工業化学雑誌
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72 巻, 12 号
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  • 小林 貞雄
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2511-2517
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    300mlのかくはん機つきオートクレープを用い,圧力1200~1600atm,温度150~210℃,開始剤クメンヒドロペルオキシド1.5~5.0×10-5=mol/lの条件下でエチレンを重合させるさい,炭素数14までのn-パラフィンまたはα-オレフィンを加え,それが反応速度やポリマーの物性に与える影響を調べた。
    n-デカンをエチレンに対しモル比で1.0~2.0×10-2加えた場合,初期重合速度[r(mol/l・min)],連鎖移動定数(Cs),およびポリマー鎖100炭素当りの分岐数(CH3/100C)は,エチレン分圧[P(atm)],反応温度[T(°K)],および開始剤初濃度[C(mol/l)]を用いて,次式で表わされる。
    γ=7.410×103×C0.674×P2.644×exp(-20,850/R×T)
    Cs=2.943×exp(-20.6×P/RT)×exp(-3,100/R×T)
    CH3/100C=4.194×105×C0.0597×P-0.941×exp(-4,887/R×T)α-オレフィンの場合には,反応の遅延効果が認められ,エチレンに対するα-オレフィンのモル比とポリマーの重合度の逆数との関係は直線的でなく,ポリマー中の分岐数および2重結合はα-オレフィンの量およびその炭素数の増加とともに多くなる。
  • 小林 貞雄, 村田 勝彦
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2517-2522
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    低反応転化率および低温でバッチ重合した高圧法ポリェチレンについて,重合条件と物性の関係を研究した。得られたポリェチレレンには,あまり長鎖分岐が存在しないことが明らかになった。種々の条件下で重合させた試料について,Desreux型のカラム分別を行なった。その結果,今回変化させた重合条件の範囲では,分子量分布はほとんど変わらず,比較的分布幅の狭いMw/Mnにして約2.5程度であることがわかった。また分子量分布の分った長鎖分岐のほとんどないバッチ式高圧法ポリェチレン,およびエチチレンとα-オレフィンとのランダム共重合体を測定試料として用いることにより,メルト,インデックスと固有粘度とのプロットに及ぼす長鎖分岐,短鎖分岐および分子量分布の影響を明らかにした。
  • 久保田 清, 森田 徳義
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2522-2526
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    熱分解反応の管型反応器設計計算に量論反応速度式を適用する方法をプロパンについて検討した。各反応管ごとにガス温度ならびに圧力の変化を仮定し,モル数変化は,空間時間に対して計算される反応管容積が反応管1段当りに指定した容積に達するまで量論反応速度式を数値積分することによって計算した。この改良した逐次試誤法により, 各種設定条件を与えてプロパン熱分解の管型反応器の反応管数および出口条件に与える影響を求めた。全加熱量を一定として,各反応管に対する加熱量に各種分布を与え比較した結果,加熱量を反応管出口方向に低下させると全反応管数を変えないで管壁温度が最大となる最終段出口温度を低くすることができた。
  • 野沢 靖夫, 竹田 政民
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2527-2531
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    均一系触媒(π-C5H5)2TiCl2-AlEt3系のn-ヘキサン溶液でのESRスペクトルを室温,低温(-100℃)でそれぞれ測定を行なった。この系ではAl/Tiの値により,g=1.976(1本線),1.985(2本線),1.978(6本線)と1.988(8本線)の4種類のシグナルが室温で観測されている。これらのシグナルの-100℃でのESRスペクトルの実測を行なうと,始めの3種は吸収の形において,特に顕著な変化は見られなかったが,g=1.988の8本線については,低温で各超微細構造線(hf)に重なって見掛け上7本線(結合定数0.5gauss)が観測された。別にこの系にLiAlH4を添加すると,同様に良く分離したhfが観測されることから,得られたこの構造線は出発物質として用いたCP2TiCl2のTi原子に結合した2個のC5H5分子の水素原子との相互作用に起因し,過剰のAlEt3存在下でも,TiC5H5と分子の結合は安定に保存されていることを示している。
  • 横山 恒郎, 五十嵐 哲, 荻野 義定
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2531-2538
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    m-キシレン-水蒸気反応用NiO-MgO触媒の調製法と活性(昭和44年6月11日受理)横山恒郎・五十嵐哲・荻野義定m-キシレンと水蒸気の反応に活性のあるNiO-MgO触媒の調製について,有用な知見を得るため,実験的研究を行なった。すなわち,種々のニッケル含有率の触媒を,種々のニッケル源と種々の担体MgO源から調製した。そして,触媒活性を以下の条件下で測定した。温度:400~480℃,圧力:1atm,水/m-キシレン=5.1(モル比),空間速度(SV)=1760hr-1
    実験結果によれば,含浸法で硝酸ニツケルと水酸化マグネシウムから作った触媒は活性があったが,同じ原料から捏和法で作った触媒は不活性であった。このことを説明するため,X線回折を含めて若干の補足的実験を行なった。これら実験の結果からΩ,すなわちNi2(OH)3・NO3……[Mg2(OH)・(NO3)3]の生成程度の高いことが,〓和法で調製された触媒の失活をきたしたのではないか,という疑いがもたれた。
    上記の疑いから,触媒の調製において,Ωを生成するような原料物質を使用することは推奨できないのではなかろうか,という示唆が得られた。若干の実験結果によって,この示唆が有効なものであることが示された。
  • 谷 忠昭
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2539-2545
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    最低空準位が高い色素ほど分光増感が強いという仮定に基づき,写真用増感色素の分子構造に関し,以下のことを明らかにした。(1) 増感色素は分子内に奇数個の単位からなる鎖状共役系を有する。(2) 鎖状共役系の鎖長が長くなると, 分光増感作用は弱くなり,減感作用は強くなる。(3)鎖状共役系の末端から偶数番目の-CH=を異節原子で置換すると,色素の分光増感作用を著しく弱め,減感作用を強める。(4)鎖状共役系の末端から奇数番目の-CH=を異節原子で置換しても,一般に分光増感作用の低下は大きくない。(5)鎖状共役系の末端から偶数番目の-CH=を-CX=とすると,分光増感作用はわずかに強くなる。(6)鎖状共役系の末端から奇数番目の-CH=を-CX=とすると,分光増感作用はほとんど変わらない。多くの例を引いて,上記の結果を説明した。
  • 岡崎 重光, 野崎 弘
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2545-2554
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    水蒸気-水素混合ガスによるシリコン単結晶の気相研摩を,1185℃と1245℃について実験した。使用したシリコンウエハーは(111)面を切り出したものである。この水蒸気研摩と関連して,塩化水素研摩に対する微量水蒸気の影響を調べた。
    拡散理論式により概算した結果,水蒸気-水素混合ガスによる気相研摩の拡散層は0.56cmの厚さであった。シリコン表面に二酸化ケイ素が生成するほどの水蒸気濃度にすると選択的エッチングとなり,六角形のエッチピットが発生する。塩化水素研摩において微量水蒸気の特別な作用は見られなかった。すなわち,前報で報告したなめらかな凹凸は,水蒸気の影響で発生したものではない。ただし酸化膜が形成されるほど水蒸気を加えると,塩化水素の反応も起こらなくなる。
  • 富沢 敏, 神谷 国男, 井野 司郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2554-2558
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    見立スズ精鉱を塩素化して, スズを塩化物の形で選択的に揮発分離するため, 造粒物を固定充填層により, 還元剤を使わずに塩素で処理する方法について検討した。
    良好な結果はスズ精鉱を酸化雰囲気で700~800℃にばい焼した後,950~1100℃で塩素化して得られた。スズの95%以上を揮発させ,鉄の揮発率を10~20%に抑制することができた。塩素所要量は原料中のスズに対して約3当量を要するが,排出ガスは酸素濃度60%以内の塩素であれば,再使用してもスズの反応率はほとんど低下しないことが認められ,従ってリサイクルして塩素所要量を減少することができる。
  • 畔上 統雄
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2558-2565
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    飼料用リン酸カルシウム剤を製造することを目的とした「流動化焼成法による脱フツリン酸三石灰の製造技術」が,新たに450T/Mの規模で開発されたので,この間の基礎研究について脱フツ反応機構の解析と,反応の最適条件に関する予備的検討結果を中心に,従来法に比較しながら第1報に纒める。
    流動化焼成法によれば,従来のボートおよびロータリーキルンの焼成方式の結果と異なって,リン鉱石の脱フツ反応速度は水蒸気および酸素との気-固接触反応過程よりも,むしろリン鉱石の主要鉱物であるフッ素アパタイトの分解反応過程に律速段階があることが明らかになった。
    この種の脱フツ反応を綜括的に促進するたあの条件としては,従来のアルカリ塩を添加した焼成リン肥製造プロセスに比べて,リン酸とシリカを配合する方法が優れた結果を得られる。
    一般にリン鉱石100部に対して,リン酸7~12部,シリカ5~15部を配合し,1300℃,5%の水蒸気濃度のガスで,5~10分流動化焼成した結果,脱フツ反応率99%以上の良質な飼料用リン酸三石灰が得られた。
  • 梶原 鳴雪, 斎藤 肇
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2566-2570
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩化ホスホニトリル三量体(以下(PNCl2)3と略記)による塩素置換反応を,液相均一反応系(I)および固体間反応系(II)で反応条件を変化し反応させた結果,(I)の反応は二次反応で,その活性化エネルギーは14kcal/molであることがわかった。
    (I)および(II)からえられた生成物を化学分析した結果,(I)および(II)の生成物はPNCl2H10N4O4の組成式を与えた。また極限粘度を測定した結果,(I)の生成物は8~24×10-2,(II)の生成物は5~8×10-2で,反応条件によってその極限粘度は変化していることがわかった。また(I)および(II)の生成物の重合条件を変化し重合させたが,重合体を生成させる条件は見い出されなかった。
  • 西川 瑛一郎, 植木 徹, 森 吾一, 森田 義郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2571-2577
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イソペンテンからイソプレンへの酸化脱水素反応における最適触媒の選択, 反応条件および生成物の反応阻害作用について検討を行なった。反応は通常の固定床流通式反応装置を用いた。
    19種の2成分系触媒を用いて本反応に対する活性を比較したところ,U-Sb触媒が最適であることがわかった。そこでU-Sb触媒を用いて反応条件を検討し,最適条件では約60%のイソプレン単流収率が得られることがわかった。なお,本触媒上ではイソペンテンの2重結合の異性化は少なかった。
    本反応は生成イソプレンにより阻害されることが認められたが,その程度は用いる触媒および反応温度により著しく異なった。400℃においてBi-Mo触媒を用いるとイソプレンにより著しい反応阻害をうけるが,U-SbやSn-Sb触媒では比較的阻害作用が小さかった。この阻害作用は反応温度が高くなるにつれて減少した。
  • 植村 栄, 高垣 好宏, 市州 克彦
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2577-2580
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    有機溶媒中における塩化銅(II)によるオレフィンの液相塩素化反応の機構をスチレンを試料として初速度法により速度論的に詳しく検討した。その結果,塩化リチウムを含むアセトニトリル溶媒中で,速度v=k0[CuCl2][Styrene])+k1[LiCl][CuCl2][Styrene]で進行し,水,塩酸および塩化銅(I)により反応が抑制され,過塩素酸イオンにより促進されることを明らかにした。1-プロピルアルコール溶媒中では,v=k0[CuCl2]1.8[Styrene]なる速度式で進行した。この速度実験の結果および合成実験の結果をもとにして反応機構を推定した。
  • 松原 睦哉, 後藤 政弘, 青村 和夫, 大塚 博
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2581-2586
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    三フッ化ホウ素・水系触媒により,ジイソブテン・イソペンタン混合物からHydrideiontransferを経て,イソペンタンから2,2-ジメチル酪酸(DMBA)を合成するときの触媒の組成BF3/H2Oモル比などの条件の脂肪酸収率に及ぼす影響を観察し,イソブテン系の結果と比較した。反応方法や生成した脂肪酸の分離法は前報と同じである。また,イソブテン・イソペンタン混合物のカルボキシル化反応によって得た第三級脂肪酸,DMBA,トリメチル酢酸(TMAA)および重合脂肪酸の脱カルボニル化反応を検討した。
    ジイソブテン系からのDMBA生成についてはイソブテン系の反応結果と類似し,DMBA収率は触媒のBF3/H2O(モル比)=0.8,イソブテン/イソペンタン=0.15mol/0.60molの条件で最も大きく36mol%であった。またDMBAやTMAAはイソペソタン層より触媒層中に多く含まれていた。反応生成物中には,種々の炭素数の分枝状飽和炭化水素が含まれており,同時に脱カルボニル反応の結果から,カルボキシル化反応のなかの脱カルボニル化反応-Hydrideiontransfer-再カルボニル化反応の過程について考察した。
  • 田中 久吾, 本多 允, 井上 伍郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2587-2589
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサンの一段液相酸素酸化によるアジピン酸の合成法について検討した。触媒探索の結果, 酸化活性はCo>Cr>Z n>Hg>Ni>Pb(各酢酸塩)の順であり,種々のコバルト塩の中では,酢酸コバルトおよびコバルトアセチルアセトナートが最も活性があった。溶媒としては酢酸が最も優れた溶媒であった。そしてこの溶媒の作用としては,触媒の溶解と活性化の二つの作用をもっていることが示唆された。反応温度は80~90℃が最適で,140℃以上になると酸化速度,アジピン酸選択率とも極度に低下した。反応開始剤は必ずしも必要ではないが,アセトアルデヒド,シクロヘキサノンが誘導期の短縮に効果的であった。以上の結果をもとにして, 最適条件下で反応を行なった結果, シクロヘキサン転化率70~90%で, アジピン酸選択率70%以上であった。
  • 田中 久吾, 本多 允, 井上 伍郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2590-2593
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酢酸コバルトおよびコバルトアセチルアセトナート触媒の場合について反応の経時変化を調べた。その結果,酢酸コバルト触媒では,1.5時間の誘導期ののち反応が開始するのに対し,コバルトアセチルアセトナート触媒では誘導期はほとんどなく,最大酸化速度も反応開始直後に認められた。そして反応系中のCo3+やの濃度が低下すると反応速度も低下した。酢酸コバルト(Co(OAc)2・4H2O)触媒を反応前過酢酸で前処理してCo3+にして仕込むと,誘導期は消滅し,最大酸化速度も反応開始直後に観察され,アジピン酸の選択率も増大することが判った。これらの諸結果から活性な触媒形態はCo3+に酢酸が配位した状態であると推定された。
    本反応の反応次数は,シクロヘキサン,Co3+の濃度のおのおのに一次で,見掛けの連鎖長はかなり短かいことが判った。これらの結果から本反応は
    Co3++RH→Co2++R・+H+(RH:シクロヘキサン)
    によって反応が開始されることが推定された。
  • 中本 義章, 中島 正, 須賀 操平
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2594-2598
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ルイス酸存在下での各種オキシランおよびオキセタンとベンゼンとの反応を研究した。1,2-ブテンオキシドは2-フェニル-1-ブタノール,3-フェニル-1-ブタノールおよび3種のハロブタノール異性体を生成した。生成物の異性体組成は,反応温度と触媒の種類によって影響される。イソブテンオキシドとスチレンオキシドの反応では,ベンゼンのアルキル化と同時にオキシランのアルデヒドへの異性化が起こった。ベンジルエチレンオキシドおよびシクロヘキセンオキシドの反応では,アルキル化反応が起こらないで,ヒドロシンナムアルデヒド,2-クロルシクロヘキサノールに変化した。トリメチレンオキシドおよび2-メチルオキセタンは主として3-フェニル-1-アルカノールを,また副生成物としてハロヒドリンを生成した。非対称環状エーテルの場合には,2級(または3級)炭素と酸素間の結合が優先して切れることがわかった。
  • 礪波 宏明, 綿本 春枝, Maung Kyaw MYINT
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2598-2601
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    木綿に対し耐洗たく性のすぐれた紫外線劣化防止処理をうる目的で,セルロースと反応性を有する紫外線吸収剤として,テレフタル酸ジクロリドとフェノールからテレフタル酸クロリドモノフェニルェステルを合成し,これを木綿と反応させ,その紫外線劣化防止効果を研究した。この反応性紫外線吸収剤は一端の酸クロリドによってセルロ一スのOH基と反応し,またフェニルェステル部分は紫外線照射によって繊維上でフリース転位をおこし,オルトヒドロキシベンゾフェノン構造に変化することによって紫外線吸収能を高め,すぐれた紫外線劣化防止効果がえられることがわかった。
  • 石川 延男, 黒田 勝彦
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2602-2606
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ジフェニルクロルフルオルシランおよびジフェニルエトキシフルオルシランは,ジフェニルジフルオルシランとジフェニルジクロルシランまたはジフェニルジエトキシシランとの均一化反応によって,もっとも容易に合成することができた。ジフェニルーまたはメチルフェニルークロルフルオルシランはまた,相当するジオルガノジフルオルシランの部分塩素化によってもえられた。
    これら官能性ジオルガノフルナルシラン類はフッ素原子を残したまま求核試剤と反応させることができた。すなわち,ジフェニルーまたはメチルフェニルークロルフルナルシランとアルキルアミンとの反応によってジオルガノアルキルアミノフルオルシラン類が, またアルコール類とではジオルガノアルコキシフルオルシラン類が, さらに水とでは1,1,3, 3-テトラナルガノ-1,3-ジフルオルジシロキサンがえられた。しかしアルキルアミンの存在下に加水分解するとオクタオルガノシクロテトラシロキサンにまで分解された。
  • 岩間 文男, 丸田 銓二朗
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2605-2608
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    イソプロピルアルコールを用いる分別結晶法により,粗米ヌカロウの分別を行ない,融点84.5~88.0℃の硬ロウ38.5%,融点71.5~76.0℃の軟ロウ11.2%,グリ一ス状物3.8%,淡色のヌカ油39.2%を得た。高融点部分をケン化して,アルミナ,炭酸ナトリウムを用いるカラムクロマトグラフィーで脂肪酸,アルコール,炭化水素に分離した。脂肪酸の一部はメチルェステルに,,アルコ一ルは還元して炭化水素として,ガスクロマトグラフィー,赤外吸収スペクトル測定,諸特数測定などを行ない,主成分はC22,C24の脂肪酸とC18,C20,C22,C24,C26,C28,C30,C34の脂肪族アルコールとのエステルであることを明らかにした。さらに従来米ヌカロウの成分として知られていなかったC34の脂肪酸,C31,C32,C33,C34,C35,C36,C38の脂肪族アルコ一ル,C17~C37の奇数,C16~C36の偶数の炭化水素が存在することを認めた。
  • 松山 謙太郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2609-2612
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    紙基材フタル酸ジアリル積層板の高温高湿度環境下における特性の向上を目的として,紙基材をメチロールアクリルアミドによってアクリルアミドメチルエーテル化した変性紙をつくり,その姓質を検討した。
    紙の変姓は,三塩化クロムなどを触媒として含むメチロールアクリルアミド水溶液に原紙を浸したあと,乾燥加熱して行なったが,変性処理において,三塩化クロムを触媒に用いると,反応速度が大きく,かつ導入されたアクリルアミドメチルエーテル基が副反応のために消失することが少ないなどの利点があり,100℃,4分間の加熱で,紙1g当り約2.0×10-3molのアクリルアミドメチルエーテル基を導入できる。
    この変性紙は原紙に比して,吸湿性,湿熱による寸法変化,引張り強さなどが改善された。
    この変性紙をフタル酸ジアリル積層板用の基材として用いる場合,変性紙に導入された反応性の不飽和基がフタル酸ジアリル樹脂の二重結合と反応し,重合硬化にあずかるために,基材と樹脂との間に高度の親和性が付与されることが期待される。
  • 松山 謙太郎, 片桐 正昭
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2613-2616
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクリルアミドメチルエーテル化紙を基材にしたフタル酸ジアリル樹脂積層板をつくり,紙基材フタル酸ジアリル積層板の諸特性に基材のアクリルアミドメチルエーテル化の効果がどのように発現するかを調べた。
    それによると,変性紙基材積層板は未変性紙基材積層板に比べて,吸水率,吸水による寸法変化率,絶縁抵抗,誘電率などの電気的特性が大幅に改善され,特に吸水吸湿時の電気的特性の劣化が少ない点が注目される。また,打抜き加工性,熱膨張率もわずか改善されるが,曲げ強さ,引張り強さなど機械的特性はやや低下することなどがわかった。
  • 木村 誓, 柴田 亮男, 柏谷 景昌, 村井 幸一
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2617-2621
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ニトロエタン,1-および2-ニトロプロパンをホルムアルデヒドと縮合して得たニトロアルコール類を用い, メタクリル酸メチルとのエステル交換反応を行ないメタクリル酸ニトロアルキル類を精製した。これらエステルのラジカル重合を, 開始剤として過酸化ベンゾイルまたはα,α'-アゾビスイソブチロニトリルを用い,塊状またはトルエン溶液中で実施した。
    塊状重合においては単量体の立体効果が認められ,ニトロアルキル基のかさ高さに応じて重合速度が減少し,活性化エネルギーについても同様な傾向がみられた。溶液重合では重合系の粘度の影響が現われ,塊状重合とは反対にニトロアルキル基の大きい方が重合速度も大となった。また活性化エネルギーは3種のエステル間にほとんど差異がなく,大約20kcal/molの値を示した。
  • 土肥 義治, 服部 靖郎, 大倉 一郎, 慶伊 富長
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2621-2624
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    AA型TiCl3-Al(C2H5)3系触媒上でのプロピレン液相重合における酸素の添加効果を,速度論的挙動および生成ポリマーの立体規則性の両面から検討した。{O2+Al(C2H5)3}+TiCl3の順序で酸素を添加した場合には,酸素がAl(C2H5)3と不可逆的に反応し,重合に不活性な錯体を生成する。このために溶液中のAl(C2H5)3濃度が減少し,重合速度低下と生成ポリマーの立体規則性の向上が起こる。{O2+TiCl3}+Al(C2H5)3の順序で添加した場合は,酸素がTiCl3を酸化しTi4+を生成する。4価のチタンは,Al(C2H5)3により還元され低活性のβ型TiCl8とAl(C2H5)2Clを生成する。この結果,重合速度の低下が起こる。さらに,生成Al(C2H5)2ClとAA型TiCl3とによる立体規則性向上の効果と,生成β型TiCl3とアルキルアルミニウムとの系による立体規則性低下の効果とが重なり,立体規則性に極大が現われる。
  • 小松 公栄, 西山 重之, 広田 準, 安永 秀敏
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2624-2629
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ブタジェンの新しい重合触媒として,金属酸化物または金属過酸化物とハロゲン化アルミニウムを組合せた触媒を開発した。触媒は有機金属化合物を含まない,いわゆる非チーグラー型触媒に属する。金属酸化物のうち,Ni2O3,Co2O3,FeO,Cr2O3,ニッヶル過酸化物(Ni-PO)およびコバルト過酸化物(Co-PO)などのP型半導体に属する化合物を用いると重合活性が高かった。一方,TiO2,NiO,V2O5およびZnOなどn型半導体に属する化合物では重合活性が低かった。
    ハロゲン化アルミニウム以外のルイス酸では,ほとんどブタジェンの重合が起こらなかった。
    ポリマーのミクロ構造は,ニッケル化合物を用いると85%以上の高cis-1,4結合,コバルト化合物を用いると50%のcis-1,4結合,ほかの金属化合物を用いると大部分trans-1,4結合を示した。また,ポリマーの全不飽和度はニッケル酸化物を用いた以外は小さく,重合反応とは別に環化反応などの副反応が起こっていることが認あられた。
    ポリブタジエンの環化反応,触媒の分析などの検討から,ニッケル酸化物(Ni2O3,Ni-PO)とハロゲン化アルミニウムを組合せた触媒が,cis-1,4ポリブタジェンの生成に有利な理由について論議した。
  • 小松 公栄, 広田 準, 二宮 康雄, 安永 秀敏
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2630-2634
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化ニッケル(Ni2O3)または過酸化ニッケル(Ni-PO)とハロゲン化アルミニウムを組合せた触媒が,ブタジエンのcis-1,4重合に有効であるという前報の事実に注目して,いろいろな種類のニッケル酸化物を合成して検討した。ニッケル酸化物は,水酸化ニッケル,過酸化ニッケルなどを出発物質として,200~1000℃の温度で焼成することにより合成した。
    ポリマーのミクロ構造,ポリマーの全不飽和度,重合活性などは,ニッケル酸化物の焼成温度,触媒組成,熟成条件,溶剤などに依存したが,ニッケル酸化物の出発物質の影響は少なかった。焼成温度300℃以下のニッケル酸化物を用いると,重合活性およびポリマーの物性とも良好であった。焼成温度300~700℃のニッケル酸化物を用いると重合活性は高いが,cis-1,4結合が減少し環化などの副反応が起こった。焼成温度900℃以上のものでは重合がまったく起こらなかった。
    重合溶剤,イソブチレンなどの他モノマー,およびベンゾキノンなどの添加剤の検討から,重合は配位カチオン的に進行することが認められた。
  • 金子 正夫, 崔 奎碩, 土田 英俊, 篠原 功
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2634-2639
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アミノフェノールは水溶液中で鉄キレートにより速やかに酸化重合し,常磁性の黒色重合体を与える。生成重合体は遊離のアミノ基および水酸基を有するほか,一部キノンイミン構造を有し,可逆的な酸化還元性を顕著に示す。すなわち亜ニチオン酸ナトリウム水溶液により直ちに還元脱色して淡黄色溶液となるが,空気中で速かに酸化されて元の黒色重合体となる。
    重合は酸素の存在下で進行するが,pHの高い領域ではアルカリによる副反応が生起する。pH7では酸素吸収量と重合収率は比例する。Fe(III)EDTAによる場合の重合収率はpH9で極大に達する。用いた鉄キレートの安定度定数と重合速度の間には明瞭な相関関係は認められない。重合系の電位は重合初期に速やかに変化し,平衡電位を保ったまま重合が進行することから,系中では鉄キレートと単量体の関与する平衡が成立しており,かつ2価の鉄キレートの酸化速度は遅いことがわかる。
  • 神谷 信行, 大河 原信
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2639-2644
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    メチレンブルーを主とするチアジン系色素と種々の還元剤を組合せた系を用いたアクリルアミドの光重合を行ない,重合開始能と光電池特性との関連性を調べた。還元剤として加えた第三アミンのうちでトリエタノールアミン,テトラメチルエチレンジアミンは重合開始能は大きいがトリメチルアミンは非常に小さい。ジメチルアミンのような第ニアミンも有効でモノメチルアミンのような第一アミンは効力が劣る。第三アミンの場合,Nに隣接したメチレン構造の存在が活性に寄与するものと思われる。ジメチルアミンの場合はアクリルアミドに付加して3級アミンを生成し, このアミンが有効に働いていたと推定される。メチレンブルー-還元剤系の光還元のしやすさと重合速度の大小とは必ずしも一定の関係はなく,還元剤の種類によって重合速度が著しく影響されることなどから光反応で生ずる色素ラジカルと還元剤ラジカルのうち,還元剤ラジカルが重合に大きく寄与しているものと思われる。このさいメチレンブルーラジカルは不均斉化反応などでロイコ体を生じ,これを電池のアノードに導入することにより光重合と光電池の組合せが可能であることが示された。
  • 石井 孝美, 鈴木 太郎
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2644-2649
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    β-ジケトン,チオ-β-ジケトン,サリチルアルデヒド,サリチルアルデヒドとジアミンとのシッフ塩基などをリガンドとする各種金属キレート触媒による,ホルムアルデヒドの重合について研究した。トルエンなどの有機溶媒中,触媒濃度1~1/1000mmol/l,重合温度-10~+20℃において,[η]=1.0以上のポリオキシメチレンが容易に得られ,最高[η]=12の高重合度に達し,それらのポリマーの強靱度はきわめて大であった。金属アセチルアセトナート[Me(acac)x]触媒こよるホルムアルデヒドの全重合速度は,金属の種類,原子価によっても,またリガンドの構造によっても相違し,その順序はCu+2>Zr+4>Ni+2>Mn+3>Co+2>Th+4>Mn+2>Mg+2>Zn+2>Fe+3>Fe+2>Co+3>Al+3であった。3-フェニルアセチルアセトナート銅[Cu(Ph・acac)2]が最大の活性を示し,Co(acac)3において最も高分子量のポリマーが得られた。Me(acac)2触媒系では,重合速度は触媒の中心金属の安定度定数と相関し,反応溶媒の塩基性度とともに増大する。実験事実から配位アニオン重合機構を推論した。
  • 石井 孝美, 鈴木 太郎, 井上 篤司
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2649-2654
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    金属キレートを触媒としてホルムアルデヒド(F.A.)とケテンとの共重合を行なった。コバルトアセチルアセトナート[Co(acac)3],またはコバルトサリチルアルデヒドエチレンジイミナート[Co(Sal・en)2]を用い,n-ヘプタン中,モノマー比1/10(ケテン/F.A),20~25℃で吹込み重合を行ない,[η]=2.5~3.3,mp167℃,k222=0.18%/min,強靱度100以上の白色粉末状のポリマーを得た。mp,k222,赤外図,X線回折図,溶解性などの知見から,得られたポリマーは,-(CH2O)-n主鎖中に約2%のケテンユニットがエステル構造として導入されたランダム共重合体であることがわかった。
    金属アセチルアセトナート[Me(acac)x],金属サリチルアルデヒドエチレンジイミナート[Me(Sal・en)x],金属アセチルアセトンエチレンジイミナート[Me(acac・en)x]いずれも共重合活性を示すが,中でもCo(acac)3,Co(acac)2,Ni(acac)2,Co(Sal・en)2,Ni(acac・en)2などで熱安定性のよい強靱な高重合体が得られた。Co(acac)3-n-ヘプタン系吹込み重合において,〓主鎖中に導入されるケテンユニット含量は,モノマー中のケテン含有率,重合温度に比例して直線的に変化する。共重合体の熱安定性は,その主鎖中のケテンユニット含量と関係があり,ケテンユニット含量約2mol%で最もk222値の小さい共重合体が得られた。Co(acac)3-トルエン系の溶液重合において求められた反応性比は-30℃でγ1=5.0,γ2=0.5となった。この共重合反応は,配位アニオン的に進行しているものと考えられる。
  • 伊保内 賢, 加藤 孝司
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2654-2657
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スチレンはエチルェーテルが過剰に存在すれば,ある程度以下の四塩化スズを添加しても,カチオン重合は起こりにくい。しかしスチレンをエチルェーテル中でアゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合させた場合,四塩化スズを小量添加すると重合速度が増加する。この四塩化スズの添加による重合速度の増加する割合は,同じくこのような傾向をもつアクリル酸メチルより著しく大きい。アクリル酸メチルはベンゼン中,ヘキサン中などで重合した場合,四塩化スズによって重合速度が増加するが,エチルエーテル中では増加は小さく,8.7×10-2mol/lの四塩化スズ,エチルエーテル33wt%では認められない程度である。
    共重合速度は四塩化スズ無添加の場合はスチレン量に関係ない値を示すが,四塩化スズを加えた場合の共重合速度の増加はスチレン量の大きい試料ほど大きい。
  • 松原 凱男, 朝倉 順一, 山下 那都樹, 住友 宏, 前嶋 俊壽
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2658-2661
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アクロレイン(AL)とマレイミド(MI)およびマレイン酸ヒドラジド(MHZ)との共重合をジメチルスルホキシドを溶媒,アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として60℃真空封管中で行なった。共重合速度はAL-MI系よりもAL-MHZ系の方が著しく低く,共重合体の分子量も小さい。生成物の赤外吸収スペクトルから共重合体の生成を確認した。共重合体の組成を窒素含量から求め,モノマー反応性比を決定した。これらの値からQおよびe値を求めた。AL(M1)-MI(M2)系でγ1=3.20,γ2=0.12,Q1=0.93,e1=0.35,Q2=0.55,e2=1.71,AL(M1)-MHZ(M2)系ではγ1=16,γ2=0,Q2=0.017,e2=-0.76であった。
  • 卯西 昭信, 清水 時彦, 本田 格
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2661-2664
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリシッフ塩基はテレフタルアルデヒドまたはイソフタルアルデヒドなどのジアルデヒドと2,4-ジヒドラジノ-6-フェニル-s-トリアジン,2,4-ジヒドラジノ-6-フェニル-s-トリアジン,イソシンコメロン酸ヒドラジド,ジピコリン酸ヒドラジド,シュウ酸ヒドラジドまたは炭酸ヒドラジドなどのジヒドラジノ化合物を処理することにより合成された。ジヒドラジノ化合物とジアルデヒドを非プロトン系極性溶媒中で混合し,ポリシッフ塩基が溶媒から少しずつ沈殿した。ポリシッフ塩基の固有粘度はDMSOまたはNMP中で0.11~0.94dl/gである。この高分子は非プロトン系極性溶媒に可溶であるが,他の有機溶媒に溶解しない。ポリマーは350~400℃,窒素気流中で熱分解する。ポリシッフ塩基の熱安定性はすぐれていない。これらポリマーのモデル化合物はベンズァルデヒドとヒドラジノ化合物より合成された。ポリシッフ塩基はモデル化合物の赤外線スペクトルにより確かめた。
  • 今田 隆信, 圏谷 卓司, 松林 寛治, 江口 保
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2665-2668
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    まずポリオキシメチレンヒドラート(POM-OH)の末端基のエーテル化反応後に残存する少なくとも片末端が水酸基であるポリマーを除去するために,トリブチルアミン(TBA)のべンジルアルコール(BzOH)およびジメチルホルムアミド(DMF)溶液による塩基分解反応を試みた。両溶媒中の分解速度は顕著に差があり,活性末端からのホルムアルデヒドの脱離反応が平衡反応であるとして説明された。つぎにTBA-BzOH中での塩基分解反応を重合度の異なる2種のPOM-OHおよび対照としてPOM-ジアセテート(POM-OAc)について行なった。反応は一次反応で近似され,そのみかけの速度定数KはTBA濃度に比例し,熱分解速度定数k0と塩基分解速度定数k×[TBA]との和で表わされる。k0およびkは低重合度ほど大きい。POM-OAcとPOM-OHとを比較するとk0の比は約1:8,kの比は約1:180であった。さらに二,三の塩基と溶媒との組み合わせでPOM-OHの塩基分解能を比較し,ポリマーが反応系に溶解しない場合は分解能が悪いこと,ナトリウムーベンジルアルコール系が分解能が大きいことなどを認めた。
  • 今田 隆信, 岡谷 卓司, 江口 保, 松林 寛治
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2669-2672
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    アンモニア水によるポリオキシメチレンヒドラート(POM-OH)の塩基分解を検討した。まず,アンモニア不存在系ではホルムアルデヒドから生成するギ酸による主鎖の切断反応が起こることを認めた。水,メタノールおよびイソプロピルアルコール中でのアンモニアによる分解では,ポリマーの反応系への膨潤性および反応液の誘電率の両者が影響していると考えられた。アンモニア水中でのPOM-OHの解重合反応は初期ではPOM-OHに関して一次反応とみなされ,全活性化エネルギーは8.2kcal/molであった。しかし反応が進むと一次反応からみかけ上背違する。その原因は発生するホルムアルデヒドとアンモニアが反応してヘキサメチレンテレラミン(HMTA)を生成することによる。反応速度は次式で表わされる。R1=(k0+k1[NH3])[POM-OH],ここにk0およびk1はそれぞれ熱分解および塩基分解のみかけの速度定数でともに重合度項を含んでいる。アンモニア水による分解反応をPOM共重合体の精製処理反応に応用すると熱安定性の優れたポリマーが得られるが,HMTA生成の理論値と1/3のアンモニア濃度以下ではPOMの主鎖切断が起こる。これらの結果からアンモニアによる分解機構について若干の考察を行なった。
  • 蜷川 彰, 津下 由紀男, 松田 治和, 松田 住雄
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2673-2677
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    オニトリル(以下o-TPN,m-TPN,p-TPNと略記)とホルムアルデヒドとの反応をおこない,その反応生成物について調べ,置換基の樹脂化におよぼす影響,すなわち樹脂生成条件ならびに樹脂組成について検討し,m-TPNからは分子量約4000,p-TPNからは約800,o-TPNからは約1000の可溶性樹脂を高収率で生成することを見い出した。またこれらの樹脂組成については,反応初期生成物の構造,樹脂のIRスベクトル,NMRスペクトルおよび元素分析値の結果から推測した。反応初期生成物として,o-TPNからは4,4'-ジシアノエトキシ-3'-ジメチルジフェニルメタン,p-TPNからは2,2'-ジシアノエトキシ-5,5'-ジメチルジフェニルメタンを単離した。
  • 加門 隆, 斎藤 和美, 三輪 秦彦, 佐伯 健作
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2677-2680
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    示差熱分析(DTA)によって,グリシジルエーテル型エポキシ樹脂に典型的な硬化剤であるエチレンジアミン(EDA),ジメチルオクチルアミン(DMOA),ヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA),BF3-n-ヘキシルアミン(BF3-nHA)を用いて,その硬化を研究した。
    DTAの動力学の解析はKissingerの方法とBorchardtの方法によって行なった。Kissinger法によって得られた見かけの活性化エネルギー(E)はEDA,DMOA,BF3-nHA,HHPAに対してそれぞれ13.2,12.7,26.0,13.6kcal/molであった。Borchardt法による昇温速度5℃/minのときのEはそれぞれEDA,DMOA,BF3-nHA,HHPAに対し27.7,14.3,25.5,47.7kcal/molであり,2℃/minのときは28.1,17.1,23.5,73.9kcal/molであった。
    これらの結果はKissinger法で得られたEは他の方法の結果と非常によい一致が見られたが,Borchardt法のときはDMOAとBF3-nHAを硬化剤としたときよい一致がみられた。
  • 石井 敬一郎, 中塚 隆三, 垣内 弘
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2681-2683
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    四塩化スズ触媒下,ニトロエタン中におけるフェノール類とべンジルクロリドとの相対反応速度(k/kp)を求めた。
    その結果,相対反応速度は,フェノール(k/kp:1.0)<クレゾール類(1.2~1.7)<キシレノール類(2.1~3.7)<トリメチルフェノール類(4.1~5.6)の順に大きかった。これは,Sprungによって求められたフェノール類とパラホルムアルデヒドとの相対反応速度の値((k/kpp)Sp.)とかなり相違するが,両者間に存在する一定の規則性を見出した。
    メチルの置換基効果に関係する因子として, aを定義すると,
    logk/kp-log(k/kp)Sp=ρΣa.(ただし,ρ=1)
    上式で表わされる。
  • 石井 大道, 神野 清勝
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2684-2685
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 今田 隆信, 江口 保, 岡谷 卓司
    1969 年 72 巻 12 号 p. 2685-2687
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890a
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890b
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890c
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890d
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890e
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890f
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890g
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. 2890h
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 72 巻 12 号 p. A141-A149
    発行日: 1969/12/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad in order to assist them to get a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the figures, tables, formulae etc. from the original papers.
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