日本化學雜誌
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86 巻, 5 号
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  • 完全に糸まり状とした構造から生物活性のある構造への復元
    伊勢村 寿三
    1965 年 86 巻 5 号 p. 447-459
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    タンパク質の高次構造は環境に応じ可変であるが,生理的環境ではそれぞれのタンパク質は特有の高次構造をもっている。これが各タンパク質のアミノ酸の結合順序によって規定され,またこれがそれぞれのタンパク質の示す生物活性とも対応することを明らかにする目的で行なわれた一連の研究の結果について述べる。試斜にはタカアミラーゼAを主として用い,枯草茵α-アミラーゼ,および卵白リゾチームをもあわせ用いた。
    8mol/l尿素溶液で完全に変性し,なおジスルフィド結合をもっているタンパク質ではメルカプトエタノールのような還元剤で全部それらを還元的に切断して線状としたものから,変性剤,還元剤を除き,還元されたタンパク質を空気で再酸化するとこれは未変性のものと同一のものに復元する。すなわちタンパク質の結晶形,流体力学的諸性質,旋光性など高次構造に関係する諸定数が完全に未変性のタンパク質のそれらと等しい状態に復元するほか酵素活性,免疫活性などの生物学的な活性も生のものと区別できない状態にもどすことができる。その結果,少なくともこれらのタンパク質の高次構造はポリペプチド鎖中のアミノ酸結合順序によって規定されるものであることが明らかとなった。タカアミラーゼAにおけるカルシウムのような活性に本質的なCofactorと高次構造との関係,ジスルフィド結合の部分形成と生物活性との関連などについても述べる。
  • 平井 西夫, 物延 一男
    1965 年 86 巻 5 号 p. 460-472
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンのような長鎖状分子も単結晶になり得る。著者らは多数の高分子の単結晶をつくり,それらの構造と性質とを研究した。溶液から得られる高分子単結晶は薄板状であり,その中で分子鎖が板面に垂直におりたたまれて配列する。最近,溶融結晶化ポリマーもまた同じような特徴的な層板状構造をとることが判明した。この折りたたみ鎖構造の概念は房状ミセルモデルに基づいた従来の構造概念といちじるしく異なっている。それゆえ,高分子単結晶の研究は結晶性高分子のレオロジー的挙動を分子論的に解釈することにきわめて重要な関係を有する。本論文はこれまで著者らが研究してきた結果をつぎのようなテーマでまとあたものである。
    1) 単結晶のつくり方。2) 単結晶の形態と構造。この項ではα型ナイロン66の単結晶ならびに単結晶中のラセン転位の発生機構が主として述べられている。3) 単結晶中の分子鎖の構造。著者らは分子鎖の折りたたみ周期が100Åであるということがどの程度まで成立するかという問題と分子鎖が単結晶層板面につねに垂直であるかどうかという問題を明らかにしようと試みた。4) 多形。ポリアミド類ならびにアミロースの異なった結晶変態をもった単結晶がつくられて研究された。5) 分枝ポリエチレンの単結晶。著者らはこのポリマーの分枝基がどのように結晶中に入るかということに注意を向けた。この問題は結晶性共重合物の同形に関係をもっている。6) 単結晶の延伸。7) 単結晶の熱処理。これら二つのテーマは合成繊維製造の過程に関連して,はなはだ興味深くまた非常に重要である。8) 巨大単結晶の作製。9) 合成ポリペプタイドの単結晶。著者らは折りたたみ鎖の概念がタンパク質にあてはまるかどうか知るためにポリ-γ-ベンジルグルタメートおよびポリ-γ-メチルグルタメートの溶液から結晶化した結晶の構造を研究した。
  • 井上 嘉亀, 金治 幸雄
    1965 年 86 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    塩化カルシウム濃厚水溶液と炭酸アルカリ濃度水溶液から炭酸カルシウムを生成する反応の機構を知るため,両原液接触界面に生ずる透明高結性物質中でのCO32-の配向を偏光赤外吸収で調べ,また透明高粘性物質中の水分子の状態をNMRで調べた。
    CO32-は塩化カルシウムー炭酸ナトリウム系では,両原液の接触面に対し約45°より90°の角の間に配向しているが,塩化カルシウム-炭酸カリウム系では特定方向に配向していないことが明らかになった。また, NMRの測定結果からは,塩化カルシウム-炭酸ナトリウム系,塩化カルシウム-炭酸カリウム系の両系ともに共鳴線が高磁場側にシフトしていること,原液をぬぐいとった高粘性物質だけのNMRでは共鳴線が数本あらわれることが明らかになった。塩化カルシウム-炭酸ナトリウム系と塩化カルシウム-炭酸カリウム系とで異なる点は高粘性物質の共鳴線の位置,本数,強度とその経時変化である。
  • 井上 嘉亀, 橋詰 源蔵, 三輪 肇一, 金治 幸雄
    1965 年 86 巻 5 号 p. 477-480
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    初期配向物質から生ずる中間生成物の複塩の種類とこの複塩の塩類溶液中の加水分解により生成する炭酸カルシウムの同質多像を明らかにする目的で,塩化カルシウムと炭酸アルカリの反応で生ずる複塩を採取し,また酸化カルシウムと炭酸アルカリを飽和した水酸化アルカリとで別に合成した複塩をつくり,これらを試料として加水分解した。これらの複塩と分解生成物はX線回折で調べた。
    塩化カルシウム-炭酸ナトリウム系ではCO32-が配向しているからCaCO3・Na2CO3・nH2Oの型の複塩を生ずる。低温初期にn=13,常温でn=5が多い。塩化カルシウム-炭酸カリウム系ではゲル状物質のみ得られる。酸化カルシウム-(炭酸アルカリ飽和)水酸化アルカリ系から合成でもナトリウムの場合,塩化カルシウム-炭酸ナトリウム系と同じ型の複塩を生ずるが,カリウムの場合CaCO3・K2CO3のみ生ずる。複塩の分解には塩類溶液中の塩類種は影響が少ないが,結晶水数は重要で,n=13のとき方解石, n=5のときパテライト(常温), n=2, 1のとき霰石(やや高温)を生じやすい。
    合成複塩からは塩化カルシウム-炭酸アルカリ系から採取される複塩よりも方解石を生じやすい。
  • 矢野 元威, 井本 立也
    1965 年 86 巻 5 号 p. 481-484
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    既報1)において明らかなように,水素による酸化鉄の還元は2段階で進行する。その第1段階はヘマタイトからマグネタイトになる過程であり,還元速度は水素圧力の1次に比例した。この初期速度と試料表面との関係をさらに明らかにするため,表面の一部を窒素で被覆して還元を行ないその影響を調べた。その結果,見かけの還元速度は
    r=k'PH
    で表わされる。ただしk'は見かけの還元速度定数であり,窒素被覆率θNとの間にはつぎの関係がある。
    θN≦θm k'=k exp(-aθN)
    Nθ>θm k'=k (exp(-aθm))-exp(-b(θN-θM)))
    ただしkは清浄試料面での還元速度定数,aおよびbは窒素の被覆率に対する還元反応の活性化エネルギーの増加割合を示す定数,θmは窒素の被覆率θNに対して還元反応の活性化エネルギーの増加割合aがbに変わる被覆率を示す。
    このようにθNがθmを境いとして,k'に与える影響の異なることから試料表面には活性の異なる部分が存在すると考えられる。さらにθm, a, bは温度により変化すること,θNの大きいとき還元速度は水素分圧の1次から少しずれることなどから,θNは反応中に変化するものと考えられる。
  • 井本 立也, 原納 淑郎, 西 泰英
    1965 年 86 巻 5 号 p. 485-491
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    水素による酸化亜鉛の還元反応を温度範囲660°~780°C,水素圧(3~100)×10-4mmHgの条件で低圧流通法で行ない,つぎの結果を得た。窒素と水素の混合気体を流したとき,定常状態では積分反応速度式は次式で表わせろ。
    1-(1-R)1/3=〓
    水素のみを流したときは分母の項が無視でき,水素圧に1次となる。反応は水素が酸化亜鉛上に吸着され,表面において反応が起り,ついで生成物が脱離していくいわゆる表面化学過程により進行する。そして表面における化学反応は吸着水素と隣り合った活性点の間で起り,この過程が全反応を律速することがわかった。k''の活性化エネルギーとして26.6kcal/molを得た。
    また既報のように水素圧10~90mmHg,静置循環法では主として昇華分解機構により反応が進む2)が,本実験条件ではこの昇華分解反応の寄与は少なく,逆に静置循環法では表面化学反応の寄与は少ない。
  • 中村 哲朗
    1965 年 86 巻 5 号 p. 491-497
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    鉄,ケイ素,鉛テルルの粉末を種々の圧力で成形し同一の条件で焼結することによって,同質で気孔率Pだけの異なる試料群をつくり,熱伝導率kおよび電気伝導率σとPとの関係を調べた。いま,室温の熱または電気伝導をζと書き,ζのP=Oへの外挿値をζoとして,同質の試料群に対するつぎの一般的な実験式を得た。
    〓ε:キャリアの性質,気孔の形状による
    金属鉄の場合には,κにもσ自由電子が主要な寄与をするので, 2.13=εκ〓εσ=2.20が得られた。また本実験ではp型の半導体であるPbTcの場合には,κを格子の寄与κlとに分離し,おのおのκl-P関係からεl=1.46を,σ-P関係からはεσ=2.13を得た。一方室温では絶〓体である固有型ケイ素の場合には,熱は格子だけによって輸送されるため,κ-P関係が直線となるが,本実験ではキャリア濃度に不整を生じたため,σ-P関係にはまったく相関が見いだされない。
  • 衣笠 俊男, 中島 路可
    1965 年 86 巻 5 号 p. 497-499
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    芳香族ニトロ化合物のN-O伸縮振動と,これらの化合物の双極子モーメントとの相関関係を調べた。
    N-O逆対称伸縮振動と双極子モーメントとの関係は1本の直線関係で示されるが, N-O対称伸縮振動との関係では,ハロゲン系とアルキル系で,それぞれ異なった直線関係を示し, N-O逆対称伸縮振動と双極子モーメントとが同じ極性効果をうけていることを明らかにした。
  • 中村 朝郎
    1965 年 86 巻 5 号 p. 500-505
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    分子内に二つの等価でないNH3+基をもつDL-リジン・一塩酸塩およびDL-リジン・二塩酸塩についてα-15N-置換体およびα,ε-15N2-置換体の合成し,これらの化合物の赤外吸収スペクトルの測定によって振動帯の波数とその15N-同位体効果を求め,その結果から振動帯の帰属を定めた。これらの化合物のNH3+対称変角振動において,一塩酸塩では,ε-NH3+に基づく振動帯がα-NH3+に基づく振動帯よりも高虎数側にあらわれるのに対し,二塩酸塩では逆にα-NH3+に基づく振動帯がε-NH3+に基づく振動帯よりも高波数側にあらわれることが15N-同位体効果の測定結果からきわめて明瞭に示された。さらに関連化合物としてテトラメチレンジアミン・二塩酸塩およびペンタメチレンジアミン・二塩酸塩の各α,ω-15N2-置換体を合成し,それらの赤外吸収スペクトルの測定によって振動帯の波数とその15N-同位体効果を求め,その結果から窒素原子の関与する振動帯について帰属を定めた。
  • 五嶋 孝吉
    1965 年 86 巻 5 号 p. 506-508
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    重酸素重水に乳糖を溶解し, 100°C, 10時間加熱しても乳糖分子中の酸素原子は水のそれと交換反応を起さないが,これに硫酸バナジウム(II),塩化コバルト(III),モリブデン酸ナトリウム,タングステン酸ナトリウムの微量を添加すれば,交換反応が起ることを認めた。これに反して塩化アンチモン(III),硝酸ウラニルを添加しても触媒作用は認められなかった。交換反応に対する触媒作用の機作は,乳糖分子の第二アルコール基にイオンが配位結合し,その結果として電子の偏位が起り, C-OH間結合がゆるくなり,酸素原子の交換反応が行なわれるものと考えられる。Cr3+の触媒作用の大きはRh3+のそれに近く,その機作すなわち配位結合の性質もまたよく似ている。モリブデン酸ナトリウムおよびタングステン酸ナトリウムは, MoO42-またはWO42-が乳糖分子のOH基に配位結合し,前者のイオン半径が後者のそれよりも小さいので,その触媒作用がいっそう大きいものと考えられる。
  • 森田 弥左衛門, 小暮 幸全
    1965 年 86 巻 5 号 p. 508-512
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ニトロ化合物を50~70%程度の硫酸溶液中でクロム酸により酸化分解すると,ニトロ基は定量的に硝酸を生成する。引きつづきこれをデバルダ合金粉末を入れて還元するとその硝酸は容易にアンモニアとなり,さきに報告した方法(日化84, 816 (1963))によってそのアンモニアを測定すれば微量のニトロ基が定量できる。
    この方法で各種のニトロ化合物を分析し良好な結果を得た。またアミノ基をもつニトロ化合物は還元処理前後のアンモニア量から両官能基が分別定量できる。
    本法は酸化分解で硝酸を生成しない窒素官能基はすべて妨害しない。
  • 渡辺 兵蔵
    1965 年 86 巻 5 号 p. 513-515
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    陽イオン交換紙と金属指示薬との組み合わせによる重金属イオンに鋭敏な試験紙をつくった。陽イオン交換紙Amberlite SA-2(Na形)およびWA-2(H形)を, 1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール(PAN)および1-(2-ピリジルアゾ)-4-レゾルシノール(PAR)で処理したものは,アルカリ金属やアルカリ土類金属とは呈色せず,銅,コバルト,ニッケル,水銀,亜鉛,カドミウム,鉛,鉄などの重金属と鋭敏に反応呈色することがわかった。検出限度は点滴法によると0.1~0.001 ppm程度であり,従来法よりすぐれているものが多い。この試験紙を用いて水中,医薬品中などの重金属の有無を簡単に,しかも迅速に検出することが可能である。
  • 永井 英夫, 出口 俊雄
    1965 年 86 巻 5 号 p. 516-518
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ジチゾンの金属錯塩が親水性の溶媒には溶解度が小さいことを利用して,原理的には沈殿クロマトグラフィーに類似のクロマトグラフ系が構成されることについては既報1)2)した。そのようなクロマトグラフ系を“低溶解度クロマトグラフィー”と呼ぶことをその場合提唱しているが,本報では,既報1)2)で分離,検出された各種金属イオンの一斉分離を試みることとし, Ag+, Hg2+, Cu2+, Cd2+, Bi3+, Co2+, Ni2+およびZn2+の混合試料の分離および検出を研究した。
    実験方法としては既報に準じ,ジチゾン処理ロ紙を使用し,展開剤に3N酢酸:アセトン=1:1.2を使用した場合, Ag+, Hg2+の帯域および, Bi3+, Ni2+, Co2+の帯域がそれぞれ重なり合うことがわかり,したがって試料溶液の組み合わせを, Hg2+-Cu2+-Cd2+-Co2+-Zn2+, Ag+-Cu2+-Cd2+-Co2+-Zn2+, Hg2+-Cu2+-Cd2+-Ni2+-Zn2+, Ag+-Cu2+-Cd2+-Ni2+-Zn2+, Hg2+-Cu2+-Cd2+-Bi3+-Zn2+およびAg+-Cu2+-Cd2+-Bi3+-Zn2+とすれば,おのおのの混合試料中の5種類の金属イオンの帯域は識別に十分な分離状態が得られ,その相対的な順序は大体金属キレート化合物の安定度の順序と一致する。
  • 小辻 奎也, 桜井 俊之, 山本 勇麓
    1965 年 86 巻 5 号 p. 519-521
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    無色のアニオンを有色の金属キレートカチオンとともに有機溶媒に抽出し,有機層における金属キレートの吸収スペクトルを測定することによって当該アニオンの定量を行なう方法をペンタクロルフェノールについて試みた。
    ビピリジル-鉄(II)キレートは微量のペンタクロルフェノールとともにニトロベンゼンに抽出され, 528mμに吸収極大を示す。pH 10.6~11.6の範囲にわたり一定最大の抽出が得られ,ビピリジル-鉄(II)キレートはペンタクロルフェノールの4倍mol以上の濃度であればよく,迅速簡易に2~8ppmの濃度範囲でペンタクロルフェノールの定量ができた。
    塩素,硫酸,リン酸イオンなどは1000倍mol共存しても妨害しないが,テトラクロルフェノールは微量存在しても妨害する。
  • モリンによるケイ光法
    加藤 清, 垣花 秀武
    1965 年 86 巻 5 号 p. 522-526
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    イオン交換体を呈色の担体とし,発色試薬にモリンを用いてベリリウムの微量検出法を検討した。イオン交換体としては,低架橋度強塩基性陰イオン交換樹脂粒(Dowexl-Xl[Cl]形)を用いて好結果を得た。
    黒色滴板上に中性または弱酸性試料液1滴をとり,これに酢酸ナトリウム飽和溶液1滴を加えてpHを6付近に調整する。この中にモリンを十分吸着した樹脂粒を数粒投入し,暗所で3660Åの波長に富んだ紫外線を照射しながら樹脂粒の呈色を観察する。ベリリウムが存在すれば,緑~黄緑色,空試験樹脂粒は,にぶ黄色のケイ光を発する。
    本検出法は操作が簡単で再現性が良好である。ケイ光は安定した色調を示し,標準試料と比較すれば半定量が可能である。検出限界0.003μ,限界濃度1:107を得た。マグネシウム,カルシウム,ストロンチウムおよびバリウムの共存は妨害しない。アルミニウム,鉄(II, III)などによる妨害は隠蔽できる。
  • 川名 政次郎, 吉岡 道和, 宮治 智, 片岡 寛, 表 美守, 杉山 登
    1965 年 86 巻 5 号 p. 526-531
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    2位に共役系をインドール類のもたないN-オキシインドール類の合成法としての報告,すなわち臭化1-インドリルマグネシウムの過酸化水素酸化1)あるいは塩化鉄(III)と過塩素酸による酸化2)を追試したところN-オキシインドール類は得られないことがわかった。N-オキシインドール類を合成する種々の方法を試みた結果, N-メトキシ-2-インドールカルボン酸メチルおよびN-2'-テトラヒドロピラニルオキシ-2-インドールカルボン酸メチルを水素化リチウムアルミニウムで還元して,それぞれN-メトキシ-2-オキシメチルインドールおよびN-2'-テトラヒドロピラニルオキシ-2-オキシメチルインドールを得る方法だけが成功した。
  • 松井 清忠, 野尻 哲朗
    1965 年 86 巻 5 号 p. 531-534
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    ニトロベンゼン中でアセト酢酸エチルに塩化ベンゾイル2当量と塩化アルミニウム0.5当量を35°Cで24時間反応させると,ベンゾイル酢酸エチル(BAE)の収率がもっともよく,少量のベンゾイルアセト酢酸エチル(BAA)とコン跡のジベンゾイル酢酸エチル(DBA),ジベンゾイルメタン(DBM)も得られる。その反応温度を55°Cにあげても,塩化アルミニウムを1当量に増しても, BAA, BAEの収率は低くなる。一方,塩化アルミニウム0.5当量を35°Cで反応させる実験を反応物に窒索を通しながら行なうと, BAEの収率は減少し, BAAとDBAの収率がいちじるしく増加する。このことから,この反応は平衡反応であって,反応中に生じる塩化水素が除かれて平衡が移動し,ジ-β-ケトエステルの収率がよくなったと解釈される。塩化アルミニウムを2当量以上用い55°Cで反応させるとDBMの収率がよくなる。このことは,平衡系の一員である少量のDBAが不可逆的にカルボエトキシ基を失なうことに基因すると考えられ,少量のBAE, DBA,トリベンゾイルメタンの副生がある。
  • 金井 克至, 橋本 嗣夫, 北野 尚男, 福井 謙一
    1965 年 86 巻 5 号 p. 534-539
    発行日: 1965/05/10
    公開日: 2009/02/05
    ジャーナル フリー
    各種のトリハロゲン化トリフェニルスルホニウム, 2, 4, 6-トリフェニルチオピリリウム,テトラ-n-プチルホスホニウムおよびテトラフェニルホスホニウムをクロロホルム溶媒中で相当するハロゲン化オニウム化合物とハロゲンとの反応により合成しその性質を調べた。ジヨードハロゲン化オニウム化合物は紫外線の吸収において290および360~370mμ近傍で特有の吸収を示す。クロロホルム溶液中におけるヨウ素とハロゲン化オニウムとの反応によるジヨードハロゲン化オニウム形成の平衡定数を求めるとジヨード塩化トリフェニルスルホニウムは(18.5±0.8)×103l・mol-1,ジョード臭化トリフェニルスルホニウムは(9.0±0.5)×103l・mol-1,ジヨード臭化テトラ-n-ブチルホスホニウムは(7.0±0.4)×103l・mol-1,ジヨード塩化テトラフェニルホスホニウムは(5.0±0.3)×103l・mol-1,ジョード臭化テトラフェニルホスホニウムは(3.8±0.2)×103l・mol-1であった。トリフェニルホスフィンとヨウ素とをクロロホルム溶媒中で反応させた場合,トリフェニルホスフィンに対し当量以上のヨウ素を用いた場合290および360mμに吸収が認められ,ヨウ素2当量を用いるにいたりその吸収は最第となり,さらにヨウ素を加えても上記の吸収は増大せず, 520mμの遊離ヨウ素分子の吸収があらわれた。
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