画像電子学会誌
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50 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
随想
論文
  • 大井 翔, 姚 舜禹, 野間 春生
    2021 年 50 巻 2 号 p. 245-253
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    本論文では,新任教員の授業の質の向上を目指すために,新任教員と経験者教員の行動を解析し,その違いを定量的に評価(点数化)することを目的とする.小学校・中学校・高等学校の新任教員は,初日から「先生」として教壇に立ち授業を行うが,授業力が十分に備わっていない状態である.新任教員の授業力を向上させるには,(1) 授業の客観的な振り返りを行い気づきを得ること,(2) 現場に近い環境で訓練を行うことが重要である.本論文では,(1) に着目する.新任教員が気づきを得るためには,経験者教員の授業との違いを客観的に振り返る必要がある.具体的には,模擬授業中の新任教員と経験者教員の行動パターンをSpatial Temporal Graph Convolutional Networksを用いて抽出し,それぞれの行動パターンデータセットを作成する.生成した行動パターンデータセットに基づいて,教員行動を定量的に評価する.実験として,新任・経験者教員の計44個の模擬授業データに対して,交差検証法により,模擬授業のスコア計算を行い評価した.結果として,新任・経験者教員にラベルづけしたデータに対して,スコアリングした結果,81.8%の分類精度が得られ,教員の授業行動を定量的に分析することができた.また,新任教員は「板書をする」動作を含むパターンが多く,経験者教員は「立って話す」動作と他の動作を組み合わせて授業を構成しているが分かり,新任教員が経験者教員の授業への違いについて気づきを得られる可能性があることを示した.

  • 山口 真弘, 森 尚平, 斎藤 英雄, 谷内田 尚司, 柴田 剛志
    2021 年 50 巻 2 号 p. 254-264
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    本手法では,Structure from Motion (SfM) を用いて事前に作成した環境地図に合わせたVisual Odometry (VO:画像による自己位置推定手法) によるカメラ軌跡の推定手法とその利用方法を提案する.提案手法では,VOの一つとしてDirect Sparse Odometry (DSO) を取り上げ,このDSOの出力を用いて環境地図上でのカメラ位置姿勢の再計算を行う.その際,これらの関係づけられたカメラ位置姿勢を用いてポーズグラフを作成し最適化することで,DSOで推定される全フレームの環境地図上への位置合わせを実現する.そのため,本手法は単眼のカラーカメラのみで利用でき,学習データも不要であるという利点を有する.提案手法により,事前観測して作成した環境地図と現在ユーザが観測する光景との差から変更のあった箇所を物体単位で認識するシステムを実装し,実験室環境でリアルタイム動作が可能であることを確認した.さらに,既存のデータセットを用いた精度評価の実験を行った結果,提案手法ではDSOのみを用いた場合に比べ位置姿勢推定の精度が向上した.

ショートペーパー
  • 安部 龍馬, 北 直樹, 斎藤 隆文
    2021 年 50 巻 2 号 p. 265-271
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    モアレとは周期的な模様が複数重なることによって発生する干渉パターンである.一般的に,印刷などでは除去対象として扱われるが,視覚的面白さから建築デザインやアートに利用されてきた.最近ではモアレをアニメーション表現として応用する手法もいくつか提案されている.しかし,既存のモアレアニメーション手法では,直線的な動きや拍動表現しか出来ず,表現できるモアレの動きが限定的である.そこで本研究では,モアレアニメーションの一般化手法を提案し,任意の曲線パスに沿った動きや,縞を一方向にしか動かしていないにも関わらずモアレが往復する反直感的な動きを実現することを目的とする.本研究では,移動波形を定義し,これを規則的に繰り返すことによって構成される移動縞と,固定波形や位相変位,強度によって定義される固定縞を重ね合わせることで発生するモアレアニメーションに焦点を置いている.固定波形は自由に設計することができ,モアレの発生領域内で位相変位を連続的に変化させることで,モアレの明暗が移動して見える.本研究で提案した手法は,既存手法と比較してより幅広い表現が可能となっている.したがって,人の目を引く建築デザインや広告用途への応用が期待される.

  • 古賀 亮, 盧 承鐸, 五十嵐 健夫
    2021 年 50 巻 2 号 p. 272-276
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    VR技術やハンドトラッキング技術を用いた3Dモデリングは,直観的な操作や立体的知覚を提供できる.しかし,既存のVRモデリングツールは変形具合の調整などの試行錯誤を前提とした操作には向いておらず,初心者がモデリングを始める上では使いにくいものであった.そこで,本論文ではVRモデリングツールを基本とし,粘土細工を模した動作で3Dモデルを制作することが可能な新たなフレームワークを提案する.本システムでは,ユーザは粘土の構成する単位である粘土粒子を手でつまんで粘土を操作し,単純な両手の動きによって結合や分断といった大局的な形状操作を行う.本論文では,作例と実験の結果を通し,本システムの有用性について検証した結果を報告する.

  • 玉置 尚吾, 北 直樹, 斎藤 隆文
    2021 年 50 巻 2 号 p. 277-283
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    ジャーナル 認証あり

    本論文では,ユーザのカラーデザインにおける起点の支援を目的とし,グラフィックデザインのセマンティクスを考慮した色候補の新たな提示方法を提案する.デザイン制作においてカラーデザインは重要であるが,ペイントアプリケーションなどで提供されるOS標準のカラーパレットは選択肢が多すぎるため,選択に迷うことが多い.そこで機械学習ベースの色生成モデルを使用し,入力画像の各レイヤに設定されたレイヤ名を使用して複数の色候補を生成することを検討した.提案手法では一般的なカラーパレットではなく,レイヤごとに異なるセマンティクスを考慮した色候補が提示されるため,ユーザは多様でかつ限定された色候補,すなわちデザイン候補を得ることができる.提案手法をウェブアプリケーションとして実装し,ユーザのデザインプロセスをどの程度支援できるかを評価することにより,提案手法の有効性や応用可能性を示した.

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