日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
87 巻, 5 号
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
  • 広川 吉之助, 後藤 秀弘
    1966 年 87 巻 5 号 p. 383-390,A23
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ケイ光X線分光法により各種合金成分の分析法を研究した。まず検墨線法においてたがいに重複し合うスペクトル線に対するバックグランドの補正式を提出し,この補正式をスズーアンチモン合金の合金成分や特殊鋼中のマンガンやクロムに適用した。一方,Ia=KaIaOWsμaWaの式が共存元素の影響を知るのに有力な手段であることをクロムー鉄合金を始め数種の二元合金や二元系混合物を使用して計算ならびに実験により確認した。さらにこの式を出発点として,これに添加法の考え方を導入した棟準試料を1個ないし2個を使用するケイ光X線分析法を創案した。例として標準試料を2個使用する場合の式をつぎに示す。
    微量元素の分析法は検最線を使用した非破壊法による非鉄地金中の不純物元素の定量はもとより,マトリックスを分離して共存元素の影響を除く方法として有機質沈殿分離法による鉄,銅,ウランなどの微量分析法とそれらの応用についても研究した。しかも従来ケイ光X線法でまったく行なわれていなかった合金薄膜の組成・厚さの同時決定法をパーマロイ薄膜(2μ以下)にっいて研究し,同時定量のための実験式として下記の式が得られた。
    (0.282-0.39wFe).log(1-Id/1∞)Fe=(0.39wFe+.008).log(1-Id/I∞)Ni
    log(1-Id/I∞)Fe=-0.434(0.39wFe+0.008)・d
    さらにこの合金薄膜の分析には下地元素の影響として吸収端効果ともいい得るX線の励起効果(ケィ光X線の発生)を認めた。そしてこの効果を微量元素分析の感度上昇に応用した。
  • 鳥飼 章子, 笛木 賢二, 九里 善一郎
    1966 年 87 巻 5 号 p. 391-394,A23
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    γ線照射によるメタノール溶液中でのスチルベンのcis-trans異性化反応についての研究を,スチルベンの濃度2×10-5~2×10-3mol/lの範囲で行なった。transからcisへの異性化の0値は0.02~1.0である。この反応はべンゼン,四塩化炭素,ピペリジンの添加により影響をうけないが,遊離基捕捉剤である塩化鉄(III)の添加により抑制される。また,cisからtransへの異性化は起らなかった。固相では反応は停止する。これらの結果から,本実験条件では異性化には遊離基が関与していると結論された。
    異性化にともなって副反応が起るが,この生成物はビベンジル型の化合物と考えられる。
  • 鈴木 哲身, 管 孝男
    1966 年 87 巻 5 号 p. 395-399,A23
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアノコバルト(II)錯体触媒による共役ジエン類の水素化反応の選択性が触媒を調製するときのCN/Co比によっていちじるしく左右される機構を明らにする目的で,水溶液中のシアノコバルト(II)錯体の化学量論的研究を行なった。すなわち[Co(CN)5]3-錯イオン,遊離コバルトイオン,シアンイオンの分光学的,化学的分析をCN/Co比が0から5にわたる領域で行ない,各種イオンの物質収から[Co(CN)3],[Co(CN)4]2-のような錯イオンも生成していると推論した。そうして,各種の錯塩が溶液にそれぞれ出現するCN/Co比の範囲を決定した。CN/Co比が5よりもわずか下まわると[Co(CN)2]-が存在しうるという研究結果は,ききに提出したジエン分子とシアノコバルト(II)錯体の「2座配位機構」とも調和する。
  • 田中 誠之, 樋口 精一郎, 鎌田 仁
    1966 年 87 巻 5 号 p. 399-401,A23
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    26種類の脂肪族エステルの赤外吸収スペクトルを700~260cm-1の領域で測定した。550~350cm-1の領域に観測される2本の吸収帯,δ1およびδ2の吸収波数と,分子中のアルコキシルグループのアルキル基の電子論的効果に関係づけられるパラメーターとの相互関係を検討してみたところ,これらの吸収帯の波数は,アルコキシルグループ中のアルキル基に関するTaftのσ定数およびC-O結合の結合解離エネルギーに対して直線関係を有することが確認された。これらの事実からおたがいに異なる脂肪族エステルの間での吸収波数のシフトの原因が考察された。
  • 大杉 治郎, 清水 澄, 田中 嘉之
    1966 年 87 巻 5 号 p. 401-405,A24
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ホウ素とヒ素とからヒ化ホウ素を生ずる反応系について,主として六面体型アンビル超高圧装躍を用い,温度1150°~1400℃,圧力2~33kbの高温商圧下で,その反応条件を検討した。生成物はX線回折と化学分析の結果セン亜鉛鉱型構造のBAsと菱面休構造のB13As2であることが明らかになった。ホウ素とヒ素の混合比(原子)1:1の場合には主としてBAsが生じ,圧力の増加にともなってその生成率は増加するが,B13As2は減少する。一方,混合比13:2の場合にはBAsが生成したのち,これとホウ素との反応によってB13As2が生じ,約9kbまで圧力の増加にともなって生成率は増加する。
  • 野村 浩康, 川泉 文男, 宮原 豊
    1966 年 87 巻 5 号 p. 405-407,A24
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アセトン,メタノール中のポリ酢酸ビニルとトルエン,メチルエチルケトン中のポリスチレンの微分比圧縮率を0°から70℃の温度範囲で測定した。メチルエチルケトン中のポリスチレンの微分比圧縮率の温度に対するプロットはM字型となり,トルエン中の値のプロットは50℃でこぶができた。アセトン中のポリ酢酸ビニルの微分比圧縮率は温度でほとんど変わらないが,メタノール中での値は35℃で極少ができ,そのときの値は負になった。極限粘度,微分比容の変化をまた示した。
  • 今井 弘, 後藤 秀夫
    1966 年 87 巻 5 号 p. 408-413,A24
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ローダミジB-スズ(IV)錯体のポーラログラフ的挙動ならびにその錯体組成の決定を行なった。
    錯体中のローダミンBは1Nチオシアン酸カリウム溶液中で半波電位が-1.31Vにあって,この波には触媒水素波と思われる異常波が含まれている。この異常波を除いた錯体中のローダミンBの拡散電流定数は約2.2となった。IN水酸化ナトリウムでこの錯体を溶解したのち,3N塩酸酸性溶液中で測定すると錯体中のスズの半波電位が-0.53Vに現われ,その拡散電流定数は約3.2でスズ(IV)イオンの値と一致した。
    この錯体はローダミンBとスズ(IV)ならびに塩素のモル比が1:1:5であることが明らかになった。
  • 篠塚 則子, 菊池 真一
    1966 年 87 巻 5 号 p. 413-416,A24
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    アシドペンタアンミンコバルト(III)錯イオンの光分解によるコバルト(II)生成速度のpH依存性,第1吸収帯におけるコバルト(II)の量子収率,アコペンタアンミンコバルト(III)の光分解反応および分光吸収変化を水溶液中で測定した。
    コバルト(II)生成速度はpH=4~5で最大となり,とくにアルカリ側では減少する。第1吸収帯におけるコバルト(II)の量子収率は365mμ照射のときより小さく,ヨードーで0.2であった。アコペンタアンミンコバルト(III)は光分解に対して比較的安定であり,光分解がアコ化後起るとは考えにくい。アシドペンタアンミンコバルト(III)錯イオンの光分解は,長波長域では主として中心コバルトの励起によって配位子との結合が弱まって分解が起り,そのあとでコバルト(III)がコバルト(II)の還元されると推定した。
  • 阿部 光雄, 伊藤 卓爾
    1966 年 87 巻 5 号 p. 417-421,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    各種含水酸化物のうち,陽イオン吸着性および耐薬品性のすぐれたアンチモン(V),タンタル,ニオブ,チタン(IV)およびジルコニウムなどの含水酸化物について,イオン強度を等しくした水酸化カリウムと塩化カリウム混合溶液を用いてp滴定曲線を作成し,その結果から,見かけ上の酸性度pkを検討した。
     それらの滴定曲線は見かけ上一塩基酸を示したが,一つの滴定曲線について,均一溶液の場合と同様,隣りあった任意の2点から見かけ上の酸性度を求めた結果,異なったpk値が得られた。
     このことから,これらの含水酸化物には異なった酸性度をもった酸性点の存在が考えられる。アンチモン(V),タンタル,ニオブ,チタンおよびジルコニウム含水酸化物の順にpk値の小さい酸性点の数が増加しているものと考えられる。
  • 藤間 嘉雄, 中川 敏男
    1966 年 87 巻 5 号 p. 422-426,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ガラス状セレンを熱処理すると結晶化が起る。この結晶化の熱処理を75℃から200℃の範囲で種々変え,結晶化がどのように進むかを電気伝導度で測定した。
    ガラス状セレンを結晶化する場合,結晶化温度100℃以上で数分間で結晶が完了する型のセレンと,長時間で結晶する型のセレンのあることがわかった。この異なった型のガラス状セレンの違いは,示差熱分析から,前者のセレンが100℃付近に構造上の変換があるものであり,後者は温度変化に対して構造の変わらないガラス状セレンであることが推定された。
  • 阿部 重喜
    1966 年 87 巻 5 号 p. 426-432,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    電子線型加速器で得られる20MeVの制動放射を用いて光核反応によるハロゲン元素の放射化を試み,γ線スペクトロメトリーによりハロゲン元素のうちの2者混合物中の各自を非破壊で定量する方法について基礎的な検討を行なった。10分間あるいは1時間γ線照射を行なったハロゲン化物において,γ線スペクトルの経時変化から(γ,n)反応による34BrmCl(半減期33分),80mBr(4,5時間),80Br(18分),126I(13.3日),18F(112分)の生成が確かめられ,同時に臭素では(γ,n)反応に基づく77Br(58時間)の生成が確認された。
    非破壊定量に際しては34mClの0.15MeV光電ピーク,80mBr-80Brの0.62MeV光電ピーク,77BrBrの0.23MeV光電ピーク,および126Iの0.38MeV光電ピークをそれぞれ用いて,ピーク面積あるいは高さ法により照射終了時における各元素の放射能計数率を求め,計数率比と混合重量比との関係を求めた。いずれの場合も両者の間にはよい直線関係が認められ,非破壊法により塩化物-臭化物混合体では数10~数%の塩素,塩化物および臭化物中のヨウ素は0.05%まで定量できることを知った。
  • 松尾 力, 船山 和子
    1966 年 87 巻 5 号 p. 433-437,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    5,7-ジブロム-8-オキシキノリン(プロムオキシン)によるスズ(IV)の定量条件を確かめた。スズ(IV)(10~100μg)を含む塩酸溶液(塩素イオン濃度0.2N以上)を希アンモニア水でpHを1.0に調整後0.1%プロムオキシンのアセトン溶液5mlを加え,5分間放置してから四塩化炭素10,0mlを正しく加えてスズ(IV)キレートを抽出し,405mμにおいて吸光度を測定する。この定量において塩素イオンはかならず共存させておかなければならない。スズ(III)はキレートを生成しないが,銅,鉄などは妨害する。スズ(IV),プロムオキシンキレートの組成は1:2であることを確かめた。また,プロムオキシンの酸解離定数を光度法により測定し,pka1=2.3,pka1=7.3を得た。
  • 小松 寿美雄, 野村 俊明, 小口 哲二
    1966 年 87 巻 5 号 p. 437-439,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    水酸化アンモニウム-塩化アンモニウム緩衝溶液でpH8.5~9.5にした金(III)溶液にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムを加えると黄褐色のコロイド状沈殿が生成するので,これをリン酸トリブチル(TBP)で抽出した褐色液の吸光度を波長420mμで測定して金の吸光光度定量法を検討した。沈殿組成は金対ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムはモル比で1:3である。反応10分後に抽出すればよく,抽出相の吸光度は約15分は一定である。TBP10mlで抽出して金4~970γ/50mlの濃度範囲でBeerの法則が適合し,分子吸光係数は約6930,誤差は±3%以下である。
  • 石井 一, 永長 久彦
    1966 年 87 巻 5 号 p. 440-444,A25
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    カルシクロムが鉄(III)と安定な錯体を生成することを見いだし,基礎的な検討を行なって錯体の組成を明らかにし,微量鉄の定量に応用した。
    鉄(III)-カルシクロム錯体の組成はpH4付近では1:1,6付近では1:2で,これらの錯体はいずれも310および540mμ付近に極大吸収がある。試薬と錯体の吸光度の差がもっとも大きい555mμにおけるモル吸光係数は1:1錯体を用いれば約11000,1:2錯体を用いれば約22000で,感度はそれぞれ5.1×10-3および2.5×10-3μgFe/cm2であった。アルミニウム,鍬チタン,バナジウム,ジルコニウムなどはカルシクロムと錯体を生成するので定量を妨害する。
  • 奥谷 忠雄, 内海 喩
    1966 年 87 巻 5 号 p. 444-449,A26
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    微量シアンイオン(0.6ppm以下)の吸光光度定量法について研究した。
    試料溶液を適当なpHに調整し,硝酸水銀(II)+ヨウ化カリウムの混合溶液とジフェニルカルバゾンのエタノール溶液を加えベンゼンで抽出する。ベンゼン相の赤紫色はシアンィオンの濃度が大きくなるにしたがって薄くなるので,562mμの波長でベンゼン相の吸光度を測定することにより,間接的にシアンイオンを定量することができる。本法では多量の塩素イオンが共存しても,pH7で操作すれば妨害しない。しかしヨウ素イオン,臭素イオンなど数種のイオンが妨害するので,シアンィオンをシアン化水素として蒸留した。これを混合溶液に吸収させ,以下本法により比色定墨する。またチオ硫酸イオン夢亜硫酸イオンおよび硫化物イオンが共存しても微酸性溶液中でこれらを過マンガン酸カリウム溶液で酸化してから蒸留すればシアンイオンが定蚤できる。
    シアンイオンと錯イオンを形成しやすい金属イオンが共存するとき,またフェロシアンイオン,フェリシアンイオンとして存在する微量のシアンもほとんど完全に蒸留でき,全シアンイオンを定量することができる。
    本法の特色は0.02~0.6PPm(0.2~6μg)の微量シアンイオンを定量的にシアン化水素として妨害イオンから分離し,遊離のシアンイオンはもちろんシアン錯イオン中のシアンも正確に定量できることである。
  • 大久保 利彦, 堤 繁
    1966 年 87 巻 5 号 p. 449-452,A26
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    シアノ酢酸エチルの電解反応は従来非常に困難で,もちろん二量化に成功した例はない。この著者らの用いた方法で二量化に成功し得たので報告する。
    電解は白金電極下,ヨウ化カリウムを支持電解質とし,アルコール,アセトニトリル,ジメチルホルムアミドを溶媒とする系で行なわれた。
    ここでシアノ酢酸エチルのナトリウム塩とヨウ素,臭素,臭化シアノ酢酸エチルの一般化学反応からはトリシアノシクロプロパントリカルボン酸トリエチルが生成されるのに対し,この電極反応ではジシアノコハク酸ジエチル,ジシアノエチレンジカルボン酸ジエチルが生成する点この電極反応の特異性が示され,しかも溶媒によって生成物が異なることが,またジメチルホルムアミド中ではエステル濃度により生成物が異なることが見いだされた。
  • 吉田 善一, 高林 文樹
    1966 年 87 巻 5 号 p. 452-456,A26
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    o-およびp-X-置換ニトロベンゼン(X:CH3,H,F,Cl,Br,I),ニトロメタンおよびニトロジュレンのニトロ基とフェノールとの間の水素結合におよぼすプロトン受容体側の置換基の電子効果ならびに立体効果を四塩化炭素中で赤外吸収スペクトルにより検討した。これらニトロ化合物のプロトン受容能は一般に小さく,p-置換ニトロベンゼンでは無限希釈の受容体濃度における相互作用帯のシフト(Δv)とHammcttσの間に傾斜負の直線関係が認められた。またo-置換体ではすべて相当するp-置換体よりもΔvは小さく,o-の立休障害の影響が認められた。
    これら置換ニトロベンゼンの分子内電子移動吸収帯におよぼす溶媒効果をニトロ基のプロトン受容能の関係についても検討した。
  • 橋本 嗣夫, 大久保 捷敏, 北野 尚男, 福井 謙一
    1966 年 87 巻 5 号 p. 456-459,A26
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    硫化フェニルと過塩素酸銀あるいはホウフッ化銀との反応によって黒褐色板状締晶の生成することが見いだされ,これらの結晶はそれぞれ硫化フェニル・過塩素酸銀および硫化フェニル・ホウフッ化銀の等モル付加化合物であることが明らかにされた。前者の付加化合物の生成の反応熱をべンゼン溶液中で測定した。これらの付加化合物にヨウ化アルキルまたは臭化アルキルを反応させると,過塩素酸ジフェニルアルキルスルホニウムまたはホウフッ化ジフェニルアルキルスルホニウムを収率よく生成する。すでにスルホニウム塩の合成法の一つとして,チオエーテルとハロゲン化アルキルとを反応させ,ついでホウフッ化銀を加えてホウフッ化スルホニウム化合物とする反応が著者らによって明らかにされているが,上記チオエーテル・銀塩付加化合物にハロゲン化アルキルを反応させる方法は従来合成し難いようなスルホニウム化合物の合成法としてすぐれていることが見いだされた。
  • 島崎 秀雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 459-461,A26
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光学活性スレオニンを原料として,まずそのα位のアミノ基を氷冷下NOCIでハロゲン化したのち,アルカリで脱塩化水素してβ-メチルグリシド酸にし,これを銀塩にしたのちヨウ化アルキルでエステル化を行なうことによって,β-メチノレグリシド酸のアルキルエステルを合成した,この化合物は,いずれ胱学瀧鮪しており,たとえば,D-スレオニンから誘導したβ-メチルグリシド酸メチルエステルは,+24.6°という比旋光度を有し,また上記酸のアリルエステルの比旋光度は-28.0°であった。
    β-メチルグリシド酸メチルエステルの核磁気共鳴スペクトルによれば,α,βのプロトンのカップリングコンスタントJHH'は4.7cpsであり,これはα,β位の水素原子の立体配位がcis型であることを示している。
  • 島崎 秀雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 462-472,A27
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    光学活性β-メチルグリシド酸メチルエステルから光学活性のポリエーテルを合成した。重合触媒としては,三フッ化ホウ素エーテラート,四塩化スズが重合活性高く前者は室温以下の低温ですでに重合反応を行ない,光学活性ポリマーを与えたが,トリエチルアルミニウムと三フッ化ホウ素エーテラ-トとからなる触媒は非常に重合活性が高く,重合温度25℃でグリース状ポリマーとともに,水に不溶性の固体ポリマーを与えた。この触媒の重合活性は両触媒のモル比が1:1の付近で最高になり,この系で合成した固体ポリマーの比旋光度[a]25℃は,塩化メチレン中で-36.9°であった。またこのポリマーの粘度測定から得た還元粘度の値は,ベンゼン中40℃でポリマーの濃度2のとき1.20であった。
    一方グリース状ポリマーの比旋光度は-32.4°(塩化メチレン中)で,その極限粘度は1.15であった。β-メチルグリシド酸メチルエステルは,トリエチルアルミニウム-水系触媒,トリエチルアルミニウムと遷移金属化合物系触媒によっても重合し,光学活性ポリマーをあたえる。また水に不溶性のポリマーを加水分解したものは,水に可溶性となり,その加水分解速度は溶媒の性質によって影響された。とくにDMF中では,その加水分解速度ははやく,主鎖を分解することなくほとんど90%の高収率でエステル基は加水分解をうける。さらにNMRスペクトル,IRスペクトル,ORDスペクトルなどを測定して合成したポリエーテルの性質を検討した。
  • 島崎 秀雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 472-476,A27
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    1)前報で報告したトリエチルアルミニウム-三フッ化ホウ素エーテラート系触媒(モル比1:1)によって,β-メチルグリシド酸アリルエステルの重合反応を試みた。その結果によれば固体ポリマーの反応収率は非常に低く,光学活性度も比較的小さかった。
    2)上認触媒を用いるβ-メチルグリシド酸メチルエステルとβ-メチルグリシド酸アリルエステルとの共重合反応では,その重合初期段階において,両モノマーの反応性比がほとんど等しかった。両モノマーのモル比が約51:49の共重合体の比旋光度[a]25℃は-28.3°であった。
    ポリマー中のアリル基をラジカル重合によって架橋化したのち加水分解して,遊離カルボキシル基をもつ水に不溶性の架橋ポリマーを得た。DMF可溶部のポリマーの比旋光度[a]25℃は約-27°であった。
    3)三フッ化ホウ素エーテラートを触媒として,光学活性β-メチルグリシド酸メチルエステルとプロピレンオキシドとの共重合反応を試みたが,後者の重合活性は前者と比較していちじるしく高く,ポリマー中のプロピレンオキシドの増加とともにポリマーの比旋光度は極度に低下した。この傾向はβ-メチルグリシド酸メチルエステルのprepolymcrを使用するtwostep法で行なった重合反応でも認められた。
  • 鈴木 邁, 鈴木 貞雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 476-479,A27
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    トリクロル酢酸の過酸生成および分解反応を動力学的に追跡した結果,酸素発生反応は生成過酸の分解に基因する逐次反応形式で進行することがわかった。既報のモノ,およびジクロル酢酸に比較して,トリクロル酢酸は過酸生成速度も大きく過酸化水素を利用するin-situ加法エポキシ化反応においてすぐれた触媒酸であることを明らかにした。
  • 鈴木 邁, 三井 勝英, 鈴木 貞雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 479-482,A27
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    過マロン酸の生成と分解反応を動力学的に検討した。過マロン酸生成段階で多量の二酸化炭素ガスの発生が認められ,一塩基酸の場合とは異なる様式で分解反応が進行することがわかった。これらの反応に速度式を仮定しアナログ電子計算機による演算を行ない,導出した計算値は実験値によく一致した。これからガス発生反応は過マロン酸を経由する逐次分解反応であることを結論した。
  • 納谷 洋子, 小竹 無二雄
    1966 年 87 巻 5 号 p. 482-485,A28
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    市販の地龍(Lumbricuo spencer)および同種の生ミミズから,それぞれ遊離の脂肪酸を分離し,各成分を単離した。単離成分の質量分析とNMR吸収スペクトルから,通常の直鎖偶数炭素原子数の脂肪酸以外に,かなり著量の直鎖奇数炭素原子数脂肪酸および分枝脂肪酸を検出確認した。
  • 長沢 淳夫, 北野 尚男, 福井 謙一
    1966 年 87 巻 5 号 p. 485-488,A28
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    ハロゲン化脂肪族炭化水素,シアン酸カリウムおよびアルコールをジメチルホルムアミド中で反応させ,得られるN-モノ置換カルバミン酸エステルを塩酸で加水分解することにより第一脂肪族アミンを合成する新しい方法について研究した。ハロゲン化脂肪族尿化水素として臭化-n-ブチルを選び,数種のアルコール(エチルアルコール,n-ブチルアルコール,ペンジルアルコ_ルおよびエチレングリコール)を用いた場合についてn-ブチルアミンの収率を比較した結果,エチレングリコールを使用する方法が最適であることを見いだした。したがってエチレングリコールをアルコール成分に選び,数種の臭化。n-アルキル(C3H9Br-C14H29Br),ハロゲン化アリルおよび塩化ベンジルを原料として本法を試みたところ,65~91%の収率で第ニアミンを含まない相当する第一アミンを合成し得ることが確かめられた。ただし臭化-s-アルキルを用いる場合の第一アミン収率はかなり低い値(34~40%)しか得られなかった。
  • 保田 道子
    1966 年 87 巻 5 号 p. 488-489,A28
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 小田 良平, 桂川 精一, 伊藤 嘉彦, 岡野 正弥
    1966 年 87 巻 5 号 p. 490-491,A28
    発行日: 1966/05/10
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 87 巻 5 号 p. A23-A28
    発行日: 1966年
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
feedback
Top