木材は軽くて強く,断熱性に優れ,調湿性があり,工作しやすい特徴を有している。これらの特徴を活かして木材は古来より建材,家具,道具などに広く用いられてきた。しかし,木材は水が浸透しやすいという性質を有する。
そこで本研究では吸水性ポリマーを含むゾル・ゲル反応液を用いて木材の表面処理を行って木材への水の浸透を防止する検討を行った。
吸水性ポリマーを含むゾル・ゲル反応液で表面処理した木材は未表面処理木材と比較して水の浸透性が小さく,水を滴下した際の接触角が大きいことが認められた。また,吸水性ポリマーと酸化チタン微粒子とを含むゾル・ゲル反応液で表面処理した木材は湿度上昇に伴う重量増加率が未処理木材とほぼ同等であることが明らかとなった。
SEM-EDX分析の結果から,表面処理木材には少なくとも表面から深さ0.5mmまでゾル・ゲル反応液が浸入してシロキサン重合体が形成されているものと推測した。形成されたシロキサン重合体には疎水性の部分が存在し,それが表面処理木材の水浸透防止性などの特性発現に結びついているものと推測した。
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