燻煙乾燥されたスギ材の防腐・防カビ・防蟻性能を調べた。燻煙乾燥は,温度80-90℃の主処理時間の6日間を含めて15日間行った。オオウズラタケを用いた腐朽試験では,燻煙乾燥処理を行ったままの試験体,燻煙処理後に木材表面を3mm切削した試験体および無処理の試験体(20×20×10mm)の質量減少率は,それぞれ16%,21%,53%であった。10日間の溶脱操作を行った試験体では,それぞれ38%,51%,46%となった。燻煙乾燥木材は,オオウズラタケに対しある程度の防腐効力を有するが,それは溶脱操作によって完全に失われた。イエシロアリによる防蟻試験では,燻煙乾燥処理を行ったままの試験体と無処理試験体(10×10×20mm)の3週間後の質量減少率は,それぞれ5%と24%,死虫率は53%と6%であった。カビに対しては,無処理試験体と燻煙乾燥処理試験体(20×50×3mm)の間で明確な違いは無かった。燻煙乾燥処理木材の表面は無処理木材に比べ撥水性が高かった。
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