2,2,6,6-テトラメチル4-ピペリドン〔1〕のN-オキシルラジカルは非常に安定な遊離基として興味をもたれている。その合成原料である〔1〕の合成法としては,アセトンに塩化カルシウムの存在下アンモニアガスを通ずる法やホロンにアンモニアを反応させる法などが知られているが,いずれも低収率であり反応時間も長い。著者らはアセトンとアンモニアから〔1〕を合成する法を検討し,〔1〕の他に多量の2,2,4,4,6-ペンタメチル-2,3,4,5-テトラヒドロピリミジン〔4〕と少量の1,9-ジアザ-2,2,8,8,10,10-ヘキサメチルースピ0[5,5]ウンデカン4-オン〔5〕を副生することをそれぞれを単離することにより確認した。この〔4〕に塩化カルシウムなどを反応させると〔1〕を約60%の収率でえることができた。〔4〕はアセトンから90%の高収率でたやすくえられるので,アセトンから〔4〕を経由して〔1〕を従来法にくらべより高収率にえることができるようになった・またアセトンから約70%の収率でえられるジアセトンアルコ一ル〔11〕にアセトン,アンモニアおよび塩化カルシウムを反応させて〔1〕を約45%の収率でえることができた.
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