海の研究
Online ISSN : 2186-3105
Print ISSN : 0916-8362
ISSN-L : 0916-8362
14 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 中島 宏幸, 小林 大洋, 四竃 信行, 竹内 謙介
    2005 年 14 巻 6 号 p. 631-643
    発行日: 2005/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    プロファイリングフロートで得られる観測データの鉛直分解能は, Argos通信の処理能力に制約される。欠損のない観測プロファイルを得るためには, 多数に分割されたデータの全てを受信する必要がある。そのためにはフロートの通信時間(海面漂流時間)を長くしなければならないが, これは同時にフロート観測にとって深刻な問題を引き起こしうる。本稿では, 観測プロファイルに欠損が出現する割合(プロファイル欠損率)を統計的に求め, 調節すべき海面漂流時間とデータ量の基準を示した。プロファイル欠損率の理論値を正確に推定するためには, フロート展開域におけるデータ受信確率の正確な値を用いることが肝要である。データ受信確率は高緯度ほど高く, 同緯度では大陸から離れるほど高くなる傾向がある。データ量を固定して海面漂流時間だけを短くすると, データ受信確率の値によらずプロファイル欠損率は約3~5%を境として急速に増大した。欠損プロファイルの予期せぬ頻発を避けるために, プロファイル欠損率が3%以下になるようにフロートの海面漂流時間を設定すべきである。具体的には, 2005年4月現在と同様に5機のArgos衛星が稼働している場合, メッセージブロック数が24の場合は9時間以上, 同16の場合は6時間以上の海面漂流時間が必要である。
  • 三宅 裕志, 山本 啓之, 北田 貢, 植田 育男, 大越 健嗣, 喜多村 稔, 松山 和世, 土田 真二
    2005 年 14 巻 6 号 p. 645-651
    発行日: 2005/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    シロウリガイ類は深海から採集すると通常2, 3日しか生存せず, 飼育を試みた報告は皆無であった。本研究では, シロウリガイ類の飼育の試みとして, 良好な健康状態で採集し, かつシロウリガイ類の共生細菌のエネルギー源(泥中の硫化水素)を確保するために, 圧力以外の現場環境をできる限り維持した状態で採集する装置のMTコアを開発した。また, シロウリガイ類は高酸素濃度に弱いため, 溶存酸素濃度制御装置により低酸素濃度環境を維持する飼育システムを製作した。シロウリガイとエンセイシロウリガイをそれぞれ相模湾初島沖水深1,150m~1,160mの地点, 石垣島沖の黒島海丘の643mの地点で採集した。採集したシロウリガイは約1週間で死亡したが, 黒島海丘のエンセイシロウリガイは17日間生存した。また, エンセイシロウリガイでは2回放卵が確認された。以上のことから, エンセイシロウリガイは飼育が容易な種と考えられた。
  • 熊木 豊, 上野 陽一郎, 傍島 直樹, 松山 優治
    2005 年 14 巻 6 号 p. 653-664
    発行日: 2005/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    台風通過に伴い日本海の京都府沿岸域で発生する急潮の実態を把握するため, 2004年の春季から秋季にかけて若狭湾西部の同府沿岸10か所の定置網漁場において, 流速(水深15m)及び水温(水深15mと30m)の係留観測を実施した。その結果, 台風0406号通過後に京都府丹後半島の北岸から東岸へと進行する水温上昇を伴った強い流れ(急潮)を観測した。この急潮の発生には, 台風通過に伴う南西~西南西風によって引き起こされたエクマン輸送による丹後半島北岸への暖水の堆積とそれに伴って引き起こされた沿岸流が関与していたものと判断された。今回の急潮は, 丹後半島の周辺の比較的狭い範囲で発生していたことから傾圧構造を持った現象であり, おそらく内部ケルビン波的な性質の強い沿岸捕捉波が生成され, その伝播過程で急激に減衰したものと推論された。また, 日本海の本州沿岸の潮位を解析した結果, 急潮に対応する変動は広範囲でみられたが各観測点間のタイムラグは小さく, 沿岸捕捉波が伝播したとは考えられない。風による強制的な潮位上昇は局地的に起っていたと想定された。
  • 角皆 静男
    2005 年 14 巻 6 号 p. 665-666
    発行日: 2005/11/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top