工業化学雑誌
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68 巻, 9 号
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  • 久保 輝一郎, 真鍋 和夫
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1629-1634
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酢酸コバルト4水和物(Co(CH3COO)2・4H2O)の示差熱分析図形は,試料充填層の厚さと共に著しい変動を示し,試料充墳層の厚さ1mmの場合には,吸熱ピークおよび発熱ピークおのおの1本であるが,試料充墳層の厚さ20mmの場合には吸熱ピーク5本および発熱ピーク1本の計6本のピークに明瞭に分離する。この示差熱分析図形を中心として,熱天秤およびX線回折の方法で熱分解の過程を追跡した。結果は次の通りである。
    (1)4分子の結晶水の離脱は約50℃ から始まるが,脱水の過程には二つの未知水和物が生成する。
    (2)酢酸コバルト無水物は,90℃ 以上の温度では熱的に不安定で,脱水の終了と共に,連続的に分解を開始するが,他のコバルト塩類および金属酢酸塩類の場合と著しく分解の様相を異にし,分解過程に二つの中間化合物を生成する。しかもこの二つの中間化合物は,既知のコバルト化合物中に該当するものが見当らない。
    (3)第2中間化合物が分解してできるのは,酸化コバルト(II)(CoO)であり,ついで空気中で酸化コバルト(II,III)(Co3O4)に酸化される。
  • 大谷 杉郎, 小島 昭, 中井戸 靖明
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1634-1636
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    Si-O-Fe結合を有する化合物を出発物質としたSiO2-Fe2O3系ゲルの熱的相変化を検討した。Si-O-Fe結合を有する化合物を合成するために,4種の反応を試みた結果,FeCl3とφ2Si(OH)2とNH3との反応によって, 比較的安定なトリス( ヒドロキシジフェニルシロキシ) 鉄Fe(OSiφ2OH)3,mp65~66℃[I]と, 構造は明らかでないが,鉄含有率が大きく赤外吸収スペクトルでSi-O-Fe結合と認められる吸収をもつ物質[II]が得られた。有機成分を除くための, 予備焼成を行なった後の両試料の化学組成は, [I]SiO2 67.5wt%, Fe2O332.5wt%,[II]SiO230.6wt%,Fe2O369.4wt%であった。これらを共沈ゲル法にh よるほぼ同一の化学組成をもつ比較試料とともに,1500℃ まで空気中で加熱し,その熱的相変化を検討した。
    [II]は700℃ 以上で共沈ゲル試料と同一の挙動を示したが,[I]は特異な挙動を示した。すなわち1000℃ までは無定形で, 1100℃ から1250℃(1時間保持) までの温度範囲で, これまでの報告にみられない新しい結晶相を示し,1250 ℃ ( 5 時間保持) 以上の温度でヘマタイトとクリストバライトに転移した。このN-フェロシリケート相と名付けた新しい結晶相の結晶系は明らかでないが,その面間隔はつぎの通りである。
    3.22(W)2.97(M)2.72(S)2.55(W)2.46(M)
    2.24(W)1.73(W)1.52(W)1.47(W)(Å)
  • 加藤 正義
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1636-1642
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩酸および水酸化ナトリウムの各1N水溶液中におけるアルミニウムの腐食に及ぼす前処理条件と酸素の影響とについて研究した。
    腐食速度は発生する水素ガス量より測定し,溶存酸素はポーラログラムの第1波の波高より求め,また試料を定電流でアノード分極した時の電位の経時変化はシンクロスコープによって測定した。
    その結果,これらの媒質中でのアルミニウムの初期腐食速度は試片に与えた前処理条件によって大きな影響を受け,浸漬前に試料表面に酸化皮膜が存在すると,アルカリ中では初期腐食速度は大きく,塩酸中では小さくなり,これらは時間と共に,前者は小さく,後者は大きくなって定常値に達する。このことから,アルカリ中ではアルミニウムの表面はかなり活性な面が露出しており,そのため局部カソード反応も腐食の律速過程に関与すること,また塩酸中では酸化皮膜の生長と,その溶解または破壊の速度とがある平衡状態を維持しており,このバランスのくずれが腐食速度の増減に影響することを知った。
    また溶存酸素は, 塩酸中では浸漬初期の短時間は腐食促進作用を示すが, その影響は時間と共に減少する。これに対してアルカリ中では全然影響のないことを知った。
  • 有森 毅, 吉田 直次郎, 片岡 三郎
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1642-1645
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブラジル産リン酸アルミニウム鉱の鉱物組成を明らかにするため,,試試料料のの顕顕微微鏡鏡観観察察おおよよびびXX線線分分析析をを行行ななっったた。。そそのの結果Trauira島の下部, 中部はWardite,Crandalliteを主成分とし, その上部ではVariscite,goethite, hematiteを主成分とすることが明らかとなった。またPirocaua丘の試料の主成分は, augelite,hematite,goethiteで, 少量のdufrenite,crandallite , warditeを含むことがわかった。
    次に上記の結果ならびに次報の試料の化学分析結果より,経済的に有望と考えられるTrauira島の下部,中部の試料について, 示差熱分析および焙焼物のX 線分析を行なった。その結果, 130℃ , 400℃ 付近の弱い吸熱反応は結晶水の放出によるものであり, 55 ℃ 付近の強い吸熱反応は, wadite, crandallite の結晶崩解による脱水反応であって, この温度で試料は非晶質となることを知った。更に750 ℃ 付近の強い発熱反応は, α-cristobalite型AlPO4と3CaO・5Al2O3 の結晶生成によるものであることを明らかにした。
  • 田坂 雅保, 香川 毓美
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1646-1651
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ビニルを結合剤とする不均質膜を調製して,7室からなる電解透析装置を用い,塩化ナトリウムの濃縮実験を試みた。濃縮室には外液を注入しないで増加分だけを流出させ,定常状態に到達後の流出量と濃度とを種々の原液濃度および電流密度について測定した。実験結果を解析するために,イオンの移動は電気的移動と自由拡散に,水の移動は電気浸透と自由浸透とに分けられるものと仮定して関係式を導いた。その関係式の適合性は原液濃度がいちじるしく低い極端な条件を除けば,一般にきわめて良好で,濃縮実験の解析にはなはだ有効なことを認め,また電解質の自由拡散は実際上無視できるが,水の自由浸透は一般にかなり重要な役割をもつことを明らかにすることができた。
  • 田坂 雅保, 香川 毓美
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1651-1654
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜を用いて塩類を電解濃縮するとき,電力消費量と膜抵抗,溶液抵抗,輸率や電流密度等の諸要因とがいかなる関係にあるか実験的に検討した。脱塩室には濃度を一定に保つために所定の溶液を流し,濃縮室には最初に希薄溶液を入れ,電解濃縮を開始したのちは外部より液の注入は行なわなかった。そして濃縮室の濃縮されていく過程を小区分に分けて,その各区分について分析を行ない,同時に単位セルにかかる電圧を測定して直接濃縮室の濃度変化にたいする電力消費量を求めた。また静的実験結果から電力消費量を計算し実測値と比較すると,計算値は全体に実測値によく近似しており,その傾向をよく示している。
    また前報の結果を使用して電力消費量にたいする脱塩室濃度および電流密度の影響も合わせて検討した。
  • 田坂 雅保, 平井 晴弘, 香用 毓美
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1655-1661
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜による従来の電解濃縮装置では,カチオン交換膜とアニオン交換膜が交互に配置され,濃縮室と脱塩室とが1つおきに存在している。その結果濃縮室濃度が高くなるにつれて,イオン交換膜をはさんで濃縮室と脱塩室の間の浸透圧差が増大し,自由浸透に基づく水の移動量が増加するので,濃縮室濃度に限界を生ずる。そこで濃縮室濃度が高くなっても,浸透圧差が増大しないようにするために,濃縮室を適当な輸率を有する膜2枚を使用して3室とし,脱塩室に近い両側の濃縮室濃度を低く,中央の濃度を高くするようにした。このように2段階で濃縮することにより,自由浸透による移動水量は減少され,濃縮室3室の平均濃度を従来の濃縮室1室の場合より高くすることができた。とくに中央の濃縮室では高濃度に濃縮され,あるときには塩の結晶の析出をみた。
  • 柘植 新, 武内 次夫
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1661-1664
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    放射線イオン化検出器の分野では,イオン化ポテンシャル(以下1.P・と略す)が,アルゴンの励起状態の原子の11.6eVよりも低い一般の有機ガスの場合を除いて,イオン化機構に関する研究がほとんどされていない。
    著者らは先の報文で,RaD100μcのα線源を内蔵する放射線イオン化検出器を用いた無機ガスの分析に関する報告を行なった。この研究の一環として,この報文ではI.P.が11.6eV以上のサソプルガスとして,モレキュラーシーブ5Aカラムのガスクロマトグラフィーで,空気から分離した酸素と窒素を用い,キャリヤーガスに,アルゴン,有機蒸気を含れアルゴン,ヘリウムおよび水素を用いた場合の実験結果を考察して,“Penning効果”,加速電子およびα 線による直接のイオン化,無機ガスの非イオン化衝突によるアルゴン励起状態原子の生成妨害作用,および分子イオンの形成などの諸現象を組み合わせて,イオン化機構を説明することを試みた。
  • 橋本 静信, 山下 隆之
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1665-1669
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    市販ベンゼン中には種々の不純物が含まれており,メルカプタン,チオフェンはその最も害となるものである。市販ベンゼン中に含まれるチオフェン(0.0037wt%)は硫酸を添加したシリカゲルを充填した分離塔(長さ450mm,内径10mm)を50℃ において通すことにより完全にのぞかれ,約400mlの純ベンゼンを得ることができた。チオフェンは分離塔中にてスルホン化を受け,ベンゼンとシリカゲル表面の硫酸層の間のチオフェンの吸収速度,および分配係数を求めることができた。
  • 元田 常雄, 吉江 洋一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1669-1674
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーから,工業用アセト酢酸メチル中に数種の高沸点不純物が含まれていることが認められた。それら不純物のガスクロマトグラフによる分取, 化学分析, 元素分析, 合成, 赤外吸収スペクトル測定等を行なって, 3-アセトキシ-3-ブテン酸メチル,ジアセト酢酸メチル,3-アセトキシ-2-ブテン酸メチルの2種のジアステレオ異性体,およびアセト酢酸メチルのトランスエノールメチルエーテルの存在を確認することができた。アセト酢酸メチルの無水酢酸-ピリジンによるアセチル化反応を行ない,トランスエノールアセテートおよびシスエノールアセテートが生成すること,両者はガスクロマトグラフィーによって分離定量し得ることを明らかにした。
  • 吉沢 正夫, 田口 祥子
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1675-1680
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリルアミドとグリオキザールとの反応により, 1,2-ジアクリルアミドエチレングリコールが合成され, 2 種の異性体が分離された。この化合物を第一級アルコールと反応させると,ジアルキルエーテルが得られ,α-グリコールと反応させると,環状エーテルが得られた。このとき,2種の異性体から全く等しい化合物が得られ,また,低融点の異性体(IV)を酸またはアルカリで処理すると,比較的容易に高融点の異性体(IIB)に変化することから,IIBはラセミ化合物,IVはメソ化合物であると推定された。メタクリルアミドとグリオキザールからも, 同様に,1,2-ジメタクリルアミドエチレングリコールが得られたが,異性体は分離されなかった。
  • 武上 善信, 藤村 義和, 石井 啓道
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1680-1685
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    コバルレ塩触媒存在下での各種有機溶媒中におけるベンジルヒドロペルオキシドの分解反感について研究し, 各溶媒中でのヒドロペルオキシド分解の際の触媒の有効な形態, および分解生成物分布について比較検討した。使用した触媒のうち, ステアリン酸コバルト(II)から合成した緑色物質および同触媒によるp-キシレンの酸素酸化系内からとり出した緑色物質は, ともにヒドロペルオキシドの分解活性がよく, かつその活性の程度が同一であることから, 両者は構造上も類似していることがわかった。またCo(II)-AA3触媒では一般に誘導期が存在し, 触媒活性も低いが, Co(II)-AA2触媒は活性の程度が上記の緑色物質に等しいことからヒドロペルオキシド(HPO)共存下ではCo(II)AA2は緑色物質にきわめて類似したものであることを明らかにした。
    ラジカル的に引き抜かれ易い水素をもつ溶媒中での分解速度は, 他の溶媒に比して大きく, 主分解生成物の一つであるベンジルアルコールの生成量は, 上記のような溶媒では大きいことから溶媒からの水素の引き抜きが反応に関与していることをも明らかにした。
  • 大串 恒夫, 真鍋 修, 檜山 八郎, 吉田 善一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1685-1688
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリシクロヘキシルホウ素と塩化ニトロシルを硫酸中で反応させた結果,80℃ ではe-カプロラクタムの生成が認められ,30℃ ではN-ニトロソジシクロヘキシルアミンがえられた。アミンの生成は中間に生じるニトロソシクロヘキサンが未反応のトリシクロヘキシルホウ素と反応した結果,生成したものであることがわかった。
  • 吉野 道夫, 門田 文宏, 池田 哲夫, 向井 繁夫
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1689-1692
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エピクロルヒドリンから誘導される各種リン酸エステルを合成した。エピクロルヒドリンとオキシ塩化リンとの反応によって,リン酸エステルを合成する場合の触媒効果を比較し,TiCl4~AlCl3>SnCl4>BaCl2>SiCl4の順に効果が低下することを認めた。その他の反応条件についても検討し,tris(2,3-dichloropropyl)phosphateの合成法を確立した。エチレンナキシドおよびプロピレンオキシドからも同様な条件で対応するリン酸エステルを合成し, さらにエピクロルヒドリンとエチレンオキシドまたはプロピレンナキシドとを原料として,混合リン酸エステルを合成した。全く同様にして,亜リン酸エステルも合成し得たが,亜リン酸エステルは熱安定性が悪く,対応するリン酸エステルに比較して加水分解を受けやすいことを認めた。
  • 須本 操, 長谷川 幸教
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1693-1697
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テレフタル酸とエチレングリコールとから,直接ポリエチレンテレフタレートを合成する場合の,反応初期におけるエステル化の平衡関係についての知見を得ることを目的として研究した。
    反応はすべて密閉系で行ない,カルボキシル基に対する水酸基のモル比(G)を1~10とし,220~250℃ の範囲で実験した。反応の経過は未反応カルボキシル基を定量することによって求めた。
    その結果,見掛けの平衡定数(Kc)として1前後の値が得られるが,Gが増すにつれてKcは減少した。系内の分子種分布を求め,カルボキシル基と水の和が大きくなるとKcも大きくなることを推論した。従って,水の添加はKcを大きくする。比較のため,他のカルボン酸およびアルコール類を用いて研究した結果,Kcはアルコールの種類によって著しく影響されることを知った。一般にエステル化の反応熱は小さく,約±1kcal/molが与えられた。
  • 三木 彦一, 斎藤 真澄, 村田 義光, 伏崎 弥三郎
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1698-1703
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルキリデンシクロヘキサンとして,メチレンシクロヘキサン,イソプロピリデンシクロヘキサンをえらび,種々の条件で自動酸化の反応速度を測定し,それより自動酸化の機構を動力学的に調べ,すでに行なった不飽和脂環炭化水素の自動酸化について得られた結果と比較し, 分子構造の反応性におよぼす影響を考察した。メチレンシクロヘキサン, イソプロピリデンシクロヘキサンはα-プロム酢酸エチルェステルおよびα-プロムイソ酪酸エチルエステルとシクロヘキサノンをそれぞれ縮合させ, 脱水, ケン化, 熱分解を経て合成したものを使用し, 装置ならびに反応条件はいままでに行なった場合に準じた。酸化は50~75℃ の範囲で, 酸素分圧は50~750mmHg,試料濃度を0.46~1.92mol/l,BPO濃度を試料1molあたり0~0.06mol,紫外線強度を32~100%の間で変化させて行なった。得られた反応生成物からこの自動酸化反応では,主として2の位置にヒドロペルオキシド(HPO)が生成されていることが明らかになった。そしてこの生成量は酸化の初期では酸素の吸収量に比例することが認められた。酸化の速度式は,Bolland,Batemanらの提出したオレフィンのそれと一致する。このものの反応中心における水素引抜きのエネルギーは, メチレンシクロヘギサンでは12kcal/mol,イソプロピリデンシクロヘキサンでは11kcal/molであり, 5員環よりも小さいが, 4員環よりも大きい,5員環よりも小さいが,4員環よりも大きいことがわかった。
  • 日比野 脩, 木下 圭三, 橋本 史朗, 岡田 桂一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1703-1705
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者らは,試料としてベンゼン,ピリジン,フェノール,ナフタリン,キノリン,イソキノリンを用い,ラネーニッケル触媒によるこれら試料の溶液状態における加圧水素添加を,それぞれ,水素添加の開始する温度に近い温度を用いて行ない,その水素添加開始温度の相違から,これら試料の水素添加の難易順を次のように決定した。ナフタリン>キノリン>べンゼン≒ フェノール>イソキノリン>ピリジン。さらに,これら試料相互のそれぞれ2成分混合系における水素添加からも,水素添加難易順を次のごとく決定した。キノリン≒ イソキノリン>ピリジン≒ ナフタリン>フェノール>ベンゼン。
  • 日比野 脩, 木下 圭三, 橋本 史朗
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1705-1707
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    著者らは,ナフタリンおよびナフタリン誘導体(α-,β-メチルナフタリン,α-,β-メトキシナフタリン,β-アセトキシナフタリン,β-アセトアミノナフタリン)および,これらの2成分混合系の溶液状態における加圧水素添加を,ラネーニッケル触媒を用いて,室温付近の温度で行ない,その水素添加生成油の組成から,これらの化合物の水素添加の難易の順位を次のように決定した。
    β-アセトアミノナフタリン>ナフタリン>β-アセトキシナフタリン>β-メチルナフタリン≒ α-メチルナフタリン>β-メトキシナフタリン≒α-メトキシナフタリン。
  • 丸山 雄士, 小林 大三, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1707-1712
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩基性基を有するナフタル酸イミド型ケイ光増白染料として,4-位にジエチルアミノおよびN-ピペリジル-アセチルアミノ基を有する誘導体,および4-アセチルアミノナフタル酸イミドのイミド成分に塩基性置換基を有するアミノ化合物を用いた誘導体を合成した。これらの化合物は溶液中で可視部に吸収を示さず460mμ 付近にケイ光の極大を示す。これら誘導体はカシミロンFに対して主としてイオン交換的に染着する。また4-位のアセチルアミノ基をジェチルアミノアセチルアミノ基に代えることによって加水分解に対する安定性の増すことを確かめた。種々の合成繊維(ビェロンアセテート, アミランおよびカシミロンF)に対する増白効果および耐光堅ロウ性を試験した。4-ジエチルアミノアセチルアミノナフタル酸-n-ブチルイミドおよびシクロヘキシルイミドをジメチル硫酸によって四級化した誘導体はカシミロンFに対してすぐれた増白効果を示し,その耐光性は良好であった。
  • 山瀬 威郎, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1713-1716
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ω-ジメチルアミノプロピオフェノン基を有する各種染料を合成し,これらの,6-ナイロン(アミラン),絹,ピスコースレーヨンに対する反応性を検討した。さらにカシミロンFに対してカチオン染料としての適用性も調べた。
    本染料の合成は,アセトフェノン型アゾ染料,あるいは,アントラキノン染料(母体染料)をさきに合成し,これらをMannich反応によってジメチルアミン塩酸塩およびパラホルムアルデヒドと縮合させることによった。本染料を用いて6-ナイロン,絹を酸性染色,ビスコースレーヨン,絹を中性染色し,アルカリ処理によって固着させた。なお繊維と未結合の染料はソーピングおよびピリジン,アセトン抽出によって除去した。染料の固着はすべて良好であったが,6-ナィロンではとくにすぐれていた。スルホン酸基を有する染料の方が染着,固着がよかった。このほかカシミロンFに対するカチオン染料としての染色では,スルホン酸基を有する両性の染料での固着はおとっていた。
    これらの判定は肉眼によるもののほか,Kubelka-Munk式のK/S値より固着率を計算で求めた。色調は黄,だいだい,赤,紫,青色系統であり,堅ロウ度は日光,洗タク,摩擦ともすぐれていた。染料-繊維間の共有結合生成の証拠およびその反応形式は既報と同様の方法で確かめた。
  • 西 久夫, 永井 芳男, 長谷州 日吉
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1717-1721
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリリン酸中で2,5-ビス(2-カルボキシアニリノ)-1,4-ベンゾキノン(I)の脱水閉環反応を行ない,鮮明な黄色のキノ[2,3-b]-アクリジン-6,7,13,14-(5H,12H)-テトロン(以下キナクリドン・キノン)(II)をIに対し74~76%の収率で得た。つぎに,5,12-ジヒドロ-キノ-(2,3-b)-アクリジン-7,14-ジオン(以下キナクリドン)(III)の合成を目的として,ポリリン酸とスズをもちいてIIを還元したが,この還元は5,6,12,13-テトラヒドロ-キノ-[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン(以下6,13-ジヒドロ・キナクリドン)(IV)を生成しやすく,還元生成物には多量に混在するので,これをアルカリ性アルコール中ニトロベンゼン-m-スルホン酸ナトリウムと処理して酸化し, IIに対し, 最高収率85%でIIIを得た。また,Iをポリリン酸中で閉環後,IIを単離せずにただちにスズを加えて還元し,ついで上と同様な酸化処理をほどこし,Iに対し82%の収率でIIIを得た。
  • 竹下 寿雄, 宮内 徳之
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1721-1725
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テトラブチルチタネート(TBT)をはじめ, 多価アルコールと反応させて多価アルコールチタネートにし, のちアマニ油脂肪酸で残存水酸基をエステル化する形,はじめペンタエリトリットをアマニ油脂肪酸で部分的にエステル化しておき,のちTBTと反応させてチタネート樹脂化する形,同じくペンタエリトリットのアマニ油脂肪酸セミエステルをTBTの部分的なキレートと反応させて, チタネートキレート樹脂化する形, 以上3 種のチタネート樹脂を合成し, とれらの溶液を常温乾燥性ワニスとして用いた時の塗膜の乾燥速度・硬度・耐屈曲性・耐水性・耐沸騰水性・耐アルガリ性を測定した。その結果,第3番目の種類のうちには,非常にすぐれた塗膜を与える樹脂があることがわかった。たとえばぺンタエリトリットアマニ油脂肪酸ジエステルをTBTジアセト酢酸エチルキレートに対して, 水酸基がキレートのアルコキシル基と当量になるように反応させてつくったチタネートキレートワニスの塗膜はmm合格,耐水性3日間,耐熱湯性15min間異常なしであった。
  • 中島 親彦, 谷本 重夫, 小田 良平
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1726-1728
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-ビニルアセトフェノンにS-イリドを作用させて,55%の収率で2-(p-ビニルフェニル)プロピレンオキシドをえた。このものは,p-クロルスチレンのグリニャール化合物に,クロルアセトンを作用させることによってもえられた。このさいの収率は11%であった。えられたものをラジカル重合させて,側鎖に多数のエポキシ基を有するポリマーをえた。このポリマーの硬化および接着性については,満足な結果はえられなかった。むしろ,モノマーである2-(p-ビニルフェニル) プロピレンオキシドを用いての結果が満足できるものであった。このさい, 硬化剤としてエチレンジアミンやアジビン酸を用いたが,かかる硬化剤を何も用いなくても,何ら劣らない性質を示すことがわかった。このことは極めて興味あることと考えられる。
  • 服部 健一, 米田 義章
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1729-1732
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶液中において合成された酢酸ビニル-マレイン酸共重合物が,親水性粉体のすぐれた分散剤であることはすでに報告した。今回はその共重合速度について検討した。
    初期共重合速度および最終共重合率は共重合系のpHによって大きく影響された。初期共重合速度は共重合系のpHが高くなるにしたがって減少した。これは,触媒の分解速度がpHの高くなるにつれおくれるためと考えられる。また最終共重合率はpH4の共重合系で最高になった。このpHでマレイン酸は,一塩基酸となり,分子内水素結合を形成し平面構造をとり,ラジカルの共鳴安定性が増大するためと考えられる。共重合体組成はpH2~6の系では,ほぼ交互共重合体組成を示したが,pH7~8の系では酢酸ビニル成分が多くなった。酢酸ビニル(M1)とマレイン酸の一段解離酸(M2)の反応性比は, γ1=0.045±0.015,γ2=0.00±0.015であった。
  • 土田 英俊, 篠原 功
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1732-1734
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    [CCl4]/[Styrene]=5,開始剤AIBN,80℃ の条件でラジカル低重合反応を実施し,重合分率と分子量分布の関係を測定した。重合率3~70%の範囲にある5点の試料を分別して,相互関係を検討した。分布型はいずれも比較的正規分布に近い型となり,Mw/Mnは共通して1.2程度となる。
  • 川端 成彬, 鶴田 禎二
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1735-1741
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    n-ブチルリチウムとアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルとの反応様式を,ヘキサン中およびテトラヒドロフラン中で,通常の重合反応の条件下に調べたところ,n-ブタン生成反応およびニトリル付加反応も起こっていることが明らかになった。n-ブチルリチウムに対するアクリロニトリルとメタクリロニトリルの反応性は,ヘキサン中ではほぼ等しいが,テトラヒドロフラン中ではアクリロニトリルの方がはるかに大きい反応性を示した。
  • 鍵谷 勤, 成沢 静夫, 真鍋 国吉, 福井 謙一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1741-1747
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エチレンイミンと環状エステルとの共重合を行ない, 生成共重合体の構造を赤外線スペクトルで検討した。エチレンイミンとβ - プロピオラクトンとの共重合体はカチナン型およびアニオン型触媒およびモノマーの添加順序によらず, 使用した溶媒の誘電率によって異なるつぎの構造単位が存在する。
    〓( I )〓(II)〓(III)〓CH2CH2NH〓〓(IV)N〓(V)〓
    低誘電率溶媒(トルエン,エチルエーテル)中ではβ-プロピオラクトンのアシル- 酸素開裂が起こり, 共重合体は(I),(II),ならびに(V)の構造物質より成る。高誘電率溶媒( アセトン, アセトニトリル, ジメチルホルムアミド) 中ではアルキル-酸素開裂が起こり,(III)および(IV)の構造物質が生成する。また中程度の誘電率を示す溶媒(酢酸エチル,二塩化エチレン) 中での生成物には(I)~(V)構造物質が含まれていることがわかった。エチレンイミンとγ -ブチロラクトンまたはε -カプロラクトンとの共重合における生成共重合体の赤外線スペクトルは, 使用した溶媒の誘電率とは無関係に, ラクトンのアシル- 酸素開裂のみが起こっていることを示した。
    β - ラクトンにおいて溶媒の誘電率の差によって開環様式が異なるのは, 分極性の溶媒がラクトンのカルボニル基に選択的に溶媒和する結果,電子密度分布が変化するためであると考えられる。
  • 箕浦 有二, 尾形 弥生
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1748-1752
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリn-ブチルボロン-空気系開始剤によって不均一重合を行なったポリアクリロニトリルおよびポリ塩化ビニル封じこめラジヵルを利用して,スチレン,メチルメタクリレートなどのモノマーを重合させ,ブロック共重合物を得た。その場合,溶媒を添加し,ポリマーを膨潤させることによって封じこめラジカルを活性化した。ブロック共重合物の生成の確認は,溶媒抽出,元素分析および濁度滴定によった。動力学的研究を行なった結果,ふつうのラジカル開始剤を用いた場合と変わらないやり方で,第2のモノマーの重合が進んでいることがわかった。ボリアクリロニトリルからは比較的簡単に高収率でブロック共重合物が得られるが,ポリ塩化ビニルからは低収率であった。
  • 礪波 宏明, 井口 正俊
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1752-1756
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジチオジ酢酸および3,3 ' -ジチオジプロピオン酸の酸クロリドと, 各種のジアミンとから, 界面重縮合法によって主鎖にジスルフィド結合を有する一群のポリアミドを合成し, 基本的な性質について検討した。合成のさい問題となるのは酸クロリドがアルカリに対して敏感であるために, ジアミンとの反応のさいに分解をともなうことであった。しかし, ジアミンとしてヘキサメチレンジアミンを用いた場合には, かなり高分子量で, 結晶性, 曳糸性とも良好なポリマーが得られた。ポリマーの繊維周期は対応するアルキレンジカルボン酸を一方の単位とするポリアミドよりも幾分長いようである。またポリマー主鎖中のジスルフィド結合はメルカプタン交換反応によって切断されることがわかった。
  • 西崎 俊一郎
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1756-1761
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    主鎖に6員イミド環をもつポリイミドをナフタリン1,4,5,8-テトラカルボン酸ジ無水物と,各種第一ジアミンの縮合をジメチルアセトアミ中で行なって得た。第一ジアミンとしては, 〓, 〓, 〓, 〓, 〓, 〓, 〓, -(CH2)6-をもつものをえらんだ。これらポリイミドのIR特性吸収帯として, 2つのυ c=o1712~1718cm-1(芳香族),1705と1644cm-1(脂肪族)を見出し,イミドの生成はアミド酸の分子内縮合によることを明らかにした。熱分解は空気中熱天秤法で測定し, N-脂肪族置換ポリイミドは300℃ 以上で急速に分解するのに対し,芳香族置換のものはおもに400℃ 以上で分解し始めた。ジフェニルエーテルを含むものがもっとも熱安定性がよかった。熱分解物のI R スペクトルより, 脂肪族置換のものでは> N C 結合の裂断がみとめられた。
  • 中村 好雄, 根岸 道治
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1762-1765
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸ホルマール化を行うなことなく, ポリビニルアルコール繊維に耐熱水性および弾性向上を付与するために, 熱処理ポリビニルアルコール繊維にN-メチロールアクリルアミド, 重合抑制剤(NaNO2,あるいはヒドロキノンモノメチルエーテル)および酸性触媒(NH4ClあるいはCH3COONH4)の混合水溶液を含浸せしめ, キュアリング法によってアクリルアミドメチル化を行ない, その後アルカリ触媒下で橋かけ化を行なった。アクリルアミドメチル化反応の酸触媒としてはNH4Clが好適であり, 重合抑制剤無添加の場合は水に不溶なホモポリマーが生成したのに対し, その存在下ではホモポリマーを生ずることなく, 120℃,10分間のキュアリングによって, 反応度は約0.13mmol/gであった。また,アルカリ処理による橋かけ化はきわめて容易であり,二重結合量0.08mmol/gの部分アクリルアミドメチル化PVA繊維はNaOH2%,Na2SO420%, 60℃,120分反応で橋かけ化率7 5 % を示した。橋かけ化繊維の耐熱水性は橋かけ化度0.03mmol/g以上では常法ホルマール化繊維と同程度すぐれており, また,それら繊維の伸長弾性度は常法ホルマール化繊維よりはもちろん,未処理繊維よりも著しく向上した。特に湿弾性の向上は顕著であった。また, 乾, 湿の引張および結節強伸度は橋かけ化度の増加と共に著しく低下した。しかし, アクリルアミドメチル化時に重合抑制剤を使用することによって,その低下度は明瞭に防止できた。
  • 中村 好雄, 根岸 道治, 竹川 幸男
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1766-1768
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報において,熱処理ポリビニルアルコール(PVA)繊維をキュアリング法によってN-メチロールアクリルアミド(N-MAM)で橋かけ化を行なえば,酸ホルマール(F)化を行なうことなく,耐熱水性と弾性度,特に,湿弾性の向上が得られることを認めたが,引張りおよび結節強伸度の低下が著しかった。しかし,アクリルアミドメチル化時にN-MAMの重合抑制剤を使用すれば,水に不溶のホモポリマーを生ずることなく,引張りおよび結節強伸度の低下が明瞭に防止できた。
    そこで,引張りおよび結節強伸度の劣化を更に防止して,十分な耐熱水性と弾性向上とを付与するために,本研究ではキュアリング法に代って,オートクレーブ法による加圧湿熱法を試みた。熱処理PVA繊維をN-MAM,PVAの凝固剤としての硫酸アンモニウム((NH4)2SO4),エーテル化触媒としての硫酸(H2SO4),およびN-MAMの重合抑制剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテル(MQ)の混合水溶液に浸漬し,加圧高温下でアクリルアミドメチル化反応を行ない,さらにアルカリ処理によって橋かけ化構造を導入した。MQの存在下では,N-MAMによる不溶性ホモポリマーを生ずることなく,湿熱加圧法によるアクリルアミドメチル化は容易に進行し,その好適反応条件はN-MAM2%,(NH4)2SO445%,H2SO40.5%,MQ0.3%,170℃,60分反応であり,反応度は約0.08mmol/gであった。
    アルカリ処理による橋かけ繊維の引張りおよび結節強伸度の劣化は前報のキュアリング法よりも著しく少なく,橋かけ化度が増加しても,それらの低下はきわめて少なかった。また,耐熱水性は常法F化繊維と同程度にすぐれており,乾,湿の弾性度は著しく向上した。特に湿弾性の向上は前報キュアリング法よりもさらに顕著であった。以上のような諸効果は,膨潤状態における橋かけ化が均一に行なわれたためであろうと推定した。
  • 江川 博明
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1769-1772
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    繊維状および布状の両性イオン交換体の製造を目的として研究を行なった。ポリビニルアルコール熱処理繊維をハロゲンアセタール化し, まずオキシ塩化リンまたはリン酸- 尿素によりリン酸エステル化して, リン酸基を導入した後, ついで含有ハロゲン基をメチルアミン,エチレンジアミンでアミノ化してアミノ基を導入する方法により,カチオン交換容量1.5~2.5meq/g,アニオン交換容量1.0~2.0meq/gの両性イオン交換繊維を, また, 塩化ビニル- アクリロニトリル共重合体繊維の含有するニトリル基をまずカセイソーダ水溶液で加水分解して,カルボキシル基を導入した後,ついで含有するクロル基をメチルアミン,エチレンジアミンでアミノ化してアミノ基を導入する方法によりカチオン交換容量1.5~3.0meq/g,アニオン交換容量1.0~2.0meq/g の両性イオン交換繊維を, それぞれ良好な繊維状態で製造できることが明らかになった。
  • 室井 宗一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1773-1778
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    実験室的重合装置を用いて, ノニオン活性剤による塩化ビニリデン・塩化ビニルラテックスの生成条件の検討を行なった。界面活性剤として,エチレンオキシド付加モル数の異なるポリオキシエチレンラウリル-,オレイル-およびノニルフェニルエーテルを乳化重合に用いて評価してみた結果,疎水基の構造とは無関係に,エチレンオキシド付加モル数が30~50の範囲において比較的安定に重合を行ない得るが,そのなかでも,30~50molのノニルフェニルエーテルが最も安定な重合結果を与えることが明らかとなった。また,エチレンオキシド付加モル数30~50の範囲では,重合初速度はラウリル- , オレイル- およびノニルフェニルエーテルの順に低下すること, およびラテックスの粒子径はエチレンオキシド付加モル数の増加とともに小さくなることがわかった。
  • 室井 宗一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1779-1784
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    25lの重合装置を用いて,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルによる塩化ビニリデン・塩化ビニルラテックスの生成条件の検討を行なった結果,次のことが明らかとなった。(1)重合を完了させるのに要する時間は,開始剤濃度およびn=30molまでは,エチレンオキシド付加モル数(n)の増加とともに短縮されたが,活性剤濃度の影響は受けなかった。(2)エチレンオキシド付加モル数25から35の活性剤をモノマ一に対して5から6%使用することによって安定に重合を行ない得た。また重合安定性は,エチレンオキシド鎖の長い活性剤を使用するほど,かきまぜ速度の影響を大きく受けた。(3)粒子径は開始剤濃度およびエチレンオキシド付加モル数30以上の活性剤の濃度の増加とともに小さくなった。(4)1種類の活性剤を用いるよりも,エチレンオキシド付加モル数の異なる活性剤を,平均付加モル数が25から35molとなるような割合で,混合使用したほうが好結果が得られた。
  • 室井 宗一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1785-1789
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    電解質存在下におけるノニオン-アニオン混合活性剤による塩化ビニリデン・塩化ビニルラテックスの生成条件の検討を行なった。エチレンオキシド付加モル数の種々異なるノニルフェノール付加物と,2種のタイプのアニオン活性剤を種々の割合に混合して用いて乳化重合を行なった結果,重合中に生成する凝固物の量は,電解質が存在しない場合には,混合組成のほぼ中間において極大を示すが,電解質が存在する場合には,アニオン活性剤の混合率の増加とともに,急激に減少すること,および重合初速度は混合組成に応じてそれぞれの初速度のほぼ中間の値を示すが,ラテックス粒子は混合率の増加とともに急速に小さくなることを見出した。さらに,電解質の添加量が適当であるときには,それぞれ単独でより安定な重合結果を与える活性剤を組合せたほうが,より安定な重合結果が得られることがわかった。
  • 室井 宗一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1790-1796
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    マロンが考案した測定装置を用いて, 塩化ビニリデン・塩化ビニルラテックスの機械的安定性に関係する二, 三の因子について検討した。試料ラテックスは,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ポリオキシエチレンノニルフェニル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを用いて重合した。その結果,ラテックス粒子界面における活性剤の吸着濃度が飽和濃度以下のときには,同一吸着濃度においても機械的安定性は,活性剤のタイプおよびラテックスの粒子径によって異なるが,飽和吸着濃度以上では,これらには無関係にほぼ一定となることがわかった。さらに,安定性は外部可塑化度の増加とともに,急速に低下すること,および活性剤および高分子保護コロイドでは,外部可塑化したラテックスを十分に安定化することはできないが,2%以上のアクリル酸を共重合することによって完全に安定化できることが見出された。
  • 室井 宗一
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1796-1800
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ラテックスの泡立ちを測定することを目的として,TjutjunikowおよびKassjanowaが考案した泡量計を検討した結果,再現性のよい測定値が得られることが明らかとなウた。そこで,この測定装置を用いて,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ポリオキシエチレンノニルフェニル硫酸ナトリウム,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを活性剤に使用して重合した塩化ビニリデン・塩化ビニルラテックスの泡立ちを機械的安定性などとの関連性において測定した。その結果,ラテックスの泡立ちは,ラテックス粒子界面における活性剤の吸着濃度がほぼ飽和値に達するまでは,活性剤濃度の増加とともに増加し,かつ同一の吸着濃度においては,界面活性剤のタイプおよび粒子径によって異なることがわかった。さらに,各タイプの界面活性剤について,表面張力と泡立ちとの関係は,粒子径とは無関係に1本の曲線で示されること,および泡立ちと機械的安定性との間にはほぼ直線関係が成立することが明らかとなった。
  • 室井 宗一, 野村 順治
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1800-1807
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリスチレンおよびポリ酢酸ビニルラテックスの凍結安定性の研究を行なった結果, 次のことが明らかとなった。(1)安定性は, ラテックス粒子界面における界面活性剤の吸着濃度が不飽和のときには, 飽和吸着に達するまでは, 吸着濃度の増加とともに向上した。(2)ラテックスの粒子径が大きくなるとともに, ポリ酢酸ビニルラテックスの安定性は向上したが,ポリスチレンラテックスのそれはわずかに低下する傾向がみられた。(3)内部および外部可塑化によるTgの低下は安定性の低下をもたらしたが,ポリ酢酸ビニルラテックスのTgに対する安定性の依存性は,ポリスチレンラチックスのそれに比べて著しく高かった。また内部可塑化のほうが外部可塑化よりも安定性の低下が著しかった。(4)乳化重合開始時におけるヒドロキシエチルセルロースおよびポリビニルアルコールの添加は安定性を薯しく向上させたが. 重合後の添加は安定性の向上にほとんど寄与しなかった。(5)安定性はアクリル酸の共重合率の増加とともに急速に向上した。
  • 永田 賢司
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1807-1808
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 鶴来 伸一, 早崎 淳, 酒井 正文
    1965 年 68 巻 9 号 p. 1809-1810
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1965 年 68 巻 9 号 p. A99-A108
    発行日: 1965/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to from a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers
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