日本化學雜誌
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90 巻, 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 熊田 誠
    1969 年 90 巻 5 号 p. 425-444
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    メチルクロルシランの直接合成法で副産する高沸点残留物のなかに多量のジシラン化合物("`ジシラン留分")が含有されることの発見は,従来オルガノポリシランの化学の発展を阻んでいた原料問題を大幅に解決し,以来この分野の化学,とくにメチルポリシランの化学は飛躍的な発展をとげた。本論文では前半で,このジシラン留分を主原料とするケイ素官能性ならびに炭素官能性オルガノポリシランおよびペルメチルポリシランの合成法を述べ,後半において,こうしてえられるオルガノボリシランの種々の試薬および条件のもとにおける反応を,できうるかぎり機構論の立場から記述する。オルガノポリシランは対応する炭化水素およびその誘導体としばしば非常に異なり,種々の条件下で切断,不均化,あるいは分子内転位を受ける。またこれらの反応性は,ケイ素上の置換基の性質によって強く影響されることが多い。ケイ素一ケイ素結合の切断反応は形式的に炭素-炭素二重結合への親電子的付加反応に類似することがいくつかの例によって示される。
  • 安達 雅巳, 今中 利信, 寺西 士一郎
    1969 年 90 巻 5 号 p. 445-448
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫化亜鉛上での二酸化イオウおよび酸素の吸着状態を,ESR法を用いて研究した。室温における二酸化イオウの吸着の場合は,SO2による強いシグナルおよびSO-,S-による弱いシグナルが出現したが.Fセンタ-によるシグナルはほとんど変化しなかった。また吸着したSO2は200℃で分解し,酸素および吸着したS-を生成することが高温でのESR測定によって明らかになった.酸素の吸着状態は,吸着温度によって異なることがスペクトルの変化から明らかになった・室温で酸素を吸着させたのち.気相を排気するとFセンターのシグナルは30~50%増加し,同時に化学吸着したSO-のシグナルも増加した。しかし硫化亜鉛に酸素を250~300℃で5~6時間ふれさせたのち,室温で排気した場合はSO2-による強いジグナルが出現し,かっFセンターの増加は認められなかった.
  • 常盤 交克, 森山 登, 杉 原洋
    1969 年 90 巻 5 号 p. 449-454
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)とポリエチレングリコrル(PEG)との水溶液中における相互作用をpNa,蒸気圧および電導度の測定により調べた。これらの測定結果はSDSとPEGとの間に一種の複合体が形成されているということを実証している。ここではとくにPEGとの複合体形成に基づくSDSの解離度の変化に主点をおいて報告した。pNaから算出した複合体中におけるSDSの解離度はSDS/PEGのモル比が一定の場合.PEGの分子量の増加にともない増大し,PEGの分子量が一定の場合,SDSとPEGとの混合系におけるPEGの割合が増加するにともない増大する。SDSとPEGとの混合系における比電導度は,低濃度ではSDS単一系の比電導度より小さいが,高濃度ではPEGの分子量が1500以下の混合系ではSDS単一系の比電導度より大きくなる・電導度の結果は複合体中のSDSの解離度の大きさと複合体自体の移動度によって説明できるであろう。
  • 常盤 交克, 森山 登, 杉原 洋
    1969 年 90 巻 5 号 p. 454-457
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カチオン性界面活性剤,塩化ドデシルアンモニウム(DAC)のミセル形成におよぼす非イオン性界面活性剤,ポリオキシエチレンドデシルエーテル(DPE)の影響,とくにDACとDPEとの混合ミセル中におけるDACの解離度を,DAC/DPEのモル1ヒおよびDPEのポリオキシエチレン鎖長を変化させて調べた。混合ミセル中にけるDACの解離度は蒸気圧の測定により算出した。混合ミセル中のDACの解離度はDPEのポリオキシエチレン鎖長が一定の場合DAC/DPEのモル比が小さくなるにともない増大し・DAC/DPEのモル比が一定の場合,DPEのポリオキシエチレン鎖長が長くなるにともない増大することがわかった。DAC-DPE混合系の比電導度は低濃度では,DAC単一系の比電導度より小さいが高濃度では大きくなる。混合系における高濃度での比電導度は遊離の対イオン(換言すると,混合ミセル中のDACの解離度)と混合ミセルの電導度の二つの因子で支配されると考えられる。
  • 上原 巳芳, 中谷 純一
    1969 年 90 巻 5 号 p. 458-462
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々のナゾメチン化合物,すなわち,(i)p -(C側),p'-(N側)置換N-ベンジリデンアニリン・(ii)N(アリールメチレン)アニリンおよびN一ベンジリデンアリ-ルアミン,(iii)N-ベンジリデンアルキルアミンの加水分解速度定数K1を,それらのポーラログラム第一還元波波高を利用して求めた(中性,50%エタノール溶液中)。一方,非水溶媒(エタノールーアニリン系)中におけるN一ベンジリデンアニリンとベンズアルデヒドの拡散電流の差を検討して,分解中間体としてのアミノアルゴールの蓄積を否定した。えられた加水分解速度定数は(i)についてはN-ベンジリデンアニリンの分子内``二平面ねじれ構造"を考慮しながら湯川らのσπ+と対応させて考察し,p-.p'-側とも共鳴効果が大きく作用していることを認めた。また(iii)についてはTaftのσ*と対応させて検討し,一般に反応速度は共鳴効果によって滅少し誘起効果によって増大するものであることを認めた。
  • 重名 潔, 菅野 竹雄
    1969 年 90 巻 5 号 p. 463-466
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コール酸ナトリウム水溶液について,そのCMCを光散乱法および色素可溶化法によって測定し,あわせて光散乱の測定結果からミセル量を求めた。また,CMCおよびミセル量におよぼす添加塩化ナトリウムの影響についても検討した。その結果,1)塩化ナトリウムを加えない場合はミセル量はきわめて小さく,かっCMCが明瞭でない,2)塩化ナトリウムを加えるとミセル量は増大し,それに応じてCMCが明瞭になる,という特徴が認められた。このような特徴は,コール酸ナトリウムのミセル形成現象を会合反応と考え,質量作用の法則を適用すると定性的には説明することができる。
  • 伊藤 武, 千葉 雄彦
    1969 年 90 巻 5 号 p. 466-471
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    [Co(NH3)6]X3(X=ClO4,BF4,1)および[Co(NH3)6(H2O)](ClO4)3の1H,,19Frの実験室系スピン格子緩和時間T1ならびに回転系スピン格子緩和時間T1p を77~400°K の温度領域において測定した。配位子NH3はC3軸まわりに77°Kにおいても十分はやく回転しており,その効果は低温領域での温度の低下にともなう,T1の緩慢な減少として現われた。T1の温度勾配から見積ったNH3の回転の活性化エネルギrはすべて1kcal/mol以下であった。これらの錯体はすべて室温付近の温度で錯イオン全体の回転が始まり,T,,Tlpの温度変化のグラフに顕著な極小を示した。T1,T1p および二次モーメントの温度存性から,この運動の活性化エネルギーは[Co (NH3)6] (C104) 3, [Co (NH3)5 (H20) ] (C104)3, [Co (NH3) 6] (BF4) 3, [Co (NH3) 6] I3についてそれぞれ13.7,11.0,11.0,2-3kcal/molと求められた。秩序一無秩序転移の運動におよぼす影響はほとんど認められなっかた。
  • 増田 嘉孝, 三角 省三
    1969 年 90 巻 5 号 p. 471-477
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    D-グルコサミン酸は種々の金属と錯体を形成する。ユーロピウム(III)-D-グルコサミン酸錯イオンのポーラログラフィーにより,その電極過程および電極近傍におけるイオン種および速度定数(kf0)Bを求めた。またph滴定によって溶液申に[EuG]2+,[Eu(G)2]2+ および[EuG(OH)]+の錯イオン種の存在を認めた。Bjerrum方法によって生成定数を算定するとlogk1=5.24,logk1k2=10.52をえた。[Eu3+]:[D-グルコサミン酸]=1:5,1:40([Eu3+]:1.0027mmol/1,μ=0.1)の場合二段波を示す。第一波.第二波ともに拡散律速で,第一波は非可逆性の一電子還元,また第二波は溶液中の水素イオンに依存し,錯体の加水分解によって生じた水素イオンの還元で生ずる。10.15<pH<10.8においては半波電位は移行しない。pH=10.5,μ=0.1(NaClO4)において電極過程は[Eu(G)2]+→[EuG]2+G-[EuG] 2+e 〓→ [EuG] +速度定数(kf0)B=2.05×10-15cm/sec([Eu3+]:[G0]=1:5),3.24×10-17cm/sec([Eu3+]:[Go]=1:40)をえる。なおdV/dt-f(V)の曲線はpH=10.5において還元側の切れ込み一つおよび酸化側に一つ認められる。またNMRの結果から.Dグルコサミン酸のポリ水酸茎の酸素が金属との相互作用を有する可能性が認められる。
  • 田中 一好, 守永 健一, 中埜 邦夫
    1969 年 90 巻 5 号 p. 478-483
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    種々の有機酸,チオシアン酸カリウムおよび硫酸溶液における還元生成物であるチタン(III)の塩素酸イオンによる再酸化反応の速度定数ゐを直流ポーラログラフ法により測定した。左は塩素酸イオンを含む溶液と含まない溶液の限界電流の比から求めた。このゐは硫酸の存在により大きくなった。また交流ポーラログラフ法でのピーク電流の変化から,kの大きさを推定した結果は直流法による結果と一致した.可逆度とKとを比較した結果,Kの値が小さいと可逆度も小さいということができる。しかし,チオシアン酸カリウム溶液でのKは可逆度から予測される値よりかなり小さいが,硫酸,酢酸,プロピオン酸溶液でのKは逆に大きくなったo塩素酸イオンの濃度が高くなると電極反応は非可逆となり,逆対数プロットから移動係数が求められる。シュウ酸およびチォシアン酸カリウム溶液で測定した結果から,α=0.37および0.18なる値をえた..
  • 西川 泰治, 平木 敬三, 重松 恒信
    1969 年 90 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    オキシン,5,7-ジハロゲノオキシン,2-メチルオキシンのスカンジウム錯体のケイ光特性を調べ,スカンジウムのケイ光定量試薬としての適否を検討した。オキシン,ジクロルオキシン,ジブロムオキシン,ジヨードオキシンおよび2-メチルオキシンのスヵンジウム錯体はいずれも430~600mμ にケイ光波長帯を有し,その申心波長はそれぞれ510,526,520,515および505mμにある。これらオキシン誘導体を用いてスカンジウムをケイ光定量する場合の条件を比較した結果,5,7ジクロルオキシンによる方法が感度,分析結果の再現性などの点からもっともすぐれていると考えた。5,7-ジクロルオキシンによるケイ光定量法は,さきに報告したこの試薬による吸光光度法よりも感度が高く,より微量のスカンジウムの定量に応用できる。岩石,鉱物などの微量スカンジウムの分析に本法を応用した。
  • 高田 健夫, 中埜 邦夫
    1969 年 90 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    原子吸光分析の予混合パーナーの噴霧室を加熱した場合に,その吸収強度の増大機構に関係する二三め因子について検討した。吸収強度増大の主要因子は,フレーム中への微細化試料の送入量が増加するためである。しかし多量の試料がフレーム中へ入るとフレームの温度の低下が考えられ,その現われとして感度増大の程度に大きな差が認められた。すなわち加熱による感度上昇の割合の大きさは,Cu>Fe>Ca>Zn>Mg>Crとなり,大別してフレーム中で安定な化合物を生成しやすい元素ほど上昇の程度が低かった。したがってフレームの熱容量が大きいほど加熱による効果が大きい。加熱によるフレーム中への送入効率は噴霧室,バーナーなどの一連の形状によって左右される。したがって噴霧室の温度と吸収程度の関係曲線はこれによって異なる,ことなどが明らかになった。
  • 辻野 陽一
    1969 年 90 巻 5 号 p. 490-497
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フエノチァジン〔1a〕,フェノキサジン〔1b〕およびブェノセレナジン〔1c〕を室温でヨウ素のジメチルスルポキシド溶液で酸化すると,それぞれ対応する3,10'二量体を生成した。いずれの場合も反応は速く,1,10'-二量体はコン跡程度しか認められなかった。〔1a〕の場合,三量体〔3a〕,3-フェノチアジノン〔4a〕および緑色物質〔5a〕が副生し,〔5a〕は加水分解すると,〔4a〕および7-フェノチアジニル-3-フェノチアジノン〔6a〕を生成した。また,流通法によるESRスペクトルはカチオンラジカル〔8a〕に帰属された。これらの結果を前報*2で報告したジメチルスルポキシドー無水酢酸酸化の場合と比較考察し,〔3a〕の脱プ担トン化で生成した中性ラジカル〔21〕がすばやく〔8a〕と二量化する機構を結論した。一方,このヨウ素のジメチルスルホキシド溶液による酸化法を3,7-ジク醤ル誘導体に適用し,対応するキノンイミン誘導体を高収率でえた。この機構についても考察した。
  • 相沢 富士子, 新井 万之助, 山口 真守
    1969 年 90 巻 5 号 p. 497-499
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    無水塩化アルミニウムを触媒とし,(―)-塩化メンチル〔1〕および(+)-塩化ネオメンチル(2)を120℃で加熱反応させ,〔1〕および〔2〕 のいずれからもかメンタン〔3〕(17%),炭化水素C20H30〔4〕(23%)および重合物をえた。〔3〕は〔1〕または〔2〕から生成した炭素陽イオン〔5〕が7〔5〕のプロトン脱離により生成したシクロアルケン〔6〕から水素陰イオンを引き抜いて生成し,〔4〕は〔5〕と〔6〕との反応または〔6〕の二量化により生成するものと推定した。また1-クロル-1-メチルおよび-1-クロル-2-メチルシクロヘキサンについても同様な不均化と二量化が起こり,メチルシクロヘキサン〔13〕と炭化水素C14H24〔14〕をえた。
  • 佐藤 泰夫, 木村 孝子, 田島 洋子, 高橋 知義, 萩谷 彬
    1969 年 90 巻 5 号 p. 500-502
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2β 一アセトキシ-5β-コレスタン-3-オンを臭化水素酸/酢酸で処理すると,3α-アセトキシ-5β-コレスタン-2-オンがえられることがわかった。この反応の機構を解明するために,2種のアセトキシーケト誘導体から合成したヒドロキシーケト化合物の異性化反応について研究した。また,この反応は環状中間体を経て進行するのではなく,アセトキシル基が反応中に開裂を起こしているということを確かめるために,2β-アセトキシ-3-ケト化合物の重臭化水素酸/酢酸-d4の反応を検討した。これらの実験結果から,2β-アセトキシ-5β-コレスタン-3-オンから3α-アセトキシロ-5β-コレスタ-2-オンの生成する反応は,つぎのような過程を経て進行するものと思われる:2β-アセトキシ-3-オン→2β-ヒドロキシ-3-オン→3α-ヒドロキシ-2-オン→3α-アセトキシ-5β-コレスタン-2-オン..2α-アセトキシ-5β-コレスタン-3-オンと重臭化水素酸/酢酸-d4の反応から,2α-アセトキシ誘導体が2β-アセトキシ-5β-コレスタン-3-オンになる反応は,エノール化を経て進行することがわかった。
  • 古元 貞好
    1969 年 90 巻 5 号 p. 502-503
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 村井 幸一, 木村 誓
    1969 年 90 巻 5 号 p. 503-505
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1969 年 90 巻 5 号 p. A25-A28
    発行日: 1969/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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