カヤタックMCは25%のクロルピリホスを含有し,マイクロカプセル化して水中に懸濁させた製剤で,日本化薬株式会社により開発されたものである。カヤタックMCの急性毒性とコリンエステラーゼ阻害作用をラット及びマウスを用いて検討し,また乳剤と比較した。経口及び経皮投与の急性毒性試験の結果からカヤタックMCは著しく毒性が軽減されていることが示された。雄ラットにおける乳剤の経口急性毒性LD
50値は133mg(a.i.)/kgであるが,カヤタックMCでは最大投与可能薬量(経口:5,000mg(a.i.)/kg,経皮:500mg(ai)/kg)を投与した場合でもラットもしくはマウスで動物の死亡及び中毒症状は観察されなかった。カヤタックMCはコリンエステラーゼ活性を阻害する作用も乳剤と比べて弱い。ラットを用いて1回経口投与後に血中コリンエステラーゼ活性を測定した結果からカヤタックMCの毒性は乳剤の1/100程度であることが示唆された。カヤタックMCを14日間連続してラットに経口投与して血中コリンエステラーゼ活性を測定した。血中コリンエステラーゼ活性は投与開始後数日間に徐々に低下するが,その後は一定の活性を維持した。連続投与におけるカヤタックMCの最大安全薬量は62.5(a.i.)mg/kg/dayと推定された。またこの薬量は活性が阻害されたコリンエステラーゼの回復に対しても悪影響を及ぼさないことが明らかになった。
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