0362
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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高等植物のアスコルビン酸(AsA)生合成のD-マンノース/L-ガラクトース系に関わるほとんどの酵素の分子特性が解析されてきたが、その系の制御機構については未だ不明のままである。ホスホマンノースイソメラーゼ(PMI)は、AsA生合成の第一段階であるフルクトース-6-Pからマンノース-6-P(M6P)への反応を可逆的に触媒する。従って、PMIは解糖系などの炭素代謝からAsA生合成への炭素分配量を決定する重要な鍵酵素であると思われる。本研究ではシロイヌナズナPMIの生理機能について解析した。シロイヌナズナゲノム中には2つの PMI遺伝子(PMI-1、2)が存在し、PMI-1の転写レベルは光条件下、PMI-2は暗黒下で顕著に誘導されていた。次に、PMIの酵素学的性質について解析するため、大腸菌でのリコンビナントタンパク質の発現系を構築し、精製酵素を得た。PMI-2のM6Pに対するk
m値は328 μM、V
max値は21.3 μmol/min/mg proteinであった。また、他の生物由来のPMIと同様に、PMI-2はZn
2+、Cd
2+、EDTA、種々の還元剤によって阻害された。次に、PMI-2遺伝子破壊シロイヌナズナを用いて、AsAレベルを野生株と比較した。その結果、光照射下および暗黒下ともにPMI-2の欠損はAsAレベルに影響しなかった。このことから、PMI-2はAsA生合成に関与していないことが明らかとなった。現在、PMI-1の酵素学的性質について解析するとともに、PMI-1遺伝子破壊株の単離を試みている。
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中西 華代, 佐塚 隆志, 森 仁志, 久堀 徹
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0363
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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チオレドキシンは生体内で還元調節を仲介する分子の一つであり、他の分子のジスルフィド結合を還元することで、相手分子の機能を制御する。植物では葉緑体、細胞質ゾル、細胞膜やオルガネラ膜にある種々の分子の機能が、チオレドキシンで還元調節されることが明らかにされている。
私たちは膜輸送体やレセプターなど細胞機能に重要な分子が存在する細胞膜に着目し、チオレドキシンと相互作用する分子を網羅的に捕捉して、これらの分子のレドックス調節を生化学的に解析してきた。その結果として、新たに細胞膜アンカー型カルシウム依存キナーゼ(CDPK)が、チオレドキシンによりレドックス調節されることを
in vitro の実験で明らかにした。
シロイヌナズナCDPKのリコンビナントタンパク質を作製し、非特異的基質のリン酸化活性を測定した。リン酸化活性は、酵素の酸化処理により処理前の10%以下に低下したが、酸化型酵素をチオレドキシンで還元すると、酸化処理前の90%まで回復した。つぎに、酸化型と還元型酵素のペプチドマッピングを行い、チオレドキシンが作用するCys残基のペアを同定した。Cys残基のペアはキナーゼドメインの活性中心の近傍にあり、互いに近接していることが分った。さらに、保存Cys残基を他のアミノ酸残基に置換して、変異酵素がレドックス調節されるかを調べている。これらの結果をあわせて、CDPKのレドックス調節の分子機構について議論したい。
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芳賀 健, 清田 誠一郎, 軸丸 祐介, 神谷 勇治, 高野 誠, 飯野 盛利
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0364
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
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フィトクロムによる光形態形成(幼葉鞘の光成長阻害反応)が抑えられたイネ
cpm1突然変異体(Biswas et al. 2003)の原因遺伝子は、ジャスモン酸(JA)の生合成に働くアレンオキシド合成酵素(AOS)の遺伝子(
OsAOS1)であることを第47回年会で報告した。
cpm1変異体では、点突然変異により1アミノ酸が置換したOsAOS1タンパクが発現していることが予測された。今回、組換えタンパクを用いて、正常な配列のOsAOS1はAOS活性を示すが、点突然変異をもつ組換えタンパクはAOS活性をほとんど示さないことを確認した。また、内生JA量をLC-MS/MSを用いて測定することによって、野生型品種(ニホンマサリ)の幼葉鞘では傷害処理および赤色光照射に応答してJA含量が上昇するが、突然変異体ではこの反応が大幅に抑えられていることを明らかにした。これらの結果は、JAに依存して発現が調節される遺伝子が傷害応答と光形態形成の両方に関与している可能性を示しており、この点を明らかにする目的で、イネの44Kマイクロアレイを用いた解析を行った。その結果、少なくとも5000個の遺伝子が傷害に、6000個の遺伝子が赤色光に反応し、約2000個が両反応に共通する遺伝子であることが分かった。
cpm1変異体を用いることによって、共通する遺伝子の多くはJAに依存するものであることも明らかになった。
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隠岐 勝幸, 稲葉 規子, 北川 佳名子, 藤岡 昭三, 北野 英巳, 藤澤 由紀子, 加藤 久晴, 岩崎 行玄
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0365
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物において、3量体Gタンパク質αサブユニット(Gα)は、細胞分裂、病気抵抗性、植物ホルモン応答などに関与する事が知られている。本研究において我々は、6種類の植物ホルモン応答における、イネGα(RGA1)の機能解析を行った。その結果、
RGA1欠失変異体
d1は、ブラシノステロイド(BR)応答が弱化していることを明らかにした。また、
d1変異体は、矮性、直立葉、短粒、第二節間の伸長阻害、暗所下における光形態形成など、BR関連変異体に共通の表現型を示した。
BRは、受容体キナーゼBRI1により受容され、BZR1等の細胞内因子へとその情報が伝達された結果、BR関連遺伝子群の転写フィードバック制御を引き起こすとされる。BRI1変異体(
d61)においては、この応答が観察されない。これと対照的に、
d1においては、BR生合成遺伝子等のフィードバック制御が確認された。また、一般にBR変異体は、内性BR量の変動を伴うが、
d1の内性BR量は正常であった。これらのことは、
d1において、BRI1を開始とする経路は正常であることを示唆している。さらに、
d61と
d1の2重変異体は、相加的な細胞数の減少が観察され、より顕著な矮性形質を示した。
以上より、RGA1は複数のBR形質の付与に関与すること、
d1において、BRI1からBZR1に至る経路は正常に機能する可能性が示唆された。
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藤澤 由紀子, 鮫島 千裕, 藤原 ちひろ, 廣部 あゆみ, 隠岐 勝幸, 加藤 久晴, 岩崎 行玄
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0366
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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イネ3量体Gタンパク質α,β,γ1,γ2サブユニットは,特異抗体を用いたウエスタンブロット解析により,細胞膜上に局在していることを明らかにしている.細胞膜を可溶化後,ゲル濾過を行うと,400kDa領域にα,βγ1,βγ2の各サブユニットが検出されたことから,全サブユニットは複合体を形成している可能性が示されている.一方興味があることに,60kDa領域にβ,γ1,γ2サブユニットが大量に検出された.動物において,βサブユニットとγサブユニットはダイマーを形成する.このことをふまえると,イネにおいては,3量体を形成していないβγサブユニットが存在していることになる.このβγダイマーが,3量体を形成している複合体とは別に新たな機能を有しているか否かに興味が持たれた.
野生型およびイネ3量体Gタンパク質αサブユニット遺伝子の欠損変異体
d1を用いて,イネ3量体Gタンパク質βサブユニット遺伝子の発現抑制個体を作出し,βサブユニットの機能推定を試みた.ウエスタンブロット解析により,βサブユニットの蓄積が抑制されている形質転換体を選別した.野生型および
d1由来の全ての形質転換体は,矮性,致死,小粒などの表現型を示した.αサブユニットが欠失した変異体である
d1は,致死や小粒などの異常を示さない.このことから,βサブユニットはαサブユニットとは独立した情報伝達経路に関与している可能性が示唆された.
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戸澤 譲, 七宮 英晃, 成澤 隆邦, 笠井 光治
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0367
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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バクテリア緊縮応答機構の制御物質ppGppならびにppGppの合成酵素が植物の葉緑体に存在していることが近年明らかにされてきた。植物ppGpp合成酵素は、RSH (RelA-SpoT homolog)と命名され、一群のRSHは葉緑体に局在して機能することが示されている。我々は、植物(イネ、シロイヌナズナ)から新しいタイプのRSH遺伝子を見出し、コードタンパク質の機能解析を進めた。まず、エンドウマメ葉緑体を用いた試験管内移行実験を行ない、成熟タンパク質の葉緑体移行を確認した。成熟型タンパク質のアミノ酸配列には、C末端側に2つのEF-handモチーフが存在することから、カルシウムイオン結合による機能制御系の存在が予想された。そこで、無細胞翻訳系によりこの新規タンパク質を合成・精製し、ppGpp合成活性の解析を進めた。その結果、カルシウムによる精製タンパク質のppGpp合成活性化、ならびにEF-handへの点変異導入によるカルシウム異存的ppGpp合成活性化作用の消失を確認した。以上より、新たに見出したRSHはカルボキシ末端のEF-handモチーフによるカルシウム活性制御を受ける新規RSHタンパク質であることを確認し、我々はこの新しいRSHをCRSH (Calcium-activated RSH) と命名した。本研究結果は、植物葉緑体内にカルシウムシグナルと連動するppGppシグナル系が存在する事を示唆する。Tozawa Y. et al. J. Biol. Chem. 282, 35536-35545, 2007.
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谷口 幸美, 柘植 知彦, 岡 穆宏, 青山 卓史
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0368
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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ホスホリパーゼD(PLD)は生体膜の主成分であるリン脂質の1つ、ホスファチジルコリン(PC)をフォスファチジン酸(PA)とコリンに加水分解する酵素であり、シロイヌナズナには12存在している。これら12のPLD遺伝子はそのタンパク質構造から植物に特有の構造をもつタイプと、動物や酵母と共通の構造をもつタイプに大別される。我々は後者である動物型のPLDに着目して解析を進めてきた。
PLDz1が植物体全体で常時発現しているのに対し、PLDz2は通常の生育条件では根端および雄蘂のみで強い発現がみられるのみであった。しかし、植物体をリン酸欠乏条件下におくとPLDz2の発現は上昇し植物体全体で発現するようになる。PLDz2の上流4カ所に存在するリン酸欠乏応答転写因子PHR1の認識配列に変異を入れ、GUS遺伝子を用いてプロモーター活性の解析を行ったところ、変異をもった上流配列はリン酸欠乏への応答を示さなくなった。また、PHR1のT-DNA変異体ではリン酸欠乏下でのPLDz2の発現上昇がみられなくなった。これらのことから、PLDz2のリン酸欠乏応答はPHR1が制御していると考えられる。
次に、pldz2変異体のリン酸欠乏下での表現型を解析したが、野生型との顕著な差は見られなかった。そこで、リン酸欠乏下でのPLDz2の役割を生体膜のリン脂質からリン酸を回収することだと仮定し、その検証をこころみた。
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佐藤 長緒, 前川 修吾, 園田 裕, 池田 亮, 山口 淳二
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0369
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
2大栄養素である糖(炭素源,C)と窒素(N)は,様々な生体高分子合成の材料として密接に関連している。植物は,限定された生育環境において,CとNを効率よく利用・分配するために,細胞内の炭素および窒素代謝産物の相対量比(C/N)を感知し適応する能力,すなわちC/Nバランス応答機構を備えている。
我々は,シロイヌナズナを用いて,C/Nバランス応答機構の分子実体の解明を目指している。これまでに,極度のC/Nストレスである糖過剰/窒素不足の環境でも生育可能な変異体
ssv1-D (
super survival 1-D)の単離に成功しており,C/N応答異常変異体として解析を進めている。その結果,この変異体では
SSV1遺伝子が過剰発現しており,炭素代謝の中核である光合成および窒素代謝関連遺伝子の発現制御が異常になっていることが示された。また,
SSV1のノックアウト変異体
ssv1-1では,C/Nストレスに高感受性を示した。
SSV1遺伝子はRING型のユビキチンリガーゼ(E3)をコードしており,
in vitro解析より実際にE3活性をもつことを確認している。さらに,アミノ酸置換を行いE3活性を無くしたSSV1を過剰発現させた植物体(
ssv1C143S)では,C/N応答異常を示さなかった。これらの結果より,植物のC/N応答には,SSV1を介したユビキチン-26Sプロテアソーム系による制御が関与することが示唆された。
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河野 智謙, 林 村, Rafik Errakhi, Francois Bouteau
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0370
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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数百種の宿主植物を持つといわれる白絹病菌(
Sclerotium rolfsii)が分泌する低分子病原因子であるシュウ酸は、シロイヌナズナにおいてアニオンチャネルの刺激を介した細胞死を誘導することが知られる。また植物がシュウ酸を認識する初期反応において過酸化水素の生成が観察されることから多様な活性酸素種の関与が推測されてきたが、過酸化水素以外の活性酸素種の検出例は報告されていない。本実験では、タバコ(BY-2)とイネ(ニホンバレ)の培養細胞を用いてシュウ酸および様々なジカルボン酸に応答したスーパーオキシドの生成を解析し、スーパーオキシド生成反応におけるジカルボン酸類の構造活性相関について考察したので報告する。
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坂本 勝, 宗村 郁子, 冨田 麗子, 小林 括平
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0371
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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落葉のシグナル機構解明のためにin vitro系を確立した。細胞学的観察により活性酸素種が離脱部位で恒常的に発生していることが明らかとなった。活性酸素種除去剤やNADPH oxidase阻害剤DPIは恒常的な活性酸素種生成やin vitroでのabscissionを抑制した。逆に、活性酸素種の過酸化水素によりセルラーゼの発現やabscissionが促進されたことから、活性酸素種がabscsissionのシグナルに関与することが示唆された。エチレン発生剤であるエテホンにより離脱部位での活性酸素種の生成が起こり、エテホンによるabscissionは活性酸素種除去剤やDPIにより抑制された。阻害剤処理時の経時的な遺伝子発現解析により、abscission誘導によるエチレン応答性遺伝子の発現上昇は活性酸素種除去剤やDPIの影響を受けなかった。よって、活性酸素種はエチレンの下流でabscissionのシグナルに関与すると考えられた。また、植物体に塩ストレスを与え落葉を誘導すると離脱部位での活性酸素種の生成、除去酵素の発現上昇が認められたことから、落葉のシグナル機構における活性酸素種の関与が示唆された。
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浅井 秀太, 吉岡 博文
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0372
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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NOと活性酸素種は様々なストレスに応答して生成されるラジカル分子であり,その生成機構が急激な応答反応であることから,それぞれNOバースト,オキシダティブバーストと呼ばれている.MAPKカスケードは真核生物に保存されている主要なシグナル伝達経路であり,細胞外からの様々な刺激が伝達され,遺伝子発現が制御されている.タバコ植物における防御応答には,MEK2-WIPK/SIPKからなるMAPKカスケードに加え,細胞分裂に関与するMAPKカスケード (NPK1-MEK1-NTF6) が重要な役割を果たしていることが知られている.そこで本研究では,この2つのMAPKカスケードに注目し,NOバーストとオキシダティブバーストの制御機構を明らかにすることを目的とした.アグロバクテリウムを介した一過的な発現系,およびウイルス誘導型ジーンサイレンシングを用いた解析により,MEK2-SIPKカスケードがNbNOA1を介したNOバーストを制御し,MEK2-SIPK,およびNPK1-MEK1-NTF6カスケードがNbRBOHBを介したオキシダティブバーストを制御していることを明らかにした.
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三上 浩司, Saavedra Laura, 日渡 祐二, Balbi Virginia, 長谷部 光泰, Sommarin Mariann ...
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0373
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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ホスファチジルイノシトール(PI)5キナーゼ(PIPK)はPI-2リン酸を産生し、動物や酵母では内膜輸送系や細胞骨格の構築を制御している。しかし、植物PIPKの機能については不明な点が多い。植物PIPKの活性化機構を明らかにする目的で、本研究ではヒメツリガネゴケPIPK(PpPIPK)の原形質膜局在および酵素活性の制御機構の解析を行った。PpPIPK遺伝子の産物は高等植物のPIPKと同様に、N末端側にMORNドメイン、C末端側に触媒領域を持っていた。すでに高等植物PIPKの原形質膜局在がMORMドメインにより制御されていると報告されているが、MORNドメインを持たない動物のPIPKも原形質膜に局在し、その場合触媒領域が重要であることが知られている。そこで、PpPIPKとGFPの融合タンパク質の細胞内局在を調べたところ、全長および触媒領域を用いたときに原形質膜局在が観察されたが、MORN-GFPは細胞質に分布していた。これらの結果から、MORNドメインは原形質膜局在に関与していないことが明らかとなった。さらに、原形質膜局在およびPIPKの活性化に必須なアミノ酸を同定したところ、いずれも触媒領域内のactivation loopに存在しており、これは動物のPIPKの場合と同様であった。以上のことから、PIPKの原形質膜局在および酵素活性の制御機構は真核生物で保存されていると考えられた。
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草野 真衣, Lama Kabita, 今村 綾
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0374
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物は日々の環境変化に対応して生存し続けている。我々は穀物植物であるイネのHis-Aspリン酸リレー情報伝達機構に着目し、その機能特性を明らかにしたいと試みた。これまでにイネゲノム解析からこの情報伝達機構を構成する3種類の因子(Histidine Kinnase:HK, Histidine-containing Phosphotransfer:HPt , Response regulator:RR)が数種類ずつ存在することが報告されている。また、分子生物学的解析の進んでいるシロイヌナズナやトウモロコシではこの情報伝達機構は各因子に保存されたHis残基とAsp残基間におけるリン酸リレーで情報が伝達されることが示されており、その伝達機構はHK→
HPt→RRであると推測されている。そこで我々は数種類のHPt因子とRRに注目して、酵母two-hybrid法を用いた細胞内情報伝達機構のしくみを明らかにすることを試みた。その結果から、イネRRの転写活性能とその領域解析、さらにRRの上流で機能すると思われるHPt因子との相互作用を検討して、2因子に注目した細胞内情報伝達機構について考察する。さらに、さまざまな環境ストレス下における発現因子とRR・HPt因子の相互作用についても検討し、これらの因子がどんな環境ストレス下で機能するかを考察する。
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中川 海人, 木本 香哉, 大同 一誠, 草野 真衣, 今村 綾
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0375
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物個体は環境ストレスシグナルを受容し、個体レベルで対応する。我々はイネ環境ストレス応答情報伝達機構として、His-Aspリン酸リレー情報伝達機構に着目し、ここでは特にこの機構の構成因子RRとHPt因子(前演者参照)の発現パターンに着目した解析について示す。植物RRにはレシーバー領域のみからなるタイプA-RRとレシーバー領域と転写因子の特徴をもつBモチーフをあわせもつタイプB-RRの2種類が知られているが、今回はイネのタイプB-RRに注目し、植物がこの因子(群)が環境ストレスや植物ホルモンシグナルを受容したときの細胞レベルでの機能様式を明らかにすることを試みた。具体的には、イネ培養細胞を用いてRR-GFP、HPt-GFP融合タンパク質を発現する系を構築し、環境ストレス処理や植物ホルモンに応じて細胞内局在性がどのように変化するかを検討した。さらに、RRとHPtプロモーター-GUS解析を行い、各因子の植物個体における組織特異的、器官特異的発現パターンを解析した。そして、これらのHis-Aspリン酸リレー情報伝達機構の構成因子の器官別発現パターンを、種々のストレス条件下で育成したイネにおいて明らかにし、以上の発現パターン解析からイネ個体および細胞内におけるこれらの因子が関与するストレス感受機構や伝達機構について考察する。
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笹部 美知子, 町田 千代子, 町田 泰則
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0376
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
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細胞質分裂は、細胞を二つに分離する多段階で複合的な反応過程である。植物の細胞質分裂は、微小管を主成分とするフラグモプラストと呼ばれている細胞質分裂装置の中で起こる。キネシン様タンパク質(NACK)と MAP キナーゼカスケードからなる NACK-PQR 経路は、このような植物の細胞質分裂のキーとなっている反応系である。我々は、これまでに、 NACK-PQR 経路は細胞周期 M 期の中期以降に活性化され、フラグモプラスト微小管の動的不安定性を引き起こし、フラグモプラストの親細胞壁への拡大伸長を誘導していることを明らかにしてきた(Genes & Dev., 2006)。また、この経路が、 NACK と MAP キナーゼカスケードの構成因子である NPK1 MAPKKK とが結合することにより、活性化されることを示した。しかし、NACK-PQR 経路を構成するすべてのタンパク質は、中期以前にも存在しているにもかかわらず、何故この経路が不活性であるのかは不明であった。本研究では、中期以前にはCDKにより NACKとNPK1がリン酸化されており、それにより両者の結合が阻害されていること、中期を過ぎると脱リン酸化が起こり、両者が結合し、この経路が活性化される可能性を示した。つまり、CDKは、中期以前において細胞質分裂に必要な因子の機能を抑制する因子であると考えられる。
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幸節 健, 征矢野 敬, 高橋 裕治, 笹部 美知子, 町田 泰則
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0377
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々は、MAPKカスケードの構成因子が、植物細胞の細胞質分裂に必須であることを明らかにしている。タバコの NPK1 MAPKKKは、キネシン様タンパク質 NACK1と結合して活性化され、その下流因子として NQK1 MAPKK、NRK1 MAPKを同定した。タバコ培養細胞において、ドミナントネガティブ型のNACK1、NPK1、NQK1を過剰発現させると、細胞板の成長が阻害された結果、不完全な隔壁を持つ多核化した細胞が観察された。この結果は、これらの因子が細胞板の形成に必須な情報伝達経路 (NACK-PQR経路)を構成していることを示唆している。しかし NRK1が細胞板形成に関わることを示す直接的な証拠は得ていない。今回、我々は、in vitroにおいて、シロイヌナズナの NQK1ホモログ ANQ1/AtMKK6が、AtMPK4 MAPKを特異的に活性化することを明らかにした。さらに抗 AtMPK4抗体を用いて免疫複合体キナーゼ解析を行い、
anq1/atmkk6変異体において AtMPK4の活性が低下していること、また野生型において AtMPK4の活性が細胞分裂が盛んな器官で高いことを明らかにした。また、
atmpk4変異体では、葉及び根において、不完全な隔壁と複数の核を持った大きな細胞が観察された。これらの結果から、AtMPK4が細胞板形成を正に制御しており、NACK-PQR経路が植物細胞の細胞質分裂に必須であることが分かった。さらに
atmpk11と
atmpk4二重変異体及び、
anq1/atmkk6と
atmpk4二重変異体の表現型、AtMPK4の細胞内局在についても報告する
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鈴木 孝征, 西村 慎吾, 町田 泰則
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0378
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物細胞の細胞質分裂は細胞分裂後期に形成されるフラグモプラストの遠心的な発達により行われる。これまでの研究からMAPキナーゼ経路がこのフラグモプラストの発達を制御することが示されている。MAPキナーゼ経路の下流に微小管結合タンパク質であるMAP65が存在することが明らかにされ、その活性を調節し微小管の再構成を通じてフラグモプラストの発達を制御していると考えられている。しかし、フラグモプラストの発達には微小管の制御以外にも多くのしくみが必要であると考えられ、MAPK経路の標的となる分子が他にも存在すると考えられる。本研究では植物細胞質分裂を制御するMAPK経路の標的となり、リン酸化されるタンパク質を網羅的に同定することを試みた。
細胞質分裂を制御するMAPK経路のシロイヌナズナの構成因子の変異株からリン酸化タンパク質を精製し、野生型株との比較を行うことでMAPK経路の標的タンパク質の同定を試みた。その結果、酵母Sec14pと類似のアミノ酸配列を持つPATL2を同定した。PATL2の組み換えタンパク質を精製し、MAPキナーゼによるリン酸化を調べたところ、SEC14ドメイン中の1つのセリン残基のみがリン酸化されることがわかった。Sec14pは細胞膜の代謝や輸送などに関わると考えられていることなどから、MAPキナーゼ経路は微小管の再構成だけでなく、細胞膜の輸送も通して細胞質分裂を制御している可能性が示唆された。
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石田 喬志, Stacy Nicola J., 杉本 慶子
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0379
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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核内倍加は核内の染色体が細胞分裂を経ることなく複製される現象で、動植物を含む真核生物に広く見られる。未分化な細胞の核相は2Cもしくは4Cであり細胞分裂を繰り返すが、分化後の細胞では核内倍加によって核相が上昇し細胞の体積も増大する。増加した核相と細胞サイズの間にはしばしば正の相関関係がみられることから、核内倍加の制御が細胞の大きさを規定する重要な要素であると考えられているがその分子機構には未解明の部分が多い。我々は、この機構を解明するために核相が変化している変異体の単離を目指したスクリーニングを行い4種の変異体を単離した。これらの変異体は、野生型植物体では通常32Cまでである核相が128Cまで増加していた他、SAMや気孔系譜細胞など未分化で小さい細胞が巨大化していたり胚軸の細胞列が判別できなくなっているなど非常に興味深い表現型を示した。これらの表現型から、野生型植物体においては“核相の増加を抑制する機構”が存在し、新規変異体ではその機能が失われているのではないかと考えている。また、変異体における異常な核相を持った細胞ではアイデンティティ形成にもなんらかの異常が生じているのではないかと考え研究を行っている。
本発表ではこれら新規変異体の解析から得られた結果を元に、核内倍加制御機構の新たな知見と、核内倍加と分化の制御機構の関係性について議論したい。
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松永 幸大, 栗原 大輔, 内山 進, 福井 希一
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0380
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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Auroraキナーゼは細胞分裂を制御するセリン・トレオニンキナーゼであり、生物種を超えて高度に保存されている。動物細胞においては、中心体成熟、染色体動態、細胞質分裂などの細胞分裂過程に関与する。ガン細胞においては過剰発現することから、Auroraキナーゼ阻害剤は制ガン剤として開発が進められている。植物のAuroraキナーゼは、体細胞分裂期に紡錘体や細胞板に局在するタイプIと、染色体動原体領域に局在するタイプIIに大別される。しかし、植物細胞分裂における機能は不明である。そこで、制ガン剤として開発されたAuroraキナーゼの阻害剤であるヘスペラジンを用いて植物細胞分裂におけるAuroraキナーゼの機能解析を行った。タバコBY-2培養細胞をヘスペラジン処理すると、分裂中期細胞の割合は増加し、後期および終期細胞の割合は減少した。微小管系の構造に変化は生じなかったが、後期には中央赤道面上に取り残されたラギング染色体がみられ、微小核が生じた。この過程を詳細に調べるために、動原体特異的タンパク質CenH3により可視化した動原体の挙動をライブセルイメージングにより解析した。その結果、染色体整列遅延や染色体分離異常が見出された。以上の結果より、植物Auroraキナーゼは、動原体微小管の修復機構や染色体分離に関与していることが示唆された。
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石川 雅樹, 秋田 朝日, 小栗 康子, 小原 真理, 若月 幸子, 長谷部 光泰, 久保 稔
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0381
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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ヒメツリガネゴケは、胞子から発芽後、細胞が一列に並んだ原糸体を経て、茎と葉からなる茎葉体へと発生していく。葉を茎葉体から切り離すと、切断後約48時間で切断面に面した葉細胞が細胞分裂を再開し原糸体細胞になる。本研究では、この過程でおこる葉細胞での細胞周期再開メカニズムを明らかにすることを目指している。はじめに我々は、細胞周期制御の中心的な役割を果たすAタイプサイクリン依存性キナーゼ(CDKA)に着目した。
CDKA転写産物、およびそのタンパク質の蓄積レベルは葉切断後48時間までほぼ一定であったが、その活性は切断後24時間目以降で上昇することが分かった。そこで我々は、サイクリンなどの細胞周期関連遺伝子の発現変動をRT-PCRを用いて解析した。その結果、葉切断後12時間目以降でサイクリンD(
CYCD)転写産物が、そして36時間目以降でサイクリンB転写産物が蓄積することが分かった。さらに
CYCDプロモーターに
GFPプロモーター遺伝子を連結させた融合遺伝子をヒメツリガネゴケに導入し、その蛍光を観察したところ、切断面に面した葉細胞のみで蛍光が検出された。以上のことから、葉を切断すると、切断面に面した葉細胞で
CYCD遺伝子が発現し、CYCDがすでに葉細胞に存在しているCDKAと結合し、CDKAを活性化させることで細胞周期を再開させることが示唆された。
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佐古 香織, 園田 裕, 眞木 祐子, 佐藤 長緒, Goto Derek, 山本 宏子, 池田 亮, 山口 淳二
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0382
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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26Sプロテアソームは数十のサブユニットからなる巨大なプロテアーゼであり、生体内の不要となったタンパク質を能動的に分解することによって、様々な生命現象の制御に機能している。26Sプロテアソームを構成する数十のサブユニットタンパク質は、単なる複合体の構造要素として機能するだけでなく、個別の機能をあわせもっている。しかし、植物におけるこれらサブユニットの機能はほとんどわかっていない。
本研究では、シロイヌナズナ26SプロテアソームのRPTタンパク質群に着目し、解析を行った。シロイヌナズナRPTタンパク質群はRPT1から6まで存在し、RPT3以外は重複がみられる。これらについて逆遺伝学的解析を行った結果、
AtRPT2a欠損変異体および
AtRPT5a欠損変異体のみが、顕著な器官の巨大化を示した。こうした巨大化は細胞質分裂を伴わないDNA複製であるエンドリデュプリケーションの過剰促進によって、核内DNA量が増大したことに起因していた。
以上の結果から、RPT2aとRPT5aが同一の複合体を形成する可能性があると考え、遺伝学的および生化学的解析を行っている。研究成果をもとに、プロテアソームが関与する植物の細胞サイズの決定機構について議論したい。
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阿部 清美, 刑部 敬史, 石川 優一, 田切 明美, 山ノ内 宏昭, 武弓 利雄, 吉岡 照高, 伊藤 卓也, 小林 正智, 篠崎 一雄, ...
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0383
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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BRCA2遺伝子は、ヒトの家族性乳ガンおよび子宮ガンの原因遺伝子として同定された遺伝子であり、Brca2タンパク質は、Rad51タンパク質と直接結合して相同組換えを促進すると報告されている。
我々は、シロイヌナズナのDsタギングラインの中から
AtBRCA2aおよび
AtBRCA2b遺伝子の変異体をそれぞれ1系統見いだした。これら変異体、およびこれらを交配した二重変異体の表現型を解析したところ、これら変異体はDNA損傷因子であるγ線やシスプラチンに対して感受性を示すことが明らかになり、Brca2タンパク質は高等植物の体細胞においてDNA損傷修復に関与していることが示された。また、
atbrca2二重変異体では、帯化(fasciation)や葉序の乱れが観察され、この形態異常は、DNA損傷を与えることによってさらに高頻度で出現した。この様な結果から、
atbrca2二重変異体では、DNA損傷修復の異常によって、茎頂分裂組織の秩序崩壊が起きていると推測された。さらに
atbrca2二重変異体にCYCB1-GUSレポーター遺伝子を導入してCYCB1の発現を調べたところ、茎頂付近および根端において高い発現が認められたことから、
atbrca2二重変異体の形態形成異常には、細胞周期の変化が関与していると考えられた。
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今村 建朗, 杉山 宗隆
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0384
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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チミジンの類似物質である5-ブロモデオキシウリジン(BrdU)は、発生・成長の様々な側面に特異な影響を及ぼすことが報告されているが、その作用機作はよくわかっていない。シロイヌナズナの組織培養系では、BrdUを処理する条件(タイミングと濃度)によって、シュート再生の促進および阻害、脱分化の阻害、細胞増殖の阻害などが観察される。
bro1と
bro2は、このうち脱分化への影響を指標に単離したBrdU耐性変異体である。これまでの解析で、
bro1ではRNA結合タンパク質UBA1aをコードする遺伝子に、
bro2ではチミジンキナーゼをコードする遺伝子に、BrdU耐性の原因と思われる点変異を見出している。
現在、これらの候補遺伝子にT-DNAが挿入されたノックアウト系統の解析を進めている。胚軸のカルス化のBrdU感受性を調べたところ、
BRO1候補遺伝子のT-DNA挿入変異では、ホモ接合の場合に部分的なBrdU耐性が見られたほか、ヘテロ接合の場合にも弱い耐性が見られた。一方、
BRO2候補遺伝子のT-DNA挿入変異は、ホモ接合のときにのみ、BrdUに対する明瞭な耐性をもたらした。これらの変異体についてさらに解析を行い、これまでに得られている結果と併せて、BrdUの脱分化阻害作用の分子機構を考察したい。
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木村 亜有, 清水 正則, 山田 貴子, 小林 京子, 丹羽 康夫, 小林 裕和
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0385
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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葉緑体は,光合成に加えて各種二次代謝活性を有し,さらに細胞内レドックス制御の観点からも重要である.葉緑体の機能分化の制御機構を解明する目的で,光合成遺伝子
RBCS-3Bプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を置き,この発現を指標にして,アクティベーション・タギングにより脱分化細胞においても光合成遺伝子が発現する
callus expression of RBCS (
CES) 遺伝子群を見いだした (
Plant Cell Physiol.,
47, 319-331, 2006).これらと相対する制御として,細胞の緑化を抑制する遺伝子の探索を試みた.
カルス化培地の2,4-D およびカイネチン濃度を変化させることにより,3週間の培養によりカルスが緑化する条件を見いだした.上記レポーター遺伝子導入系統を用い,アクティベーション・タギングにより,カルスが脱緑化する
des (
depressed expression of RBCS) 変異系統を選抜した.変異系統カルスからDNAを調製し,thermal asymmetric interlaced (TAIL)-PCRを行った.その結果,4遺伝子座が同定された.これら遺伝子座近傍の遺伝子発現をリアルタイムRT-PCRにより,また包括的遺伝子発現を25,000遺伝子対応22,500プローブセット
Arabidopsis ATH1 Genome Array (Affymetrix製) により解析した.
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伊藤(大橋) 恭子, Bergmann Dominique
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0386
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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気孔は、外界とガスや水分の交換を行う植物にとって必須な器官である。気孔は葉の表皮細胞がメリステモイド、孔辺母細胞を経て分化する一対の孔辺細胞により形成される。これまでの研究により気孔形成の位置やパターンを制御するシグナル伝達因子は複数明らかになっていたが、気孔分化を司る促進因子はわかっていなかった。そこで、私達は、気孔が過剰にできる植物体で発現量が増加し、逆に気孔が全く形成されない植物体で発現量が下がるbHLH型の転写因子FAMAに着目し研究を行った。機能欠損体
famaは全ての器官において気孔を形成せず、本来気孔となる細胞で過剰に細胞分裂を繰り返した細胞塊を形成した。これらの細胞は孔辺母細胞様の細胞であることがマーカー遺伝子の発現パターンによりわかった。
FAMAの過剰発現体は対をなさない孔辺細胞を全ての表皮上に形成した。また
FAMAの発現は孔辺母細胞から始まり若い孔辺細胞で強く、成熟した気孔では消えていった。これらの結果から、FAMAは孔辺母細胞から孔辺細胞への分化過程において働き、孔辺細胞への分化を促進し細胞分裂を抑制する機能を持つ気孔分化の最終ステップのマスター遺伝子であることが明らかとなった。
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豊倉 浩一, 渡辺 恵郎, 松本 任孝, 槻木 竜二, 岡田 清孝
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0387
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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シロイヌナズナの葉では向軸側(表側)と背軸側(裏側)で細胞の形態や、気孔やトライコームの数が異なっている。これまでに、分子遺伝学的解析から葉原基形成時には向軸側もしくは背軸側特異的な発現をする転写制御因子が複数報告されている。これらの因子の向軸側・背軸側特異的な発現は、発現に先だって形成される向背軸を必要とすると考えられるが、向背軸の形成機構はほとんど分かっていない。
我々は背軸側特異的にGFP を発現する形質転換体を変異原処理し、GFPの発現パターンに異常を示す突然変異体を複数単離してきた。
enlarged fil-expression domain1 (
enf1)突然変異体は、マーカーの発現パターンの解析から、向軸側の性質をもつ領域が広がった葉や、逆に背軸側のそれが広がった葉の両方を形成し、極端な場合にはすべての細胞が背軸側の性質をもつ葉を形成することが分かった。このことから、
ENF1遺伝子は向背軸形成に必要であると考えられた。マッピングの結果、
ENF1伝子はガンマアミノ酪酸(GABA)代謝経路の酵素をコードする遺伝子であった。 GABA代謝経路と向背軸形成との関わりについても議論したい。
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松村 葉子, 小島 晶子, 町田 千代子, 町田 泰則
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0388
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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植物の葉は向背軸、中央側方軸、基部先端部軸の3つの軸に沿って形成されると考えられている。
ASYMMETRIC LEAVES 2 (
AS2) は、植物に特異的な保存領域(AS2/LOBドメイン)をもつタンパク質をコードしており、その機能欠損型変異体
as2 は、3つの軸全てに異常を示す非常にユニークな葉を形成する。また、
as2 変異体の葉では、classI
knox 遺伝子の転写産物が異所的に蓄積することが報告されている。これまでの研究から、
AS2 は扁平で左右対称な器官の形成に必要であると考えられているが、その分子機能はまだ明らかにされていない。我々は
AS2 と遺伝的相互作用をする因子を得るため、
as2 変異体のエンハンサー及びサプレッサーのスクリーニングを行った。その結果、複数のエンハンサー候補が得られたが、サプレッサー候補は得られなかった。このことは葉の形成において
AS2 の下流に複数の経路があることを示唆する。エンハンサー候補は、棒状やトランペット状の葉を高頻度に形成するもの、葉の左右非対称な切れ込みが激しくなったもの、葉身長及び葉柄長がさらに短くなったものなど、3つのタイプに大別できた。これらはそれぞれ
as2 変異体の向背軸、中央側方軸、基部先端部軸方向の異常を亢進していると考えられる。また、
as2 変異体の3つの軸の異常を全て亢進しているものもあった。これらのエンハンサー候補の解析について報告する。
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石橋 奈々子, 上野 宜久, 小島 晶子, 町田 千代子, 町田 泰則
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0389
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
シロイヌナズナの
asymmetric leaves1 (
as1) 変異体および
as2変異体では、葉身における左右非対称な切れ込みの形成、葉身・葉柄の基部先端部軸方向の成長抑制、葉の向軸側における凹凸形成、葉脈パターンの単純化、葉身の上偏成長や背軸側化が観察される。
as2変異体では葉柄からleaflet-like structure の形成も観察される。
AS1遺伝子はN末端側にMybリピートを2つ持ち、C末端側にコイルドコイル構造をもつタンパク質を、
AS2遺伝子はN末端側にCモチーフとロイシンジッパー様の構造からなるAS2ドメインを持つ植物に特有のタンパク質をコードすることが分かっている。
我々は
AS1の葉の形態形成に関わる分子機構の解明を目指し、
as1変異体の各表現型について亢進される変異体のスクリーニングを行った。これまでに葉身における表現型が亢進される系統を複数得たが、そのうち1系統について
as2変異体と交配をした結果、この変異は
as2変異体の葉身における表現型も亢進することが分かった。この原因遺伝子を
enhancer of asymmetric leaves1 (
eal1)と名付けた。我々は
as1 eal1および
as2 ea1各二重変異体では、
as1、
as2変異体の葉の背軸側化が亢進されていることを示唆するデータを得ている。現在、葉身における表現型とmicro RNAとの関係について調べており、その結果について報告する。
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池崎 仁弥, 上野 宜久, 小笠原 史明, 町田 千代子, 町田 泰則
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0390
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
葉は、茎頂メリステムから3つの軸(向背軸・基部先端部軸・左右軸)に沿って発生分化する扁平で左右相称的な器官である。葉の形態形成の分子機構を明らかにするために、我々は葉の左右相称性に関与する遺伝子としてシロイヌナズナの
ASYMMETRIC LEAVES1 (
AS1)及び、
ASYMMETRIC LEAVES2 (
AS2)を解析してきた。
as1変異体、
as2変異体はともに左右相称性にゆがみを生じる他、葉の扁平性、葉脈パターンも野生型と異なっている。さらに、
as1変異体では基部先端部軸方向の成長が抑制されている。一方、これらの変異体の葉では、茎頂周辺で発現しメリステムの形成、維持に関わると考えられているclass 1
KNOX遺伝子群の転写産物が異所的に蓄積しており、
AS1,
AS2遺伝子がclass 1
KNOX 遺伝子群の発現抑制に関与すると考えられる。また、器官の伸張に関与する植物ホルモン・ジベレリンの合成酵素GA20酸化酵素の転写をclass 1
KNOXが直接制御しうることがわかっている。そこで、今回我々は、
as1変異体及び
as2変異体の表現型とclass 1
KNOX遺伝子の異所的発現、ジベレリンとの関係を明らかにするために
as1変異または
as2変異とともにclass 1
KNOX遺伝子の変異を保持する多重変異体を作製しその表現型を解析した。その結果について報告する。
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岩川 秀和, 高橋 広夫, 岩崎 まゆみ, 小島 晶子, 上野 宜久, 池崎 仁弥, 小林 猛, 町田 泰則, 町田 千代子
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0391
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
植物の葉は茎頂メリステムから発生し、基部先端部軸、向背軸、中央側方軸に沿って成長する扁平で左右相称的な器官である。シロイヌナズナの
asymmetric leaves2 (
as2)と
as1変異体はこの三つの軸すべてに異常を示し、葉身の左右非対称的な切れ込みや上偏成長、弱い背軸側化、基部先端部軸方向の成長抑制が認められる。これまでの解析から、
AS2と
AS1はclass 1
KNOX遺伝子である
BP,
KNAT2,
KNAT6の発現を抑制していることがわかっている。
AS2,
AS1の下流因子を調べるためにマイクロアレイ・FussyArtを用いたクラスタリング解析を行った。その結果、
BPと同様の発現パターンを示す48の候補遺伝子が得られた。
AS2,
AS1によって負に制御されていると考えられるこれらの遺伝子の中に、葉の背軸側因子である
ETTIN (
ETT),
KANADI2 (
KAN2),
YABBY5 (
YAB5)が含まれていた。これらの遺伝子の
as2 bp knat2 knat6四重変異体における発現レベルは、
as2でのレベルと変わらなかった。以上の結果から
AS2,
AS1はclass 1
KNOXとは独立に、背軸側因子である
ETT,
KAN2,
YAB5を負に制御していると考えられる。
AS2は複数の経路で、扁平で左右相称的な葉の形成に関わっていることが示唆された。
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津田 勝利, 伊藤 幸博, 宮尾 安藝雄, 廣近 洋彦, 倉田 のり
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0392
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
KNOX遺伝子の機能は茎頂分裂組織(SAM)の形成と維持に不可欠だが、その発現制御もまた植物の発生において重要である。
KNOX遺伝子は茎頂特異的に発現しているが、本来発現しない葉で異所的に発現すると、細胞の分化阻害による形態異常を引き起こす。これまでに
KNOX遺伝子の発現制御に関わるいくつかの因子が報告されているが、その機構は明らかとなっていない。そこで我々は、 新たな制御因子を同定すべく、 イネ
Tos17ミュータントパネルから
KNOX遺伝子を葉で異所的に発現する突然変異体を選抜した。
これまでに、ほぼ同様の表現型を示す11系統の突然変異体を得た。これらの変異体の葉では、イネの
KNOX遺伝子である
OSH1、
OSH6、
OSH15、
OSH71が異所的に発現していた。表現型がシビアな場合、葉身・ラミナジョイント部を持たない葉から成る、円錐状のシュートを形成した段階で発育が停止する。表現型がマイルドな場合は、異常な形態の葉身を有する葉を形成する。いずれの場合も極矮性、幼苗致死であった。また組織切片観察の結果、これらの変異体の葉では、中肋部のclear cellの形成や細胞の液泡化に遅延または異常が見られることがわかった。
現在、これら11系統について、原因遺伝子のマッピングをおこなっているので、その経過についても報告する。
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伊藤 幸博, 津田 勝利, 倉田 のり
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0393
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
KNOX遺伝子は茎頂分裂組織(SAM)の形成・維持に重要な役割を果たしている。KNOX遺伝子はSAM特異的に発現しており、本来発現していない葉で発現すると形態異常を引き起こす。従って、植物の正常な発生にはKNOX遺伝子のSAM特異的発現が必須である。我々はその発現制御機構を明らかにするため、KNOX遺伝子を葉で発現しその過剰発現体と似た形態のシュートを形成するイネの突然変異体onionの解析を行った。
ONION遺伝子はfatty acid elongaseをコードし、SAMと若い葉のL1層の細胞で特異的に発現していた。onion変異体では、L1のマーカー遺伝子の発現の低下、葉の表面のワックスの異常、極長鎖脂肪酸含量の低下が観察された。また、マイクロアレイの結果、オーキシン、SAM、ヒストンに関連する遺伝子の発現が変化していた。
以上のことから、ONION遺伝子はKNOX遺伝子の発現制御を含む正常なシュート形成に必要な遺伝子と考えられた。さらに、正常なイネの発生にはL1層の脂肪酸組成が重要で、L1層の細胞から内部の細胞に何らかのシグナルが伝達されることが必要であると推察された。
また、脂肪酸伸長反応のONION遺伝子の次のステップで働くと考えられる遺伝子を探索した結果、ONION遺伝子同様、茎頂特異的に発現する遺伝子を見いだした。現在この遺伝子の解析も進めている。
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木富 悠花, 伊藤 寛子, 北野 英己, 犬飼 義明
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0394
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々はこれまでに、イネの不定根(冠根)数が著しく減少する突然変異体
crown rootless1 (
crl1)の原因遺伝子を単離・解析した結果、
CRL1遺伝子はAUX/IAAおよびARFタンパク質によるオーキシンシグナル伝達系の下流に位置する転写因子をコードすることを明らかにした。さらに冠根形成の制御機構を解析するために新たな突然変異体の作出・選抜を試み、冠根欠損型突然変異体を複数得た。このうち
crl4変異体は、側根数の減少や重力屈性の異常といったオーキシン関連の異常な表現型も観察され、またその原因遺伝子
CRL4はシロイヌナズナにおいてオーキシン排出キャリアーであるPIN1のリサイクルを制御していると考えられている
GNOMと相同性の高い遺伝子をコードしていた。一方、
crl5変異体は
crl1変異体と同様に冠根原基のinitiationが阻害されるが、野生型に比べ著しく少ないものの、いずれの変異体も成熟に伴い冠根を形成する能力を有していた。しかしこれらの二重劣性型個体では成育後期においても全く冠根形成は認められなかったため、
CRL1と
CRL5遺伝子は冠根形成制御に関して全く同一の経路では機能していないと考えられる。今回の発表ではこれら
crl変異体の解析から明らかになってきたオーキシンの輸送およびシグナル伝達と冠根形成との関わりについて報告する。
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白川 一, 上田 晴子, 西山 千晶, 嶋田 知生, 西村 いくこ
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0395
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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ミロシン細胞はアブラナ科の植物に見られる異型細胞の一種であり,その液胞にβ-グルコシダーゼの一種のミロシナーゼを含有する.虫などの食害によって組織が損傷を受けると,ミロシナーゼが基質であるグルコシノレートを分解し,忌避物質であるイソチオシアネートを産生して生体防御に働く.我々はこれまで 1) ミロシン細胞が維管束近傍に分布すること,2) 小胞輸送に働くAtVAM3の変異体においてミロシン細胞が増加すること,3)
atvam3変異体では導管の発達が著しく低下していることを報告した.最近,DNAマイクロアレイ解析により,変異体においてオーキシン応答性遺伝子の発現が低下することを見出した.オーキシン応答性レポーター遺伝子を変異体に導入し,野生型と比較したところ同様の結果が得られた.以上の結果から,AtVAM3がオーキシンを介して,ミロシン細胞と導管の分化を制御している可能性を見出した.ミロシン細胞の分化における小胞輸送系の機能を議論したい.
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小山 知嗣, 関 原明, 篠崎 一雄, 高木 優
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0396
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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CRES-T法は、転写抑制ペプチドであるSRDX配列を任意の転写因子に融合したキメラリプレッサーを植物で発現させ、転写因子の機能抑制型の表現型を得る手法である。CRES-T法を用いて、TCP転写因子ファミリーの機能解析を行なったところ、TCP3-SRDXを発現する植物が異所的なシュート形成や葉や花などの形態異常を示すことを明らかにした。さらに、TCP3の下流で機能する遺伝子の発現を解析したところ、TCP3-SRDX植物では、境界部形成や茎頂分裂組織形成に必要なCUP-SHAPED COTYLEDON (CUC)遺伝子の異所発現が認められ、その異所発現がCUCの転写レベルとmiR164を介した転写後レベルの異常であることを明らかにした。一方、TCP3の機能を強めるmiR-JAW非感受性のmTCP3を発現した植物ではCUC遺伝子の発現が抑制されることを明らかにした。さらに、マイクロアレイ解析により、TCP3-SRDXならびにmTCP3の発現により顕著に抑制される、あるいは誘導される遺伝子を同定した。トランジェントアッセイを用いて、同定されたTCP3下流遺伝子のプロモーター領域の活性がTCP3-SRDXにより減少することを明らかにし、TCP3がプロモーター活性を介して遺伝子発現を制御すると考えられた。本発表では、側生器官の分化におけるTCP3の下流転写ネットワークについても議論する。
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豊岡 公徳, 後藤 友美, 佐藤 繭子, 松岡 健
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0397
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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SCAMP2(
Secretory
Carrier
Membrane
Protein 2)は、4回膜貫通領域と細胞内輸送に関わる様々な配列を持つ膜タンパク質で、動物細胞において分泌に関与していると言われている。我々は、SCAMP2をマーカーとして植物細胞における分泌機構の解析を行った。タバコ培養細胞BY-2株において、蛍光イメージングおよび高圧凍結技法による電顕解析の結果、SCAMP2はトランスゴルジネットワーク(TGN)、細胞膜および小胞のクラスター構造体に局在することがわかった。そして、このクラスターは、ゴルジ体から離れて存在し、細胞膜および細胞分裂時の細胞板と融合することから、ゴルジ以降の分泌に関わるクラスターであることが示唆され、我々はSVC (
Secretory
vesicle
cluster)と命名した。さらに、SVCはタバコやシロイヌナズナの個体、イネ培養細胞内でも観られることから、高等植物で広く機能していることが示唆された。現在、植物個体におけるSVCを介した分泌機構を明らかにするために、植物個体の微細構造観察により、組織におけるSVCの分布を調べている。また、SCAMP2-YFPを発現させたシロイヌナズナ形質転換体を作製するとともに、蛍光免疫染色および免疫電顕等により、SCAMP2と小胞輸送制御分子との関係を調べており、それらの結果についても合わせて報告する予定である。
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岡谷 祐哉, 海老根 一生, 郷 達明, 植村 知博, 中野 明彦, 上田 貴志
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0398
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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我々は,小胞輸送,特にエンドサイトーシスが植物の高次現象に果たす役割を明らかにするべく,エンドソームに局在するR-SNAREであるVAMP727に注目し研究を行っている.VAMP727はシロイヌナズナで唯一エンドソームにほぼ特異的に局在することから (Ueda et al., 2004; Uemura et al., 2004),エンドサイトーシスおいて重要な機能を担うと考えられるが,
vamp727 変異体に目立った表現型は見られない.そこで,PVCと液胞に局在するQa-SNARE,VAM3との遺伝学的相互作用を調べたところ,
vamp727vam3 が胚致死となる一方,
VAMP727 の過剰発現が
vam3 の表現型を抑圧することが明らかとなった.さらに,細胞内局在解析の結果,これら2つのSNAREが液胞とPVCが接する場所で共局在することも見いだした.VAM3はVTI11,SYP51 (いずれもQ-SNARE) と複合体を作ることが報告されているが (Sanderfoot et al., 2001; Yano et al., 2003),VAMP727はこれら全てと共免疫沈降する.これらの結果から,VAMP727がVAM3,VTI11,SYP51と複合体を形成して機能するとともに,この複合体が液胞とPVCの融合を制御することにより,胚発生に不可欠な役割を果たしていることが明らかになった.
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海老根 一生, 岡谷 祐哉, 植村 知博, 中野 明彦, 上田 貴志
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0399
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
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細胞内では小胞を介してさまざまな物質の輸送が行われており,SNAREとRabはこの小胞と標的膜の融合を制御する分子である。特にRab5は,動物細胞において,エンドソーム同士の融合に加え,エンドソームの運動やクロマチンリモデリングなど様々な現象にも関与することが知られていることから,植物においても多様な機能を担っていると予測される。近年のゲノム解析から,植物には動物のRab5オルソログとは別に脂質修飾部位やエフェクタードメインの配列の異なるARA6グループが存在し,これが陸上植物に広く保存されていることが明らかになった.我々は,このARA6グループが植物の形態形成に果たす役割を明らかにすることを目的とし研究を行っている.
シロイヌナズナを用いた解析では,
ARA6のT-DNA挿入変異体では顕著な表現型が見られなかった.一方で,液胞に局在するSNAREである
AtVAM3/SYP22のT-DNA挿入変異体では,植物の矮化,花成遅延,ミロシン細胞分化昂進などの多面的な表現型が見られることが報告されている.われわれは,
ara6がこれら
vam3の表現型をほぼ完全に抑圧することを見いだした.そこで現在,ARA6と協調して機能する因子の単離とその下流現象の分子機構を明らかにすることを目的とし.
vam3抑圧変異体の選抜と解析を行なっている.今大会ではこれら抑圧変異体の解析結果について報告する.
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郷 達明, 砂田 麻里子, 上田 貴志, 中野 明彦
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0400
発行日: 2008年
公開日: 2008/12/18
会議録・要旨集
フリー
Rab5は,エンドソームに局在し,GDP型とGTP型をサイクルして分子スイッチとして機能することにより,エンドソームでの膜融合を制御している.このRab5のGDP型からGTP型への活性化は,Vps9ドメインを持つグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)によって厳密に調節されている.シロイヌナズナのゲノム中には,Vps9ドメインを持つタンパク質をコードする遺伝子が2つ存在する(
VPS9a, VPS9b).VPS9aは調べたすべての器官で発現しており,シロイヌナズナのすべてのRab5メンバー(ARA7, RHA1, ARA6)を活性化した (1).一方,VPS9bはアミノ酸レベルでVPS9aと類似性が高いが,花粉と胚嚢に特異的に発現した.
VPS9bを欠損した
vps9b-1変異体は,顕著な表現型を示さなかった.しかし,
VPS9aを欠損した
vps9a-1変異体では魚雷型胚で胚発生が停止するのに対し,
vps9a-1vps9b-1二重変異体では配偶体致死となる確率が高まった.このことから,VPS9aとVPS9bの機能は重複しているが,配偶体世代において,VPS9bによるRab5メンバーの活性化が重要であることが明らかになった.さらに,Rab5メンバーとの相互作用,GEF活性について,VPS9aと比較して議論したい.(1) Goh
et al., Plant Cell,
in press
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