含イオウ非環状シアナミド誘導体としてチオ尿素(A),チオシアン酸アンモニウム(B),2,4-ジチオビウレット(C),グアニルチオ尿素(D)を使用し,それらの熱分解機構を解明する目的で,熱分解過程を通常の化学的手段およびDTA,TGA,IR,UV,ペーパークロマトグラフィー,イオン交換クロマトグラフィーなどの物理的手段によって追求した。
(A),(B),(C)および(D)は400℃以上では同じ熱分解過程をたどり,熱分解生成物(シアヌール酸,アンメリド,アンメリン,メラム,メレム,メロン)も同じである。(A),(B)はそれぞれの融点以上で(A),(B)の混合物となり,その後はぼ同じ分解過程をたどり,200℃以上ではグアニジンチオシアン酸塩(E)が生ずる。(C)は融解と同時に完全に分解し,二硫化炭素を副生し,主分解生成物として(A),(B),シアナミド,(E)および環状生成物を生成し,環化が他の試料と比較して約50℃低い温度でおこることが確認された。(D)は熱分解途上で(A),(B)を生成することなく,融点以上で主分解生成物として(E),副生成物としてチオアンメリン(F)を生成する。(E)と(F)とはそれぞれ異なる経路を通り,(E)の加熱によっては(F)は得られない。
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