工業化学雑誌
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63 巻, 12 号
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  • 住吉 義博, 野田 稲吉
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2069-2071
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    従来の内熱式電気溶融法による合成雲母結晶製造法において徐冷を行なう場合,入力を減ずるにしたがって結晶化は大体周囲より内方に向って進行するが,その方向を制御することは困難で,その時々によって最終的に結晶化する部分の位置は異なった。本実験では角型炉の相対する壁の全面に黒鉛電極をおいたものと,この電極を上下に2分割して別々に電力を制御する方法とについて,溶融体中の温度分布の時間的変化を測定し,結晶化進行方向を制御することを試みた。前者の電極を用いた場合には溶融体中心での断面の等温面はほぼ円形をなし,中心より下方に最高温度部があり,冷却が進むにつれ,この最高温部は上方に移動した。後者の電極を用いた場合は等温面は長ダ円となり,等温線はほぼ水平になった。冷却するにしたがって等温面は水平のまま下方から上方へ移行させることがてきた。
  • 岡田 純
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2071-2076
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カーボンねつ(捏)合物の流動性を,押出試験機を製作して,それによってしらべた。押出圧力Pと押出速度vの関係をしらべた結果, Pが, 押出停止圧力Pf以上になったとき流動をおこし, ( P- Pf)m=K1v なる関係があり, ねつ合物が塑弾性体であることがわかった。次に,バインダー量,温度をかえて,一定速度で押出し,(P-Pf)およびPfが,いかに変化するかをしらべた。バインダー量が増加すると,Pfおよび(P-Pf)は減少する。バインダー量の増加にしたがって, ねつ合物は粉体から塑性体を経て粘性体に移行する。また, 温度が高くなると( P- Pf) は減少し, かつPfも減少するが,Pfはある程度以下には減少しない。その限界は,バインダー量にも関係する。別に,平行板プラストメーターを用いて,流動下限界Sfの値も,バインダー量および温度をかえて測定し,Pfとあわせて論じた。Pfは粉同志の噛合いの緊密さ, およびバインダーの表面張力による粉の凝集によって生じ, また( P- Pf) はバインダーの粘性に関連があるとして, バインダー量および温度によるこれらの値の変化を説明した。
  • 岡田 純
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2077-2080
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報では, カーボンねつ(捏) 合物のバインダー量およびねつ合物温度(押出時の) が, 流動性に及ぼす影響についてしらべたが,それに引続いて,同じ押出試験機を用いて,ねつ合物をつくる際のねつ合工程の条件(ねつ合温度,ねつ合時間) の影響についてしらべた。押出圧力P は, ねつ合時間とともに, 初めは若干減少するが, のち急激に増加する。この傾向は,ねつ合温度が高いほど著しい。また,バインダー量の少ないものほど著しい。Pを押出有効圧力(P-Pf),押出停止圧力P-Pfに分けて, 実験結果を示し, これらに対して考察を加えた。混合均一化, バインダーの粒への浸透, バインダーの重合硬化の三つの仮定により, この現象がおこると考えられる。
  • 岡田 純
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2080-2084
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カーボンねつ合物の押出成形を可能にするためには,最適なバインダー量を加えてねつ合することが要求される。押出機には適当な圧力および速度があり,これで押出すことが望ましいので,一定の速度および圧力で押出すに必要なバインダー量を,所要バインダー量ときめ,これがフィラーの粒度によって,いかに影響されるかをしらべた。単一粒度の場合には,押出圧力-バインダー量の関係が,複合粒度の場合と非常に異なることが見出された。複合粒度の場合について,所要バインダー量を求め,これが,フィラーのもつ空隙率によって,相当程度左右されることが見出された。フィラーのみをシリンダー中で, 荷重W1で圧縮したとき, フィラーの空隙をすべて充填するに必要なバインダー量をw0(W1) とする。ある条件で, ねつ合物を押出圧力P1=W1で押出すに必要なバインダー量をw+(P1=W1) とし, または, ねつ合物に押出停止圧力Pf=W1を与えるために必要なバインダー量を, w*(Pf=W1) とすると, W+(P1)=b・w0(W1) またはw*(Pf)=a・w0(W1)なる関係があることがわかった。ただし,条件(押出速度,ノズル絞り比,ねつ合条件,成形温度等)は,すべて一定の場合である。これらの条件が変わると,a,bは変化する。
  • 鳥飼 直親, 多和田 寛
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2085-2088
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報で,粘結炭コークスと非粘結炭コークスの比較を行なったが,本報は,引続き炭素材の種類をふやし,炭素材の性質とカルシウム・カーバイド生成における反応性との関係を明らかにしようとした。
    炭素材試料としては,オイルコークス,粘結炭および非粘結炭より製造したコークス,無煙炭,黒鉛等を用い,これら炭素材について, 重クロム酸カリのリン酸溶液中での湿式酸化, 炭酸ガスによる乾式酸化およびBET法による内部表面積の測定を行なった。また同時に, これら炭素材と生石灰より, カルシウム・カーバイド生成を真空電気炉中で行ない,解析, 検討を行なった。反応温度は1800℃の固相反応である。
    一般に乾式, 湿式の反応性とカルシウム・カーバイド生成反応との間には直接の関連性はみられない。また, カルシウム・カーバイド生成反応では, 炭素材の種類により反応性に差があり, オイルコークスが最も反応性がよく, コークス,無煙炭がこれに続き,黒鉛が最も悪い反応性を示している。
    以上の結果より,カルシウム・カーバイド生成反応では,黒鉛化し易い,すなわち,高温において構造の動き易い炭素材が反応性が良いと考えられる。黒鉛がカルシウム・カーバイド生成において反応性が悪い点から, 黒鉛化の程度そのものは,大して反応に有効に働くとは考えられない。
  • 村木 一郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2089-2093
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    乾電池用高品位電解二酸化マンガンの製造を左右する要因について, 電解液を流しながら連続的に電解する装置を用いて研究した。電流効率は温度が高くなるほど,また,電流密度が小さいほど高率になる。電流密度と電流効率の関係はMnSO4-H3SO4系電解液の組成によって関係曲線が異なる。H2SO4を添加しないMnSO4溶液のみの場合はその濃度の電流効率におよぼす影響は無視し得るほど小さい。H2SO4 濃度についてはH2SO4/MnSOのモル比0.2付近で電流効率が最大になる。
    電解液の比電導度はH2SO4濃度の増大とともに大になり,その温度係数もまた大きい。H2SO4を添加しないMnSO4溶液のみの電解において, 浴電圧の高い理由はこの電解液の比電導度が小さいことに起因するもので, エネルギー効率を低下せしめる一つの因子となる。
  • 和久 茂
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2094-2100
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    型白金ルツボを使用して,フッ化カリウム融剤法の実験を試みた。成育したバタフライ型双晶の数,結晶板の厚み方向の型白金ルツボを使用して, フッ化カリウム融剤法の実験を試みた。成育したバタフライ型双晶の数, 結晶板の厚み方向の成長速度と横方向の成長速度の比,結晶板の厚みのいちよう性は,原料溶解過程における炉内温度の変動幅,ルツボ上下での温度差によって徐冷条件が同一であっても著しく変化する。厚みのいちような大型の簿板状結晶板を得るためには,溶融過程での温度変動幅を増すか,ルツボ下部の温度と上部の温度との差を大きくする必要があるが,このようにすると,バタフライ型双晶の数は増加する。溶解過程での加熱条件が結晶の成育状態に影響を及ぼす理由は,融液中の上下方向の濃度勾配が変化するためと考えられる。
  • 宮田 明
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2100-2107
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    硫酸銅のアンモニア性溶液をハイドロサルファイトで還元して, ラッカーマスターの音溝面に銅鏡膜をつくる方法をしらべ,さらにこの場合に緻密均一でしかも能率のよい鏡膜の生成する条件を求めた。その結果硫酸銅溶液中の銅に対してアンモニアの添加量をほぼ1:3(mol) にして, さらにこの溶液にアンモニウム塩を加えてから, 還元すると所望の鏡膜が能率よく得られることを見出した。この方法をLPビニルレコードの製作に応用して,従来の銀鏡法によるよりもS/N比(signal to noise ratio)の約2dBすぐれたレコードをつくることができた。
  • 堀部 利泰
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2107-2111
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    A・Vト石の焼成条件はト粒α-アルミナに固溶しているTi3+を酸化させるものと推測されるが,ト石製造業者あるいは使用者は,これについてあまり注意を払っていないようである。よって著者の推測の正否を確かめるため本研究を行なった。
    市販2Aト粒を電気炉中で加熱し, 固溶Ti3+ 酸化の進行につれてα-アルミナ格子が収縮し, 色も暗い灰色, 青味灰,黄味灰と変ることを確かめ,この現象に基づいて5社のA・Vト石計14試料のト粒α-アルミナの固溶Ti3+の酸化状態を調べ,著者の推測の正しいことを示した。また固溶Ti3+の酸化の著しいもめには金紅石の存在することを予測し, 更に固溶Ti3+の酸化程度はト粒の色, またはト石の色によりかなり細かく判定される可能性のあることを示した。
  • 安田 貞夫, 山田 静夫, 中村 静喜
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2111-2115
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリクロルシランの水素還元による純ケイ素の製造を石英管中で行なった。ケイ素の収率は原料中のトリクロルシランに対する水素の混合比(モル比)の増加とともに増し,1100℃,モル比200では収率約85%に達する。反応温度が高い程収率は増す。流速の増加は収率を減少させるが, 本実験の範囲(60cm/sec~140cm/sec) ではその影響は小さい。また一部の実験で排ガスの組成を調べ, 低モル比(10以下) ではケイ素は主にトリクロルシランの熱分解によって生成するが,高モル比になると熱分解は抑制され,ケイ素の生成は主に水素還元によって行なわれることを認めた。
    トリクロルシランの水素還元と熱分解,およびテトラクロルシランの水素還元の反応の熱力学的平衡を文献のデータから計算し,これと実験結果とを比較検討した。
  • 中川 雅直
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2115-2118
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高純度ケイ素用の四塩化ケイ素を得ることを目的とし,四塩化ケイ素中のホウ素分の除去に有効な有機塩基の検索を行なった。有機塩基としては酸アミド,ケトンおよびアニリン誘導体などのほか,シクロヘキセン,ベンゾイルクロリドおよびトリフェニルクロルメタンなどを用いた。これらの塩基を純四塩化ケイ素および微量の四塩化チタンを含む四塩化ケイ素に添加し,その際の変化を定性的に観察した。その結果により四塩化ケイ素とはほとんど反応せず,その中に溶存する四塩化チタンと反応して沈殿その他を生成すると思われる有機塩基を精製処理の対象とした。それらの1/200molを四塩化ケイ素25ccに添加して一夜放置した後沈殿物をロ別するか,あるいは添加後直ちに蒸留し,そのロ液または留出液についてホウ素の定量を行なってホウ素除去効果を調べた。その結果,N,N-ジフェニルアセトアミド,ベンズァミド,m-およびp-ニトロアニリン,2,5-ジクロルアニリン,シクロヘキセンならびにトリフェニルクロルメタンなどが有効であることがわかった。これらを用いてホウ素含有率が1.0および1.7ppmの四酸化ケイ素を処理し,0.2~0.6ppmの四塩化ケイ素を得た。
  • 佐藤 成美, 加藤 陽一, 堀 睦美
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2118-2124
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    さび止め油の性能は数種類以上の試験法を併用して評価するのが普通であって,実際に多くの方法が実用され,また試験法に関する研究も多い。一方さび止め機構についても多くの研究が行なわれているが,なお不明な点が多い。著者らはさび止め油を塗布した軟鋼試験片の食塩水中における電極電位の測定によって,さび止め添加剤の耐塩水性の優劣を有効に評価し得ることを期待し,かつは電極電位の値とその時間的変化とから各添加剤の特性を調べる目的をもって本試験を行なった。その測定結果を水滴静置発錆試験および塩水浸漬試験の結果と比較検討し,ことに後者とは二,三の場合を除いてよい相関性のあることを認めた。またさび止め添加剤としては, マレイン化オレイン酸めステアリルアミン塩およびソルビタンモノオレエートを主添加剤とし,これに数種の副添加剤をそれぞれ配合したもののタービン油溶液を供試し,これらの間の相乗効果をもあわせて検討した。また電極電位が時間の経過とともに貴の方向に変化するものについてその原因を考察した。
  • 山崎 毅六, 加藤 芳雄
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2124-2130
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    予混したプロパン-酸素混合気の衝撃波による着火についてその着火限界をもとめ,とくに圧力の影響を検討して,低圧における着火制御について, 一つの知見をうることを目的とした。内径26mm,長さ110cmの衝撃波管を用い, 空気を駆動ガスとして,低圧室の圧力が極めて低圧(6mmHg)までの着火限界をもとめた。低圧にするほど着火限界の幅はせまくなる。衝撃着火機構はSagulinの脂肪族炭化水素の熱着火機構に準じて,二段階にわけて考えられ,大気圧から100mmHgまでの間では,炭化水素のC-C結合が破壊される機欝,100mmHg以下の低圧まではC-H結合が破壊される機構をとることによって都合よく説明できる。
  • 高橋 猛夫, 吉田 栄一, 増子 昭義
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2130-2134
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    閃光分解法を利用して少量の二酸化窒素を添加したアセチレンおよび水素と酸素との混合物を爆発させ, ピエゾ型圧力変換器による動圧力の測定から誘導期間を求め,また二酸化窒素の量,燃料濃度,全圧,閃光エネルギーと爆発限界との関係を研究した。
    誘導期間は閃光エネルギーの大きいところでは非常に短かく,燃料の種類,二酸化窒素の量,燃料濃度,全圧による差はほとんど検出できないが,閃光エネルギーが小さく爆発限界に近づくにつれて誘導期間は急激に増加し,これらパラメーターの差が大きく認められる。
    水素の場合は全圧が低下すると部分燃焼が起き,反応生成物の組成が試料の組成だけでなく,全圧,閃光エネルギー,圧応管径によっても異なることを確認した。
  • 吉冨 末彦, 森田 義郎, 山本 研一
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2134-2140
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石油- 水蒸気反応の研究の一環として, 最適反応条件のもとに各系列純粋炭化水素と水蒸気の反応を試みた。そして炭化水素相互間の反応性の差異や水蒸気反応用の標準ニッケル系触媒の作用機作の担体による相違を求めた。中性担体触媒の方が塩基性担体触媒よりも接触効果はすぐれている。同系列内の炭化水素の反応の容易さは,中性担体触媒を用いると炭素数の少ない炭化水素の方が反応し易く,塩基性担体触媒では炭素数の多いものが反応し易い。中性担体触媒は著しく脱水素反応を促進し,塩基性担体触媒は脱メチルと脱水素の両反応を促進する。
    炭化水素の標準生成自由エネルギーの温度式より水蒸気反応の標準自由エネルギー,平衡定数を算出し,反応を考察した。それらの結果と実験の結果とはかなりの一致をみた。
  • 丸田 銓二朗, 鈴木 義仁, 岩間 文男
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2140-2142
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    脂肪族アルコールと二重結合のあるマレイン酸およびクロトン酸とのエステルを合成し,さらにエステルの酢酸第二水銀付加物をつくった。これらの付加物を展開試料とする逆相ペーパークロマトグラフィーについて研究した。脂肪族アルコール(C2~C18)を用いて合成した試料のハン(斑)点は明確に分離するので定性分析法として適当である。
    試料の量とハン点の面積ならびに吸光度との関係を検討し, ハン点の面積と使用した試料の量との間には比例的関係のあることを明らかにした。
  • 1960 年 63 巻 12 号 p. 2142a
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1960 年 63 巻 12 号 p. 2142b
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1960 年 63 巻 12 号 p. 2142c
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1960 年 63 巻 12 号 p. 2142d
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1960 年 63 巻 12 号 p. 2142e
    発行日: 1960年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 下土 居豊, 指尾 捻, 村田 二郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2143-2145
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒダントイン誘導体の反応に関する研究のために,メチルビニルケトンとアルコール類,フェノール,アニリンとの付加反応によるケトンおよびγ-ケトブタノールから,Buchererの方法にしたがい,従来あまり知られていない種々のヒダントインの誘導体の合成を行なった。すなわち5-メチル-5-(β-メトキシエチル)ヒダントイン,5-メチル-5-(β-ブトキシエチル)ヒダントイン,5-メチル-5-(β-アリルオキシエチル)ヒダントイン,5-メチル-5-(β-ベンジルオキシエチル)ヒダントイン,5-メチル-5-[β-(p-オキシフェニル)-エチル]-ヒダントイン,5-メチル-5-(β-アニリノエチル)ヒダントインおよび5-メチル-5-(β-オキシエチル)ヒダントインをえた。5-メチル-5-(β-アリルオキシエチル)ヒダントインと5-メチル-5-(β-アニリノエチル)ヒダントイン以外のヒダントインを加水分解により,高収率で相当するγ-置換α-アミノ-α-メチル酪酸に誘導した。
  • 福井 謙一, 米田 茂夫, 高山 秀男, 北野 尚男
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2146-2148
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化炭化水素と炭酸カリウムとから炭酸エステルを合成する方法について研究を行ない,ジメチルホルムアミドを溶媒として90~150℃で反応を行なわせることによって好収率で炭酸エステルが得られることを明らかにした。副反応としてアルコール,オレフィンの生成が認められるが,反応系を無水の状態に保つことによって,これらはある程度抑制でぎる。臭化-n-アルキル(C3H7Br~C12H25Br)からは30~40%の収率で炭酸-n-アルキルを,塩化アリルまたは臭化アリルからは50~70%の収率で炭酸アリルを,塩化べンジル,o-,m-,p-メチル塩化ベンジル,p-クロル塩化ベンジルおよびα-クロルメチルメフタリンからは50~80%の収率で相当する炭酸エステルを合成した。
  • 下光 太郎, 若松 茂
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2148-2150
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジアルキルシアン酢酸エチルと尿素とは,液安溶液中アルカリアミドの存在で室温で容易に縮合し,ジアルキルイミノバルビツル酸を与える。縮合剤として用いるアルカリアミドは, 原料の2 倍量(mol) が適当である。ナトリウムアミドを用いる場合の収率は,ジエチル誘導体74%,ジプロピル誘導体89%,ジアリル誘導体85%である。カセイアルカリを使用する時には著しく収量が減少し,良好な結果が得られない。
    これらのジアルキルイミノバルビツル酸は,常法により希鉱酸と加熱すると容易に加水分解を受け,定量的に相当するジアルキルバルビツル酸を与える。
  • 下 光太郎, 若松 茂
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2150-2152
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジアルキルマロン酸エチルと硝酸グアニジンとは, 液安溶液中アルカリアミドの存在で室温で容易に縮合し, ジアルキルマロニルグアニジンを与える。縮合剤として用いるアルカリアミドは,原料の2倍量(mol)が適当であり,またカセイアルカリを使用する時には,良好な結果が得られない。
    本研究では,粗ジアルキルマロニルグアニジンを精製せずに,直ちに常法による加水分解を行ない,相当するジアルキルバルビツル酸を得たが,原料のジアルキルマロン酸エチルに対するこれらバルビツル酸の総収率は次の通りである。ジエチルバルビツル酸47.1%; ジアリルバルビツル酸71.0% エチルイソアミルバルビツル酸, 42.4%; エチルフェニルバルビツル酸47.0%。
  • 石川 成正, 大河原 信, 井本 英二
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2152-2155
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    長鎖アルキルアミン(C12,C14)およびヘキサメチレンジアミンとシアン酸カリウムおよびチオシアン酸アンモニアから,直接にそれぞれの長鎖を持つアルキル尿素類およびチオ尿素類を合成し,かつその時の反応条件を検討した。
    これらアルキル尿素類はホルムアルデヒドと反応して, 酸性でメチレンビス尿素型化合物を, アルカリ性でN - メチロール型化合物をえた。しかし1置換体しか得られなかった。アルキルチオ尿素とホルムアルデヒドの反応はアルキル尿素の場合よりさらに反応しにくかった。
    次に長鎖アルキルをもつ異節環化合物の合成を試みた。フェナシルブロミドとアルキルチオ尿素から2-アルキルアミノチアゾ-ル類をえた。またヘキサメチレンジチオ尿素とp-ビス(ブロムアセチル)ベンゼンから閉環重合によって,チアゾール環とヘキサメチレン基をもった高分子物質が得られた。
  • 山川 敏雄, 本田 英昌
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2156-2159
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フミン酸の特徴の一つであり, またその定量に比色法として利用されているアルカリ溶液における赤褐色ないし黒褐色の着色について検討を加え,化学的構造との関連を明らかにし,比色定量法の根拠を確かめるためフミン酸類の320~1000mμ領域の吸収スペクトルを測定した。その結果1)フミン酸アルカリ溶液の吸収は短波長側で大きく,長波長側で順次小さくなるほぼなだらかな曲線で示され,特徴的な吸収は認められない。2)同一条件で得た数種の再生フミン酸では,石炭化度の進んだ石炭から得られたものが,若い石炭からのものにくらべ吸収が大きく,特に長波長側でその差が著しい。3)アルカリ濃度の増加はフミン酸の吸収を深色的,濃色的に変化させる,ことなどが明らかにされた。また比色法適用に際しての諸条件,限界などについて知見が得られた。
  • 竹下 健次郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2159-2163
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    α,β不飽和脂肪酸およびα,β位に不飽和のアルキル側鎖を有するベンゼンカルボン酸について,そのナトリウム塩とカセイソーダとの高温における分解反応を検討し,その反応機構を次式のように推定した。
    φ-CH=CH-COONa+3NaOH+H2O→φH+CH4+H2+2Na2CO3
    すなわち, α, β位の炭素鎖が二重結合の場合には( 三重結合の場合も同様であるが), α, β位はそれぞれ容易に酸化,還元をうけて, 2 種のカルボン酸を生成し, 結局上式のような分解過程をたどることが判明シた。さらに, この機構を2個以上の炭素鎖を有する飽和脂肪酸にも適用してつぎの反応式を新たに提出し,この式を従来の反応式と併用することによって,よりいっそう満足に実験結果が説明できることを認めた。
    R''-CH2-CH2-COONa+3NaOH+H2O→R''H+CH4+2H2+2Na2CO3
  • 木村 光雄, 真忠 精一, 黒木 宣彦, 小西 謙三
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2164-2167
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1:2型金属錯塩染料のうち,異なる2種のアゾ染料を1個の金属原子(クロムおよびコバルト)に結合させた非対称錯塩染料について, 青色および黄色のアゾ染料を用いてアミランに黒色に染着する堅ロウな染料をうる目的で三十数種の染料を合成しその構造と色調,アミラン,ビニロンに対する染着性,堅ロウ度などとの関係を検討した。青色アゾ染料にはメトキシ基, ニトロ基, スルホンアミド基, カルボキシ基などを有するナフタリン系およびアントラセン系の化合物を,また,黄色アゾ染料にはスルホンアミド基,トリフルオルメチル基,カルボキシ基などを有するピラゾロン系の化合物を用い, 両者を等モルずつ混合し, 金属錯塩化し, 分散染色法でアミランおよびビニロンを染色した。得た染料の染着性は特にアミランに対して良好であり, また現在知られている類似構造を有する非対称錯塩染料の場合が赤色系の色調であるのに対して, アミランを赤味ないし紫味黒色に染色するものの他, 緑味黒色に染色するものが得られ, 堅ロウ度もまた一般に良好であった。これらの色調の差は得た染料の構成, 置換基, 金属などにも影響されるものと思われる。またビニロンに対してはアミランに対するほど良好な結果を与えなかった。
  • 隈元 実忠
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2168-2170
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヘキサクロルーフェノール異性体[2,2,3,4,5,6-ヘキサクロル-3,5-シクロヘキサジエノン-1(A)と2,3,4,4,5,6-ヘキサクロル-2,5-シクロヘキサジエノン-1(B)]およびオクタクロル-シクロヘキセノン異性体[(C1),(C2)]とアルコール類との反応は,o-キノイド型の(A)とは容易に反応するが,(B)および(C1),(C2)とは封管中で熱しても反応しない。(A)はメタノール,エタノールとは常温でゆるやかに反応する。しかし,テトラクロル-1,3,5-キシレノール(o-キノイド型)との反応のようにカルボニル基に対してp-位置にアセタール結合は生成されず,3-シクロヘキセノン-1の環構造をもち,アルコキシ基2個が付加したと考えられるC6Cl6O-(OR)2型の化合物を生成した。さらに,その反応機構を推論した。また,(A)(B)とメルカプタン類との反応は既報と全く同じ形式の反応がおこることを確かめた。
  • 松木 保夫, 曽根 澄
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2171-2173
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    希硫酸の存在下,チオシアン酸ナトリウムとホルマリンでチオフェンのチオシアノメチル化を行ない,その反応生成物(I)を得た。収率約20%。(I)はIR-,およびNMRスペクトルによって2-テニルチオシアネート(IA)と2-テニルイソチオシアネート(IB)の混合物であることがわかった。(IA)は加熱によって容易に(IB)に転位する。3-テニルチオシアネート(IIA),および2,5-ビスチオシアノメチルチオフェンを対応するハロメチル化合物とチオシアン酸塩から作成した。(IIA)は(IA)より安定であるが,3-テニルブロミドとチオシアン酸塩の反応の生成物(II)にも少量のイソチオシアネ-トが含まれる。また(I),(II)の二,三の反応から得られるものについて検討した。
  • 菊池 光子
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2174-2177
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    三硫化モリブデンを触媒として,ボルネオールおよびイソボルネオールの接触還元を行ない,おのおのが脱水を起す反応温度およびその温度において脱水されて生成したカンフェンの還元について検討した。水素圧96.8atmのもとで180分間,還元実験した結果はボルネオールの場合は180℃より脱水反応が徐々に起こり,240℃で大部分脱水された。これに対してイソボルネオールは140℃で完全に脱水され,100℃でもいくらか脱水された。またボルネオールを200℃ないし240℃で還元した場合の反応生成物にはイソカンファンが認められたが,イソボルネオールを100℃ないし140℃で還元した場合の反応生成物にはこれは認められず,主成物はカンフェンであった。カンフェンおよびイソカンファンの生成比はガスクロマトグラムの面積比より求めた。
  • 石井 義郎, 西川 義春, 加藤 治信
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2177-2180
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    活性水素化合物に対するエチレンオキシドの逐次付加速度を求める研究の一環として,酸性物質であるフェノールを研究の対象とした。まずフェノールの場合,フェノール対エチレンオキシド5:1のモル比で,触媒をC6H5ONaとC6H5OKの両場合につき,45,55,65および75℃にてエチレンオキシドの減少量を追跡し,次の速度式が妥当することを認め,v=k[フェノール][エチレンオキシド][触媒]それぞれの場合の速度定数,活性化エネルギーなどを求あた。次にフェノールのエチレンオキシド1モル付加体につき,同じぐエチレンオキシドを1/5のモル比で加え,触媒はC6H5ONaとC6H5OCH2CH2ONaの両場合につき,45,55,65および75℃にて3次の速度定数を得た。これらの結果から著者の既発表の反応機構を再確認し,著者らの用いた反応条件においては在来の通説が妥当しないことを明らかにした。
  • 武内 次夫, 鈴木 正巳, 井手 文雄
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2181-2183
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルキルホウ素を開始剤として重合をおこなった場合には次の式のようなラジカルが生成するものと考えられる。
    この場合,重合開始にあずかるラジカルがR2BO2・であれば重合が進行すると生成重合体中には,ホウ素が存在し,R・であれば存在しないと考えられる。
    著者らは,トリプチルホウ素を重合開始剤としてつくったポリ酢酸ビニル,およびそれを加水分解してつくったポリビニルアルコールをホウ素を含まない溶剤を用いて再沈殿して精製し,それに3倍量の炭酸ナトリウムを添加して灰化し,クルクミン法を用いてホウ素を定量した。
    定量結果は0.0001%程度のホウ素が見出されたにすぎず, あきらかに重合体中には化学的に結合したホウ素は存在しないと判断される。したがって重合開始にあずかるラジカルは主としてR ・と考えてよいと思われる。
  • 佐藤 久次, 森田 睦夫, 竹野 昇, 市田 幸子
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2183-2186
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    乾燥および湿潤状態の遊離アルギン酸の加熱による粘度低下を,種々の温度および時間について測定し,著者らがアルギン酸ソーダの加熱による粘度低下についての研究で, すでに得ている結果と比較して次の結論を得た。
    (2)粘度低下の傾向に関して,ソーダ塩と遊離酸との間に特に次の2点について興味ある平行性が見出された。すなわち,第一にいずれの場合も十分な水分の存在下における加熱は乾燥状態における加熱にくらべて,いっそう著しい粘度低下を起した。次にこの傾向は比較的低温付近(60℃,70℃) において特に顕著であった。
    (2)粉末および溶液状態のアルギン酸ソーダ,乾燥および湿潤状態の遊離アルギン酸の四つの場合において,粘度低下の程度は湿潤状態の遊離アルギン酸が最も大きく, ついで乾燥状態の遊離アルギン酸と溶液状態のアルギン酸ソーダが,ほぼ同程度の低下を示してこれに続き,粉末状態のアルギン酸ソーダが加熱に対し最も大きな抵抗性を示した。
  • 丹沢 宏
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2186-2191
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビスコースレーヨンの延伸時における挙動と微細組織との関係を知るために, 凝固力の異なる浴を用いてつくられた3種の等方性モデル糸を, ザンテート状態および再生膨潤状態で延伸して, 膨潤度, 配向度, 結晶化度などの変化を測定した。この3種のモデル糸の等方性状態における微細組織の相違は膨潤度においていちじるしく,結晶の大きさボやや異なるが結晶化度は大差ないと考えられているものである。これらを延伸し乾燥した場合,結晶化度は変化しないがセグメント配向の増加のしかたがそれぞれことなり,概して高膨潤度のものの方が同じ延伸率に対して低い配向度を与えることを認めた。また再生状態よりもザンテート状態で延伸する方が延伸効率は悪いが高延伸率,高配向度のものが得られやすい。以上の実験事実をやや定性的ではあるが理論的解析をしてみると,これらのモデル糸の非晶部分の鎖はいずれもかなり緊張していること, したがって膨潤度の相違は非晶部分の長さの尺度を示しているであろうことが推定された。
  • 丹沢 宏
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2191-2194
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビスコース中のセルロース濃度と重合度とが, 再生セルロースの微細組織形成にあたって, どのような役割を演ずるかについて,いわゆるモデルフィラメントを使用して凝固,再生,延伸を分離して検討した結果,次のような結論を得た。
    (1)結晶化度,結晶粒子の大きさ,アクセシビリティーなどにはほとんど相違が見られない。
    (2)再生直後のセルロースゲルの膨潤度はセルロース濃度および重合度の増大とともに減少する。このことは非晶部分のからみあいの増加によると考えられる。
    (3)延伸による配向度の増加はセルロース濃度,重合度の高いものの方が大きい。
  • 広田 致
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2194-2197
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ペクチンをエチルアルコール-水系で少量のKClの存在下に分別沈殿および分別溶解して次の傾向を認めた。
    (1)アルコール濃度15%付近でペクチンの半量以上が沈殿および溶解する。(2)アルコール濃度が高まるにつれて沈殿物および溶解物の重合度は低下し,同時に随伴ヘミセルロース類が増加して純度は低下する。(3)エステル化度による分別は認められない。
  • 京極 与寿郎, 小岸 徳也, 八浜 義和
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2198-2200
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    リグニンスルホン酸の分別物をナトリウム塩の形として沈降定数および粘度の測定を行なった。沈降定数の値は水溶液に食塩を添加するにともなって上昇し,Svedbergの“primary charge effect”を示すが,0.2M食塩濃度以上では大体一定となる。水溶液の粘度は濃度の低下とともに上昇し,ある濃度で極大となって後減少する。この異常現象は食塩の添加によって消失し,粘度の値は低下するが,食塩濃度0.2M以上では一定となる。これらはいずれも典型的な高分子電解質の挙動であって,食塩添加によって,無極性高分子と同様の挙動を示すことがわかる。最高分子量の区分について0.5M食塩水溶液,20℃で求めた沈降定数(無限希釈),極限粘度数および部分比容積はそれぞれ3.91,0.062,0.67であり,Mandelkern-Floryの式で分子量を計算すれば43,900となる。
  • 高橋 正夫
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2201-2204
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    毛細管式粘度計の一種であるUmstatterの構造粘度計を用いて,比較的大きいずれ応力領域におけるアクリロニトリル重合体のジメチルスルホキシド濃厚溶液の流動特性に対する種々の要因の影響をしらべた。
    みかけの流動度Φaあるいはみかけのずれ速度Dwaの対数とずれ応力Twの対数との間にはTw,が104~106dynecm-2の範囲で一般に直線関係が成り立つ。したがって流動度ΦはΦ=kΦaなる式で表わされる。ここでkはこの実験の範囲内で定数である。Dw=aTwNの関係式も成り立つ。
    kおよびNは分子量および溶液濃度の増加とともに増加するが,温度の上昇によってはほとんど変化しない。これら定数に対する共重合成分の含有量および分子量分布の影響についてもしらべた。
  • 須沢 利郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2205-2207
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カシミロン繊維の塩基性染料溶液におけるζポテンシァルを測定した。
    水中におけるカシミロン繊維のζポテンシァルは, 酸性より中性に移るにしたがってその負値を増し, pH約4.5より一定値に収れんした。この一定値(飽和値)の1/2のpHは約2.3であり,これよりカシミロン繊維はカルボキシル基より強酸性の基を持つことを推定した。
    染料の種類のいかんにかかわらず,pHが大となるとともに染着量に相当する+ζポテンシァルの変化量Δζは漸次減少または増加した。このΔζ が最大となるのはp H 3 ~ 5 の範囲であった。またp H の変化, 染料のいかんにかかわらず,染料濃度の増加とともに,Δζは漸次増加した。温度上昇によってΔζは漸次減少することが示された。さらに塩類濃度の増加とともに,+ζポテンシァルの極大があらわれ,そのあらわれ方は離液順列の順であった。
  • 須沢 利郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2208-2210
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    染料の染着にもとづく表面電荷密度および全染着量の増加は, pHの変化によってほとんど認められず, このことより本報の染着様式としては水素結合あるいはファンデルワールス結合が支配的であると思われた。
    繊維表面の電荷密度および染着量は,染料濃度の増加とともに増加し,また温度上昇によって漸次減少することが認められた。
    塩類濃度の増加によって表面電荷密度は漸次上昇したが,染料の加わった系のぞれと,加わらぬ系のそれとはほとんど変化なく,塩類による表面電荷密度の増加は塩類陰イオンの吸着にもとづくと考えられた。このことは全染着量が塩類濃度の増加によってほとんど変化しないことによっても支持された。したがって, テトロン繊維- 染料系で本報のような条件下では,塩類およびその濃度は全染着量にほとんど影響をおよぼさないと考えられる。
    また表面電荷密度および染着量ともに石炭酸濃度の増加とともに増加し,石炭酸のキャリヤーとしての効果が認められた。
  • 井上 祥平, 鶴田 禎二, 古川 淳二, 佐藤 良治
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2211-2216
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エノール化しえないケトン,たとえばベンゾフェノンのような芳香族ケトンとアルカリ金属とから生成するケチル(ケトンのモノアルカリ付加物) は, アクリロニトリル, メタクリル酸メチルなどを重合させる。しかしケチルはスチレンを重合させることはできない。一方,ケトンのジアルカリ付加物は活性が大きく,スチレンをも低温で急速かつ定量的に重合させ得る。この場合いわゆるリビング・ポリマーが生成していることが認められた。共重合実験の結果, ケチルおよびジ付加物による重合反応はいずれも陰イオン的におこっていることがわかった。なおこの際生成する共重合体の組成は溶媒の影響をうけない。ケチルの重合触媒活性は,ケチルのケトンおよび金属成分の種類,あるいは重合の際の溶媒の種類によってかなり変化する。またある種のケチルあるいはジ付加物によってえられたポリメタクリル酸メチルは, 著者らのいわゆるF型結晶性重合体と同一の赤外線吸収スペクトルを有することがわかった。これらの結果から,可能な重合反応機構の推論を試みた。
  • 植木 憲二
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2216-2219
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    PVAの脱水ヒマシ油脂肪酸エステルおよびp-t-ブチル安息香酸との混合エステルを合成し,その塗料適性ならびに硬化塗膜の粘弾性をねじり振動法による剛性率・対数減衰率の温度依存性から追跡して,橋かけ反応機構を検討した。
    有効網目形成の潜在橋かけ点濃度(脂肪酸含有量)には最適点があり,p-t-ブチル安息香酸の核構造を導入することが塗膜の乾燥・硬度の改善ならびに転移温度の上昇に極めて有効であることを明らかにした。
  • 馬波 久, 西崎 俊一郎
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2219-2223
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ビニルメチルポリシロキサン生ゴムにアセチレンブラックを充填したもの, およびエアロジルまたはセライトスーパーフロスを充填したものをつくり,両者を所要量とり,混合練り,再練りを行ない,加圧加硫30kg/cm2,170℃,30分,2次加硫200℃で処理じ,その組成と体積固有抵抗および物理的性質の関係,加熱劣化(200℃,250℃)による体積固有抵抗,物理的性質の変化,重量減少率,収縮率等をしらべた。その結果シリカ系充填剤の配合により物理的強度の飛躍的増大は認められなかったが,抗張力40~50kg/cm2,伸び300%,硬度50,体積固有抵抗10Ωcm~104Ωcm程度のものをつくることができた。また加熱劣化による物理的強度の低下,体積固有抵抗の低下は少なく,加熱による重量減少率収縮率も比較的小さく,耐熱性の向上が認められた。
  • 星野 道男, 堀 省一朗
    1960 年 63 巻 12 号 p. 2223-2224
    発行日: 1960/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
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