キトサン金属塩の防蟻効力は,(社)日本木材保存協会規格(JWPAS)に準拠して,室内試験と野外試験により評価した。室内試験ではキトサン銅塩(CCS)は,銅金属としての平均薬剤吸収量が1.18kg/m
3において,平均質量減少率1.18%を示し,JWPASの適合基準である平均質量減少率3%以下となった。また,キトサン亜鉛塩(CZS)では亜鉛金属としての平均薬剤吸収量が2.15kg/m
3において,平均質量減少率1.16%となり,同様に適合基準に適合した。一方比較のために用いたCuSO
4・5H
2OおよびZnCl
2は本試験に供した平均薬剤吸収量の範囲内ではいずれも適合基準に適合できなかった。野外試験では,CCSは平均薬剤吸収量0.47kg/m
3においても,2年間全くイエシロアリおよび腐朽による被害を受けなかった。CZSでは平均薬剤吸収量1.66kg/m
3において2年目にわずかのイエシロアリによる食害を受けたものの,適合範囲内であった。腐朽による被害は全くなかった。一方,CuSO
4・5H
2Oでは平均薬剤吸収量1.18kg/m
3において,またZnCl
2では同様に1.77kg/m
3および1.99kg/m
3において,それぞれ部分的に大きな食害が認められた。
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