日本化學雜誌
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89 巻, 5 号
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  • 篠田 耕三
    1968 年 89 巻 5 号 p. 435-442
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    与えられた油に対して与えられた温度でもっとも適当な乳化剤を選定することは,乳化研究の中でもっとも重要な命題であるにもかかわらず,HLB値による方法しかなかった。転相温度方式(HLB温度方式と呼んでもよい)は,非イオン性乳化剤の親水性親油性のバランスが温度によって大層変化し,そのちょうど釣り合う温度で乳化の型が逆転することに着目して,与えられた油一水系に対して乳化の転相温度(PIT)を求め,HLB値法よりも迅速に,かつ正確に安定な乳化剤を選定する独自の方法である。同時に転相温度を含めた研究によって乳化系をより深く理解することができる。それはHLB値が分子に与えられた一つの数であるのに対し,転相温度は乳化系の特性値であって,油の種類,乳化剤の濃度,相容積の効果,温度などの効果に関する情報を提供するためである。また,転相温度の研究は油の可溶化,水の可溶化,洗浄など他の諸性質との関係についても多くの知見を提供する。また転相温度の測定から乳化剤の親水性親油性のバランス(HLB)が正確に求められるので,HLBを一定にたもって分散系の安定性に対する分子構造の影響などを判然と知ることができる。HLB値法では正確にHLBを求めることがむずかしいのでこれが困難かつ不正確になる。HLB値が参考的にしか使われなかった理由の一つはこのためであろう。以上のことから転相温度方式(PITまたはHLB温度方式)とs値方式には決定的な将来性の違いがあることがわかる。
  • 伊藤 倫康, 山本 正夫, 広田 鋼蔵
    1968 年 89 巻 5 号 p. 443-445
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    高分解能質量分析装置から求めた質量スペクトルから,5種のモノアルキルアミン(C3H7NH2,CH9NH2,C5H11NH2,C6H13NH2,C7H15NH2)の骨格結合の相対的切断確率を決定した。プロピルアミン,ブチルアミンおよびアミルアミンの質量スペクトルから決めた2個の経験的パラメーターを用い,分子軌道理論を適用してヘキシルアミンおよびヘプチルアミンの骨格結合の切断確率を適用算した。その結果,衝撃電位が20Vでは実測値と満足すべき一致を得たが,80Vの場合にはそれほど一致がよくない。これは,第一次生成イオンが過剰のエネルギーを持つため,二次切断が起きるためと解釈される。
  • 安達 雅巳, 今中 利信, 寺西 士一郎
    1968 年 89 巻 5 号 p. 446-450
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酸化バナジウム(V)上でのギ酸の吸着状態を,赤外スペクトルを用いて研究した。赤外吸収スペクトルおよび赤外発光スペクトルから,触媒表面上の吸着種は物理吸着ギ酸,水およびギ酸イオンであること,およびギ酸の吸着にともなって触媒層中にV4+=をもった化学種が生成することを明らかにした。
    ギ酸イオンの吸収帯およびエミッションバンドは,真空中200℃ まで加熱しても残存していた。これはギ酸イオンがかなり強く表面に吸着していることを示している。
    還元されたバナジウム(V4+)が吸着にともなって生成することは,ESR測定の結果からも確かめられた。ギ酸イオンは,この還元されたバナジウム(V4+)上に吸着するものと推定される。さらに酸素雰囲気では,吸着および脱離の速度がいちじるしく大きくなることを明らかにした。
  • 角田 光雄, 大場 洋一
    1968 年 89 巻 5 号 p. 450-453
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    セファデックスLH-20ゲルを用いたゲルロ過法により,天然汚垢中に含まれている汚垢成分のうち,トリステアリン,コレステリルステアレート,スクアレン,コレステリン,ステアリン酸について流出容積を測定した。つぎにこれらの物質の混合物について,分離状態を検討した。測定値から分配係数を求め,各物質の分子量と分配係数との関係を求めた。分子量が400以上になると分配係数値はあまり分子量によって変化しなくなる。一方分子量が300以下になると,分配係数値は1よりも大きくなる傾向を示している。
  • 渡辺 昌, 松本 陸朗, 玉井 久子, 後藤 廉平
    1968 年 89 巻 5 号 p. 454-458
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    イオン性界面活性剤を含む油相と無機電解質を含む水相の間に電圧を加えると界面張力が変化する。この研究から油-水界面の電気二重層構造や界面活性剤イオンと対イオン間の相互作用に関する種々の知見が得られた。本報ではこの測定法を応用してレシチンの吸着特性やこの物質の対イオンとの閲の相互作用を調べた。レシチンは両性電解質であって,その解離がρHによって支配される。この物質は等電点より酸性側でカチオン形,アルカリ側でアニオン形の界面活性を示した。また等電点では界面張力は電圧に関係なく一定であり,このρH値と濁度法で求めた値とがほぼ一致するのでこの電気毛管曲線の測定からも等電点が求まる。等電点におよぼ無機イオンの効果は電解質の種類によって強く左右されるが,その濃度にはほとん無関係である。そしてレシチンに対するカチオンの影響力は文献値とほぼ一致した。
  • 大杉 治郎, 楠原 滋, 平山 鋭
    1968 年 89 巻 5 号 p. 459-463
    発行日: 1968年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    9-アセチルアントラセンのスタンナンによる光還元反応をベンゼン溶液中で行なった結果,9-アセチルアントラセンのカルボニル基は,紫外,赤外吸収スペクトルから,光還元を受けないで,meso-位置に水素付加が起こることが見いだされた。
    いくつかのアントラセン誘導体に対して,このmeso-位置光還元反応をセン光法を用いて研究した結果,速度定数は,ほぼ104l・mol-1・sec-1ぐらいで,アントラセン誘導体の光酸化の場合に見いだされている置換基効果と逆の傾向を示すことがわかった。すなわち,meso-位置に電子供与性の置換基がつくと,反応がいくぶん抑制され,電子受容性の置換基がつくと反応がいくぶん促進される傾向にある。
    この反応に対する活性化エネルギーを,9-アセチルアントラセンについて求めた結果,10.4kcal/mo1を得た。また,2-アセトナフトンのカルボニル基がスタンナンにより光還元を受けたのに対して,9-アセチルアントラセンのカルボニル基が,スタンナンによって光還元を受けなかった理由についても考察する。
  • 小野木 重治, 升田 利史郎, 松本 孝芳
    1968 年 89 巻 5 号 p. 464-469
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プチルゴムの濃度0~100%の流動パラフィン溶液にカーボンブラックを種々の濃度に分散させた系の粘弾性を測定した。2種の回転円筒型レオメーターおよびテンシロンを用いて,動的粘性率η',動的剛性率G1,見かけの粘度ηa,および緩和弾性率(t)を求めた。
    得られたおもな結果はつぎのとおりである。(1)Gassonの式S2=Ko+K1D1/2から求めた降伏値は,前報で述べたように媒体の粘度に依存しないだけでなく,温度にも依存しない。(2)粒子の混入の効果はタイムスケールの長い領域で顕著に現われる。(3)ηa,塑性粘度ηρ1,あるいはη1はせん断速度あるいは周波数が低くなるにつれて上昇しつづけ,一定の零せん断粘度を示さない。それに対応して,G(t)あるいはG2も約104dyne/cm2の平坦部を示す。(4)高分子濃度10%以上の溶液に粒子が混合した系においては,タイムスケールの短い領域で時間-温度の重ね合わせが成立するが,時闘の長い領域では成立しない。しかし高分子濃度が10%以下のときには,全時間領域において良好な重ね合わせが行なえる。(5)移動係数aTは粒子濃度0~12%の範囲では濃度に依存しない。(6)高分子の濃度が高くなるにつれて高いせん断速度あるいは周波数における粒子の影響は少なくなる。(7)ブチルゴムの流動パラフィン溶液の零せん断粘度は,低濃度において高分子濃度Cに比例し100%付近の高濃度においてはc7に比例する。
  • 田村 幹雄, 倉田 道夫, 翫尾崎 邦宏, 松下 和正
    1968 年 89 巻 5 号 p. 469-474
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    単分散ポリ-α-メチルスチレン希薄溶液のずり応力σ12および法線応カ-∂P/∂lnrを測定した。Lodgeのゴム状流体理論に基づいてこの結果を解析して,弾性的回復sl=(-∂P/∂lr)/2σ12を,ずり応力の2の関数として求めた。比較的低粘度の溶媒を用いた系ではs1は濃度に依存せず,ずり応力σ宝2に比例した。一方,高粘度の溶媒を用いた系では濃度ぶ比較的高いところでslはσ12に比例するが,濃度の滅少とともに比例からずれるようになった。ゴム状流体を表わす記憶関数μ から溶媒効果を除いた高分子のみの記憶関数μ*を定義し,μ*による弾性的回復s1*を求めると,sl*は(-∂P/∂lnr)/2(σ12-κηs)であって,溶媒,分子量,濃度などに関係なくσ12-κη,に比例した。
    また熱重合ポリスチレン希薄溶液に同じ解析法を適用すると,Sl*が小さいとき,sr*はの2-κηε に比例するが,sl*が約0.5以上で非フック性が現われる。この非フック性が出現するst*の値は,濃度,分子量,溶媒に依存せず一定であった。
  • 多羅間 公雄, 吉田 郷弘, 谷口 捷生, 小坂 祥造
    1968 年 89 巻 5 号 p. 474-477
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シリカゲルをハロゲン化アンモニウム水溶液で処理してえられるハロゲン置換シリカゲルは固体酸性を示すが,その表面水酸基の性質について研究した。
    シリカゲルの赤外吸収スペクトルを測定した結果ハロゲン置換により表面水酸基が減少することが明らかになった。これにアンモニアガスを吸着させると表面水酸基による吸収スペクトルはさらに減少し,NH4+ のための吸収が現われたゲ。一方,このハロゲン置換シリカゲルに260℃でメタノールガスを導入すると,表面水酸基がエステル化され,〓Si-OCH3を形成する。この反応により触臓面に残存する水醜の数を段階的に滅少させ融媒の酸点の数,触媒活性におよぼす影響を調べた結果,メトキシ化が進むにつれて,全酸量,1-ペンテンの2-ペンテンへの異性化反応の触媒活性が低下することが明らかとなった。このことからハロゲン置換シリカ表面に残存するハロゲン源鯛辺のシラノール基がBroinsted酸性発現に寄与していることが明らかとなった。
  • 古茂田 瞭三, 西 泰英, 鹿野 松太郎
    1968 年 89 巻 5 号 p. 478-483
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    酢酸鉛と炭酸アンモニウムの温溶液から得た炭酸鉛試料を減圧下および窒素気流下で等温熱分解し,熱テンビンを用いて熱分解速度を測定した。本実験条件下ではつぎの2段階の過程を経て熱分解が進行した。
    また,分解率(F)対分解時間(t)の関係はいずれの場合も次式に適合した。1-(1-F)1/3=Kt
    なお,冷溶液から得た炭酸鉛試料の熱分解結果と比較検討し,熟成効果,反応界面の二酸化炭素ガス分圧などについて考察した。反応界面の二酸化炭素ガス分圧が相対的に高い場合,熱分解はつぎの過程を経るものと思われる。
  • 油井 敬夫, 黒川 洋一, 薗 陸郎, 平本 哲郎
    1968 年 89 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 1968年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ブタノール-水二相系に臭化アルカリ(臭化リチウム,臭化ナトリウム,臭化カリウム,臭化アンモニウム)を分配させた系について,20℃ でその平衡組成を調べた。各成分の定量は銀滴定およびガスクロマトグラフィーによった。分配率-Kobs(下相の塩の重量モル濃度/上相の塩の重量モル濃度)は塩濃度の増加とともに増加(臭化ナトリウム,臭化カリウム,臭化アンモニウム),または減少(臭化アンモニウム)し,塩化アルカリの場合と同様な傾向を示した。分配率の変化が溶媒組成変化をともなっており, 塩濃度の増加とともに上相では水の量が減少してのプタノールの量がふえており,下相ではブタノールの量が減少した。
    下相のブタノールの減少に対して塩析係数は臭化リチウム:0.091,臭化ナトリウム:0.133,臭化カリウム:0.121,臭化アンモニウム:0.068の値になった。また,1-ブタノール-水系における上記の塩の伝導度を測定し,これをFuoss-Onsager式により解析してイオン会合の程度を調べた。
  • 油井 敬夫, 黒川 洋一
    1968 年 89 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1-ブタノール-水二相系にハロゲン化アルカリを分配させると塩の濃度増加につれて分配率が変化し,それにともない溶媒組成も変化する。塩の活量係数をMiller式で近似し,溶媒組成変化を考慮して半経験的に分配率の計算を行なった。計算は(a),(b)群にわけて行ない,(a)の場合は活量係数のみ,(b)の場合は活量係数のほかに溶媒組成変化をも考慮した。すなわち,(b)群の塩のように溶媒組成が大きく変わる場合は,つねに同一溶媒として扱うことが不適当と考えて,上下両相における塩の化学ポテンシャルの固有項の差が上相の水のモル分率により直線的に変化するとして扱った。(a),(b)群はつぎのように分類される。
    (a)臭化リチウム,ヨウ化ナトリウム,ヨウ化カリウム,(b)フッ化ナトリウム,フッ化カリウム,塩化リチウム,塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化ルビジウム,塩化セシウム,塩化アンモニウム。
  • 尾嶋 平次郎, 山田 喜代子
    1968 年 89 巻 5 号 p. 490-494
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シュウ酸ジェチルと各種ジアミン(エチレンジアミン,1,2-ジアミノブロパン,および1,3-ジアミノプロパン)とをエタノール溶媒中で反応させることによりN,N'-ビス(2-アミノエチル)オキサミド(略記号:AEoxdH2),N,N,N'-ビス(2-アミノプロピル)オキサミド(2-APoxdH2),および2N,N'-ビス(3-アミノプロピル)オキサミド(3-APoxdH2)を含む溶液を得,それらを水酸化銅(II),または,水酸化ニッケル(II)と反応させることにより6種類の新錯体(本文中,錯体〔A〕,〔A'〕,〔B〕,〔B'〕,および〔C〕,〔C'〕)を単離した。これらの錯体の水溶液の電気伝導度と可視,紫外吸収スペクトル,結晶の磁化率および赤外吸収スペクトルを測定し,それらの構造について論じた。
  • 武者 宗一郎, 宗森 信, 中原 武利
    1968 年 89 巻 5 号 p. 495-498
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    10cmのスロットバーナーを備えたPerkin-Elmer社製303型原子吸光分析装置を用い,空気-アセチレン炎中にテルルを含む水溶液を噴霧してテルルの原子吸光を測定した。その測定の最適条件は波長2142.7Å,中空陰極ランプ電流12mA,スリット幅0.3mm,空気流量21l/min,アセチレン3 .8l/min,光源光束の炎中での位置,バーナーヘッドから約13mm,供試液の噴霧量5ml/minであった。テルルの濃度範囲0~25ppmにおいて検量線は良好な直線性を示し,測定値の標準偏差パーセントの平均は2.3%であった。テルル水溶液に対して感度は0.2ppm/1%吸収であった。0.5~6Nの塩酸および硝酸硫酸, ,0.1~2Nのリン酸,過塩素酸,およびジルコニウム(IV),スズ(II)を除くほとんどの金属元素はテルルの原子吸光に干渉しなかった。銅スライムおよびイオウ中のテルルの定量に原子吸光分析法を応用して満足すべき結果を得た。銅スライムは希硝酸に溶かし,イオウは臭素,濃硝酸で加熱溶解した。得られた溶液を直接炎中に噴霧してテルルの原子吸光を測定した。
  • 和田 弘子, 中川 元吉
    1968 年 89 巻 5 号 p. 499-502
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-(2- ピリジルアゾ)-4-メチルフェノール(PAC)とインジウム錯体の組成,生成定数などを測定し,PACを指示薬としてインジウムをキレート滴定する場合の最適滴定条件をρM~ρH図および光度滴定によって検討した。酢酸-酢酸ナトリウム溶液中ではインジウムにPAC(A-)と酢酸イオン(X-)が配位した配位子混合錯体InAX+ ,InAX2,InAX3-などを生成する。PACはインジウムのキレート滴定におけるすぐれた指示薬であり,滴定液中の酢酸と酢酸イオンの全濃度を0.1~0.5mol/lとし,ρH3.5~5で滴定した場合にもっとも鋭敏な終点が得られる。またこの滴定においては混合錯体の生成が当量点の変色に重要な役割を果している薬。PACを指示として種々の金属イオンをキレート滴定する場合の滴定条件を示した(表2)。
  • 小友 允
    1968 年 89 巻 5 号 p. 503-506
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリウム(IV)は弱酸性溶液中でメチルチモルブルー(MTB)と反応して青色のキレートを生成し,1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)の存在で1-タノールで抽出できるので,これを利用したトリウム(IV)の新しい光度定量法を確立した。ブタノール相に抽出されたキレートは594mμ に吸収の極大をもち,長時間安定である。抽出液の吸光度は水相のpHを2.5~3.0にしたときに最大かつ一定になる。トリウム(IV)3~30μgの範囲で有機相の吸光度と水相中のトリウム(IV)濃度との間によい直線関係が得られる。抽出キレートのモル吸光係数は590mμで約66000であり,また,吸光度0.001に対する感度は0 .0036μg/cm2である。つぎに抽出種の組成について検討した結果,[Th(MTB)2]4-・[(DPG)]4+のようなイオン対として抽出されていることを推定した。
  • 市川 公
    1968 年 89 巻 5 号 p. 507-512
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    クロロ硫酸ニトロシル(NOSO3Cl)*3はきわめて反応性が強く種々の有機溶媒とはげしく反応するが,ジアルキル酢酸(RR'CH・COOH)と反応すると二酸化炭素を発生してN-アルキルカルボソ酸アミド(RCONHR'+R'CONHR)が好収率で得られる。R=R'のときはRCONHRだけである。RまたはR'のどちらかがフェニル基のときも同様に反応するが収率はきわめてわるい。シクロヘキサンカルボン酸と反応するとやはり二酸化炭素を発生してe-カブロラクタムが好収率で得られる。またシクロヘキサンカルボン酸塩化物と硫酸水素ニトロシルの反応によっても同様にこの反応は行なわれるが,これらの反応はSnia反応*4における発煙硫酸のような助剤を用いないで反応することは塩素の効果に基づく混合酸無水物の生成を考えて説明することができた。
  • 松浦 輝男, 佛願 保男
    1968 年 89 巻 5 号 p. 513-516
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    (―)-リナロールの光増感酸素化反応で得られるホトヒドロペルオキシドの混合物〔2〕と〔3〕を高度真空蒸留で精製した。これらの還元によって得られるジオール〔4〕と〔5〕〔5〕(〔5a〕と〔5b〕の混合物)を単離し,種々の反応を行なった。〔4〕は無水酢酸とピリジンでアセチル化されないが,〔5〕はモノアセチル体(〔6a〕と〔6b〕の混合物)を与える。〔5〕の酸化マンガン(IV)酸化で得られる〔7〕は容易に脱水されて〔9〕を生成する。また〔5〕を酸処理すると〔10〕を与える。〔4〕は酸処理または加熱によって脱水しトリン〔11〕になる。〔11〕は光化学反応でシクロブテン体〔12〕に異性化する。〔2〕と〔3〕の混合物を酸処理すると,〔5〕と〔10〕のほかエに既知のγ-ラクトン〔13〕が生成する。
  • 石沢 昭雄, 山村 正美, 一居 誠, 阪下 好顕, 後藤 良造
    1968 年 89 巻 5 号 p. 516-519
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    長鎖状化合物の合成と物性とに関する研究の一環として,長鎖状化合物の物性におよぼす鎖末端構造の影響を検討するためにω-シクロシル脂肪酸,H-(CH2)n・CO2Hの合成を前報に引きつづいて行ない,n=13~18の脂肪酸6種類を得た。合成にはアルキルカドミウム化合物とカルボン酸塩化物とを用いるケトン合成法,Friedel-Grafts反応を経て得られたフェニル脂肪酸の接触水素化,およびFriede1-Crafts反応を経て得られた2,5-二置換チオフェンを脱硫開環し炭素鎖を延長する法を用いた。得られた脂肪酸はすべて現在までに報告されていない新化合物であり,それらの融点が奇数炭素からなるものと偶数炭素からなるものとの間で交代することを認めた。
  • 植村 家顕, 後藤 幹保
    1968 年 89 巻 5 号 p. 520-527
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    プテリジン化合物の質量スペクトルの研究の一環として,ルマジンの8-誘導体の質量スペクトルについて検討し,フラグメントイオン,および準安定ピークの解析から,8-エチルルマジン,6,7-ジメチル-8-エチルルマジン,8-n-プロピルルマジン,6,7-ジメチル-8-n-プロピルルマジン,8-イソプロピルルマジン,6,7-ジメチル-8-イソプロピルルマジン,8-(β-オキシエチル)ルマジン,6,7-ジメチル-8-(β-オキシエチル)ルマジンのおもな開裂は,最初に側鎖が環状遷移状態を通って脱離し,ルマジン,6,7-ジメチルルマジンとなり,以後,ルマジン,6,7-ジメチルルマジンと同様の開裂が起こることを見いだした。一方,8-メチルルマジン,6,7,8-トリメチルルマジンでは,ピリミジン環からの脱HNCOによって開裂が始まることを見いだした。
  • 黒木 正胤
    1968 年 89 巻 5 号 p. 527-529
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2-アミノジベンゾフランは2-プロムジベンゾフランのアンモノリシスで得られた。2-ニトロジベンゾフランはジアゾニウム塩のニトロ置換で合成し,2-シアンおよび2-カルバモイルジベンゾフランは2-ブロムジベンゾフランをジメチルホルムアミド中シアン化銅(I)と反応させて得た。2-メチルジペンゾフランの合成では中間体の合成法に改良を加えた。
    2-メチルジベンゾチオフェンは2-アミノ-4'-メチルジフェニルスルフィドのジアゾ化,閉環によって合成し,またその酸化により5,5-ジオキシドを得た。
    このほか1-アセトキシジベンゾフラン,2-アンおよび2-カルボキシジペンゾチオフェンを合成した。
  • 重富 康正, 吉積 邦男
    1968 年 89 巻 5 号 p. 530-532
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 大杉 治郎, 浜ノ上 熊男, 大谷 槻男
    1968 年 89 巻 5 号 p. 532-533
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 長谷部 昇
    1968 年 89 巻 5 号 p. 534
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 杉村 徳子
    1968 年 89 巻 5 号 p. 535-536
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 89 巻 5 号 p. A25-A30
    発行日: 1968/05/05
    公開日: 2011/05/30
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