構造異常と考えられる低分子IgGの出現した多発性骨髄腫のきわめて稀な1症例を経験し検討を加えた. 精製されたIgG型M-蛋白は, 抗γFab抗血清, 抗γCH
2ドメイン抗血清には全く反応しなかった. SDS-PAG電気泳動では, 2-ME処理前で94,000と99,000の2本のバンドが, 処理後では44,000と28,000のバンドがそれぞれ観察された. Western blotting 法により, 44,000のバンドは抗γ鎖抗血清, 抗γFc抗血清と, 28,000のバンドは抗λ鎖抗血清とそれぞれ反応することが確認された. γ鎖の subclass はIgG
2であるにもかかわらず Protein Aに結合性を示さないこと, 抗γCH
2ドメイン抗血清には全く反応しないこと, 正常γ鎖に比較し分子量が約6,000ダルトン小さいこと, などからCH
2ドメインの欠損が強く示唆されるとともにλ鎖がダイマーとして異常γ鎖に結合している可能性が考えられた.
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