画像電子学会誌
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46 巻, 2 号
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随想
年次大会論文小特集
論文
  • 松原 洋一, 白井 啓一郎, 田中 清
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 2 号 p. 273-282
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    本論文では,画像処理を用いた微小物体の奥行き推定を目的とし,複数枚の焦点の異なる画像からの奥行推定法(DFF:depth from focus)について述べる.DFF法では各画素値の鮮明度を画像間で評価して奥行きを推定する.ただし,大きな輝度変化をもつエッジの周辺や模様が少ない箇所では鮮明度が適切に求まらず,奥行きの推定精度が低下する問題があった.この問題の解決のため,提案法では画素の鮮明度の評価尺度において,注目画素の輝度値と周辺画素の平均輝度値の関係に着目し,これらがポアソン分布に従うと仮定する計算方法を提案する.また,周辺画素を考慮する際に複数の窓幅を用い,評価値の統合にFrommerらのDFF法のアルゴリズムを用いる.提案法の有効性をシミュレーション画像を用いた定量的評価,及び,実際の撮像画像を用いた定性的評価により示す.
  • 植西 一馬, サンドバル ハイメ, 岩切 宗利, 田中 清
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 2 号 p. 283-297
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    3次元形状分析は,安価な3次元センサーの普及により,コンピュータビジョンの重要な研究テーマになりつつある.その中でも,再現性と弁別性のある領域を探す局所特徴点の抽出は,最も着目されている技術の1つである.従来の局所特徴点抽出は,周囲と比較して突出した形状を構成する点を探索する手法が主である.しかしながら,このような点はセンサノイズやオクルージョンといった要因により,点群間の再現性が低いという問題がある.そこで我々は,点群間の再現性の高い平面形状に着目した.提案法では,点群から複数の平面方程式を推定し,これらを組み合わせて仮想的な位置にVirtual Keypoint Of Polyhedron(VKOP)と呼ぶ特徴点を得る.また,その特徴記述子についても,平面方程式のみを用いて算出する.実験結果から,提案方式は複数の従来方式と比較して,同等の処理時間でより高精度に局所特徴点を抽出できることを確認した.
  • 高野 邦彦, 鈴木 哲生, 正信 健人, 喜種 慎, 大木 眞琴, 佐藤 甲癸, 浅井 紀久夫
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 2 号 p. 298-304
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    筆者らは広い視域で大きなサイズのホログラフィ再生像を観察する上で効果的な手法として,空間スクリーンへホログラフィック再生像を投影する方法を検討している.そこで,ホログラフィ投影像を安定して得るための方法の一つとして,水中で発生させたマイクロバブルをスクリーンとして用い,これにホログラフィ再生像を投影する方法を検討した結果,マイクロバブルは水槽内に満たされた水中で連続的に生成され,長時間にわたり安定した像を得ることが可能となった.しかし,バブルの発生機構の調整が不十分な場合には,スクリーンとしての十分な特性が得られない場合があり,スクリーン装置構成の改良が課題となっていた.そこで,本稿ではマイクロバブルスクリーン装置の改良手法について検討した結果を述べる.その結果,従来のマイクロバブルスクリーンの構成法に比べてバブル発生機構でのバブル生成量の調整が容易となり,安定した投影像が得られることがわかった.
論文
  • 宮本 敦, 中平 健治
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 2 号 p. 308-314
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    画像処理による医用超音波画像のノイズ除去手法を提案する.超音波画像にはスペックルと呼ばれる斑状ノイズが多く重畳しており,診断の信頼性向上のためにはその除去が課題となる.従来の調和解析に基づくノイズ除去では,展開係数におけるノイズ成分と組織境界などの信号成分の分離が不十分であり,高いノイズ除去性能が得られなかった.この問題を解決するため,有向無閉路グラフ(DAG)構造データの解析手法であるMulti-link waveletと,信号成分の形状に合わせて適応的に画素を間引くサンプリング方式を組み合わせた手法を提案する.高性能な調和解析として知られるGroupletを従来手法として提案法との比較検証を行い,提案法がノイズ除去と信号保存の両立において優れた性能を有することを立証した.
  • 森 千夏, 相江 政貴, 竹下 寛久, 合志 清一
    原稿種別: 論文
    2017 年 46 巻 2 号 p. 315-323
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    複数のディスプレイを用いた画質の主観評価法を提案する.超解像技術やフレーム補間といった信号処理による高画質化技術を搭載したテレビが販売されているが,実際にテレビ上で画質が向上する根拠は不明であり,画質性能を適切に評価することが求められている.映像機器に搭載された技術の主観評価には複数のディスプレイを用いる必要があるが,複数のディスプレイを用いた標準的な主観評価法はない.本稿では複数のディスプレイの主観評価にシェッフェの一対比較法とITU-R BT.500の一部を組み合わせた手法を提案し,実際に4Kテレビに実装された超解像技術の主観評価実験を行った.全ての実験結果では水準1%の有意差が検出され,提案手法の有用性が示された.提案手法は他の複数のディスプレイを用いた主観評価に応用可能である.
ショートペーパー
  • 高野 邦彦, 喜種 慎, 大木 眞琴, 佐藤 甲癸, 浅井 紀久夫
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 2 号 p. 324-329
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    多点数物体のホログラム再生を効果的に行う手法の一つに,複数の要素ホログラムに分解した上で,それらを時分割多重で再生する方法がある.この方法を用いてカラーホログラフィック再生を行うためには,赤,緑,青の三色光で時分割多重で再生を行うことが必要と考えられる.そこで,本稿ではカラー再生に向けた検討の位置付けで,青色レーザ光を用いて,ホログラムの時分割多重再生を行って得られた像特性について検討する.本稿で得られた結果から,ホログラム再生時の再生波長が短いほど,表示可能な物体の総点数の限界条件は厳しくなるが,再生限界条件を満たすように物体点の間隔や数を適切に調整することにより,良好なホログラフィック再生像が表示できることがわかった.
  • 鈴木 壮史, 小杉 将史, 内田 理
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 2 号 p. 330-335
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    スマートフォンやタブレット端末においては機密情報を含むドキュメントファイルの閲覧やダウンロードが日常的に行われており,従来型の携帯電話よりセキュリティの向上が必要とされる.そのような背景のもと,ユーザ自身が撮影した画像やWEBから取得した画像を認証に利用するタッチスクリーン端末向け画像認証方式としてSWIPASSが提案されている.SWIPASSはタッチスクリーン端末において深刻な問題となる覗き見攻撃や録画攻撃,汚れ攻撃(smudge攻撃)に対する耐性を有しているが,パス画像と類似する画像が端末内に存在する場合,ユーザがパス画像を識別できず認証に失敗してしまうケースが生じるという問題点があった.そこで本研究では,パス画像と誤認識する可能性が高い画像を認証画面に表示するおとり画像から除外する手法を提案し,実験によりその有用性を検証する.
  • 内藤 旭惠, 重藤 祐紀, 堀川 華波, 岡本 哲志, 坂井 滋和
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 2 号 p. 336-344
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    デジタルアーカイブ化された歴史的建造物をCGによって再現する際,写実性を高めるためにはどのような情報が有効かを明らかにするために,三菱一号館(東京,千代田区丸の内)と東京大学医学部附属病院内科研究棟(東京,文京区本郷)の2件のCG再現を通して検討を行った.前者はすでに解体され現在は復元が行われているものであり,後者は解体工事が開始される直前でまだ現物が残っている状態である.前者のCG再現は解体時に保存されていた設計図面や写真・文献資料と復元を請け負った建築設計事務所担当者からのヒアリングで行い,後者については設計図や写真とともに現場に出向いて必要な情報を収集することにより実施した.その結果,再現されたCG画像のリアリティに大きく影響を与える要素はディテール情報と素材情報であることを明らかにした.本論文では両者の前提条件の相違に基づきその詳細を述べ,高度なCG再現において有効と思われる情報と効率的再現作業手法について述べる.
  • 辻合 秀一, 前田 紘江, 征矢 尚子, 五百崎 栞, 北村 彩華
    原稿種別: ショートペーパー
    2017 年 46 巻 2 号 p. 345-349
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    軒下プロジェクションマッピングは,軒下という家の構造を利用した見上げるプロジェクションマッピングである.このプロジェクションマッピングは,実際に高岡山町筋土蔵造りフェスタ2015において実施され,町並みの雰囲気を壊さずにプロジェクションマッピングを行うことができた.このフェスタでの投影場所は、土蔵造りの菅野家住宅の鏝絵のある軒下の6m×1mのスペースを用いた.横に長いプロジェクションは,単焦点1台と小型2台のプロジェクタを用いて行った.内容は、富山の高岡をモチーフに4部構成とし,音楽は,ユネスコ無形文化遺産に登録された1つである御車山を意識したものを選んだ.鑑賞形態は,立ったまま見上げたり,仰向けに寝て鑑賞できるようにした.雰囲気を壊さない一方で外からデモに気づかれにくい点も指摘された.
講座
  • 小林 透, 荒井 研一
    原稿種別: 講座
    2017 年 46 巻 2 号 p. 359-363
    発行日: 2017/04/30
    公開日: 2019/03/15
    ジャーナル フリー
    当研究室では,“人に頼らない”を実現するIoT技術の開発に力を入れている.“人に頼らない”とは,IoT技術によって,これまで知識や力を持つ人・組織に頼っていたことを,自分で解決できるようにしようということを指す.本稿では,“人に頼らない”を実現するIoT技術の具体例として,T シャツ型ウェアラブルデバイスを活用した働く女性のための健康管理システム,SNSと連携した双方向型コミュニケーションを可能とする高齢者向けロボット,普段使いの車いすから車いす目線のストリートビューをリアルタイムに構成するバリアフリーストリートビューを紹介する.これらのシステムは,これまで頼らざるを得なかった医者,ケアマネージャ,自治体等に頼ることなく問題を解決することを可能とする.その後,これらの具体例から“人に頼らない”を実現するIoT技術の本質は何かについて考察する.
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