本研究は, 炭酸マンガンの加熱変化を, 沈殿法により調製したもの(試料A), 保証付試薬(試料B)および天然の菱マンガン鉱2種(試料C,D)合計4 種の試料を用い, 示差熱分析, 熱天秤, 電子顕微鏡, X線回折により観察したものである。
示差熱分析では, A, B両試料は, 400~500℃間で吸熱および発熱のピークを示したが, 試料C, Dは600~800℃間で吸熱および発熱のピークを示した。熱天秤による重量変化においてもこれと平行した結果がえられた。また各試料を200,450,600,700,800および1000℃の各温度にそれぞれ2時間加熱し,そのX線回折および電子顕微鏡写真をとり,常温のものと比較検討した。次にアルカリ土類酸化物BaO, SrO,CaOと各試料との酸素酸基交換反応を観察した。示差熱分析とX線回折の結果, BaOとでは大体360℃, SrOとでは大体420℃で反応が始まることが確認され, Hedvallの他の例の場合と同じ結果であった。CaOとの場合は, 明確には示されなかった。
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