日本産
Aphanizomenon flos-
aquaeの系統を明らかにするため,日本国内の6ヶ所の湖および池に出現した
A.
flos-
aquaeについて,遺伝子を用いた解析を行った。
rbcLX (rivulose - 1, 5 - bisphosphate carboxylase遺伝子)の一部を増幅した後,塩基配列を決定してお互いを比較した。本研究で扱った
A.
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aquaeは,その塩基配列の違いから3つの型に分類された。塘路湖,諏訪湖および余呉湖で出現した
A.
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aquaeの塩基配列が一致し,更に達古武沼と京都大学内池に出現したものが一致した。茨戸湖に出現した
A.
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aquaeの塩基配列は,霞ヶ浦で分離された無菌株のものと一致した。塩基配列の一致は,
A.
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aquaeが分離された湖および池の地域性を反映しているものではなかった。従って,日本国内には,様々な遺伝子型の
A.
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aquaeが潜在的に分布していることが推定された。塩基配列の一致が認められた
A.
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aquaeは,それぞれ形態的な特徴の一致が認められた。塘路湖,諏訪湖および余呉湖に出現した
A.
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aquaeは束状のコロニーを形成したが,他のものは単独の糸状体で出現した。更に,達古武沼および京都大学内池に出現した
A.
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aquaeは,細胞間のくびれの強さ,アキネート形成の有無および異質細胞の形状の違いで茨戸湖に出現したものと区別できた。このことから,
rbcLXの解析による
A.
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aquaeの系統分類は,特定の形態的特徴の違いによる分類によっても支持されていた。
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