工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
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66 巻, 11 号
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  • 大井 尚文
    1963 年66 巻11 号 p. 1543-1548
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 田中 誠之
    1963 年66 巻11 号 p. 1549-1553
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 佐伯 慎之助
    1963 年66 巻11 号 p. 1553-1559
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 茂
    1963 年66 巻11 号 p. 1559-1561
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 宮本 敏夫
    1963 年66 巻11 号 p. 1561-1563
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 奥田 進
    1963 年66 巻11 号 p. 1563-1566
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 田中 誠之, 松井 とも子, 大場 琢磨, 戸田 昭三, 小川 雅之, 鈴木 尚, 木下 修, 山尾 正義, 河北 雅之, 柘植 盛男, 篠 ...
    1963 年66 巻11 号 p. 1567-1570
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    赤外吸収スぺクトル法による定量は通常標準物質を用い,頂点強度法により行なわれているが,この測定法は標準物質が得られない時には適用できず,頂点強度は器差が大きいため,文献値の借用はできないといわれている。そこで器差の少ない強度測定法を検討するために,Ramsay法による絶対強度と分子吸光係数比をとり上げ,各種多数の装置を用いて測定した。その結果,共に満足すべき結果が得られたが,絶対強度の場合には,半値幅の測定の誤差が大きく,装置間の変動係数は5%程度であった。これは装置などを改良することにより更に改善されると考えられる。分子吸光係数比に関しては,3%程度の変動係数で一致し,十分文献値を利用できることがわかった。両方法ともに岩塩プリズム使用の分光光度計では装置の両端,すなわち,約3600cm-1以上と約750cm-1以下ではバラツキが大きくなり,注意する必要があった。
  • 田中 誠之, 川端 欣五, 二瓶 好正, 鎌田 仁
    1963 年66 巻11 号 p. 1571-1577
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ごく最近開発されてきた赤外全反射吸収スぺクトル法の装置を試作し, 種々の工業分析化学的応用に関する基礎的な検討を行ない,また各種の応用を試みた。その結果,測定方法および測定条件においては,最適入射角と共に,試料と高屈折率媒質との密着状態が非常に大切であることが判明した。赤外全反射吸収スぺクトルと透過スぺクトルを比較すると,強度については短波長のものほど前者の方が後者より弱い傾向があったが,そのピーク位置は数cm-1以内で一致し,従来の透過スぺクトルを参考として赤外全反射吸収スぺクトルによる定性分析が可能であり, 実際に充填剤を含んだ高分子,カーボンブラックおよび無機物含有加硫ゴム等の分析に応用できた。定量分析の場合は,入射角が大きな因子であり,その上,試料の屈折率に関連して,透過法では考えなくてすむ困難が生じ,一般には入射角を変えながら測定しなければならないことが最大の欠点であるが,天然ゴム-SBRの組成分析は,入射角固定で測定できたので,よい精度で定量可能であった。
  • 武内 次夫, 鈴木 義仁
    1963 年66 巻11 号 p. 1578-1582
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    試料中に微量存在する脂肪族アルデヒドのIRによる分析法について研究した。
    脂肪族アルデヒドおよび不飽和モノエンアルデヒドの2 , 4 - D N P H を合成したのち精製し, 紫外吸収スぺクトル, ぺーパークロマトグラフィー,融点等の性状を調べたのち試料として用いた。四塩化炭素溶液としてIRを測定すると,1330cm-1のピークはすべてのアルデヒドの2,4-DNPHに対して分子吸光係数はほとんど一定であった。従って1330cm-1の吸光度を測定することによって試料中の全濃度が求められる。つぎに2870cm-1の吸光度より試料中のアルデヒドの炭素数(平均分子量)が求められる。もし,不飽和モノエンアルデヒドを含む試料の場合には980cm-1に吸収ピークが現われるので,この980cm-1の吸光度より不飽和モノエンアルデヒドの存在量が求められる。
    数種の混合試料についての分析結果は良好であった。つぎにエルシン酸メチル40gに空気を送入して酸化させた際生成する微量のアルデヒドについて分析を行なった。エルシン酸メチル40gに70ml/minの乾燥空気を送入し96℃±1℃に加温し酸化させ,反応開始より12時間経過するまでに26.1mgのアルデヒドが生成した。
    この値は試料を直接紫外吸収スぺクトルを測定する方法およびぺーパークロマトグラフィーを行なったのち分離した斑点を抽出して,紫外吸収スぺクトルを測定する方法の両法を併用して求めた値に一致した。従来は上記の両方法を併用する方法以外の方法で求めることはできなかった。
  • 武内 次夫, 鈴木 義仁
    1963 年66 巻11 号 p. 1582-1585
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成過程あるいは反応過程において微量に生成するケトンの分析法を確立する目的で, 酸, アルコール等の試料中に微量に存在するケトンについてIRスペクトルによる分析を行なった。ケトンとして使用したものはジメチルケトン, メチトンおよびメチルイソブチルケトンである。試料中に微量に存在するこれらのケトンは直接赤外吸収スぺクトルによる分トンおよびメチルイソブチルケトンである。試料中に微量に存在するこれらのケトンは直接赤外吸収スペクトルによる分析ができない。著者らが行なってきた一連の研究から2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(以下2,4-DNPHと略記する)誘導体として分離するのが最も良好であると思われる。そこで試料に2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを加えて反応させたのち, アルミナ充填カラムを用いてヘキサン-ベンゼン混合溶媒で展開し, ケトンの2,4-DNPHのフラクションを得た。
    ケトンの2,4-DNPHはいずれも1330cm-1の分子吸光度は一定値を示し,かつ最も感度の高いことを知った。従って1330cm-1の吸光度を用いて上記分離物中のケトンの全定量を行なった。またケトン中のそれぞれの成分の分析にはケトンの2,4-DNPHのそれぞれの特性波長を用いて分析が可能であった。その一例として酸,アルコール中に微量に共存するぺンタノン混合物中の2-ペンタノンおよび3-ペンタノンのそれぞれの定量を行なった。
    本法は,従来赤外吸収スぺクトル法では分析が困難とされていた微量混在するケトン類の分析法として価値あるものと考える。
  • 大井 尚文
    1963 年66 巻11 号 p. 1585-1587
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    従来の分析法では定量が困難であった4-クロル-2-ニトロトルエン,6-クロル-2-ニトロトルエンおよび2-ニトロトルエンの混合物について, 工業的な行程管理のための簡単かつ迅速な定量法を確立する目的で赤外吸収スぺクトルによる方法を検討した。
    定量のkeybandとしては12.23μ,13.45μ,12.77μを選び, まず標準法を検討してこれを確立したあと簡易法としてベースライン法を試み,各key bandにおいて適当なベースラインをひくと,各成分は他成分の吸収め影響なしにそれぞれ1 成分系として簡単に定量できることを認めた。
    標準混合試料についての分析結果をYoudenの方法によって検定すると簡易法における標準偏差はそれぞれ0.61%,0.59%,0.65%となり,かたよりもなく標準法の場合と大差はなかった。この簡易法は広い範囲の試料に適用され,迅速な操作で定量できるので工業分析法として有用である。
  • 伊東 昭芳, 北原 新哉, 檜山 八郎
    1963 年66 巻11 号 p. 1587-1593
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリンのジスルホン化において生成するジスルホン酸異性体の確認ならびにその生成比の分析に利用する目的で,純粋なジスルホン酸ナトリウムを調製し,これらの赤外吸収スぺクトルを測定した。10種類のジスルホン酸異性体のうち,1,2-,1,3-,1,4-,1,6-,1,7-,1,8-,2,3-の7異性体はそれぞれ相当するナフチルアミンスルホン酸よりジァゾニウムスルホナート, スルヒノスルホン酸を経て合成した。ジスルホン酸ナトリウム中の水分ならびに臭化カリウム錠剤の経時変化の吸収スペクトルにおよぼす影響をしらべた結果,ジスルホン酸異性体の大部分は水分含有率により水にもとづく吸収帯以外の領域においてもかなりの差異を示すものあり,赤外吸収スぺクトルを用いるこれらの分析に際し,試料の乾燥程度と,臭化カリウム錠剤の経時変化に留意しなければならないことがわかった。
  • 小田 仲彬, 角尾 貞之, 堀江 良男
    1963 年66 巻11 号 p. 1593-1597
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    N-メチル-N-(1-ナフチル)チオノカルバミン酸2-ナフチルの含有率が90~100%の試料を定量する目的で,方法A(2成分系通常法),方法B(0.5mmの固定セルを使用した補償法),方法C(10mmの固定セルを使用した補償法)の三方法につき検討した。
    分析結果はYoudenの方法により回帰直線の検定を行ない,三方法共に5%の有意水準において有意な偏りのないことを認めた。
    分析精度を標準偏差で示すと,方法A は0.32(%),方法B は0.29(%),方法Cは0.09(%) である。また,1試料あたりの分析所要時間は,方法Aが約40分,方法Bが約90分,方法Cが約35分である。これらの方法につき,操作,迅速性,費用等の実用性も加味して総合的に判定すると,方法A,Cは工業的実用上満足すべき分析法であることを認めた。
  • 田中 誠之, 久良知 輝郎, 柘植 盛男, 佐藤 栄男, 河北 雅之
    1963 年66 巻11 号 p. 1597-1601
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水溶液中のホルムアルデヒドは水和してメチレングリコールと低級ポリオキシメチレングリコールとの平衡混合物として存在している。この平衡混合物の平均重合度測定法は二,三報告されているが,実際的応用面で十分とはいえない。今回著者らは,モレキュラーシーブによる方法と,近赤外吸収法により検討し,モレキュラーシーブの分子の長さによる吸着特異性と近赤外吸収法による末端基定量等の方法により,二つの重合度測定法を検討した。またこの方法を用いて,温度およびホルムアルデヒド濃度を変化させた場合の平均重合度に与える影響を調べた。その結果,温度が高い程,またホルムアルデヒド濃度が小さい程,平均重合度は小さくなることがわかった。この傾向は動力学的研究により報告されている結果と一致する。
  • 吉見 直喜, 山尾 正義, 田中 誠之
    1963 年66 巻11 号 p. 1601-1604
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    p-メチロールフェノールの熱硬化反応機構を知るために,加熱試料から発生するガス状物質をガスクロマトグラフにより分析し,また生成樹脂の赤外吸収スペクトルを測定し,この両者の分析から硬化反応を検討したところ,つぎのようになった。
    1.加熱発生ガスは水のみであり,加熱温度の上昇とともにその発生量は次第に増加し,200℃ では試料1molから0.8molの水を発生した。
    2.硬化反応は,低温ではジメチレンエーテル結合-CH2OCH2-が主として起こり,高温になるにつれて,オルト位に対するメチレン結合-CH2-ならびに,ジメチレンエーテル結合の分解および再配列が起こるものと考えた。
  • 府川 幸資
    1963 年66 巻11 号 p. 1605-1609
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報においてはポリ塩化ビニル(PVC)の赤外吸収スぺクトル(IR)を広い温度領域で測定した。このときは主に融点付近の挙動について詳細に検討し,これに関する知見を得た。本報告では塩素化PVC,重合温度の異なるPVCの皮膜について,そのIRならびに比容積のガラス転移点付近の温度変化を調べた。塩素化PVCのガラス転移点は塩素含量の増大とともに高温側に移動し,その変化はGordonらの共重合物に対しての式が適用できる。IRの吸収バンドの吸光度は温度上昇とともに低下するが,ガラス転移点付近に屈折点があり,これの温度領域は比容積の温度変化より決定したガラス転移点とほぼ同じである。この現象は試料の変形, 吸収スぺクトルの形の変化, 基準線の変化等による見掛けのものでなく,またPVCに特有なことでもない。これは屈折率の温度変化とよく似ており原理的にもこれと同じである。D690/D635およびD690/D615の温度変化よりガラス転移点以上では分子鎖の屈曲する割合は大となる。また635cm-1の結晶バンドはかなり非晶領域中の振動も含む。
  • 島崎 昭夫, 小島 真澄
    1963 年66 巻11 号 p. 1610-1613
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂をカルボン酸無水物で硬化させるときの反応の内容については,反応が進行しても硬化しないモデル物質を用いた実験により推測されている。しかし実用樹脂の硬化過程を物性の変化等と関連させて理解するには実際に使用される樹脂について硬化の化学反応の内容を知る必要がある。そのためここでは,赤外吸収スぺクトル法により硬化反応の分析を行なった。反応進行の目安としてアミン硬化の場合は910cm-1のエポキシ環の特性吸収に着目しているが,この領域では酸無水物の特性吸収が重複する。ここでは1900~1650cm-1のC=O伸縮領域に着目した。1850cm-1の酸無水物の吸収は化学分析値との対応もよく,定量に用いることができた。また1780cm-1のエステル結合,1700cm-1のカルボキシル基および1130cm-1のエーテル結合,900~910cm-1のエポキシ環と酸無水物等による吸収帯の変化より,実用樹脂の反応基の減少と化学結合の生成について考察し,硬化過程の内容を化学的に知ることができた。
  • 水渡 英二, 荒川 正文
    1963 年66 巻11 号 p. 1614-1617
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ゴムに対する補強性充テン剤の効果を研究するために充テン剤,充テン剤配合ゴム,充テン剤配合加硫ゴムなどの赤外吸収スペクトルを測定した。従来困難であった充テン剤配合加硫ゴムのスペクトル測定のために氷結ミクロトーム切片法を開発し,よい結果を得た。この方法により数種の充テン剤配合合成ゴムの赤外吸収スペクトルを測定し,特にハードクレーと,その配合ゴムのv-OHの吸収変化から,この補強効果はカオリナイト結晶粒子中のOH基,特にc軸に平行な面に存在するOH基の効果が大きいことを推定した。
  • 水渡 英二, 荒川 正文, 近藤 三二
    1963 年66 巻11 号 p. 1618-1621
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カチオン性有機化合物オクタデシルアミンを吸着させたODA-ペントナイトと,非イオン性有機化合物ステアリン酸アミドをオクタデシルアミンとの複合物として吸着させた(ODA+SA)-ベントナイトの構造をX線回折と赤外吸収スぺクトルによって研究した。ODA-ペントナイトではオクタデシルアミンの添加量につれてモンモリロナイト結晶の(001)面間隔が4Å,8Å,22Åと階段的に増加するが, (ODA+SA)-ベントナイトでは添加初期から22Åになり階段的な経過をとらない。ODA-ベントナイトの赤外吸収スぺクトルはオクタデシルアミン・イオンの吸収を示している。(ODA+SA)-ベントナイトでは結晶層間に吸着されたステアリン酸アミドのアミドI,II,NH,OHなどの吸収が変化する。これらの結果から,カチオン性のオクタデシルアミンは既に知られているようにカチオン交換吸着によってモンモリロナイト結晶層間に存在するが,ステアリン酸アミドは結晶層と水素結合のような強い結合をして存在していると推定される。
  • 高山 雄二
    1963 年66 巻11 号 p. 1622-1625
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    赤外線分光器による重合物の分析は,広く行なわれはじめてからすでに10年以上にもなっており,数々の成果が発表されており,それをメタクリル樹脂に適用することも容易であるように類推される。しかしながら,最も一般的なメタクリル樹脂の中の5~15%も含まれる成分の分析をその方法で実施してみると存外赤外スペクトル法は無力であった。その理由は主成分であるメタクリル酸メチル自体が強い吸収を有し,かつ指紋領域に比較的幅の広い吸収帯を有するからである。しかしながら主成分自体は熱分解により容易に高収率でモノマーに戻るものであり,かつ紫外部に吸収を有しない特徴があるので,この性質を利用し熱分解法またはそれを併用した質量分析法,紫外スペクトル法が存外有効であることがわかった。したがってメタクリル酸樹脂の分析においては種々の分析方法を併用し,赤外スペクトルも一つの参考データと考え総合的に判断を下すことが必要であるといいうる。
  • 間宮 真佐人
    1963 年66 巻11 号 p. 1625-1629
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    高温度における近赤外領域の吸収スぺクトルを測定するために性能のよい高温セルを設計,試作しこれを用いて塩化リチウム-塩化カリウム(1+2)混合(mp約370℃)溶融塩中の希土類元素,ニッケルおよびコバルト錯体の近赤外吸収帯の研究を行なった。軽希土類元素ではプラセオジムおよびサマリウムについて吸収帯を見出した。これらの吸収帯は硝酸塩溶媒および重水素溶媒中のものと大体類似している。ニッケルおよびコバルトについては520℃ 以上の高温では一定のスぺクトルを得られ極大吸収波長はそれぞれ1.248および1.550μ 付近にあり,その吸光係数(塩化物,ニッケルならばNiCl2としたモル吸光係数,以下同様に表わす)は3.99および2.93であることを発見した。この温度より低くなると吸収スぺクトルは複雑なものとなる。これは隣接しているイオンの場が変ることによって溶融塩中のNi2+およびCo2+錯体の種類の変化によるものである。これらの事項について検討する。
  • 山崎 毅六, 岩間 彬, 青柳 鐘一郎, 祖父江 照雄, 林 実, 岸 和男
    1963 年66 巻11 号 p. 1630-1633
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    接着,強度,伸び率など機械的性質に優れ,多量の粉体を含んでも注型可能な流動性をもち,しかも燃焼安定性の高いポリウレタン(PU)~ 過塩素酸アンモニウム(AP)系推進剤のうち,とくに側面燃焼様式のロケットモーターの要求に適した低燃焼速度でかつ高比推力のものを提出する。推進剤の主成分はAP75~78部,PU22~25部および必要量の添加物よりなる。これらの燃焼性能は70kg/cm2(abs.)の燃焼室圧力において,比推力240秒以上,線燃焼速度は約3mm/sec以下である。また線燃焼速度(rB)の圧力指数(n)は小さく,rB∝PCnとすればn=0.22~0.37が得られた。ここにPCは雰囲気圧力である。
  • 久保 輝一郎, 白崎 信一
    1963 年66 巻11 号 p. 1634-1638
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    示差熱分析によって固相転移を動力学的に考察するために,その実験条件の検討,転移速度式の導出を行ない,γ-Fe2O3→α-Fe2O3転移の場合について各温度での転移速度定数および活性化エネルギー,逆反応の活性化エネルギー等を求めた。
    分析容器の一方には,γ-Fe2O3:NaCl=3:1(試料層) , 他方にはα-Fe2O3:NaCl=3:1(標準層) の重量比で, 共に300mgとると,両層および転移前後での比熱,熱伝導度がほぼ等しくなり,転移速度式が導出できる。断熱制御状態で示差熱分析図形をとり,これから転移による発熱の全面積A,各温度まで囲んだ面積a,各温度での勾配dΔT/dt高さΔTなどを求め,固相転移がdn/dt=knl(1-n)に従うものとすると,転移速度定数kは次式から得られる。自触作用を表す羃l を0,1,3/4,2/3,1/2 と仮定し,kのArrhenius点綴を行なうと,l=2/3の場合のみが直線性を満足し,転移がdn/dt=kn2/3(1-n)に従うことが確認された。その活性化エネルギー,逆反応の活性化エネルギーは,おのおの20.9,25.5kcal/molで,この値は粉末法X線回折によって常法に従って求めえ活性化エネルギー23.9kcal/molとほぼ一致し,示差熱分析による検討の妥当性が立証された。
  • 今永 広人
    1963 年66 巻11 号 p. 1639-1641
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ニッケル・モリブデン合金電着に関して,浴中に含有される電解質陽イオンの影響を明らかにするため,前報に引き続き,カリウム(K),リチウム(Li)およびアンモニウム(NH4)塩浴について検討を加えた。合金のモリブデン組成はK,Li塩ともに,浴のMo6+濃度が0.4mol/lに至るまでその濃度に比例的に増大し,電流効率は0.2mol/l以上で著しく低下する。Mo6+濃度が0.05mol/l以上のNH4塩浴からは電着合金が得られない。合金組成,モリブデン電着量,電流効率の観点から,高モリブデン合金を得るには,K塩浴が最も効果的であることが判明した。浴のMo6+濃度,Dk,pHの値に関係なく,モリブデン35%以上の合金は60%以上の電流効率で得がたくなり,最大モリブデン組成はその当量比(Ni/Mo(VI))で1:2となることがK塩浴から推定された。本研究において,K塩浴から最大53%モリブデン合金が約7%の電流効率で得られた。
  • 斎藤 俊英, 小篠 善雄, 近藤 五郎
    1963 年66 巻11 号 p. 1641-1644
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    用水中に溶存している微量の鉄(II)イオンを空気酸化によって水酸化鉄(III)として除去する目的で,空気を吹きこんで酸素で飽和した水に5~15ppmの鉄(II)イオンを溶存させた検水について,鉄(II)イオンの空気酸化に対する種々の因子の影響を検討した。水のpHの影響はとくに大きく,鉄(II)イオンの酸化速度はpH6までは5%/hr以下であるが,pH6.7付近から急に速くなり,pH7.2以上では10分以内で完全に酸化された。また温度が高くなるにつれて酸化は速く進んだ。つぎに硫酸アルミニウム,硫酸鉄(III),硫酸銅などの添加の影響について検討した結果,Al3+,あるいはFe3+としてそれぞれ20ppmの存在は,pH5.0~6.9においてさほど影響しなかった。つぎに0.5ppmCu2+の存在下で酸化速度はpH5.6付近までは6%/hr以下であるが,pH5.6以上から速くなり,pHが増大するにつれて著しく速くなった。また硫酸銅の添加量が増大するにつれて酸化は速く進行した。
  • 斎藤 俊英, 小篠 善雄, 近藤 五郎
    1963 年66 巻11 号 p. 1645-1647
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    日本の河川水中にはふつう1ppm以下,ときには1~5ppmのMn(II)を含んでいる。そこで用水中に溶存するマンガンを除去する目的で,硫酸マンガンとして添加した1.42~5.68ppmのMn(II)を溶存させた検水について過マンガン酸カリウムによるマンガン除去法を研究した。過マンガン酸カリウムを添加すると,ただちにコロイド状の二酸化マンガンを生成するので,これを硫酸アルミニウムによって凝集させ遠心分離後,上澄液中に溶存するマンガンを比色定量した。このさい,マンガン除去におよぼす種々の因子,硫酸アルミニウムの添加量,過マンガン酸カリウム添加後経過時間,および各種pHにおける過マンガン酸カリウム添加量などの影響について検討した。水中に存在するマンガンを90%以上除去するためには,硫酸アルミニウムの添加量は2.1ppm以上のAl(III)が必要であり,また過マンガン酸カリウム添加後経過時間は20分間以上を必要とした。つぎにpH5~10の領域において過マンガン酸カリウムの最適添加量はp H が増大するにつれて減少した。Mn (II)1.42ppmの他に,FeSO4,Na2SiO3,Na2CO3,Ca(OH)2,NaCl,KNO3,(NH4)SO4,KH2PO4を含む合成用水について本法により処理した結果,上澄液中のマンガンは0.02ppm以下になった。
  • 武内 次夫, 説田 勉
    1963 年66 巻11 号 p. 1648-1651
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セライト545,耐火レンガC-22,α-アルミナ,カーボンブラック,炭化ケイ素,食塩,ガラス玉等の物質に関して,低液相カラムの固定相担体としての可能性を比較検討した。
    比較に際しては,これらの物質の嵩比重を測定し,固定相液相量が担体単位体積あたり一定になるようにした。化学的性質の異なる3種の試料混合物のクロマトグラムによりカラム性能を比較した結果,低液相カラム固定相担体としてはテーリングレデューサー添加による耐火レンガC-22が最も一般的で良好であり, それにつぐものがセライト545であるという結論を得た。
    更に,固定相担体の液相物質,分析試料に及ぼす接触作用,特にテーリング現象について考察した。
  • 村上 徹朗, 石井 栄善
    1963 年66 巻11 号 p. 1652-1655
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    セレンに酢酸酸性pH3.5で1,8-ナフチレンジアミンを加え80~95℃,20分加熱すると褐色を呈し,発色物はpH4~6でクロロホルムで抽出することができ,抽出物は372mμ に吸収極大がある。検量線は0~90μgSe/10mlまで直線となり,感度は最近常用されるジアミノベンジジン法によるものと差がない。本法の条件でセレンと試薬は1:1の反応比を示しNaphtho(1,8cd)-(1,2,6)Selenadiazineを生成すると考えられる。試薬溶液はジアミノベンジジンのそれより安定で, 室温で1 週間は使用に耐え酸化防止をすれば1ヵ月は使用に差支えない。妨害イオンもE D T A 添加で軽減でき,Fe3+50倍,他の陽イオンは500倍,共存も許容され,テルルはじめ陰イナンの共存も差支えなく,殊に多量の硫酸イオン共存が影響を与えないのは本法の特徴である。本法を硫酸中のセレンの定量に応用しJIS法と比較,イオウ中のセレンは燃焼分解後本法を応用したが,いずれの結果も良好な精度を示した
  • 武内 次夫, 田中 保, 古沢 源久
    1963 年66 巻11 号 p. 1656-1659
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    無水マレイン酸とのジエン反応を利用するアントラセンの定量法は,各種提案されているが,本報においては従来の方法より更に迅速な新改良法を提案する。本定量法の要点は溶媒としてo-ジクロルベンゼンを使用することで,その沸点温度においてアントラセンと無水マレイン酸とをジエン反応させる。加熱時間10分間で99.84%まで付加反応を行なわせることができた。冷却後,水を加え溶媒の存在のままで,チモールブルーとクレゾールレッドとの混合指示薬を使用して,0.25N水酸化ナトリウム標準溶液で滴定して,過剰の無水マレイン酸の量を求め,最初に加えた無水マレイン酸の量との差から,無水マレイン酸と反応したアントラセンの量を求める。これに,上記の付加反応率の逆数を乗じて,アントラセンの含有量を求める方法である。分析所要時間は約30分である。アントラセン中に通常含まれている不純物は影響しない。
  • 井上 忠雄, 小山 菊彦, 松岡 徹, 松岡 公明, 堤 繁
    1963 年66 巻11 号 p. 1659-1663
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    電極反応を利用するラジカル的有機合成反応に関する研究の一環として,メタノールの陽極酸化を研究対象に選び,メタノール自身を溶媒とする非水溶液中でトルエン, エチルベンゼン, イソプロピルベンゼンなどのラジカル捕捉物質共存下に陽極反応過程を検索し併せて有機合成面への積極的利用を検討した。その結果,メチルベンジルエーテル,α-メトキシフェニルエタン,α-メトキシイソプロピルベンゼンなどがそれぞれ主生成物としてえられ,本過程が,(1)メトキシラジカルの生成を経て進むこと,(2)メトキシラジカルによる水素引き抜き反応は常法の有機化学的手段による芳香族炭化本素からのラジカル的水素引き抜きの挙動とほぼ一致して,トルエン<エチルベンゼン<イソプロピルベンゼンの順にメトキシ誘導体がえられること,(3)また適当な条件下では生成するメトキシラジカルが十分有機合成面に利用されうることなどが認められた。
  • 須本 操
    1963 年66 巻11 号 p. 1663-1667
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    各種金属箔の存在下に,ビス(β-オキシエチル)テレフタレートを密閉系で加熱溶融せしめ,自己縮合反応の結果生成したエチレングリコールを定量し,金属の接触作用について検討した。
    その結果,比較的イオン化傾向の大きい金属が触媒として有効であることがわかった。さらに反応率と時間の関係をしらべたところ,著しい加速的な経過をたどることが判明した。金属の表面に付着している恐れのある酸化物,水酸化物,炭酸塩等の効果について研究したが,いずれも金属そのものより接触能が大で,とくに水素より大きいイオン化傾向を有する金属のこれら化合物が効果的であった。金属箔の接触効果をしらべる際に,水,キレート化剤等を少量添加すると,反応速度は著しく減少し,反対にヨウ素,塩化水銀(II)等の化合物を加えると増大した。以上の結果から,エステル交換反応に有効なものは,金属表面そのものではなく,アルコラートとして反応系に溶出したものが有効であることがわかった。なお本反応における遊離グリコールの平衡量を重量法によって求めた結果,約50%であることから,平衡定数はほぼ1であることを確認した。
  • 木谷 進, 岩本 多実
    1963 年66 巻11 号 p. 1667-1671
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタンの空気による部分酸化によって生ずる残留メタン-水蒸気-水素-酸化炭素-炭酸ガス-窒素の各成分比を,温度900,1000および1200°Kの条件で,空気-メタン混合比を変数として化学平衡論の立場から計算した。またこの反応には炭素析出の可能性があるが,この境界条件も温度および空気-メタン混合比を変数として算出した。以上の結果から全反応領域を4種に区分して考察をおこなった。計算上おこなった仮定の成否を試験するため,天然ガスと空気の混合ガスをニッケル触媒を用い,(750℃,a(O2/CH4)=0.68),(800℃,a=0.68),(950℃,a=0.80)等の条件で反応させ,生成したガスの各成分百分率をもとめ計算値との比較をおこなった。その結果によれば両者の間に矛盾がみとめられなかったので,計算の前提および得られた計算結果は正しいものと考えられる。また炭素析出領域である750℃,a=0.13における反応を実験的にしらべ,非炭素析出領域における結果との比較をおこなった。
  • 森田 茂, 加藤 暁, 井上 俊遠
    1963 年66 巻11 号 p. 1671-1675
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メタン-水蒸気反応において,ガス中に存在する有機イオウ化合物の触媒性能におよぼす影響を検討した。その結果イオウ化合物を添加すると,触媒性能は低下し,イオウ濃度に応じて一定値をとるに至る。この値とイオウ濃度の間には,ほぼ1次的な関係があり,イオウ化合物の種類には関係はない。またイオウ化合物の添加を中止すると,短時間に触媒性能はもとに復する。なお実験に用いた触媒の表面積を測定した結果,還元処理によって表面積は増加するがイオウ被毒によって減少することが判明した。
  • 福住 一雄, 岩田 佳昭, 高田 盛隆
    1963 年66 巻11 号 p. 1675-1678
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    不飽和脂肪酸エステルの自動酸化初期反応生成物としてのヒドロペルオキシド濃縮体については,広く研究されているが,いわゆる高度不飽和酸エステルヒドロペルオキシド濃縮体の研究はまだあまりない。さきに行なった向流分配法による研究では,無変化のヒドロペルオキシド濃縮体をえたが十分なる分離は困難であった。そこでほとんど純粋なドコサヘキサエン酸メチルを用い,これを-1~2℃ で自動酸化し,生成物をジリカゲル,メタノール-ベンゼンを用いる分配クロマトグラフィーにより分離し, 過酸化物価, 紫外吸収スペクトル, 赤外吸収スぺクトル等からそれらの区分の性状を検討した。未酸化区分,モノヒドロペルオキシド(〓の存在が推測される),第3区分を有効に分離しえた。たただし第3区分はクロマトグラフカラム上で変化したヒドロペルオキシドとして分離された。
  • 伊沢 康司, 相木 喬, 木村 和三郎
    1963 年66 巻11 号 p. 1679-1682
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    紫外部に特性吸収を示さない脂肪族陽イオン活性剤のUV吸光光度法による定量法を検討した結果,第四アンモニウム塩の滴定基準物質として,合成の容易さ,純度,安定性のすぐれているポリハロベンゼンスルホン酸塩のなかで,水溶性のもっともよい,p-クロルブロムベンゼンスルホン酸カリウム(CBBS)を陽イオン活性剤の沈殿剤として用い,これに吸光光度法を併用する脂肪族陽イオン活性剤の定量法を創案した。すなわち,陽イオン活性剤に一定過剰量のCBBSを加え,活性剤-CBBS塩をロ別した後,過剰量のCBBSを吸光度(288.7mμ)測定により定量し,検体活性剤量を算出定量する。本法により, アルキル基鎖長C12,C16,C18のアルキルトリメチルアンモニウムクロリドの定量を行なった結果,C16,C18の比較的分子量の大きい陽イオン活性剤の定量に本法が簡便, 正確に適用でき, さらに,CBBSを脂肪族陽イオン活性剤の紫外部への賦活剤として用いる本法の一変法はC12~C18の陽イオン活性剤分子量の測定に好結果をもって適用できることを認めた。
  • 平尾 一郎, 藤本 勉, 加藤 安彦, 岡崎 博
    1963 年66 巻11 号 p. 1682-1685
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    5-ニトロフルフラールとヒドラジノピリミジン類との反応により,2-(5-ニトロ-2-フルフリリデンヒドラジノ)ピリミジンを筆頭に,10個の5-ニトロ-2-フルフリリデンヒドラジノピリミジン誘導体を台成した。ヒドラジノピリミジン類の合成は,アルキルチオピリミジン類とヒドラジンヒドラートの反応,およびクロルピリミジン類とヒドラジンヒドラートの反応の二法によったが,クロルピリミジン類とヒドラジンヒドラートの反応の場合,ジクロルピリミジン類およびトリクロルピリミジン類と, ヒドラジンヒドラートの反応において, 通常の反応条件下ではピリミジン核の活性塩素原子がすべてヒドラジン置換を行なわず4,6位の塩素のうち,いずれか一方だけが未反応のまま残存することを見出した。
  • 西出 英一
    1963 年66 巻11 号 p. 1686-1690
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アルギン酸プロピレングリコールエステル(以下,PGAと記載する)の未反応部分の一部に-COONa基(以下,Na-PGAと記載する),-(COO)2Ca基(以下,Ca-PGAと記載する),-(COO)2Mg基(以下,Mg-PGAと記載する)を導入したPGAを合成し,その水溶液性状,すなわち粘性,毛管上昇性,透明度,乳化性,泡沫安定性等について検討した結果,次の知見が得られた。
    1)粘性各PGAの還元粘度と濃度との関係は高分子電解質としての特性を失い,一般高分子と同じような挙動を示し,-COONa基,-(COO)2Ca基,-(COO)2Mg基の導入によりPGAの流動性はよくなりニュートン流動を示すようになる。粘性に対する電解質の影響はいちじるしく,各PGAに有機酸を添加すると,H,Ca-PGAは粘性の低下が,Na-PGAは粘性の上昇が認められ,Mg-PGAはなんらの変化も示さなかった。次に塩化ナトリウムを添加すると,H-PGAは粘性の低下が認められ,Na,Ca,Mg-PGAは若干の粘度低下の後,添加濃度の増加にしたがいかえって粘度上昇が認められる。
    2)毛管上昇性H,Na,Ca-PGAは有機酸の添加により毛管上昇性の減少が認められるが,Mg-PGAは変化が認められない。毛管上昇性の減少の順序はシュウ酸> 酒石酸>クエン酸>酢酸となり,減少率は添加有機酸の解離定数の大きいものほどいちじるしい。
    3)透明度各PGAに有機酸を添加した場合,H,Na,Ca-PGAは有機酸の添加により透明度の低下が認められ,Mg-PGAはかかる変化が認められない。透明度は酢酸>クエン酸>酒石酸>シュウ酸の順である。
    4)乳化性未反応部分に結合する金属によっていちじるしい影響を受け,その順序は次のとおりである。Na-PGA>Mg-PGA>Ca-PGA>H-PGA
    5)泡沫安定性乳タンパクの存在において各PGAの泡沫安定性は良好であるが,未反応部分に存在する金属の種類による影響は次の関係にあった。Mg-PGA>Na-PGA>Ca-PGA>H-PGA
  • 三島 茂次
    1963 年66 巻11 号 p. 1690-1693
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    IpatieffおよびPinesは,リン酸のような酸触媒によるプロピレンの重合について二つの種類に分類した。すなわち反応生成物がモノマーの分子量の整数倍の分子量を持っているモノオレフィンであるところの真重合と,反応生成物がオレフィン,ジオレフィン,パラフィン,ナフテン,シクロオレフィンおよびアロマチックの複雑な混合物であるところの接合重合である。その後,Langolisはモノマーの整数倍でないところのオレフィンを生ずる異状重合を提示した。しかし,いわゆる真重合においてさえも,生起する反応の数および複雑さは非常に大きく,そのために分留法やクロマトグラフ法によって,異状重合を実証することは困難であると思われる。著者は,固形リン酸触媒を用い,ある一定の条件のもとで重合して得たプロピレン重合物を,蒸留法やクロマトグラフ法によらず,より精確である質量スぺクトル分析によって,異状重合を実証した。
  • 宮川 高明, 夜久 富美子, 武本 宜教
    1963 年66 巻11 号 p. 1694-1697
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アセトアルデヒドからポリエーテル構造をもつポリマーの合成にさいして, ポリリン酸- アミン系触媒が重合活性をもつことをさきに報告したが,ポリリン酸を一つの成分として,これに第四アンモニウム塩,尿素などの含窒素化合物やキノン類を添加しても,-78℃ の低温において非晶性のポリマーを与えることを見出した。このほか,それ単独では重合活性を示さぬ各種の金属酸化物や金属塩類も,ポリリン酸と共存するとかなりの活性を示した。中性の高縮合リン酸塩であるヘキサメタリン酸ナトリウムやカリウム塩も,オルトリン酸やポリリン酸と共存せしめると重合活性をもつようになる。オルトリン酸で活性化した場合,ポリリン酸塩の縮合度は3以上でなければならない。この重合反応系における溶媒効果や触媒の分散の影響を検討した。有極性の溶剤は反応を抑制するが,アクリルニトリルやエーテルの共存する場合や担体を用いて触媒の分散をよくした場合には,反応速度が著しく早くなることを認めた。これらの場合,ポリマーの重合度にはほとんど影響を与えない。
  • 宮川 高明, 山本 襄
    1963 年66 巻11 号 p. 1697-1702
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリリン酸を触媒の一主要成分として用いるアセトアルデヒドの重合のメカニズムについて検討した。種々の量のP2O5を含むポリリン酸についての水酸化ナトリウムあるいはモノメチルアニリンによる滴定曲線や, ポリリン酸- モノメチルアニリン系触媒の中で活性を示すものと,不活性のものの赤外吸収スペクトルの結果からポリリン酸の縮合度は,少なくともテトラポリリン酸以上であること,およびポリリン酸の強解離性の酸性基の1/3以上が存在していることの必要性が明らかになった。ポリリン酸-モノメチルアニリン系触媒上に吸着されたアセトアルデヒド,および特に調製された低重合度のポリアセトアルデヒドの赤外吸収スペクトルと,触媒成分として用いられた放射性ポリリン酸の挙動の追跡の結果から,重合機構が考察された。アセトアルデヒドは-78℃ の低温において,触媒表面に活性化吸着されて,新に,C-O-Pの結合を生ずる。これにポリリン酸触媒上に残存するプロトンが付加してOH基を形成すると共に反応が開始される。カルボニウムイオンによって重合は進行し,生長ポリマーの末端からの触媒の離脱によって反応は停止される。添加剤はおそらくポリマ一端からの触媒の離脱を抑制するものと考えられる。
  • 宮川 高明, 山本 襄, 武本 宜教
    1963 年66 巻11 号 p. 1703-1707
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヘキサメタリン酸カリウム,トリポリリン酸ナトリウム等,その重合度が3以上のポリリン酸塩は,ジエチル亜鉛,トリエチルアルミニウム,水素化リチウムアルミニウムと併用することによって,-78℃ においてアセトアルデヒドから結晶性ポリマーを90%以上含む重合体を50~70%の収率で与える。ポリリン酸塩の混合比の大きい時には,その生成ポリマー中の結晶性部分の割合は100%に近づくが,その混合比がそれぞれ,[P-O-K]/[Zn(C2H5)2]≒1.8,[P-O-K]/[Al(C2H5)3]≒2.6,[P-O-Na]/[LiAlH4]≒0.9こおいて触媒活性が急激に減少して活性についての極小を示すことが見出された。最適触媒濃度はモノマーに対し1.5%付近にあり,かつ重合時に共存する溶剤は生成ポリマー中の結晶性部分の生成比に余り大きな影響を与えないことがわかった。
  • 尾形 弥生, 箕浦 有二
    1963 年66 巻11 号 p. 1707-1710
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリn-ブチルボロンを開始剤として空気中でアクリロニトリルの低温重合を行なった。重合反応をポリアクリロニトリルの溶媒であるジメチルホルムアミド中と,非溶媒であるテトラヒドロフラン中および両者の混合溶媒中で動力学的に研究した。その結果,重合速度はテトラヒドロフラン中ではモノマー濃度の約2乗,有効開始剤濃度の1乗に比例する結果が得られ,DMF中ではモノマー濃度の1.5乗,開始剤濃度の0.5乗に比例する結果がえられた。このことから開始反応にモノマー分子が関与しており,トリ(n-ブチル)ボロンにアクリロニトリルモノマーが配位した形で作用しているものと考えた。また重合率が増大すると共に生成ポリマーの平均分子量が増大しており,いったん生成したポリマーが,生長反応を再開始して続けていることがわかった。
  • 尾形 弥生, 箕浦 有二
    1963 年66 巻11 号 p. 1710-1714
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリ(n-ブチル) ボロンを開始剤として空気中で塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合を,30℃~-78℃の間で行なった。アクリロニトリルの単量体反応性比は低温になるほど増加する結果が得られた。塩化ビニルの単独重合では,低温になるほど,シンジオタクチックの割合の大きいポリ塩化ビニルが得られた。これは溶媒に溶けにくく,耐熱性もよい。共重合物の耐熱性ぼアクリロニトリル含量が増加するほどよくなるが,重合温度には関係しなかった。
  • 尾形 弥生, 箕浦 有二
    1963 年66 巻11 号 p. 1714-1716
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    トリ(n-ブチル) ボロンを開始剤として, 空気中でスチレン- アクリロニトリル, スチレン- メチルメタクリレート, およびアクリロニトリル-メチルメタクリレートの間の共重合を30℃,0℃,および-21℃で行なった。単量体反応性比r1,r2の結果から, この重合がラジカル重合であることがわかった。均一系の場合のr1,r2は重合温度によって変わらないか, 生成ポリマーが不溶になる場合にはすべて重合温度によってr1,r2が変化して来ており,スチレン, メチルメタクリレート, および塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合の場合, いずれも低温ほどアクリロニトリルのフラクションが減少する結果が得られた。
  • 田伏 岩夫, 谷村 昇, 小田 良平
    1963 年66 巻11 号 p. 1717-1720
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2,5-ジメチルテレフタルアルデヒド,p,p'-ジホルミル-1,2-ジフェノキシエタンのような芳香族ジアルデヒドと,p,p'-ジアセチルジフェニルメタン,p,p'-ジアセチル-1,2-ジフェニルエタン,p,p'-ジアセチルジフェニルエーテル,p,p'-ジアセチル-1,2-ジフェノキシエタンのようなジケトンとを,ナトリウムエチラート触媒存在下に反応させて,クライゼン型ポリ縮合物をえた。これらのポリ縮合物の分子量は1,000前後で,m-クレゾール,ジメチルホルムアミドなどに可溶であり,反応条件を変えて不溶性ポリマーがえられた。得られたポリ縮合物を紫外線照射すると不溶化が起るが,これはポリ縮合物中のα,β-不飽和カルボニル結合がシクロ付加を起こして,分子間で架橋したためと考えられる。不溶化は5~20分で顕著に起こり,一般にα,β-不飽和カルボニル結合が長い共役系につながっている方が容易に起こる。
  • 安東 忠直
    1963 年66 巻11 号 p. 1720-1724
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    石炭酸とアクリロニトリルから容易に合成できるβ-(p-オキシフェニル)プロピオニトリルとモノクロル酢酸とからp-(β-シアノエチル)フェノキシ酢酸を生成する反応を検討した。得られたp-(β-シアノエチル)フェノキシ酢酸をラネー触媒を用いて,接触還元してp-(γ-アミノプロピル)フェノキシ酢酸を合成した。この物質は,p-フェニレン基をもった一種のω-アミノ酸であり,加熱溶融すると重縮合が起こって高重合度の結晶性ポリアミドになる。さらに,ナイロン-66塩あるいはカプロラクタムと共縮合をおこない,共重合ポリアミドを合成し,融点,可紡性および溶剤に対する溶解性と共重合組成との関係を調べた。
  • 安東 忠直, 片岡 清一
    1963 年66 巻11 号 p. 1724-1728
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    β-(p-オキシフェニル)プロピオニトリル(I)にα,ω-ジハロゲンアルカン(II)を作用してα,ω-ビス[p-(β-シアノエチル)フェノキシ]アルカン(III)を得る反応を,種々のジハロゲンアルカンについて検討した。さらに,IIIを還元してα,ω-ビス[p-(γ-アミノプロピル)フェノキシ]アルカンとし,アジピン酸,アゼライン酸,およびセバチン酸と組合せて塩を調製し,塩を加熱溶融して重縮合をおこない,一般に〓NH・(CH2)3C6H4O(CH2)nOC6H4(CH2)3NHCO(CH2)mCO〓xで表わすことのできるポリアミドを合成した。nが1,2,3,4,5および6のアジパミド,nが2のアゼラミドおよびnが1,2,3,4および5のセバカミドについて,極限粘度,融点を測定し,可紡性の有無を調べた。これらのポリアミドの化学構造と融点との関係について若干の考察をおこなった。
  • 河本 央, 早乙女 和雄
    1963 年66 巻11 号 p. 1728-1732
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    7-アミノエナント酸および9-アミノぺラルゴン酸の重縮合合平衡定数を求めた。みかけの重縮合平衡定数は添加した水のモル比一定のとき,温度があがると増大し,温度一定のとき,添加した水の量が増すと減少し,一定の値に近づいた。みかけの重縮合平衡定数の温度変化から,みかけの反応熱は3~6kcal/molと算出された。7-アミノエナント酸および9-アミノぺラルゴン酸の重縮合反応速度は次の2次反応式でそれぞれ表わされる。
    両者の活性化エネルギーはほぼ等しいが,エントロピー項に10倍の差が認められた。生成ポリマーの粘度はメタクレゾールを溶媒にして25℃で測定して,ポリエナントアミドの場合,ハギンスのk1は0.55であった。また未分別試料についての粘度式は次式でそれぞれ表わされる。
  • 府川 幸資, 嶋川 一, 朝倉 忠義
    1963 年66 巻11 号 p. 1732-1739
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報に引続き乳化重合ポリ塩化ビニル(PVC)-可塑剤系におけるゲル化・溶解機構を研究した。本研究ではプラストグラフとB型回転粘度計を使用した。プラストグラフのゲル化挙動よりゲル化開始,1次極大,2次極大温度が特性温度として得られた。体面積平均粒径を1次粒子の標準の平均径として選んだ。これは特性温度のそれぞれと相関関係がある。1次粒子の非常に異なる粒子の混合系では特異なゲル化挙動をする。B型回転粘度計による比較的希薄な溶液での粘度変化は主にポリマー分子の性質に依存する。それに反してプラストグラフでは測定溶液が濃厚なため,粘度変化はその他に粒子の形にも依存する。プラストグラフの特性温度の意義について種々の点から考察した。これらの現象を究明するため,膨潤状態における粒子の充てん性を考慮した。乳化重合PVCの表面積は懸濁重合PVCのそれよりも大である。しかし粒子内部の状態は乳化重合PVCの方がより緻密である。
  • 山本 隆, 鈴木 良美, 角田 清治, 難波 義郎
    1963 年66 巻11 号 p. 1740-1746
    発行日: 1963/11/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報では直接プレスによって陽イオン界面活性剤(QAS) をPVCた配合した。しかしQASをPVCに配合する方法によって著しく帯電停止効果が異なり, ロール混和するとプレス加工で有効であったものが必ずしも有効でない。そこでいろいろな化学構造のQASについてロール混和によってPVCに配合し, 練り込み用帯電防止剤としての性能を検討した。陰イオンがClO4,CH3-〓-SO3-であってアミド結合を持ったQ A S が極めて優秀であった。長鎖基は長い方が効果に永久性があり,第四級の窒素の周囲の立体構造が小さいほど好ましく,この意味からNに結合する短鎖基はメチル基が良く,C2H4OH基が2個,3個となると効果が悪くなる。ベンゼン, エステルのようなPVCと相溶性のいい構造を持ったQASは全く効果がない。PVCの帯電防止剤の化学構造は, 界面活性剤の親油, 親水性の考え方では解釈できないことを知った。
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