ブテリジソ化合物の質量スベクトルの研究の一環として,プテリンの6-位にポリヒドロキシアルキル基をもつ誘導体を,アセチル化して質量スペクトルを測定し,それらのフラグメンテーションの解析を行なった。プテリン-6-カルボン酸メチルエステルのアセチル体は,まず2-位のアセトアミド基のアセチル基からケテンが,ついで6-位のメトキシル基が脱離する。6-ヒドロキシメチルプテリンのアセチル体は,はじめに側鎖の,ついでアセトアミド基のアセチル基がケテンとして脱離して,核の開裂に移ることがその重水素置換体からも明らかにされた。さらに側鎖に2個以上の水酸基をもつ誘導体, 6-(1,2-ジヒドロキシエチル)プテリン,ネオプテリン,6-(2,3-ジヒドロキシプロピル)プテリンについては,6-位の側鎖からアセチル基が,酢酸,ケテンとして脱離すること,また側鎖のうち2個の炭素原子は,ケテンとして失われていくことを見いだした。これは,6-位にボリヒドロキシブチル側鎖をもつ化合物,6-(1,2,3,4-テトラヒドロキシブチル)プテリン, 6-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)ブテリンの開裂においても同様である。これらのフラグメンテーションは準安定イオンピーク,重水素置換体からも考察された。
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