光学活性β-メチルグリシド酸メチルエステルから光学活性のポリエーテルを合成した。重合触媒としては,三フッ化ホウ素エーテラート,四塩化スズが重合活性高く前者は室温以下の低温ですでに重合反応を行ない,光学活性ポリマーを与えたが,トリエチルアルミニウムと三フッ化ホウ素エーテラ-トとからなる触媒は非常に重合活性が高く,重合温度25℃でグリース状ポリマーとともに,水に不溶性の固体ポリマーを与えた。この触媒の重合活性は両触媒のモル比が1:1の付近で最高になり,この系で合成した固体ポリマーの比旋光度[a]
25℃は,塩化メチレン中で-36.9°であった。またこのポリマーの粘度測定から得た還元粘度の値は,ベンゼン中40℃でポリマーの濃度2のとき1.20であった。
一方グリース状ポリマーの比旋光度は-32.4°(塩化メチレン中)で,その極限粘度は1.15であった。β-メチルグリシド酸メチルエステルは,トリエチルアルミニウム-水系触媒,トリエチルアルミニウムと遷移金属化合物系触媒によっても重合し,光学活性ポリマーをあたえる。また水に不溶性のポリマーを加水分解したものは,水に可溶性となり,その加水分解速度は溶媒の性質によって影響された。とくにDMF中では,その加水分解速度ははやく,主鎖を分解することなくほとんど90%の高収率でエステル基は加水分解をうける。さらにNMRスペクトル,IRスペクトル,ORDスペクトルなどを測定して合成したポリエーテルの性質を検討した。
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