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水鳥 正路, 萩原 茂示, 河添 邦太朗, 福田 義民
1963 年66 巻12 号 p.
1757-1759
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ベンゼン浸漬法によって, 各種カーボンブラックの真比重を測定した結果, 各種の脱気法を併用したものほど高い値が得られた。また測定精度を高めるためには,秤量時におけるベンゼンの蒸発を防ぐことが重要である。測定の結果,チャンネルブラックは真比重が小さく,ファーネスブラックでは揮発分が少なく,表面が平滑な試料ほど真比重が大ぎい。これはカーボンブラックの生成温度が高いほど真比重が大きいことを示すものと思われ,また真比重と表面の性質との比較から, 生成温度がカーボンブラックの諸性質を決定する重要な要因と考えられる。試料を窒素気流中で1300℃まで加熱した時の真比重増加の度合は,加熱前の真比重が小さいものほど大きく,チャンネルブラックが最大である。またどの試料も3200℃まで加熱しても, 真比重は黒鉛のそれにほど遠く, 一度ある段階まで黒鉛化したものは, 再び加熱しても完 全な黒鉛構造にはなり得ないことがわかる。
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水鳥 正路, 岡戸 明雄, 河添 邦太朗, 福田 義民
1963 年66 巻12 号 p.
1760-1764
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
熱天秤を用いて種々のカーボンブラックの揮発分量と着火温度を測定した。揮発分量は窒素気流中における1300℃までの発生量と温度の関係を連続的に追跡したが,チャンネルブラックの揮発分はファーネスブラックより多く,ファーネスブラックの中では真比重やヨウ素吸着の測定結果から, 生成温度が高いと考えられるものは揮発分が少なく,かつ900℃以上の高温で発生するものの割合が大きい。ファーネスブラックで製造方式を同一として, 石油系原料油を用いた場合には,石炭タール系の原料油の場合より揮発分が多くなる。また圧縮粉砕処理を行なうと,処理時の発熱によって表面が活性化され,空気中から酸素や水分を吸着しやすくなるため,揮発分が増加する。酸素気流中における着火温度は,ファーネスブラックは350~385℃であり,チャンネルブラックは290℃付近であるが,2600℃で熱処理すれば,いずれも黒鉛の575℃に近い値となる。灰分中のアルカリ金属は着火温度を低くする傾向がある。
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守山 逸朗, 安倍 毅
1963 年66 巻12 号 p.
1764-1769
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
リン酸と硫酸の混酸中における二水セッコウの結晶成長速度を求めた。混酸は湿式リン酸の製造の場合を想定し,濃度40%(H3PO4)のリン酸に硫酸を0~10%加えたものを用いた。まずカルシウムイオンと硫酸イオンを等モル数加えたリン酸中におけるセッコウ種晶の成長速度を実測し,成長速度は過飽和濃度の2乗に比例することを見出した。また温度をかえて実験を行ない,結晶成長の活性化エネルギーとして11.7kcal/molを得た。つきに硫酸イオン過剰の場合には,等モル数の場合にくらべ飽和濃度ならびに成長速度が著しく相違するが,過剰の硫酸に注目しこれを抽出すればこれらをよく整理しうることを認めた。すなわち,セッコウ飽和濃度については,各温度においてそのカルシウム濃度の逆数と,過剰硫酸濃度とがそれぞれ直線関係を示し,また成長速度は過飽和濃度の1.5乗に比例し,成長速度定数は過剰硫酸濃度の2乗に比例する。さらに各硫酸濃度における活性化エネルギーを求めた。
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守山 逸朗, 安倍 毅
1963 年66 巻12 号 p.
1769-1773
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
半水セッコウの転移速度を求め,二水セッコウの種晶を加えた場合にも,新しい結晶核がある時間後急激に析出し,これが半水セッコウの転移速度に大きな影響を与えることを認めた。また,転移速度は,一般に硫酸濃度が増すと大となるが,ある濃度のところに最大値があること,およびこの最大値は温度の上昇に伴なって硫酸濃度の小さい方へ移ることが知られた。半水セッコウの混酸中への溶解速度がきわめて大きいことから,転移速度は液中の硫酸濃度(および温度)によって定まるある一定の過飽和濃度(半水セッコウと二水セッコウの溶解度の差)における種晶の成長速度に等しいと考えられる。実測された過飽和濃度と成長速度定数とを組み合わせると,種晶の成長速度(転移速度)は硫酸濃度に比例して増加することとなる。冒頭に述べた諸現象は成長速度ならびに結晶核の生成速度がそれぞれ硫酸濃度によって大きな影響を受けるために起こるものであることを論じた。
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杉山 幸三, 高橋 武彦
1963 年66 巻12 号 p.
1773-1777
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
食塩,パイライト混合物を酸素気流中で酸化し,塩素を得る反応について,反応条件と塩素収率との関係を450~720℃ の温度範囲で検討した。混合物に酸素を通ずると,パイライトの酸化が速いために生成ガスは主として亜硫酸ガスであった。そこで固相を流通式にした場合を想定して,予め酸化された固相上に亜硫酸ガス-酸素混合ガスを通じたところ,食塩の塩素への転換率は620℃,2~3時間で80%以上に達した。しかし,供給亜硫酸ガスに対する塩素収率は50~75%にすきなかった。また,適量の鉄化合物の存在下では,生成ガス中に亜硫酸ガスまたは三酸化イオウが検出されなかった。反応生成物中の鉄化合物を化学分析した結果は,これが硫酸鉄(III)であることを示唆したが,X線によってはこれを検出し得なかった。
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田畑 久雄
1963 年66 巻12 号 p.
1778-1783
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
15%石灰乳を水相とするW/O型乳化潤滑油の乳化剤を検討した。この乳化潤滑油の使用目的はイオウとバナジウム含量の多い,いわゆるボイラー重油を使用する大型ディーゼルエンジンのシリンダー潤滑である。その効果は主として硫酸の中和と,バナジウム化合物の無害化にある。15%石灰乳は懸濁液であるので,安定な乳化を得難く,これには非イオン系より陰イオン系乳化剤の方が有効であった。芳香族成分にとむ潤滑油留分のフェノール抽出油と,乳化の基油から得られた油溶性石油スルホン酸カルシウムは,共によい乳化剤であり,また乳化と同時に乳化剤が生成される乳化方法ばよい結果を示した。
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田畑 久雄
1963 年66 巻12 号 p.
1783-1788
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
前報では生石灰の水和で得た15%石灰乳と潤滑油によるW/O型乳化の乳化剤をしらべ,油溶性石油スルホン酸カルシウムが最も有効であることを知ったが,乳粒子の沈降分離はさけられなかった。本報告では沈殿法によって膠質の石灰乳をうることを検討し,更に強電解質の少量を添加することにより,極めて安定な乳化が得られることを見出した。カセイソーダと塩化カルシウムより乳化に最も適した膠質の沈殿水酸化カルシウムをうるには当量よりカセイソーダをわずかに過剰に使用し,かつかきまぜることにより,また沈殿の水洗は乳中のカセイソーダと塩化ナトリウムの残存量が適当量となるまで行なうことで得られた。水相としてこの膠質石灰乳(15%)の1重量部と,油相3重量部を使用して,得られた乳化潤滑油は室温で4年間実用に耐える乳化安定度を示した。
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久保 輝一郎, 白崎 信一, 根橋 敏雄
1963 年66 巻12 号 p.
1788-1791
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
示差熱分析によって反応熱(γ-Fe
2O
3→α-Fe
2O
3転移)を再現性よく算出する方法について検討し,更にこれを適用して粉末(γ-Fe
2O
3)には内部と性状を異にする乱れた表面層が存在することを明らかにした。試料層(γ-Fe
2O
3:NaCl=3:1),不活性層(空気)の条件で示差熱分析図形をとり,γ-Fe
2O
3,NaClによる発熱および吸熱ピークの面積比をとると,その値は試料の充填度,充填量,加熱速度,試料容器の種類によらず一定となり,NaClの既知吸熱量からγ-Fe
2O
3の転移熱を再現性よく求めることができる。この方法によって,γ-Fe
2O
3を塩酸に溶解して,粒径調整した試料の転移熱およびピークの半価幅,高さ,転移開始・終了温度を決定し,粉末(γ-Fe
2O
3)には内部構造とは異なる乱れた表面薄層が大略300~500Åの厚さで存在することがわかった。
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今永 広人
1963 年66 巻12 号 p.
1792-1795
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
硫酸ニッケル, モリブデン酸ナトリウムを含むアンモニア性クエン酸浴中に存在する, ニッケル・クエン酸錯イオンのpHによる構造,ならびに安定度の変化を吸光度および導電率測定により究明し,合金浴のpHとの関係を推論した。導電率および吸収スペクトル測定より,ニッケル・クエン酸とモリブデン酸イオンは,互に独立に存在することが認められた。また,Vosburgh-Cooper法を適用した吸光度の測定から,アンモニア添加によるpH増加にともなって順次,ニッケル・クエン酸錯イオン中のOH
2配位子がNH
3分子に置換され,モノ,ジ,トリアンミンが生成し,導電率測定よりその安定度が次第に小さくなることを認めた。従って,合金電着に有効な9.6以上のpHにおいては,ニッケルイオンの活量増加が大きく,ニッケル析出電位がより貴となるため,電流効率が高くなる結果を生ずるものと考察される。
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足立 吟也, 塩川 二朗, 石野 俊夫
1963 年66 巻12 号 p.
1796-1798
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ゼノタイムより希土類元素を抽出する工程のうち,原鉱の硫酸およびカセイソーダによる分解について検討した。試料としたゼノタイム原鉱の組成は,R
2O
347.39,ThO
20.69,SiO
21.16,Ta
2O
5+Nb
2O
5+TiO
213.60,P
2O
220.90,その他の酸化物14.77(%)で,粒度は100~200メッシュであった。分解の最適条件は次のとおりである。
1)硫酸の場合,試料10g,濃硫酸量30ml,処理温度260℃,加熱時間2時間
2)カセイソーダの場合,試料3.5g,カセイソーダ濃度50%,使用量20ml(NaOHとして15.3g),処理温度250℃,加熱時間1.5時間カセイソーダの場合,反応系はできるだけ早く乾固状になることがのぞましい。
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武内 次夫, 説田 勉
1963 年66 巻12 号 p.
1799-1801
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
C-22耐火レンガ担体のカラム(液相としてDOSを使用)を用いて低液相カラムガスクロマトグラフィーにおける分析試料, 保持液相, 固定相担体の相互関係を研究し,またPEG400のテーリングレデューサーとしての効果を定量的に検討した。
保持液相量の保持時間へ及ぼす効果のデータより, 次の結論を得た。(1)C-22耐火レンガ担体に対しDOSが0.5%以上の場合は気液クロマトグラフィーとして作用しているが,0.5%以下のカラムではカラムは気固クロマトグラフィーとして作用し,その際DOSは気固クロマトグラフィーのテーリングレデューサーとみなすことができる。(2)PEG400をカラム(DOS0.5%または2%)に0.2%以下添加すると,アルコール試料に対してはテーリングレデューサーとして作用する。ベンゼン,n-ヘキサンのような試料に対しては,PEG400は分配係数の小さい気液ガスクロマトグラフィーとして解釈できる。
結論(2)はテーリング係数のデータからも確証された。
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原 伸宜, 山野 晋, 熊谷 裕二, 池辺 清, 中山 兼光
1963 年66 巻12 号 p.
1801-1805
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
熱伝導度検出器によるガスクロマトグラフ定量法において,ピーク面積の補正に必要な各物質の相対感度は,ヘリウムまたは窒素をキャリアーガスとする測定値が多くの成分について求められているが,水素をキャリアーガスとする測定値としてはまだ信頼すべきデータが得られていない。本報は各物質についてこれを決定する目的で,まず代表的な低級炭化水素33成分および無機ガス6成分のn-ヘブタンを基準成分とする相対モル感度を精密に測定し,炭化水素分析および特にガス分析に必要な基礎資料を与えた。炭化水素各同族体では相対モル感度Rと分子量Mとの間に直線関係が成立し,n-パラフィン類およびα-オレフィン類については,正確なR-M1次実験式を作成した。特にn-パラフィン類では,ヘリウムをキャリアーガスとする場合と異なり,C
1~C
8においてR-M関係は完全に直線的である。また水素をキャリアーガスとする場合は, ヘリウムをキャリアーガスとする場合に比べて, 炭化水素のR - M 直線は原点より大きく偏位し,ピーク面積比を重量比率で表わす近似定量法を適用すると,定量誤差がかなり大きくなることを認めた。
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武内 次夫, 古沢 源久, 返田 明子
1963 年66 巻12 号 p.
1805-1808
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
紫外線吸収を利用してアントラセン,カルバゾール,フェナントレン,ジフェニレンオキシド,フルオレン,アセナフテン混合物中の各成分の同時定量法を検討した。その結果メタノールを溶媒とし,375,336,321,300,293,286mμの6波長を特性波長として,その吸光度を測定する方法を行なうと,これらの成分は大部分吸収が重なっているにもかかわらず,比較的簡単な計算により各成分を同時に定量することができることを見出した。
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古沢 源久, 武内 次夫, 関戸 和子
1963 年66 巻12 号 p.
1809-1811
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
アントラセンは380mμ付近における紫外線吸収を利用して定量し得るが,低品位アントラセン中にはアントラセン以外に同波長において吸収を示す他物質が含まれているので,それにもとづく吸収を正しく補正することが必要である。この方法として,
o-ジクロルベンゼン中で試料を無水マレイン酸処理し,無水マレイン酸をアルカリ抽出した溶液を対照液として定量する新分析方法を考案した。アントラセンは溶媒中で無水マレイン酸とともに加熱するとアントラセンの特性波長の380mμ付近において吸収を示さない付加物を生成するので, この溶液を対照液として, 試料の吸収を測定する方法によればアントラセン以外の吸収は自動的に補正され,アントラセンの吸収を測定することができる。
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古沢 源久, 武内 次夫, 関戸 和子, 清水 博文
1963 年66 巻12 号 p.
1811-1814
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
紫外線吸収を利用して高品位アントラセン中に少量含まれているカルバゾールを定量するために,アントラセンの吸収の除去方法を研究しその定量法を確立した。試料50mgを
o-ジクロルベンゼン7mlに溶解し,無水マレイン酸300mgを加えて10分間加熱すれば,試料中のアントラセンはカルバゾールの特性波長において吸収を示さない付加物を生成し,カルバゾールの吸収を変化させることなく,アントラセンの吸収のみをほぼ完全に除去することができる。過剰の無水マレイン酸を水酸化ナトリウム水溶液で抽出除去し,不純物の影響を補正するために334mμと346mμとにおける吸光度の差よりカルバゾールを定量する。本定量法により0.1%までのカルバゾールが定量可能である。
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徳江 毅, 岡島 正一, 五島 春夫, 橘 秀昭
1963 年66 巻12 号 p.
1814-1816
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
ホルムアミドの硫酸分解による硫酸アンモニウムおよびギ酸の製造について検討し,ギ酸日産5kgの連続分解装置のパイロット試験を行なった。72%工業用硫酸を用い60℃で,濃縮することなしに96%ギ酸を93%の収率で,肥料用硫酸アンモニウムと同時に製造することができた。他にギ酸の硫酸分解試験,硫酸アンモニウムのギ酸に対する溶解度測定,ギ酸の対金属腐食試験,ベンチスケールでのホルムアミドの硫酸分解試験を行なった。なお本研究は全密閉式カーバイド炉の廃ガスの利用方策として,化成肥料工業とアセチレン工業とを結合する目的で行なった総合研究の一部である。
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泉 有亮, 斯波 忠夫
1963 年66 巻12 号 p.
1817-1822
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
常圧固定床流通装置を用い,450~510℃でアルミナ・ボリア触媒によるトルエンの不均化反応を行ない,併発する分解反応を考慮した速度解析から,不均化反応は隣接活性座間の表面反応律速として整理された。速度式は次式で与えられる。
ここに,
Pt,
Pb,
Pxはそれぞれトルエン,ベンゼン,キシレンの気相分圧(atm),Kdは不均化反応平衡定数,αtはトルエンの初期分圧を表わす。また,市販シリカ・アルミナ触媒を用いた反応結果の対比から,アルミナ・ボリアは,不均化反応速度ならびに不均化反応の選択性において,ともに,シリカ・アルミナより良好であることを認めた。
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柴田 和博, 松田 住雄
1963 年66 巻12 号 p.
1822-1827
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
アルドール縮合による2-エチルヘキサノールの工業的合成における蒸留残分の有効利用を目的として,その成分検索を行なった。蒸留残分は遊離酸6%(重量),遊離アルコール45%,エステル17%および残部からなるとみなされ,遊離酸およびエステルはそれぞれ主として2-エチルヘキソイン酸および2-エチルヘキソイン酸2-エチルヘキシルからなり,遊離アルコールは2-エチルヘキシル,デシル,ドデシルアルコールのほか,テトラデカンジオールも含むと考えられた。さらに2-エチルヘキソイン酸のエステルが,直鎖の脂肪酸からなるエステルより著しく加水分解をうけにくい事実を見出し,その原因を究明した。
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関口 自然, 高瀬 功, 松井 弘次
1963 年66 巻12 号 p.
1827-1830
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
三フッ化ホウ素を触媒とし, メタノール, エタノールおよびイソプロパノールとエピクロルヒドリンとの反応を検討し,アルコールの違いによる反応速度の変化を求め反応機構について考察した。本反応は上記アルコール中では,エピクロルヒドリンに関して1 次式となり, 1 次の速度定数は触媒濃度に比例する。反応速度はメタノール, エタノール, イソプロパノールの順に減少し, 活性化エネルギーはこの順序にわずかながら増加するが, 頻度因子はほとんど変わらない。本反応は酸接触による1 分子反応機構(A-1)として説明される。
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炭本 信三郎
1963 年66 巻12 号 p.
1831-1837
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
エタノール中でアセトピルビン酸エチル(II) にヒドロキシルアミン塩を反応させると, 主として5-メチル-3-カルベトキシイソオキサゾール(III) がえられるが, この反応における副生成物の検索および反応条件を種々検討することによって,その反応機構を考察した。副生物として, 異性体3-メチル-5-カルベトキシイソオキサゾール(IV),2-エトキシイミノアセトピルビン酸エチル(V)および4-オキシイミノアセトピルピン酸エチル(VI)がえられ,溶媒量,ヒドロキシルアミン塩のモル比,溶媒の種類,液性,反応温度などにより,異性体III,IVの生成比が変化することをガスクロマトグラフィーによりみとめた。さらに,文献未知の対応する中間体オキシムV,VIを単離し,この付加反応はVI⇔II⇔Vのように可逆反応であり,オキシムの酸による閉環条件を比較すると,VIの閉環速度は遅く,Vのそれは低温でも極めて速く,かつVIは適当な酸度によりVI→II→Vに移行することが明らかとなった。
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炭本 信三郎
1963 年66 巻12 号 p.
1838-1841
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
アシルピルビン酸エチルと塩酸ヒドロキシルアミンをエタノール中で反応させて,2個の異性体5-アルキル-3-カルベトキシイソオキサゾール,および3-アルキル-5-カルベトキシイソオキサゾールの混合物を得,ガスクロマトグラフィーにより定量して,両者の生成比よりアルキル基が隣接の活性炭素の反応性に及ぼす影響について検討した。5-アルキル-3-カルベトキシイソオキサゾールの生成率は,メチル-<エチル-<イソプロピル-<
tert-ブチル-の順に増大したが, これはアシルピルビン酸エチルのアルキル基のI 効果によると考えられる。また, アシルピルビン酸エチルの核磁気共鳴吸収(無溶媒)の測定結果によれば,これらは完全にエノール型であり,ケト型として存在していないことをみとめた。つぎに,ガスクロマトグラム的に純粋な5-アルキル-3-カルベトキシイソオキサゾール,およびそれらの誘導体を合成した。
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阿部 芳郎, 渡辺 昭一郎
1963 年66 巻12 号 p.
1842-1845
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
一定の長さのオキシエチレン鎖をもつ各種アルコール,アルキルフェノールのエーテルを得るために,いろいろな方法が行なわれて来ているが,著者らは低重合のポリエチレングリコールクロルヒドリンとアルコラートとを反応させ,相当するエーテルを得た。すなわちラウリル,セチル,オレイルアルコールおよびノニルフェノールを用い,トルエンを溶媒として,あるいはトルエンを用いずに,カリウムまたはナトリムウを加えてアルコラート,またはフェノラートを作り,溶媒留去後エチレンクロルヒドリンまたはジからペンタまでの低重合ポリエチレングリコールクロルヒドリンを加えて脱塩反応を行ない, 沈殿をロ過した後, 減圧蒸留あるいは分子蒸留により, さらに室温以上の融点をもつものについては,蒸留成分を再結晶して相当するエーテルを得た。それらが,元素分析,分子量測定,赤外吸収スペクトルの測定等の実験結果からほとんど純粋と思われるエーテルであることを認めた。
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福住 一雄, 脇田 侃直
1963 年66 巻12 号 p.
1846-1849
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
共役高度不飽和酸エステルの自動酸化に関する報文は今までにない。本研究においては共役(A)および非共役ドコサヘキサエン酸メチル(B)を0~-2℃,暗所において30日間自動酸化した。その間各試料の過酸化物価, 屈折率, 分子量,紫外および赤外吸収スペクトルを測定し,両メチルエステルの自動酸化の相違点を明らかにした。Aの過酸化物価はBよりもいつも小である。Aの屈折率はBに比しいつも高い。Aの分子量は19日頃以後より急激に増大する。Bの分子量はあまり変動しない。Aの共役ジエンは18日頃までほぼ一定で,ついで増大するが,他の共役ポリエンは漸次減少する。Bの共役ジエンは18日頃まで増大する。赤外吸収スペクトルで3020cm
-1の吸収にα-メチレン基によるということを確かめた。1000~900cm
-1領域における共役ポリエンのシス-トランス異性体による吸収は,紫外吸収スペクトルによる共役ポリエン結果と大体符合する。
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小森 三郎, 岡原 光男, 原田 保正
1963 年66 巻12 号 p.
1850-1854
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
種々の濃度の塩酸溶液中,光の存在のもとで長鎖飽和アルキルアミン塩酸塩と塩素を反応させると,塩酸濃度によって異なった生成物が得られることが見出された。すなわち,希塩酸中では,アミノ基の水素が塩素によって置換されて,アルキルN-クロルアミン(RNCl2またはRNHCl)が生成するのに対し,濃塩酸中で反応を行なうと,アミノ基の水素はそのままで,アルキル基の水素と塩素が置換した塩素化アミン(CnH
2n+1-mClmNH
2)が生成することが認められた。この両置換反応の境界は塩酸濃度5.0~5.5Nの点にあり,境界濃度付近での生成物は
N-クロルアミンおよびアルキル基塩素化アミンの混合物であった。
これらの反応について検討した結果,この系における主反応は塩素と水の反応による次亜塩素酸の生成,(1)式および光による塩素原子の生成,(2)式であって,この両反応は塩酸濃度によって影響をうけ,低濃度では(1),高濃度においては(2)がそれぞれ優先することが認められた。
Cl2+H2O⇔HCl+HClO(1)
また,
N-クロルアミンと塩酸との反応についても同様に検討を行なったが,
N-クロルアミンは徐々に塩酸を酸化して,アミン塩酸塩と塩素を生じ,この塩素は光の存在下に塩素ラジカルとなり,アルキル基塩素化アミンを生成することが認められた。
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武内 次夫, 鈴木 義仁
1963 年66 巻12 号 p.
1855-1857
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
精製したナタネ油を96℃±1℃に加熱しながら乾燥空気を送入して酸化させ, 酸化の進行過程における構成脂肪酸組成の変化を調べた。構成脂肪酸組成の分析は各酸化過程で得られた試料をケン化したのち,不ケン化物を抽出分離し,脂肪酸の純セッケン分を得た。純セッケン分を塩酸で加水分解し,混合脂肪酸とし,無水塩酸含有メタノールあるいはジアゾメタン等のエステル化試薬を用いてメチルエステルとしたのち,ガスクロマトグラフィーを行なって定量した。本報に記した条件では,ジエン,トリエン酸は反応開始と同時に減少し始め,24時間経過したときは,最初に存在したジエン, トリエン酸量の約半量に減少した。モノエン酸は酸化時間24時間経過するまではあまり変化がなかったが,24時間以後では急激に減少した。本報の結果から酸化時間24時間までの酸化生成物は主として,ジエン,トリエン酸からの分解生成物であると考える。
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荻野 圭三
1963 年66 巻12 号 p.
1858-1867
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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比熱測定によるセッケンの相転移現象の研究は直接セッケンを構成する原子または分子の熱運動エネルギーを求めることを可能ならしめ,測定された値は極めて正確である反面,操作はすこぶる煩雑である。多くの場合物質の転移現象のみを観察するだけでかなりの意味があって,必らずしも比熱測定を行なう必要がない。そのため従来しばしば特定の熱不活性物質を標準にして物質の転移を熱的変化によって求める方法が用いられている。本報においては示差熱分析法によってセッケンの相転移現象を考察する。
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須本 操
1963 年66 巻12 号 p.
1867-1870
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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ジメチルテレフタレート, ジメチルイソフタレート, ジメチルフタレートとエチレングリコールとのエステル交換反応速度,ならびに平衡に関する研究を行なった。反応は密閉系で行ない,残存グリコールの定量をすることによって,速度定数,平衡定数を求めた。反応速度の大きさは,ジメチルテレフタレート>イソフタレート>フタレートの順であった。
金属ナトリウム,炭酸カリウム等を触媒として用いると,反応途中で急激に触媒としての効力を失うため,反応速度を求めるための研究には
P-トルエンスルホン酸を触媒として用いた。しかし, このものは高温でグリコールを浪費する傾向がみられるので,反応温度としてやや低温の120~140℃ をえらんだ。
本反応の平衡定数として0.2~0.4縮合反応の活性化エネルギーは12kcal/molがえられた。反応熱, 標準エントロピー変化等は非常に小さく,実験誤差に入るほどのものであった。
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須本 操
1963 年66 巻12 号 p.
1870-1875
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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市販のポリカーボネートを各種のアルコールと触媒( 水酸化カリウム,
P-トルエンスルホン酸) の存在下に加熱し, 分解生成物の収量,純度等について検討するとともに,分解反応における平衡関係ならびに反応速度について研究した。
アルコールとしてメタノール,エタノール等を用いると極めて容易に分解し,ビスフェノールAと相当する炭酸エステルが生成し,前者の分離は簡単で,高純度のものが95~99%も得られた。エチレングリコール,フェノール等による分解はやや複雑であって,目的とする反応生成物は容易に得られない。比較のため加水分解も行なったが,30~40%以上の濃厚水酸化カリウム水溶液を用いないと分解に円滑に進行しないことがわかった。
メタノール,エタノールを分解剤に用いた場合,本反応の平衡恒数(分解/縮合)は大きく,10~100の値が得られた。各種アルコールによる分解反応性を定量的に知るため,均一系における分解反応速度を粘度法によって求めた。75℃における結果(酸触媒)分解速度比としてエタノール:メタノール=1:3.7が与えられた。
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坂部 孜, 小郷 良明
1963 年66 巻12 号 p.
1875-1880
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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石炭の水素化分解のような不均一反応では,反応筒内のかきまぜの良否は結果に大きな影響を及ぼす。連続的な石炭の液相水素化工程にあっては,反応筒内の石炭ペーストは筒底から吹き込まれる水素ガスによってかきまぜられる。
著者らの実験(8×100cm反応筒2基)では,反応筒内にかきまぜのために吹き込まれた水素ガスの量は,ほぼ50l/hr(加圧下)であったが,この値は液相水素化工程に装置規模の影響を考慮した他の著者の式から計算した値とかなり異なる。ために,この程度の水素吹き込みによって反応筒内が十分にかきまぜられているかどうか,液相水素化工程のかきまぜに装置規模の影響はどのように表われるかということを検討するために,モデル溶液と幾何学的に相似な一連の容器を使用して実験,検討を行なった。
得られた結果を要約すると次のようである。
1)前報で設定した規準反応条件(300atm,445~465℃,0.6~0.7kg/l/hrペースト,H
2:ペースト2~2.4Nm
3/kg)で反応筒内はほぼ完全にかきまぜられている。
2)装置規模のいかんにかかわらず,石炭高圧液相水素化工程におけるかきまぜは反応筒内の液相が完全に混合されるよう行なうべきであり,この場合かきまぜのためのガス線速度は筒径に比例させればよく,したがって,ガス対ペースド比,すなわちかきまぜガス量に対する装置規模の影響はない。
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黒岩 城雄, 中村 亦夫
1963 年66 巻12 号 p.
1880-1885
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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表題の系における水酸化ナトリウムのデンプン(またはパルプ)相と外部溶媒相に対する分配は溶媒の種類,濃度によって大きな差違を示し,このような系を用いて誘導体を製造する場合,溶媒の極性がイソプロパノール,アセトン程度であることが適当である。これらの溶媒系では,水酸化ナトリウムの分配関係が特異であって,固体相に対する分配量をx(mol/kg),溶媒相における水酸化ナトリウム濃度をc(N)とし,logx~logcを描くと,x<6~7ではx=kcnのFreundlich型の吸着がおこなわれがる,x<6~8付近よりlogx~logc曲線は逆転し,cはx<6~8のときより急減する。これはC
6H
10O
5・NaOHコンプレックスの生成と,それにつづく極度な膨潤に対応した現象である。極性の大きいメタノールやエタノールではこのような逆転現象は見られず,kの値も小さい。誘導体製造時の反応率,反応効率は水酸化ナトリウムの分配関係によって根本的な影響をうける。
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石垣 昭, 賀代 純三, 津田 浩成, 庄野 利之, 八浜 義和
1963 年66 巻12 号 p.
1886-1890
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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テトラヒドロフラン誘導体(主としてテトラヒドロフルフリルアルコール)より,ピリジンの合成を目的として,アンモニアガスとテトラヒドロフラン誘導体とをアルミナを担体とする触媒を使用して気相で反応させ,その生成物中の各成分の分離, 確認を試みた。bp45℃以下の留分中に低級アミンの存在は認められず,bp45℃から180℃ の留分中に各種の含窒素成分が認められ,主成分のピリジンのほかβ-ピコリン,ピペリジンおよびアセトニトリルの存在を確認した。このほか反応温度が500℃ を越えると, 炭酸アンモニウムが生成した。ピリジンはテトラヒドロフルフリルアルコールのみならず,ジヒドロピラン,テトラヒドロフルフリルアミンを原料としても生成するが,ジヒドロピランからの主要生成物はアセトニトリルであり,かつピリジンの生成量はテトラヒドロフルフリルアルコールからよりも低く,この反応がジヒドロピランを経て進行するのではないと考えられる。テトラヒドロフルフリルアミンからは,テトラヒドロフルフリルアルコールと同程度にピリジンが生成し,特に反応に際してアンモニアガスを用いず,アルミナ上に通して反応させるだけでも比較的好収率でピリジンを生成することを見出した。
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鍵谷 勤, 八田 正和, 清水 剛夫, 福井 謙一
1963 年66 巻12 号 p.
1890-1892
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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各種有機金属化合物,金属ハロゲン化物,ならびに有機および無機酸を触媒として1,3-ジオキソランの重合反応を研究した。
各種フリーデルクラフツ型化合物およびアルキルアルミニウムハライドが高活性を示した。特にSnCl
4,FeCl
3およびZrCl
4を用いた場合には高重合体が得られた。SnCl
4触媒を用いた重合において,重合体の分子量は重合量に比例して増大する。
この事実は本重合系は遂次型重合反応であることを示している。解析結果によって,1分子のSnCl4は2分子の活性座を生成し,重合期間中に連鎖移動反応がなく,ゆっくり分子量が増大する重合反応であることが明らかになった。フリーデルクラフツ型触媒を用い,2-メチル-1,3-ジオキソランおよび4-メチル-1,3-ジオキソランを単独および1,3-ジオキソランと混合して重合性を調べたが重合体は得られなかった。
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鍵谷 勤, 左納 武蔵, 清水 剛夫, 福井 謙一
1963 年66 巻12 号 p.
1893-1896
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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各種金属リン酸塩触媒によるエチレンオキシドの高重合反応について研究を行なった。チダンおよびジルコニウムのリン酸塩が特に高活性であった。ジルコニウムリン酸塩を触媒とした場合について反応条件を変えて詳細に検討した。触媒の焼成温度を上げると重合率は低下するが,900℃以上の焼成物を用いると生成重合物の分子量はいちじるしく増大した。また,重合率は反応時間のほぼ0.5乗に比例するが,生成重合物の分子量は反応時間によらない。反応温度の影響について検討した結果,見掛けの活性化エネルギーはほぼ17kcal/molである。これらの事実より反応の律速段階は触媒表面に生成したポリマー層をモノマーが拡散する過程であると考えた。また,重合率が触媒の酸性度に比例している点から,本重合反応は固体酸触媒によるカチオン連鎖重合反応であると推論した。
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鍵谷 勤, 左納 武蔵, 清水 剛夫, 福井 謙一
1963 年66 巻12 号 p.
1896-1899
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
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チタン,ジルコニウム,バナジウム,鉄のリン酸塩と各種の有機金属化合物の2成分系触媒を用いてエチレンオキシドの重合実験を行なった。ジエチル亜鉛(ZnEt
2)のみでは100℃でも活性を示さないが,チタンリン酸塩-ZnEt
2,リン酸鉄-ZnEt
2,ジルコニウムリン酸塩-ZnEt
2系は高活性を有し,リン酸塩のみの場合と比較して生成ポリマーの極限粘度数は顕著に増大した。トリエチルホウ素(BEt3)を1成分とする系はリン酸塩のみの場合とあまり差が認められない。またジエチルカドミウム(CdEt2)を用いた系はCdEt
2の分解が起こり,重合活性の低下が著しい。ブチルリチウム(LiBu),ジエチルマグネシウム(MgEt
2),トリエチルアルミニウム(AlEt
3)を用いた系は室温でも活性が認められた。殊にジルコニウムリン酸塩-AlEt
3.およびMgEt
2を1成分とする系を用いて高重合体を得た。リン酸塩と有機金属化合物との2成分系を固体部分と液状部分に分け,それぞれの重合活性を調べた結果,室温での活性は液状部分,すなわち有機金属化合物を主体とした部分に存在し,100℃程度での高温活性はリン酸塩を主体とする固体部分に存在することがわかった。
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井本 稔, 大津 隆行, 村田 耕一郎
1963 年66 巻12 号 p.
1900-1904
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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非水系におけるアクリロニトリル(AN)のラジカル重合におよぼす塩化亜鉛(ZnCl2)ならびに塩化リチウム(LiCl)の効果について研究した。塊状でZnCl
2はANのラジカル重合を加速したが,ジメチルホルムアミド(DMF)中では,加速効果はみとめられなかった。LiClの場合には逆に, 塊状では加速効果をしめさないが, D M F 中ではしめした。ZnCl
2はANと容易に1:1のコンプレックスを形成し,単離することができたが,LiClの場合にはANとコンブレックスを形成しないので,両塩の作用機構はことなった理由にもとづくものと考えられた。ZnCl
2の存在下におけるANの重合ではこのようなコンプレックス形成が極めて重要で,ZnCl2とコンプレックスを形成しないような塩化ビニリデン(VCl
3)との共重合実験から,ZnCl
2添加量と見掛けのANの反応性比,ならびにQ,e値が計算された。このようにして得られた見掛けのANのQ,e値とZnCl
2濃度の関係を外挿して,1:1AN-ZnCl
2コンプレックスのQ,e値としてQ=12.6,e=+8.2が得られた。LiClの場合にはANの反応性ならびにQ,e値は実験誤差内で変化しなかった。
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永井 芳男, 中島 利誠
1963 年66 巻12 号 p.
1905-1908
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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フッ化ホウ素エーテラート, トリエチルアルミニウムその他のイオン触媒を用いて, メタクロレインを重合し, 生成ポリマーの構造を検討した。塊重合ではポリマー収率が低かった。生成ポリマーは白色粉末で,エチレンジクロリド,ピリジンに可溶で,メタノール不溶の高分子部,[η]=0.06~0.09と,メタノール可溶の低分子部,[η]=0.03に分けられ,前者は220℃ 付近でとけ, 後者は100℃ 付近でとけた。生成ポリマーの構造は触媒の種類により, また反応条件によって異なるが,いずれもオレフィン重合,カルボニル重合の混ったものであり,1,4-付加重合も若干は混っているが,前二者に比べて少なかった。同一触媒を用いた重合でば,反応温度の低いほど,反応時間の長いほど,生成ポリマー中のアルデヒド含量が少なかったが,これは温度の低いほどアルデヒドが重合し易く,時間の長いほどアルデヒドの2次的反応が
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明石 博吉
1963 年66 巻12 号 p.
1909-1912
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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イタコン酸の反応の一つとして,イタコン酸と酢酸ビニルとの反応によって,ビニルエステルを得る可能性を検討するために両者の反応を行なった。さらにポリビニルアルコールと無水イタコン酸との反応によってポリビニルイタコネートを得た。
反応方法はイタコン酸と酢酸ビニルとの反応では,Adelmanのビニル交換反応の方法に従って,イタコン酸を酢酸ビニル中に加え,硫酸水銀(II)を触媒にして常温放置または沸点で熱して行なった。ポリビニルイタコネートは無水イタコン酸とポバールを酢酸中(酢酸ナトリウムを加え)または,ジメチルホルムアミド中でピリジンを触媒として熱して得られた。結果はイタコン酸と酢酸ビニルの反応では酢酸ビニル,アセトアルデヒド,酢酸等の低留分を留去した後,減圧蒸留すると,エチリデンジアセテートに相当する留分と主留分I(bp82~85℃/13mmHg)と後留分II(bp88~95℃/13mmHg)が得られた。Iは元素分析,赤外線分析その他の結果からエチリデンジエステル型の反応生成物(A)であることがわかった。後留分中には無水シトラコン酸およびイタコン酸ジビニルエステルが混在していることがわかったが,沸点近接のため単離できなかった。シトラコン酸の場合も酢酸ビニルとの反応で同様の生成物が得られた。また,ポリピニルイタコネートは熱水に不溶の弾力ある透明なフィルムを作る固体樹脂で一般の溶剤にとけ難い。ナトリウム塩は水溶性で高分子電解質の一種と考えられる。
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明石 博吉
1963 年66 巻12 号 p.
1912-1914
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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イタコン酸誘導体合成研究の一つとして,イタコン酸ジナトリウム塩とエチレンクロルヒドリンとを第四アンモニウムヒドロオキシドを触媒に用いて反応させ,イタコン酸ジ(β-オキシエチル)エステルを合成する目的で反応を行なったが,得られた生成物をシトラコン酸ジナトリウム塩と,エチレンクロルヒドリンとから同様にして得られた生成物と比較した結果,同一であることが確認され,反応中異性化が起こり,結局,生成物はシトラコン酸ジ(β-オキシエチル)エステル(DOEC)と確認した。
DOECの単独溶液重合や共重合を行なったが,着色するだけで,ほとんど重合が起こらなかった(これはOH基の影響によると思われる)。つぎにDOECは一種のジオールと考えられ,ジイソシアナート(トリレンジイソシアナート)との反応でポリウレタン樹脂(淡黄色の固体)を得た。またDOECと二塩基酸ジエステル,酸無水物との縮合でポリエステル樹脂を得,それらのジイソシアナートによるchain extensionでポリウレタン樹脂(いずれも固体樹脂)を得た。またDOECと木綿との反応は,エーテル化度が極わずかであった。
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府川 幸資
1963 年66 巻12 号 p.
1915-1920
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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塩化ビニル(VC)含量の多いVC-酢酸ビニル(VAc)共重合物のゲル化・溶解性の研究を,プラストグラフとB型回転粘度計により行なった。これらの方法は,すでに報告したのと同じである。共重合物粒子の見掛比重と真比重測定より,これら粒子の表面はかなり平滑である。一般に,共重合物の見掛比重はポリ塩化ビニル(PVC)の見掛比重よりも大である。そして同じ見掛比重のときは共重合物の方がゲル化性がよい。同じ化学組成のときは粒子径が小さいほどゲル化性がよい。VAc含量の増大と共に共重合物の溶解性は増大する。そして赤外吸収スペクトル測定より結晶性は低下する。この結晶性の低下が,共重合物の溶解性向上の一因と考えられる。
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府川 幸資
1963 年66 巻12 号 p.
1920-1923
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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種々の温度で重合したポリ塩化ビニル(PVC)のゲル化,溶解性をプラストグラフとB型回転粘度計により検討した。これらの方法は既に報告したのと同じ方法である。PVCは乳化重合法により低温で重合した。プラストグラフ測定より,そのゲル化挙動は重合温度に依存しない。乳化重合により得られた同じ粒径のPVCにおいては,低温重合PVCは通常の高い重合温度で得られたPVCと同じ程度のよい可塑剤吸収性を持つ。B型回転粘度計による測定より,重合温度が低くなるほど,従って結晶性がよくなるほどPVCの溶解性は低下する。溶解過程における粘度変化を溶媒のポリマーの微細構造の中への拡散とポリマー分子の運動性の両者を考慮することにより説明できる。シクロヘキサンのような良溶媒でも,ポリマーの結晶中に拡散するのは容易でない。溶液が透明になる温度は,この粘度の極大と溶解温度の中間に存在する。
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多田 耕三
1963 年66 巻12 号 p.
1923-1925
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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ポリ塩化ビニルはイオウの存在下で紫外線の照射を受けると,イオウの存在しない時に比べて著しい着色を生じる。この原因を調べるために,ポリ塩化ビニルの溶液とこれにさらにイオウを加えた溶液からフィルムをつくり,種々な条件で紫外線照射を行ない,そのX線回折および表面固有抵抗の測定を行なった。その結果は,着色の著しい違いにもかかわらず,イオウの有無による著しい違いは認められず,反応の進行状態は同程度であって,着色の差は表層におけるイオウとポリ塩化ビニルとの反応により生じた着色成分によるものと考えられる。
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竹本 喜一, 平井 公治, 中尾 歳通, 井本 稔
1963 年66 巻12 号 p.
1925-1927
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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ポリプロピレンを二酸化イオウおよび塩素によってクロルスルホン化し,その際の反応温度,反応時聞,各気体の導入モル比など反応条件の影響を検討した。また生成したクロルスルホン化ポリプロピレンとアニリン,n-ブチルアミンおよびピリジンとの反応を種々の条件下で行ない,さらにジアミンによる橋かけ反応についても検討した。
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野田 一郎, 香川 毓美
1963 年66 巻12 号 p.
1927-1932
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
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代表的な強塩基性高分子電解質であるポリビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩の溶液性状に及ぼす対イオンの種類の影響について研究した。試料は6 種の対イオン(Cl-,Br-,NO
3-,〓,(TS-),I-,SO
42-) を用いた。まずOH型試料の中和滴定により強塩基であることを明らかにした。低分子添加塩を含まない無塩系水溶液における浸透圧係数(g),当量電導度(Λ)および粘度の測定を行なった。その結果,gは対イオンの種類によって非常に異なり,Cl->Br->NO
3->TS->I->SO
42-の順に減少することを認めた。粘度も同様に変化し,Fuossプロットで得た極限値よりFlory-Foxの式で求めた高分子イオンの拡がりはgに比例して大きくなることを知った。電導度についてはLatteyの式の適合性を検討した。またΛ/Λ
0は一般にgより大きい値を与えるが,各種対イオンの間ではgとΛ/Λ
0との間に直線関係が存在することを認めた。本実験結果においてはポリアクリル酸などの場合に比べてgやΛに対する対イオンの影響が一般に大きく,またハロゲンイオンによるgの大きさの順序がNa+およびK+のハロゲンイオンによる場合と逆であることなどよりして,高分子上の第四アンモニウム基と陰イオンとの間にはクーロンカの外に特殊な相互作用も存在するもののとと推推定定ししたた。。
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玉置 弥栄, 中沢 利勝
1963 年66 巻12 号 p.
1932-1933
発行日: 1963/12/05
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
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1963 年66 巻12 号 p.
1934a
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
ジャーナル
フリー
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1963 年66 巻12 号 p.
1934b
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
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フリー
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1963 年66 巻12 号 p.
1934c
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
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1963 年66 巻12 号 p.
1934d
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
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1963 年66 巻12 号 p.
1934e
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
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1963 年66 巻12 号 p.
1934f
発行日: 1963年
公開日: 2011/09/02
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