さきに, 久米は強電解質濃厚水溶液の蒸気圧と濃度との関係を吟味して, 溶質は溶液中でそのモル数の々倍の濃度効果をもつことと, この係数 k は, 飽和を基準とした一種の還元濃度 s=x/x
s (x
s は溶解度で, sは飽和度と名づけた) の等しい場合には温度濃度に無関係に, 溶質個有の一定値をとることを認めたので, 溶液は飽和度sが等しい場合には溶質の濃度効果が等しい状態にみる, すなわち飽和についての一種の相応状態にあると結論した。
本研究では, 数種の電解質水溶液の粘度についても, 上と類似の関係が成り立つことを認めた。すなわち, これらの電解質水溶液において, 飽和度がひとしければ log ηr/logηr
s(ηr
s は飽和溶液の欄粘度) の値が, 各電解質ごとにそれぞれ, 温度にひとしいことを認めた。ただし二三の 1-1 型カリウム塩では, この関係は成り立たないことがわかった。
また, Jones の式の濃度をその K' 倍 (k'=k/ko;ko は無限希釈におけるんの値) の濃度に補正するど, これらの水溶液について飽和までの濃厚溶液に適用できることを認めた。
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