CCA処理木材を加温することによるCCAの定着促進を検討し,蒸気による具体的な定着条件を明らかにした。
CCA注入スギ試験片(2cm×2cm×1cm)をさまざまな条件で養生した後,水浸漬による溶脱操作を行い,Cr溶脱量を測定した。使用したのはCCA1号(酸化物型)である。CCA1号の場合,Crが最後まで溶脱する傾向があるので,これをCCA定着の指標とした。
被覆して処理材の含水率を高く保持して加温したものと,被覆せず加温したものの定着速度を比較すると,明らかに前者の方が早かった。この両者の違いは,CCAの定着が完了する以前に水分が失なわれると,CCAと木材成分の反応が不均一,不完全になるため生じるものと判断される。故にCCAの定着促進には蒸気を用いた加温が適当である。
次に,40℃-100℃での被覆状態におけるCCA(Cr)の養生時間と溶脱率の関係を測定した。温度-時間-溶脱率の関係は次の通りであった。
i)一定温度における溶脱率は養生時間の対数に逆比例した。
ii)養生温度を10℃上昇させると,任意の溶脱率となる養生時間は約1/2となった。
iii)定着が完了する養生温度と時間の関係は次式により表された。
Y=100-32 logX
Y:養生温度(40℃≦Y≦100℃)
X:養生時間(h)
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