疾患プロテオミクスの技術は進歩しているが,疾患バイオマーカーのdiscoveryから実用化に至るまでの道のりは平坦ではない。当該マーカーが最終ゴールに到達するには,基礎と臨床に加えて,関連企業との連携が必須と思われる。
血清プロテオーム解析により我々が報告したフィブリノーゲンα C-chainのnear C-terminal fragment(FIC5.9と略)は簡便なELISA系の確立により,多疾患・多検体の解析が可能となった。その結果FIC5.9は慢性肝障害の早期肝線維化の評価に有効であることが見出されている。
原発性肝細胞癌(HCC)は致死率の高い疾患であり,早期の診断が望まれている。我々は2D-DIGEを用いて原発性肝細胞癌の比較プロテオーム解析行い,癌部における高発現蛋白質を多数同定した。その結果に基づき,Ku86に対する血中自己抗体がHCCの新たな腫瘍マーカーとなり得ることを示した。
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