防蟻薬剤(ホウ素化合物,有機リン系化合物の混合)により減圧加圧注入処理を行った針葉樹製品の実用性について検討を行った。試験材は分析定量し,各薬剤の吸収量を求めた。防蟻効力性能は,(社)日本木材保存協会規格(JWPAS)に準拠して室内試験と野外試験を実施し求めた。得られた結果をまとめると以下の通りであった。
1.ホウ酸及びホキシム薬剤吸収量は,JAS製品に準ずる保存処理製品を認証する(財)日本住宅・木材技術センターのAQ(優良木質建材認証制度)基準を満足する値であった。
2.室内試験では,対照材であるアカマツ辺材が24.5%,無処理針葉樹合板が16.6%の平均質量減少率を示したのに対して,薬剤処運合板は,ホウ酸の定着性が不十分であったSP-1を除き,基準値である3%以下で十分な防蟻性能が認められた。
針葉樹LVLでは,無処理が33.3%の質量減少率を示したのに対して,薬剤処理LVLでは処理針葉樹合板と同様に低い質量減少率を示し,薬剤処理の効果が認められた。
青森ヒバ材を用いた無処理合板とLVLは,薬品処理針葉樹製品と同様にシロアリによる食害が少なく,低い質量減少率であり,ヒバ自身が持つ耐蟻性が高いことが認められた。
3.イエシロアリの生息密度の高い小笠原村父島で実施した野外試験において,13カ月目の結果は,対照
材であるアカマツ辺材が89.8%もの質量減少率を示し,各針葉樹無処理製品では,約50%以上の質量減
少を示したが.各薬剤処理針葉樹製品においては,多少よごれがあったが,シロアリに食害された形跡
はなく,ほぼ試験前の状態のままで十分な耐蟻性が認められた。
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