性は、人間の重要な行動領域の1つであることは間違いない。けれども、性行動を主要な研究対象としている社会学者は、少なくとも日本では、ほとんどいないと思われる。それ故、これまでの調査・分析の経験についてあらためて考察を加えてみることは、社会学における研究のありかたに示唆を与えてくれるのであろう。
第1は、調査方法についてであるが、性が個人の最高のプライバシーに属することがらであるだけに、通常の調査以上に、実施には困難がともなう。そして、必ずしも教科書どおりにはいかない、さまざまな工夫が必要になる。
第2に、これまでそれを視野に収めてこなかった研究領域でも、性行動という観点を導入することによって、よりよく見えてくるものが少なくないと思われる。そのような事例として、発達過程研究、階層研究、ジェンダー問題研究をとりあげ、検討を加える。
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