日本化學雜誌
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83 巻, 11 号
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  • 上井 一郎, 田申 龍夫, 山辺 武郎
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1161-1164,A75
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換膜におけるハロゲンイオンの選択透過性を不均質膜を用いて検討した。五室の電解槽の各室に種々の組成の原液を充てんし,濃縮室は固定し,脱塩室は原液を下方から上方へ約20ml/minの速度で流しつづける。1時間電解透析を行なったのち,濃縮室中の各イオン濃度を定量した。
    実験結果のうち,主要な知見をあげると,1)ハロゲンイオンの透過性は多くの場合I>Br->CI>Fの順で,これはイオン交換における選択係数の大きさの順と一致する。2)電流密度が高くなると,C1-に対するBr-,I-の選択透過係数は減少して1に近づく。これは,高電流密度では膜中のイオン濃度項の寄与が少なくなり,移動度項が支配的になるだめと考えられる。3)F-の膜透過性はきわめて小さい。これは,イオン交換平衡における選択係数および移動度の小さいためと思われる。4)強酸性膜の方が弱酸性膜にくらべて透過性およびCI-に対する選択透過性が大きい
  • 亀本 雄一郎, 小野田 儀弘
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1164-1167,A75
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中性子吸収断面積と中牲子しゃへいがあらわれはじめる試料の量との間の関係を求めるために,いくらかの実験を行なった。種々の量の試料を原子炉中で同時に中性子照射し,照射後試料を溶解し,試料の大きさによる比放射能の変動をこの溶液の放射能から検討した。比放射能が質量"0"の値より10%減少する試料の質量(Mg)を図上で求めた。この質量Mgを中性子しゃへいの効果のあらわれる試料の大きさと考えた。金属塊試料の実験結果としてMgと元素の中性子吸収断面積(Nbarn)との間につぎのような概略の関係が見いだされた。N×M==0.02~0.04試料の原子量またカプセル中の熱中性子束の均一性をモニターとして金を用いて検討した。種々な位置に7個の金試料を入れたカプセルをJRR-1原子炉の実験孔No.16で照射した。照射後各試料の比放射能を求め,その偏差が±2%以内であることがわかった。この結果はカプセル中の中性子束の均一性が満足すべき状態であることを示している。
  • 小林 宏
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1167-1172,A75
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ポルフィリンは内側の共役16員環Kと外側の共役系Lからなる。ポルフィリンのπ電子構造はKおよびLのMOの1次結合で近似することができる・LCMOによる計算結果・ポルフィン,クロリンおよびそのほかのヒドロポルフィンの低エネルギ_の励起はかなりKに局在したものであり,いずれもexp(士4ぎθ)→exp(士5iO)のという特性をもっている。クロリンやヒドロポルフィンの吸収スペクトルに見いだされる分裂は,Kと非対称系Lの結合によって生じるeg軌道の分裂によって起るものである。
  • 中島 路可
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1173-1174,A76
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2,3,5,6一テトライソプロピルニトロベンゼンおよび2,5tert-ブチル-3,6,-ジハロゲノニトロベンゼンのN-0対称伸縮振動はメチル基のCH変角振動と重なるため,まぎらわしくなっているが,これらの化合物の吸収帯の相互の比較,またこれらの化合物ではニトロ基はベンゼン平面に対してぽとんど直角にねじれていることを利用して赤外二色性を検討し,N-0対称伸縮振動の帰属を行なった。
  • 工藤 洌, 児玉 英子, 久保田 益充
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1175-1178,A76
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    有機試薬を沈殿剤に用いた場合のトリウムおよび核分裂生成物からのセリウムの分離の基礎実験として・ジベンゾイルメタンによる144Ceの共沈状況を検討した。β一ジケトン,フェニルアルソン酸,クフェロン類似化合物など11種の有機試薬について沈殿反応を行なった結果から・セリウムが比較的異なった挙動を示したジベンゾイルメタンについて詳細に検討した。144℃eの無担体溶液にジベンゾィルメタンのアルコール溶液を加え試薬を析出沈殿させる。'沈殿を遠心分離したのち・アルコールに溶かし,正確に25mlとしたうちから0.1mを採取し,ステンレス製試料ザラで蒸発乾固,G-M計数管で放射能を測定する。144Ce標準の放射能の測定値との比較から共沈率を算出した。水素イオン濃度,沈殿の放置時間,有機試薬の量の影響などについて検討した結果,pH9.8,ジペンゾイルメタン100mg/8mlアルコール,70°C,60分加熱,60分放置の場合,144Ceの共沈率が4価で95%,3価でほぼ100%と最高値を示した。セリウム担体(10μg/ml)を加えた場合にも同様の結果が得られた。また,pH3・9において鉄,トリウム・ウラン・ジルコニウム・ルテニウムはジベンゾィルメタンにより完全に沈殿するがセリウムは沈殿しなかった。以上の結果からジベンゾィルメタンによりpH3.9および9.8において沈殿操作を行なうことにより,144Ce(3価)を上記元素から分離できることを知った。
  • 田中 二男
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1179-1182,A76
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    サリチルアルデヒドエチレンジイミン銅の5,5Lジハロゲン誘導体およびこれらの錯塩のプロピオン酸,クロロホルム,エタノールとの添合化合物の赤外吸収スペクトルを測定した。その結果,平面型錯塩に固有で添合化合物には見いだされない二つの吸収帯が確認された。またこれらの錯塩の吸収帯の性質についての若午の知識が得られた。
  • 入江 敏勝
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1182-1185,A76
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    緑色凝灰岩中の微量成分として何が存在するかを,86個の試料について発光分光分析法によって定性的に調べた。その結果はっきり見いだされた元素はバリウム・ベリリウム・カドミウム,銅,マンガン,鉛,ストロンチウム,バナジウム,亜鉛の9元素で・このラち検出ヒン度が70%以上の元素はバリウム,マンガン,ストロンチウム,バナジウムであった。これらの元素は緑色凝灰岩の起源に関係のある火山岩の進化度と関係がある。すなわち安山岩質岩石が起源的に関係していると思われる緑色凝灰岩では岩シヨウ分化の末期に晶出するバリウム,マンガン,ストロンチウムの検出ヒン度が高く,また,玄武岩質岩石が起源的に関係あると思われる緑色凝灰岩申には岩ショウ分化の初期に集まるバナジウムが比較的高ヒン度で検出された。
  • 中期 元吉, 和田 弘子
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1185-1189,A76
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-(2一ピリジルアゾ)-2一ナフトール(PAN)のピリジン環をチアゾール環にかえた1-(2一チアゾリルアゾ)-2一ナフトール(TAN)を合成し,その酸解離定数,各種金属との反応などについて実験し,分析試薬としての性質をPANと比較考察した◇TANは反応する金属,生成した錯体の溶媒に対する溶解性,錯体の吸収曲線,錯体の組成,錯体の分子吸光係数などの点でPANとよく似た性質を示し,比色試薬,キレート滴定の金属指示薬としてPANと同様に用いられるが,ウラン(Vl),コバルト(ll)以外の金属では錯体を生成するρH範囲がPANにくらべてせまくなっており,選択性の点で比色試薬としてはPANよりすぐれていると思われる。
  • 中川 元吉, 和田 弘子
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1190-1194,A77
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-(2一ピリジルアゾ)-4一メチルフェノール(PAC)の銅,亜鉛,ニッケル錯体の組成,安定度定数,吸収スペクトルについて検討した。銅はpH8以上では金属:試薬の比が1:2の錯体を,pH4以下では1:1の錯体をつくる。亜鉛はpH6以上で1:2錯体をつくるが,金属が過剰の場合には1:1錯体をつくる。ニッケルは主として1:2錨体を生じ,金属が過剰の場合でも1:1錯体と同時に1:2錯体を生成する。これらの金属の1:1錯体と1:2錯体の吸収スペクトルはほぼ同一であり,1:2錯体の分子吸光係数は1:1錯体の2倍である。Blerrumの方法を用い吸光光度法で各錯体の生成定数を測定し,銅に対しては10gK1=13.70,10gK2=8.30,亜鉛に対しては10gK1=8.36,10gK2=8.30,ニッケルに対しては10gK1・K2=22.14が得られた。銅,亜鉛のような四座配位の金属が1:2錯体を生成することなどから,PACは二座配位子として錯生成を行なうと考えられる。
  • 中井 敏夫, 亀本 雄一郎, 魏 明通
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1194-1197,A77
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅中の金,マンガン,ナトリウムを中性子放射化分析により定量する方法を検討し,ほぽ満足のいく結果を得た。銅試料約200mgを標準試料とともにJRR-1原子炉中で2時間申牲子照射を行なった。照射した試料から放射化学的に純な形で金,マンガン,ナトリウムをとり出し,γ線スペクトロメトリーにより定量した。銅試料自体を中性子束モニターとする定量法を検討し,一度金,マンガン,ナトリウム,銅の標準試料を同時に照射し,金,マンガン,ナトリウムの各生成放射能と銅の生成放射能の比を求めておけば以後,同じ照封条件,同じ測定器を用いれば標準試料を毎回試料と同時に照射することなく,銅試料を中性子束モニターとして金,マンガン,ナトリウムを定量し得ることが明らかとなった。
  • 岡 好良, 梅原 美佐緒, 野副 鉄男
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1197-1203,A77
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トロポロンに種々の置換基を入れた場合に,金属イオンとの反応性がどのように変化し,分析的にどのような効果をもたらすかを知る目的で,まず鉄の1:1キレートについて光度法にしたがって検討した。反応性の変化は生成定数の変化から判断した。25.O°±0.1°Cでイオン強度を2.00としたとき,トロポロンおよびその5一位にクロル,プロム,ニトロ,イソプロピルあるいはスルホン酸基を入れた場合,酸解離定数(K0)としてそれぞれ3.8×10-7,2.4x10-6,2.9×10-6,2.3×10-3,1.4×10-7.2.1×10-5をあたえた。そのさい生成定数(K1)は3.2×1010,8.3×109,5.5×109,3.7×106,4.4×1010,5.2×108と変化し,pKaと10gk1との間には直線関係が見られた。トロポロンおよび5-イソプロピルトロポロンの塩基性度定数としては,それぞれ0.02および0.7(25.0°±0.1°C)を得た。吸収曲線は5-ニトロ置換体のほかは類似した形をとり,吸収極大波長は試薬およびキレートのいずれでも置換基を入れることによって長波長側に移動した。
  • 辻 章夫
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1203-1207,A77
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換樹脂を発色担体とする芳香族第一アミン類の微量検出法をこころみた。[H]形強酸性陽イオン交換樹脂(Dowex50W-X1)数粒に検液中のアミンを吸着濃縮させてから,4一ピリジルピリジニウムニ塩酸試液から調製したグルタコンアルデヒド試液・または1・2喘ナフトキノンー4一スルホン酸ナトリウム試液を発色試薬として作用させると樹脂粒は赤~榿色に呈色する。またジァゾ化しβ一ナフトール試液を作用させるとアゾ色素となり樹脂粒は黄榿~赤色に呈色する。通常の点滴法にくらべてはるかに検出感度がすぐれている。
  • 今井 弘, 笠城 彰夫
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1208-1211,A78
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ローダミンBの酸性,塩基性溶液における可視および紫外吸収スペクトルが調べられた。可視部における吸収極大はRamette,Sande11によって報告された値とよく一致した。556mμの吸光度はpH3~6において,また520mμにおけるそれはpH6において高い値を示し,両者とも酸,塩基の濃度の増加にともなって減少した。RH+や(R+-)2または(RHC1)2のイオン種は1~1.5Nの酸濃度でRH22+に変化し,さらにRH22+は酸濃度が3N以上になるとRH33+に変化する(RH33+の吸収は364mμである)。またこれらのイオン種は塩基性溶液中でR+-や(R+-)2に変化するものと考えられる。紫外部における吸収極大は1N以上の酸濃度において,228,280,355,364血μに現われ,微酸性または塩基性溶液においては225~230,258,355mμに現われた。258mμにおける吸収の帰属は第三アミノ基によるものであり,355mμにおけるそれはキサンテン核によるものであることが明らかになった。1N以上の酸性溶液において現われる280mμの弱い吸収は第三アミノ基の窒素原子にプロトンが1個付加するために生じたものであると考えられた。そしてこの吸収波長は酸濃度の増加とともに長波長側へ移行する傾向があった。約230rnμの吸収帰属は決定することが困難であった。
  • 鈴木 邁, 岩本 勲, 鈴木 貞雄
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1212-1215,A78
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸触媒の存在のもとで過酸化水素と酢酸から過酢酸が生成するとき酸素の発生をともなう。この酸素発生量はきわめて小さいのでこれまでこの系の平衡定数の測定にあたっても無視されてきた。したがってその機作も明らかにされていない。著者らはこの酸素ガス発生機作を明らかにする目的のもとにこの反応の速度論的検討を行なった。
  • 梅田 和子, 多羅間 公雄
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1216-1221,A78
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサノールの重クロム酸カリウムによる酸化反応機構を調べる目的で,まずシクロヘキサノンからアジピン酸への酸化反応について速度論的に研究した。反応速度式,活性化エネルギー,活性化エントロピーとして,それぞれ,u=k(Cr2O72-)(シクロヘキサノン)(H+),∠E-13.8kca1/mo1,∠S=-21.9e.u.を得た。この反応速度定数に対するイオン強度の影響ならびに反応中 のpHの変化などから,本反応の機構をつぎのように考えた。シクロヘキサノンがエノール化して生成した炭素,炭素の二重結合へ・2個のHCrO4-が付加し,酸性中間体が生成し,その炭素,炭素二重結合が切断される。このときまずアルデヒド酸がつくられるが,これはすみやかに酸化され酸にいたると考えた。
  • 梅田 和子, 多羅間 公雄
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1221-1225,A78
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    重クロム酸カリウムによるシクロヘキサノールの酸化反応について,前報に引きつづき,シクロヘキサノ_ルからシクロヘキサノンへの過程の機構を速度論的に研究した。この過程の反応速度式,活性化エネルギー,活牲化エントロピーとして,それぞれ,宿ん(Cr20・2-)(シクロヘキサノール)(H+),∠E-11.5kcal/m・1,∠8--26.7e.u.を得た。クロム酸エステル生成ならびに分解に関する実験およびMn2÷に対する誘起酸化の実験結果などから,この反応は,シクロヘキサノ-ルに水素イオン1個とHCrO4-2個とが付加したクロム酸エステル生成過程が律速的であると考えた。
  • 村上 増雄, 鈴木 洗次郎, 姜 正雄
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1226-1228,A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シァノコバルト,クロロペンタアンミンコバルト錯体を用いた不飽和結合の均一系水素化反応や,還元アミノ化反応において,水素がどの方向から付加するかということについて研究した。アセチレンジカルボン酸,ジフェニルマレイン酸の還元では,水素がトランス付加した生成物が得られた。ジベンゾィルの還元アミノ化では,ベンゾインの他に,erythro-アミノアルコールと少量のmeso-ジアミンが得られた。またベンゾインからはerythro-アミノアルコールが得られた。5員環,6員環の1,2一ケトカルボン酸の還元アミノ化では,謹少量ながらcis体のアミノ酸が得られた。これらは,環状のキレート申間体を通って還元が起り,水素は立体障害の少ない側から導入されたものと考えられる。
  • 松尾 茂樹
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1229-1232,A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅イオンの溶液に多量の臭素イオンを加えていくと赤紫色を呈する高次の錯体が最終的に生ずるが,その組成については種々議論が多い。著者はエタノールを溶媒として使用し,この錯体の十分生成する条件でその組成を求めたところ1:4となり,さきの水溶液における平衡的な考察から求めた結論と一致した。この系の紫外吸収スペクトルの経時変化からプロモ銅錯体の生成条件も調べた。また二,三の非水溶媒申における銅イオンと臭素イオンとの反応を分光光度法によって調べた。
  • 佐々木 洋興, 長瀬 すみ, 土屋 正臣
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1232-1235,A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノ-4-オキシ-6-トリオキシブチル(L-L-erythro)プテリジンは担ガン動物の生命延長効果およびバターイエローによる肝ガン発生をいちじるしく抑制すること(1)を知ったので,分子構造とこの作用との関係を追及するため,その類似化合体を10数種合成し比較した結果,この作用はプテリジン核の6一位の側鎖の構造に影響され,ジオキシプロピル型よりトリオキシブチルの場合の方がよく,しかも側鎖末端がメチル基であり,かつerythro型である方がよりよい効果を与えた。またプテリジン核の置換基の影響を知る目的で4一アミノ化合物を合成したが,毒性が増大するにすぎなかった。またアセチル化物についても検討したところ,その効果は増加した。
  • 後藤 俊夫, 岸 義人
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1236-1237,A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5α一コレスタンー3β,5,6α一トリオール3,6一ジアセタートにSerini反応を行ない,前報(2)の反応機構から予想された3β一オキシー5β一コレスタンー6一オンアセタートが生成していることを証明した。すなわち反応液を水素化アルミニウムリチウムで還元してC5における異性化を防ぎ,アセチル化してからシリカゲルクロマトグラフィーで精製後,脱アセチルおよび酸化によって5β一コレスタンー3,6一ジオンに導いた。これによりSerini反応はcis-ジオールモノアセタートで起ることが証明された。
  • 磯貝 浩司
    1962 年 83 巻 11 号 p. 1238-1238,A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1962 年 83 巻 11 号 p. A75-A79
    発行日: 1962/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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