金属キレートを触媒としてホルムアルデヒド(F.A.)とケテンとの共重合を行なった。コバルトアセチルアセトナート[Co(acac)
3],またはコバルトサリチルアルデヒドエチレンジイミナート[Co(Sal・en)
2]を用い,
n-ヘプタン中,モノマー比1/10(ケテン/F.A),20~25℃で吹込み重合を行ない,[η]=2.5~3.3,mp167℃,
k222=0.18%/min,強靱度100以上の白色粉末状のポリマーを得た。mp,
k222,赤外図,X線回折図,溶解性などの知見から,得られたポリマーは,-(CH
2O)-n主鎖中に約2%のケテンユニットがエステル構造として導入されたランダム共重合体であることがわかった。
金属アセチルアセトナート[Me(acac)x],金属サリチルアルデヒドエチレンジイミナート[Me(Sal・en)x],金属アセチルアセトンエチレンジイミナート[Me(acac・en)x]いずれも共重合活性を示すが,中でもCo(acac)
3,Co(acac)
2,Ni(acac)
2,Co(Sal・en)
2,Ni(acac・en)
2などで熱安定性のよい強靱な高重合体が得られた。Co(acac)
3-
n-ヘプタン系吹込み重合において,〓主鎖中に導入されるケテンユニット含量は,モノマー中のケテン含有率,重合温度に比例して直線的に変化する。共重合体の熱安定性は,その主鎖中のケテンユニット含量と関係があり,ケテンユニット含量約2mol%で最もk222値の小さい共重合体が得られた。Co(acac)
3-トルエン系の溶液重合において求められた反応性比は-30℃でγ
1=5.0,γ
2=0.5となった。この共重合反応は,配位アニオン的に進行しているものと考えられる。
抄録全体を表示