生物物理化学
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34 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 七條 喜一郎, 竹内 崇, 鈴木 實
    1990 年 34 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    鶏胚および初生ヒナの血清タンパク質をセ・ア膜電気泳動法で分画すると, Pre-alb位置あるいはα1-glob 位置に特異なリポタンパク質がみられる. しかし, この成分の特異性およびその分画位置が個体によって異なる原因は明らかにされていない. そこでこの分画帯の日齢別出現頻度を検索したところ, 20日齢以降のヒナではほとんど認められず, 胚子性のタンパク質であろうと思われた. 次に, この成分の分画位置が異なる原因について検討したところ, 電気泳動条件の違いによる影響はないが, 血清を室温に24時間置くと明らかに陽極へ変移した. またα-リポタンパク質のPLおよびTC濃度が高いほど易動度が大きかった. また, 孵卵期間中に卵黄成分に変化が起こり, α-リポタンパク質の易動度を増す成分が産生されることが示唆された.
  • 入村 信博, 井上 勤
    1990 年 34 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    光照射が E. peliomphalaE. queasita の卵白腺蛋白質に及ぼす影響を量的な面と, 質的な面から解析した. 量的な面は卵白腺湿重量, 卵白腺体重比, 卵白腺の湿重量あたりの蛋白質量を検討した. 質的な面は Laemmli らのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法, O'Farrell の2次元電気泳動法を併用し, 卵白腺蛋白質成分の検討を行った. E. peliomphala において, 1カ月の光照射により対照群にくらべ, 卵白腺湿重量は2.5倍に, 卵白腺体重比は1.7倍へと増加した. 質的には address 8, 9, 11のペプチド群の合成が光照射により促進された. これらのペプチド群はエストラジオールによっても合成促進されたという報告もあり, 光照射による卵白腺蛋白質合成促進において, 雌性ホルモンの関与が示唆された. また, E. queasita においては, 同様な効果は認められなかった. 光照射の効果には種差があり, E. peliomphala は光照射に対し, E. queasita より, より敏感であると予想される.
  • 長 裕子, 芝 紀代子, 飯島 史朗, 望月 薫子, 中尾 真, 戸田 年総, 大橋 望彦
    1990 年 34 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれが開発した高圧セルロースアセテート膜等電点電気泳動装置を用い, 至適化した操作法に従って, 一回の泳動で蛋白に関して三つの異なった情報が同時に得られる方法を検討した. すなわち, セルロースアセテート膜 (セパラックスEF, 富士写真フイルム社製) を3枚重ねて同時に泳動を行ったのち, 一番上の1枚目のセルロースアセテート膜はシッフ試薬による糖蛋白染色, 2枚目はCBB試薬による蛋白染色, 3枚目は固定処理後ニトロセルロース膜に自然転写してから特定の蛋白の検出を行う方法である. いずれの染色でも鮮明なバンドをとらえることが可能であった.
  • 藤田 清貴, 櫻林 郁之介, 河合 忠, 草〓 睦子, 寺邑 能実, 山田 博豊, 竹山 英夫
    1990 年 34 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    構造異常と考えられる低分子IgGの出現した多発性骨髄腫のきわめて稀な1症例を経験し検討を加えた. 精製されたIgG型M-蛋白は, 抗γFab抗血清, 抗γCH2ドメイン抗血清には全く反応しなかった. SDS-PAG電気泳動では, 2-ME処理前で94,000と99,000の2本のバンドが, 処理後では44,000と28,000のバンドがそれぞれ観察された. Western blotting 法により, 44,000のバンドは抗γ鎖抗血清, 抗γFc抗血清と, 28,000のバンドは抗λ鎖抗血清とそれぞれ反応することが確認された. γ鎖の subclass はIgG2であるにもかかわらず Protein Aに結合性を示さないこと, 抗γCH2ドメイン抗血清には全く反応しないこと, 正常γ鎖に比較し分子量が約6,000ダルトン小さいこと, などからCH2ドメインの欠損が強く示唆されるとともにλ鎖がダイマーとして異常γ鎖に結合している可能性が考えられた.
  • 佐々木 博, 菊池 正夫, 吉田 光孝, 降矢 〓
    1990 年 34 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞の既往歴をもつ58歳, 男性の心不全患者で, LDH活性がほとんど検出されないまれな症例であった. LDHは免疫グロブリンG, λ型と結合し, LDH-H (B) およびLDH-M (A) の両サブユニットとも阻害されていた. この阻害現象は結合性免疫グロブリンGによっておこることをわれわれはすでに明らかにした. また, この阻害機序に関係のある結合性免疫グロブリンG糖鎖の酵素による構造解析を行った. その結果, 患者IgGをノイラミニダーゼ酵素処理することによって結合能に変化が認められること, 本論文でノイラミニダーゼ酵素処理で切り離した患者シアル酸を他の正常LDHアイソザイムに添加すると阻害がみられること, 患者IgGからシアル酸を切り離すことによって抗原性が弱まることから本例の酵素結合性免疫グロブリンGによってLDHが阻害されるものに最も直接的に関与しているものは, 患者IgG糖鎖のシアル酸であることが初めて明らかとなった.
  • 今井 利夫, 吉田 光孝, 眞下 郁雄, 櫻林 郁之介, 降矢 震
    1990 年 34 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    発光反応の新しい分析法として反応槽をゼラチンの薄膜状として検出反応を行う測定装置を開発した. 本装置の有用性を確認するため, モデル系としてクレアチンキナーゼ (CK) の活性測定条件について検討し, クレアチンリン酸50mM, ADP5mM, DTT40mM, Mg2+20mM, ジアデノシンペンタホスフェート3.2mMおよびルシフェリン-ルシフェラーゼ15%を含む薄膜中で測定するCKの新しい活性測定条件を確立した. この方法を用いると0.5~250mU/mlのCK活性値が定量的に測定でき測定精度もCV4.2~4.9%と比較的優れていることがわかった. また, 血清中の共存成分の影響については, ヘモグロビンが250mg/dl以上共存すると正誤差を示したが, クレアチニン, グルコースおよびビリルビンについては影響が認められなかった. 本法は, 生物および化学発光反応の新しい検出装置として十分応用できることが明らかとなった.
  • 七條 喜一郎, 竹内 崇, 鈴木 實
    1990 年 34 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 1990/02/15
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
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