日本化學雜誌
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91 巻, 11 号
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  • 旗野 嘉彦
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1009-1021
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    放射線化学反応における種々の反応中間体,あるいはこれらから構成されている種々の反応素過程のうち,より未知であいまいな部分はなにか,そしてそこにどのような問題点が含まれているかなどについて検討し,従来他の中間体に比較してほとんど本質的な検討が行なわれていない二つの短寿命中性中間体,すなわちホット水素原子と超励起状態を舎む高い励起状態を中心に考察した。これらの中聞体のふるまいをより選択的に見いだすために,特別な反応系,オレフィン系からの水秦生成について詳細な実験および簡単な理論計算を行ない,いくつかの新しい事実を見いだし,その結果からこれらのふるまいについてその一端を知ることができた。すなわち,超励起を含む直接励起の結果生じた分子の商い励起状態を前駆体とするホット水素原子によるオレフィンからの水素原子引き抜き反応である。そして,さらにこの方法および結果の一般性を種々の系(パラフィン系その他)について確認した。
  • 相沢 益男, 水口 純, 鈴木 周一
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1022-1025
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    すでに生物燃料電池の研究途上,酵素あるいは生体内電子伝達系物質の電極衷面における吸藩が電池特性にきわめで密接な関連性があることが示されている。この研究は生物燃料電池に関連した基礎的資料を得ることを目的とし,アミノ酸あるいはタソンク質など生体に関違した物質の電極表面における吸蒲現象を三角波ボルタンメトリーによって検討した。その結果,過塩素酸水溶液(pH1.0)中の白金電極における電位一電流曲線に現われるいわゆる水素前置波は,アルブミンなどのタソパク質あるいはリシン,アルギニソなどの塩基性アミノ酸の添加によって抑制されるよりむしろ増大する異常現象が見いだされた。さらにアミノ酸やタンパク質においては,従来行なわれていた水素前置波の抑制度による吸藩量の推定法を適用し得ず,酸化白金還元波の抑制度から吸着量を推定し得ることを示した。
  • 吉田 憲鐡, 今井 大三郎, 広田 鋼蔵
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1026-1030
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    還元粉糊触媒輔いて,25℃でプロピレンの重水素化反応を行なわせ,反応の進行にともなって変化する気相水素の同位体組成(H2,HD,D2)を質量分析計で測定した。その結果,反応初期においては,H3の生成速度がHDの生成速度よりも大きかった。これは100%D2との反応にもかかわらず,触媒表面に解離吸着している水素原子は軽水素原子が大部分で,重水素原子が少ないことを示唆している。そこで著者らはこの測定値を用い,水素の解離吸着過程と吸着水素原子の脱離再結合過程における同位体効果が無視し得るものと仮定して,吸着水素原子中の重水素原子の割合(表面重水素濃度)を計算したところ,反応初期での表面重水素濃度は15%であった。この値はすでに轍告したこの系におけるプロピレンとプロパンの重水素分布の結果とも合致する。それゆえ, この結果はオレフィン水素化反応の機作として一般に受け入れられている会合機作によって説明することができる。
  • 佐々木 和夫, 今井 弘, 谷水 好夫, 柴 晴雄
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1030-1033
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    p-フェニレンジアミンを亜硫酸ナトリウム共存の水溶液で電解酸化するとスルホン化が起きる。この反応を,定電位線型電位走査法,回転電極使用による陽極ボーラログラフィー,電気伝導度,定電位電解による生成物確認ならびに混合溶液の紫外吸収などの方法を併用して多面的に検討した。ヒドロキノンでも同様なスルホン化が起きるが,ヒドロキノンの場合はスルホン化を後続化学反応とみて差し支えなかったのに対し,p-フェニレンジアミン(PPD)の場合は電荷移動反応とスルホン化反応が見かけ上一段階に進行する。これはおそらく,PPDとヒドロキノンでスルホン化の機構が違うことを示すものではなく, PPDの場舎はスルホン化速度が前段の電荷移動速度よりも速いため,見かけ上一段で反応が完結するものと思われる。 スルホン化速度が速いことは,溶液内にあちかじめPPDと亜硫酸塩の錯体が形成されているからとも考えられる。 このため電気伝導度の検討を行なったが,相互作用の存在は認められず,PPDの紫外から可視にわたる吸収スペクトルにも亜硫酸塩共存の影響はまったくみられなかった。
  • 井上 好昌, 長谷川 貞夫, 河口 武夫
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1034-1038
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    銅,コバルト,ニッケル,マンガンの各酸化物の表面過剰酸素量は表面トラップ数と比例し酸化銅の場合は塩基性点とも比例する。金属酸化物の過酸化水素分解反応とアセトアルデヒド合反応に対する触媒活性は表面過剰酸素量あるいは表面トラップ数の増加にともなって高くなる。さらに酸性指示薬を吸着させると,金属酸化物上のアセトアルデヒド縮合反応は阻害される。以上の結果から表面トラップ,表面過剰酸素および塩基性点はそれぞれ重複する部分があると考えられる。
  • 長谷川 貞夫, 河口 武夫
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1038-1042
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 野村 浩康, 加藤 重男, 宮原 豊
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1042-1046
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ボリスチレン-デカリン溶液の超音波吸収を10-80℃の温度範囲で測定した。 ポリスチレソ-デカリン溶液の70℃近傍の異常は,超音波吸収では6-20MHzでの吸収量の異常な増加として観測されたが,この吸収過程は温度,周波数の変化には無関係に60-80℃の温度領城に現われた。この70℃近傍の異常は溶液中の高分子鎖の局所的な安定構造の変化による溶液の密度のゆらぎによるものであると考えた。この70℃近傍での超音波吸収の異常な増加を別にすれば,これまで同様すべての温度でΔα/f2-fの関係は単一緩和過程を示したが,これまでとは異なり緩和周波数frは温度の増加とともに減少した。この結果からCrank-Shaft模型で溶液中のポリスチレン分子鎖の回転にともなうエネルギー差は,ΔHo=1.O2kcal/mol,Arrhenius型の活性化エネルギーΔH21=-2.57kcal/molを得た。この負の活性化エネルギーは,溶液中でのボリスチレン分子鎖の回転異性化反応に関与する振動様式の数が,少なくとも20-30は存在するためであると考えた。
  • 西村 陽一
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1046-1049
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカゾル,アルミン酸カリウムおよび水酸化カリウム混合物からゼオライトLを合成した。生成物の吸着特性および加熱特性を石英スプリング,標準容量法およびX線回折法によって調べた。ゼオライトLの生成は酸化カリウムの量および溶液の濃度に依存し,組成が7K20,AI208,20SiO2,450H20あるいは8K20,AI203,20Sio2,500H20の混合物からゼオライトLはよい収率で合成された。生成したゼオライトLの吸着特性はべンゼンあるいはメシチレンの吸着に対してモレキュラーシープ13Xと類似である。ゼナライトLの構造は800℃処理まで安定であって,900℃で無定形となる。しかし加熱処理したゼオライトLの比表面積は700℃でいちじるしく滅少する。これは加熱処理によって主空孔で部分的なシンターリングを起こすため,細孔がふさがれるためと考えられる。
  • 岩本 一星, 吉田 俊久, 青沼 孝正, 慶伊 富長
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1050-1054
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    Raneyニッケルによるアセトンの液相水素化に対する溶媒効果について速度論的検討を行なった。メタノール溶媒の場合には,水素化初期速度はつぎのように表わされ,r=k8K1KAKHCAPH/[1+KACA(1+K1√KHPH)+√KHPH+KSCS]2 半水素化アセトンに2個目の解離吸着水素が付加する段階が律速であること,メタノールは単に反応物質と表面をとりあう吸着質としてのみふるまうことを結論した。 n-ヘキサン溶媒の場合も同様な結果が得られた。一方,エタノール,1-プロパノール,1-ブタノール,2-プロパノール,2-ブタノールを溶媒とした場合は,水素化初期速度はつぎのように表わされた。r=k5K1K2KACAPH/1+KACA(1+K1√KHPH+K1K2KHPH)+√KHPH+KSCS これから,アセトン-水素コンブレックスが2-プロパノールに変わる段階が律速であること。これらの溶媒は吸着質として働くうえに,活性点数を滅少させる触媒毒として働くことを結論した。吸着平衡定数K1K2KHの温度依存性から算出した水素の見かけの吸着熱(2.7kcal/mol)はメタノール以外のアルコール溶媒の種類に無関係であったことから,吸着水素の性質はアルコールの種類によらないと考えられる。
  • 伊藤 卓爾, 吉田 哲郎
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1054-1058
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化ビスマスの陰イオン吸着容量は大きいが,一度吸着したイナンは完全には溶出されにくい欠点があった。しかし,結晶化度の異なる2種類の水酸化ビスマスについて,塩素イオンの吸着と溶出の可逆性を検討した結果,60℃での1N泳酸化ナトリウム溶液によればほとんど完全に塩素イオンを溶出することができた。また,水酸化ビスマスは塩素イオンの吸着によって,酸化鹿化ビスマスに変化し,さらにアルカリ溶液による溶出によって,酸化ビスマスへと変化し,それ以後は塩素イオンの吸着と溶出にともなって酸化塩化ビスマスから酸化ビスマスへの変化をくり返すことがわかった。 なお,吸着と溶出の速度はそれらをくり返す回数の増加とともに次第に大きくなったが,これは結晶型の変化や結晶化度に関係があり,アルカリ溶液で溶出するときには,一度γ-酸化ビスマス(III)となり,さらにα-酸化ビスマス(III)に変化することが明ら浮になった。
  • 野々山 松雄, 山崎 一雄
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1058-1061
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ベンゾ[h]キノリン(bhqHと略記)はハロゲン化パラジウムと室温,メタノール中で反応して,淡黄色の錯体,[Pd2X2(bhq2)](X=Cl,Br)を生ずる。この錯体はXにより橋かけされた構造の複核錯体であって,bhqは窒素と炭素とでパラジウムに配位していると推定される。この複核錯体はさらにピリジン,トリブチルホスフィン,トリフェニルアルシン,ジメチルスルホキシドなど(L)と反応して,[PdCl(bhq)L]を生ずる。 核磁気共鳴スペクトルおよび赤外吸収スペクトルから,これらの錯体においてLはペソゾ[h]キノリンの窒素に対してトランスに配位している。また,ジメチルスルホキシドはイオウで配位しており,さらに上の複核錯体はアセチルアセトンとも反応して,[Pd(acac)(bhq)]を生ずる。これらの反応は,複核錯体のハロゲンによる橋かけ構造を支持する。
  • 坪内 正弘
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1061-1064
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    中性およびアルカリ性においてテトラブロムフェノールフタレインエチルエステルは,スパルテインとともに1,2-ジクロルエタンに抽出されて615mμ に吸収の極大を示す。このような現象を利用して無色のスパルテインを比色定量する方法を確立した。pH7-11の範囲で最大一定の抽出が得られ,試薬がスパルテインの5倍モル以上の濃度であればスパルテインは定量的に抽出される。抽出種は試薬とスパルテインが1:1の組成比であり,8×10-7-4×10-5mol/lの範囲でBeer則にしたがう。通常の無機塩は定量を妨害しないが,アルカロイド類は妨害する。
  • 原田 光
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1064-1068
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    マンガン(II),コパルト(II),および亜鉛(II)イオンとカテコールのキレートの安定度定数を光度法により,25±0.1℃, μ=0.1の条件でつぎのように求めた。logkmn=7.61, logkco=8.31, logkzn=9.00 すでに得た銅(II)およびニッケル(II)に対する値とともに検討すると,マンガン(II)から亜鉛(II)にいたるまで銅(II)以外の値はほとんど直線となった。典型的な酸素二座配位子とこれらのイオンのキレートの安定度定数を文献から引用し一般的な考察を行なった。簡単な計算により配位子場安定化エネルギーΔEMを評価し,logkCuおよびlogkN1とΔEMの関係を見ると,前者については直線関係が得られるが,後者についてはΔEMがほとんど0となり規則性は認められなかった。すなわち,銅以外のイオンについてはカテコールが配位水と置換しても配位子場効果に大差ないことが確かめられた。銅(1)キレートの余分な安定性はJahn-Teller効果と,自由エネルギー変化に対するエントロピー変化の寄与を考慮して定性的な解釈を行なった。
  • 大槻 耕三, 波多野 博行
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1068-1071
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アミノ酸自動分析に適したタンパク質アルカリ加水分解条件を,各種アミノ酸と一部タンパク質の応用例について検討した。テフロン製の気蜜容器を用いて, 2.5N水酸化ナトリウム,窒素置換,110℃,10-30時間の条件で加水分解した。トリブトファンについては,従来のクロマトグラフィーの溶出液にペンジルアルコールを加えることにより定翫可能にした。α-キモトリブシン中のトリプトファンを定量した結果では91%の回収率を得た。メチオニンスルホキシド,トリプトファン,チロシン,ジョードチロシン,ジブロムチロシンの定量にはデンプンを加えることによりよい回収率が得られた。メチオニン,フェニルアラニンの場合はデンプンを加えない方がよい結果が得られた。
  • 佐藤 利夫, 森谷 昭彦, 水口 純, 鈴木 周一
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1071-1075
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    コンニャクグルコマンナンをTrichsderma virideの産生するセルラーゼによって加水分解し,5種のオリゴ糖を単離した。これらのうち,おもなオリゴ糖3種の構造を酸加水分解,過ヨウ素酸酸化,水素化ホウ素ナトリウム還元などを併用することによって決定した。その結果これら3種のオリゴ糖はそれぞれD-マンノピラノシルβ(1→4)D-マンノピラノース,D-マンノピラノシルβ(1→4)D-グルコピラノースおよびD-マンノピラノシルβ(1→4)D-マンノピラノシルβ(1→4)b-グルコピラノースであることがわかった。オリゴ糖の構成およびコンニャクグルコマンナン中のグルコースとマンノースのモル比(2:3)からこのマンナンがつぎのようなユニットのくり返しで構成されているものと推定した。-(→4)D-マンノピラノシルβ(1→4)B-マンノピラノシルβ(1→4)D-マンノピラノシルβ(1→4)D-グルコピラノシルβ(1→4)D-グルコピラノシルβ(1-)n
  • 辻野 陽一, 内藤 寿彦, 杉田 実男
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1075-1080
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    フェノチアジンのペンゼン溶液にジメチルスルホシキシド(DMSO)存在下塩化水素を作用させると,室温で塩素化が起こり主生成物として3,7-ジクロルフェノチアジンが得られた。また,チオシアン酸塩を添加して同じように反応させると,塩素化は起こらずチオシアナト化が起こった。これらの反応はハロゲン化水素がDMSOにより酸化されて生成したハロゲンによる親電子反応であると考えられる。一方,フェノチアジンの3,7-位の塩素またはチオシアナト基は酢酸-ヨウ化水素酸中で加熱すると,容易に水素と置換される。これらの反応も親電子反応と考えられる。また,ヨウ素のDMSO溶液によるフェノチアジン類の酸化反応で副生するヨードフェノチアジノン類はすべてキノンイミン核の4-位にヨウ素が置換した構造をもつことをNMRスベクトルで決定した。
  • 辻野 陽一, 錦田 晃一, 内藤 寿彦
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1080-1085
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    3,10'-ピフェノチアジン 5-オキシド(2),5'-オキシド(3) および5,5'-ジオキシド(4) の強酸中での挙動を可視,ESRスペクトルおよび生成物のTLC分離により検討した。(2) および (3)の濃硫酸溶液は既報の3,10'ピフェノチアジン(1)の濃硫酸溶液と同じ可視吸収スペクトルを与える。これはいずれの場合も3-(10-フェノチアジニル)フェノチオニアジニウムジカチオン(5)が生成していることを示している。また,これらの溶液はいずれもESRスペクトルにおいて(1)の濃硫酸溶液と同じ3,10' -ビフェノチアジンジカチオンビラジカル(6)のシグナルを示す。さらに,(2)と(3)は60%過塩素酸に溶解し, 水を加えるといずれも同じ黒色粉末を与えるが,これは,赤外,可視吸収スペクトルおよび元素分析値から,10-(3-フェノチアジニリデン)フェノチアジニウム過塩素酸塩(7)と考えられる。しかも,(2),(3)の60%過塩素酸溶液もESRスペクトルでピラジカル(6)のシグナルを示す。(4) は(2)や (3) と類似の挙動を示すが,ESRでビラジカル種のシグナルを示さない。これらの結果から,二量体の酸化反応機構について考察する。(2) と(3)が(1) と同じように強酸中で(5) と(6)を与えることは,二量体の両フェノチアジン核に陽電荷が非局在化していることと,(5)と(6) の間に平衡関係が存在することを示唆している。
  • 小林 清隆, 木下 武, 後藤 幹保
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1085-1091
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ブテリジソ化合物の質量スベクトルの研究の一環として,プテリンの6-位にポリヒドロキシアルキル基をもつ誘導体を,アセチル化して質量スペクトルを測定し,それらのフラグメンテーションの解析を行なった。プテリン-6-カルボン酸メチルエステルのアセチル体は,まず2-位のアセトアミド基のアセチル基からケテンが,ついで6-位のメトキシル基が脱離する。6-ヒドロキシメチルプテリンのアセチル体は,はじめに側鎖の,ついでアセトアミド基のアセチル基がケテンとして脱離して,核の開裂に移ることがその重水素置換体からも明らかにされた。さらに側鎖に2個以上の水酸基をもつ誘導体, 6-(1,2-ジヒドロキシエチル)プテリン,ネオプテリン,6-(2,3-ジヒドロキシプロピル)プテリンについては,6-位の側鎖からアセチル基が,酢酸,ケテンとして脱離すること,また側鎖のうち2個の炭素原子は,ケテンとして失われていくことを見いだした。これは,6-位にボリヒドロキシブチル側鎖をもつ化合物,6-(1,2,3,4-テトラヒドロキシブチル)プテリン, 6-(2,3,4-トリヒドロキシブチル)ブテリンの開裂においても同様である。これらのフラグメンテーションは準安定イオンピーク,重水素置換体からも考察された。
  • 中山 充, 西村 新二, 松井 隆尚, 林 修一, 福井 憲二
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1092-1094
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチルクロマンとアセトニトリルのHoesch反応で8-アセチル-および6-アセチル-5-ヒドロキシ-7-メトキシ-2,2-ジメチルクロマンを得た。6-アセチル化合物を無水ペンゼン中DDQで脱水素反応を行ない目的とするイソエボジオノールを得た。また,8-アセチル化合物を同一試薬で脱水素反応を行なうと環が開裂後再閉環してイソエボジナノールを与えた。8-アセチル化合物は無水塩化アルミニウムや三フッ化ホウ素工ーテラートで処理しても6-アセチル化合物への転位反応が起こった。0-メチルアロエボジオノールを5,7-ジメトキシ-8-アセチル-2,2-ジメチルクロマンから誘導した。
  • 坪内 正弘, 中村 多恵子, 田中 畠也
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1095
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小林 清隆, 木下 武, 後藤 幹保
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1096-1098
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小幡 斉, 徳山 泰
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1098-1099
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 竹内 望
    1970 年 91 巻 11 号 p. 1099-1101
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 91 巻 11 号 p. A57-A61
    発行日: 1970/11/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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