本研究はカラム操作が可能なイオン交換体を見いだすことと,各種金属の水酸化物および含水酸化物の吸着性について一般的傾向を知ることを目的として行なったものである。
本報は4, 5, 6 価金属元素の含水酸化物について,
pH値の異なった溶液からカリウムイオンおよび塩素イオンの吸着性を検討した。その結果,チタン(IV),スズ(IV),ジルコニウム,セリウム(IV)およびトリウムなどの4価金属の含水酸化物が両性の吸着性を示し,
pHの増加によって塩素イオン吸着量が減少し,カリウムイオン吸着量が増加する。逆に
pHの減少によって塩素イオン吸着量が増加し,カリウムイオン吸着量が減少する。ケイ素,マンガン(IV)、ニオブ,タンタル,アンチモン(V),モリブデンおよびタングステンなどの含水酸化物は陽イオン吸着性のみを示し,
pHの増加とともにカリウムイオン吸着量が増加する。
これらの吸着性とイオンポテンシャル(φ)とは密接な関係が認められ,ニオブ,タンタル,アンチモン(V)などその値の小さい含水酸化物が高い陽イオン吸着性を示した。
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