工業化学雑誌
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67 巻, 3 号
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  • 日野原 忠男
    1964 年67 巻3 号 p. 411-414
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸素気流中の拡散炎の外観的構造を観察し,炎の上部に特異な構造,すなわち発光している“すじ”の集合体を見出した。この“すじ”は冷い固体面上に捕集され黒色の炭素質物質を析出する。X線回折の結果このものは炭素構造を有しており,その結晶子の構造および大きさは火炎内で析出する炭素および火炎外へ出るススと全く同じであった。これよりこの“すじ”は火炎内で生成された炭素粒子で火炎面を燃焼し切れずに通過したものが,火炎外へ出ても燃え続けてできるということが考えられた。つまり“すじ”は燃焼している炭素粒子の流れである。この意味でこの“すじ”にカーボンストリークなる名称を与えた。
    カーボンストリークの長さに及ぼす種々な条件の影響を検討し,ストリーク出現に対する上述の考え方が妥当であることを示した。
  • 山崎 毅六, 林 実, 岩間 彬
    1964 年67 巻3 号 p. 415-418
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ロケット推進剤の燃焼中に起きる振動燃焼や,推進剤の燃焼速度の制御に関連して固体推進剤の燃焼速度に及ぼす音波の影響について研究した。Summerfieldは混成系固体推進剤の線燃焼速度に対する考察から,火炎帯の拡散時間に関係する係数を音波によるかきまぜで極めて小さくすることによって,線燃焼速度が飛躍的に増加することを予言した。さらに音波によるかきまぜによって,燃焼面近傍の温度分布が変化することにより,線燃焼速度が変化することも考えられる。これらの音波による拡散時間の減少,および温度分布の変化が燃焼速度に及ぼす影響を明らかにするため,高圧ボンベ内で高出カッイーターより発生する音波の周波数および出力と線燃焼速度の関係を測定し,興味ある結果を得た。
  • 井上 英一, 山口 隆司
    1964 年67 巻3 号 p. 418-423
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    暗所における初期電位( 飽和表面電位) はパラクロルアニル, 無水フタル酸, 無水マレイン酸およびヨウ素などの電子親和性分子を吸着させることによって低下するが, 吸着濃度0.01mol%が以下の場合は, その変化はあまりない。無水マレイン酸,無水フタル酸および特にヨウ素の場合は,吸着濃度を増すと初期電位の低下は著しい。感光感度はこれら電子親和性分子を吸着することによって,無添加の場合に較べ大きく,無水フタル酸,無水マレイン酸およびヨウ素を吸着した場合は特に著しい。したがって,電子親和性分子を吸着することにより,感度を増すことがわかった。色素増感効果は,電子親和性分子と色素を共吸着させると協同作用により色素を単味吸着させた場合より増大した。
  • 木野 九, 高畠 敬
    1964 年67 巻3 号 p. 424-428
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化チタン顔料の光散乱係数と光吸収係数をKubelka-Munkの式を適用して正確に測定することを試みた。まず同式では反射率の測定が重要な手段になるので,その測定における諸種の誤差,特に表面に基因する誤差の補正についても検討し,これを除去した反射率を算出する方法を求めた。次に酸化チタン顔料の散乱係数と吸収係数を分離測定するに当っては,展色剤に染料を加えてその吸収係数を変え無限膜厚相当の反射率を使用する方法で,2種の顔料容積濃度につき実験し,またその場合の誤差についても検討した。散乱係数は15%以内の誤差で測定でき,顔料容積濃度による差も見られたが,吸収係数の精度はこの方法では良好でなかった。
  • 木野 九, 高畠 敬
    1964 年67 巻3 号 p. 429-432
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    第1報では酸化チタン顔料の光学的性質をK-M式を用いて測定するに当り,展色剤に染料を加える方法を実験したが,吸収係数の測定精度は良好ではなかった。本報ではカーボンブラックを混用する方法で実験した。はじめカーボンブラックの散乱係数と吸収係数を決定する必要があるが,これは第1報の酸化チタン顔料の散乱係数を基準にして求めた。測定結果は波長別に求めたが,散乱係数および吸収係数ともに良好な結果を得,酸化チタンとカーボンブラックの混合系の反射率の計算値は実測値と良い一致を示した。実測された散乱係数はMie理論からの計算値と大きな差がある。
  • 木野 九, 鈴木 正也
    1964 年67 巻3 号 p. 432-436
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    酸化チタンを主成分とし酸化ニッケル, 酸化アンチモンを配合焼成した黄色顔料の製造を研究中, このもののX 線回折図がルチル型酸化チタンのそれとほぼ同じで,3成分の固溶体と推定されたのでその確認と固溶域について研究した。固溶域はNiO/Sb2O3≒2/1の方向に伸びた三角形に近い範囲でNiOが約11mol%までであり, 比重の測定からルチル型酸化チタンにニッケル, アンチモン原子が置換固溶したものであると考られる。これはルチル型酸化チタンとTapio-lite構造のSb2NiO6 の固溶と類似のものと考えられ, アンチモンは焼成中に5価となって固溶する。固溶によりルチル型酸化チタンの格子定数は約1%増大している。色の測定もあわせ行ない, 固溶量の多少にかかわらず色相は同一で,Ni-Titanateの色相と差がある。
  • 堀部 利泰, 桑原 千三
    1964 年67 巻3 号 p. 436-442
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    この研究は,加熱された2Aと粒中のコランダム格子の大きさを,と粒の色から推定する方法を得る目的で行なったもので,本邦主要と粒会社の製品(粒度36~120番,Δd1 48~70×10-5Å)をいろいろの条件で加熱し,それらの色の主波長λd,刺激純度Pe,視感反射率YとΔdの関係を求めた。
    Δd-λd,Pe,Yの関係は,と粒性質,加熱条件,その他の処理条件で変動したが,まとめると大約つぎのようになる。λdは生と粒で600mμ付近であるが,Δd/Δdi0.9~0.8で470~475mμとなり,それからΔdの減少につれて僅かに増大の傾向を示す。そして加熱雰囲気の酸素分圧があまり低くない限り,Δd/ΔdiO.15付近で485mμを越えて急激に増大する。PeはΔd/Δdi0.9~0.8,0.15またはそれ以下の点で最小値を示し,Δd/Δdi0.5付近にこの間の最高値(8~14%)がある。YはΔd/Δdiの1→0.1の減少の間に10~20%→40~50%と増大する。
    加熱と粒のΔdは,適当な比色標準を用意すれば,と粒性質,加熱条件,その他の処理条件が判っておれば肉眼比色にて±5×10-5Å程度の精度で推定することも不可能ではない。
  • 鳥飼 直親, 富塚 功
    1964 年67 巻3 号 p. 443-446
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    カルシウム・カーバイド生成反応における炭素材の反応性を明らかにする目的で,その反応性と黒鉛化性との関連性について検討を行なった。炭素材としては,カーバイド用コークスと三井美唄目無し炭コークスを,それぞれ1000℃から2600℃までの間で熱処理して,黒鉛化度の異なる試料を調製して用いた。
    生石灰と,1000℃で熱処理した炭素材との反応は,真空電気炉を用いて,1800℃の固相で反応を行なった。また,炭素材の黒鉛化度は,X線回折によって,結晶子の大きさを算出して求めた。
    カルシウム・カーバイド生成反応の結果では,カーバイド用コークスと,三井美唄目無し炭コークスとでは,その反応性に明らかに差異が認められ,前者が後者より優れている。一方,両炭素材の黒鉛化性の比較においても,カーバイド用コークスの方が,三井美唄目無し炭コークスよりも,黒鉛化し易い結果を得ている。
    これらの結果より,カルシウム・カーバイド生成反応においては,炭素材の反応性と黒鉛化性との間には,なんらかの関連性があり,高温において黒鉛化し易い炭素材ほど,反応性が良いと考えても差支えないように思われる。
  • 天野 隆司, 平尾 穂, 大門 信利
    1964 年67 巻3 号 p. 446-449
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    先に引下法に種結晶を使用することによって,ルツボの内容物全体をいわゆるブック状の結晶に育成することに成功した。このようにしてブック状結晶を育成する場合の条件の中で,最適の原料の化学組成,引下速度と温度勾配,およびルツボの型については既に報告した。当報告は結晶の育成条件の中で,原料溶融の最適温度および種結晶のa,b,c軸を揃えた場合についてのものである。
    底面5mm角,高さ65mmの白金ルツボの下部にα ,b,c軸を揃えたもの, または壁開面のみを揃えたものを入れ,その上に雲母粉末を溶融して得た原料を充てんし,白金電気炉に挿入して,原料および種結晶の一部を1,380,1,390,1,400,1,410℃の各温度で溶融し,ルツボを引下げて結晶を育成した。得たものの透過率を測定した結果,原料溶融の温度は1,400℃が最適であり,また種結晶のa,b,c軸を揃えたものは,劈開面のみを揃えたものより良好な結果を得た。またヤング率を測定し考察を加えた。
  • 古沢 源久, 関戸 和子, 植松 重夫, 三木 省一郎, 武内 次夫
    1964 年67 巻3 号 p. 450-453
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    紫外線吸収を利用して,メタクリル酸メチル中のフェノールを定量するのに使用する溶媒は,ジエタノールアミン水溶液が最もよいことを見出した。この溶媒を使用すると, フェノールは287mμに吸収の極大を示し, この波長におけるメタクリル酸メチルの吸収はきわめて少ない。したがって, 試料1mlを0.4mol/l ジエタノールアミン水溶液100mlに溶解して,287mμにおける吸光度を測定し, メタクリル酸メチル共存下で作製した検量線と比較することにより, 約5分で0.01%までのフェノールを定量しうる。さらに微量のフェノールの場合には,試料を水と共にかきませながら揮発させてメタクリル酸メチルを分離した後,上記のようにして測定すれば約25分で0.015~0.001%のフェノールを定量しうる。試料中に通常含まれる不純物は結果に影響しない。
  • 武上 善信, 藤村 義和, 石井 啓道
    1964 年67 巻3 号 p. 453-456
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    t-,sec-およびn-ブチルヒドロペルオキシドのガスクロマトグラフィーによる分析を試み,かつ操作条件の影響を検討した。
    ヒドロペルオキシドのガスクロマトグラフ装置内での分解を防止するために,分解禁止剤である2,6-ジ-t-ブチルp-クレゾールをDLP-セライト545充填剤に混合し,さらに試料注入口にも注入して好結果をえた。この方法における最適条件は, カラム温度50℃, 水素流速300ml/min,カラム長さ150cm,フィラメント電流260mAであった。
    以上の結果えられた保持時間は,t-,sec-およびn-ブチルHPOについてそれぞれ10.5,18.3,28.0分であった。t-ブチルヒドロぺルオキシドはガスクロマトグラフィーによる定量が可能であるが,sec-およびn-ブチルヒドロペルオキシドについては,これらの化合物が不安定であるため,定量分析が困難であった。
  • 森田 茂, 井上 俊遠
    1964 年67 巻3 号 p. 456-460
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前報に引続いてメタン-水蒸気反応においてニッケル触媒におよぼす有機イオウ化合物の影響を研究した。
    ニッケル含有量4,26,33wt%の3種類の市販触媒を用いて実験を行なった結果,分解率が低下するまでに要する時間,分解率低下度とも触媒の種類によって極めて差異が大きいことがわかった。
    各触媒とも耐イオウ性,イオウ許容濃度は反応温度によっても大きく異なり,たとえばニッケル含有量26wt%の触媒に対しては,ガス空間速度370l/l/hr,モル比(H2O/CH4)1.8~2.0では800,830,850℃の各温度でのイオウ許容濃度はおのおの4,8,16Smg/m3であった。
    またイオウ被毒時の触媒層の温度分布からガス空間速度も被毒に影響を与える因子であることが判明した。
  • 寺本 亘二, 北畠 道俊, 小野打 喬
    1964 年67 巻3 号 p. 460-463
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    1,1,2-トリクロルエタンの熱分解反応を,360~500℃にて,流通法で検討した。まず,塩素およびトルエンの添加により,本反応がラジカル連鎖反応のほかに,分子反応を含むことを明らかにし,全反応および分子反応が,原料トリクロルエタンに対して1次反応であることを認め,それぞれの速度定教kov,kuを求めた。kov=109.9exp(-34.3×103/RT)sec-1,k u=106.5exp(-27.3×103/RT)sec-1。つぎに, 主生成物である塩化ビニリデンとジクロルエチレンとの生成比が, 分子反応では, ru=1.1×103exp(-11.9×103/RT)。ラジカル連鎖反応では, rR=0.7exp(±500/RT)となる結果を得, それぞれの場合について考察した。
  • 斎藤 俊英, 小篠 善雄, 近藤 五郎, 土師 正子
    1964 年67 巻3 号 p. 464-466
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    合成洗剤,アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ABS)を含有する用水,廃水の発泡を抑制することを目的として,ABS水溶液の起泡力および表面張力の測定を行ない,ABS希薄溶液の発泡に対する種々の因子の影響について検討した。
    1.ABS溶液の濃度が高くなるにつれて起泡力は増加し,表面張力は低下する。
    2.無機塩類の添加は起泡力に対して著しく影響する。すなわちNa(I),H(I)のような1価陽イオンの少量の添加によって起泡力は増加するが,大量の添加によって減少する。2価陽イオンの影響は1価陽イオンに類似しているが,はるかに少量で同様の効果がある。
    3.Al(III),Fe(III)のような3価陽イオンはABS溶液中で加水分解して水酸化物のコロイド状微粒子を生じ,そして発泡を抑制する。
    4.さらに,微量のイソチウロニウム臭化水素酸塩は発泡を完全に抑制する。
  • 松田 住雄, 松田 治和, 山根 康彦
    1964 年67 巻3 号 p. 467-469
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    スズ箔と塩化メチルとの直接反応で容易に得られる二塩化ジメチルスズを基礎原料として,各種のジメチルスズジカルボキシレートを合成し,塩化ビニル樹脂の耐熱安定剤または滑剤としての性能を検討した。すなわち,酸化ジメチルスズと長鎖状飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸,および各種混合脂肪酸とを反応させ,得られたジカルボキシレートのうち,ある種の長鎖状不飽和脂肪酸またはこのものをかなり多く含有する混合脂肪酸を原料とするものは,耐熱安定剤として軟質塩化ビニル樹脂にもっとも広く用いられているジブチルスズジラウレートと同等以上の性能を有することがわかった。またこれら一連のジメチルスズ誘導体は,硬質塩化ビニル樹脂用の滑剤としても使用できることが推察された。
  • 玉置 弥栄, 中沢 利勝
    1964 年67 巻3 号 p. 470-472
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    前回はソルビット溶液に対するカルシウムの溶解度,特に長時間放置後の溶解度について報告した。またグリセリン,ブドウ糖, 果糖, キシロース, ガラクトース, 乳糖, ショ糖, 可溶性デンブンの水溶液に水酸化カルシウム, 酸化カルシウムを添加して,短時間放置後の溶解度をしらべたところ,乳糖,果糖に酸化カルシウムを溶解した場合,それぞれ糖度の0.2%,0.3%,果糖に水酸化カルシウムを加えた場合も0.3%位の所に極大値を示した。この度は果糖,乳糖についてこの極大値を生ずる原因を究明する目的で実験を行なった。
    乳糖溶液に水酸化カルシウムを添加した場合は液底体は水酸化カルシウムで,酸化カルシウムを添加した場合は,極大値の左側では水酸化カルシウムであり,右側では水酸化カルシウム,乳糖および未反応の酸化カルシウムによりなっていた。果糖では水酸化カルシウム,酸化カルシウムの何れの場合でも左側では水酸化カルシウム,右側ではC6H12O6・CaO・nH2Oの組成を有する化合物を生じていた。
  • 津田 穣, 簑島 美雄
    1964 年67 巻3 号 p. 472-474
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ナフタリン-ナトリウム触媒の存在下,ポリ酢酸ビニルとケイ皮酸メチルのエステル交換反応により,ケイ皮酸ビニル-酢酸ビニル共重合体を合成することができた。共重合成分の割合の異なる4種の生成物について融点を測定した。共重合体の融点と,ケイ皮酸ビニルのモル分率との間の関係は,広い範囲にわたって,共重合体の融点についてのFloryの理論式を満足することを確かめた。
  • 西崎 俊一郎, 不可 三晃
    1964 年67 巻3 号 p. 474-478
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリピロメリットイミドの熱安定性を明らかにする目的で行なった研究の一つで, ピロメリットイミド環をヘキサメチレン(I),ジフェニルメタン(II),ジフェニルエーテル(III)で連結したポリイミドを合成し,窒素中および空気中での熱分解を熱天秤法で測定し, また定温で熱分解したポリマーのI R スペクトルを検討した。
    ポリマーI では,300℃以上ではげしい主鎖裂断がおこり, また空気中ではI,IIともに200℃ 以上で熱酸化をうける。ポリマーIIIはもっとも安定で,酸化による影響も小さい。窒素中での熱分解は420℃以上でゆっくり始まる。イミド基の>C-R結合は,Rが脂肪族のときには切断されやすいことがみとめられた。
  • 田伏 岩夫, 斎藤 聰, 小田 良平
    1964 年67 巻3 号 p. 478-481
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    a1,a4-ジクロルジュレンにチオ硫酸ナトリウムを反応させて相当するビスBunte塩に加え, これを硫化ナトリウムと反応させると, ポリジスルフィド(分子量600~1000)がえられた。またポリスチレンをクロルメチル化し, 同様にBunte塩に加えてから硫化ナトリウムで処理すると不溶化が起こった。アリルブロミドのBunte塩からアリルジスルフィドがえられ,これを還元するとアリルメルカプタンになる。アリルジスルフィドの環化重合を種々の触媒系で試みたが,高重合度のものはえられなかった。アリルメルカプタンをラジカル開始剤と反応させると逐次付加が起こり, 重合度11~12程度のポリ縮合物がえられた。p - クロルメチル化したドデシルべンゼンのBunte塩はすぐれた界面活性剤で, よい浸透性を示すが, この水溶液を硫化ナトリウムで処理すると, 水に不溶の油状ジスルフィドあるいはトリスルフィドが生成した。トリスルフィドは容易にジスルフィドに分解した。ジスルフィドを還元開裂するとp-ドデシルべンジルメルカプタンがえられた。
  • 田畑 米穂, 浜ノ上 熊男, 祖父江 寛
    1964 年67 巻3 号 p. 482-484
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    テトラフルオルエチレン(TFE)-塩化ビニル(VC)混合系に-78℃でγ線照射を行ない, 共重合物を得た。この反応においては,重合速度は線量率のほぼ1乗に比例し,単独重合においてはTFEの方がはるかに速く重合するのに反して,共重合の場合は,VCの濃度が大きいほど速く,TFEとVCの間に励起エネルギーの移動があり,そのため開始反応は主としてVCよりなされるものと予想される。共重合体は赤外吸収スペクトルでは塩化ビニルに似たものであるが,テトラヒドロフラン,DMF,シクロヘキサノンに難溶であり, 融点はPVCよりも高く熱的に改良されたポリマーである。モノマー反応性比として
    r1(vc)=7.75 r2(TFE)=0.03
    を得た。なお,この共重合反応はラジカル機構と推定される。
  • 三浦 正敏, 青柳 利幸, 平井 崇子
    1964 年67 巻3 号 p. 485-490
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3-クロルメチル-3-エチルオキセタン(CMEO)および3-フルオルメチル-3-エチルオキセタン(FMEO)が放射線により固相で重合することを見出し,これら化合物の固相重合の挙動を調べる目的で実験を行なった。これらの化合物はいずれも固相においてのみ重合し,徐冷結晶化した大結晶の方が重合速度,飽和重合収率,および分子量が高く,重合収率に飽和現象が認められ,分子量は反応の進行とともに低下する。また照射温度が融点に近づくと,重合収率および分子量が増加するが,融点にごく近い温度では重合収率の低下がみとめられる。これはCMEOでは,飽和収率の低下にもとづくものであり,FMEOでは重合速度も低下する。CMEOでは連鎖寿命が長く,重合初期に誘導期および分子量の増加が認められる。FMEOでは重合速度が著しく遅く,CMEOで連鎖寿命が長いために起こる現象はFMEOにあってはほとんど認められない。
  • 三浦 正敏, 平井 崇子
    1964 年67 巻3 号 p. 490-492
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3-クロルメチル-3-エチルオキセタン(CMEO)と3-フルオルメチル-3-エチルオキセタン(FMEO)の放射線による固相共重合を行なった。状態図を作成した結果,FMEOとCMEOは固相で固溶体を形成していることがわかった。この固溶体を照射することにより,あらゆる組成領域でモノマーの混合比に等しい組成の重合体が得られ,その融点が明確であることならびにX線回折結果から共重合であることを確認した。また生成共重合体は結晶性が非常に高く,結晶構造はそれぞれの単独重合体の構造に類似している。
  • 三浦 正敏, 平井 崇子
    1964 年67 巻3 号 p. 492-496
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    3-クロルメチル-3-エチルオキセタン(CMEO)と3,3-ビス(クロルメチル)オキセタン(BCMO)は全組成領域で固溶体を形成する。この固溶体にγ線を照射して得られる共重合体の平均組成は初めのモノマー混合組成に等しく,モノマーの結晶化条件,照射温度および重合収率に依存しない。BF3による液相共重合ではBCMOに富んだ共重合体が生成する。共重合体の組成分布は結晶化条件の影響を受け,急冷結晶化した方が組成分布の幅が狭くなる。これらの現象は,両モノマーの多少の反応性差に拘束されずに固溶体結晶の配列にそって一定方向に生長反応が進行することで説明される。またモノマーを抽出した後の共重合体に配向性が認められることも,上の推定を確実にしている。固溶体の重合挙動は単一成分の固相重合と類似しており,照射温度と重合収率の関係は固溶体融点より10~20℃低い温度に最大値を持つ。共重合体は結晶性高く,その融点はいずれも単独ポリマーの融点の中間にある。
  • 石垣 昭
    1964 年67 巻3 号 p. 496-503
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    広葉樹を原料とする硫酸塩法溶解パルプ製造時の前加水分解工程で生成する各種の揮発性反応生成物の確認を行ない沸点96℃以下の低沸点留分中に12成分を見出した。この中で確認されたものはアセトアルデヒド,アセトン,メチルアルコール,アセトアルデヒドジメチルアセタール,ギ酸メチル,酢酸メチル,ジアセチルの7成分である。またフルフラールと水の共沸混合物を主体とする留分中に5-メチルフルフラールの存在を確認した。揮発性有機酸として酢酸とギ酸を確認したがギ酸は量的にみて酢酸よりはるかに少ない。これらの反応生成物の前加水分解中の挙動を調べ,酢酸,フルフラールが前加水分解の進行とともに最初から増加するのに対してメチルアルコール,アセトン,アセトアルデヒドジメチルアセタール,酢酸メチル等は前加水分解の初期に多く,次第に生成量が減少することを見出した。ただしジアセチルは前加水分解中,一定の生成割合で生成する。
  • 井本 稔, 石田 真一郎
    1964 年67 巻3 号 p. 501-503
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    塩基性触媒によるフェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応について検討した。まずフェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応から,初期反応の反応速度式として次式をえた。
    ただしR:反応速度,k:反応速度定数,[U]:フェニル尿素濃度,[F]:ホルムアルデヒド濃度,[NaOH]:触媒濃度である。さらにホルムアルデヒド濃度に関しては, ある濃度以上で0 次になることを確かめた。一方, パラエトキシフェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応からも上記フェニル尿素の場合と同様の結果をえた。以上の結果,塩基性触媒によるパラ置換フェニル尿素とホルムアルデヒドとの反応において,その反応速度が各試薬濃度のほぼ2次に比例することから,パラ置換フェニル尿素分子の会合が起こっているものと考えられる。またホルムアルデヒドの高濃度で反応速度がホルムアルデヒド濃度に無関係になることから,触媒によって生じたパラ置換フェニル尿素アニオンが,溶媒に包囲されてcageを形成すると考えられる。
  • 久保 輝一郎, 真鍋 和夫
    1964 年67 巻3 号 p. 504-505
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 若江 匡夫, 浜野 潔
    1964 年67 巻3 号 p. 505-506
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 谷本 重夫, 小田 良平
    1964 年67 巻3 号 p. 506-507
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
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  • 斎藤 俊英, 近藤 五郎, 小篠 善雄, 土師 正子
    1964 年67 巻3 号 p. 508
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
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  • 1964 年67 巻3 号 p. A27-A33
    発行日: 1964/03/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general idea of the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommended to refer to the tables, the figures, the formulae etc. in the original papers.
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