画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
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49 巻, 4 号
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随想
追悼文
ビジュアルコンピューティング論文特集
論文
  • 藤澤 誠, 佐々木 浩幸, 三河 正彦
    2020 年 49 巻 4 号 p. 284-292
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    炎はコンピュータグラフィックス(CG)分野においてエフェクトとして多用される自然現象の1つである.しかし,その複雑性から燃焼過程を考慮しない単純なモデルが用いられることが多い.中でもこの現象を扱うために重要な“酸素との反応”はこれまでの研究ではほとんど考慮されていない.そのため,酸素供給で燃焼が激しくなる挙動や,不完全燃焼による温度のゆらぎなど炎が持つ独特な挙動を扱うことができない.そこで本論文では“酸素との反応”の概念とその過程に生じる化学的な現象をモデル化し,それらを用いた新しい炎のシミュレーション手法を提案する.提案手法では,炎を粒子法,酸素を格子法で独立にシミュレーションし, 2つのシミュレーション間で物理量をやりとりすることで,化学反応を考慮した燃焼を扱う.また,高速に並列計算ができるGPUで実装を行い,提案手法の有効性を検証した結果,空気中の酸素を含む燃焼過程を考慮した炎のシミュレーションを10~20fpsで実行できることを確認した.

  • 和田 歩, 大和 淳司, 合志 清一
    2020 年 49 巻 4 号 p. 293-300
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    内視鏡手術は切開創が小さく術後の回復が早いため手術件数は年々増加傾向にある.開腹手術よりも患者への負担が少なく高齢者に対しても有用な内視鏡手術であるが,手術難易度が高く執刀可能な医師の数が不足している.近年,内視鏡手術の技術水準を向上させるため8K解像度の内視鏡カメラが開発された.8K内視鏡カメラは患部の質感や奥行き感など多くの情報を取得するため,患部をより詳細に観察可能であり手術難易度を下げることに貢献し得ると期待されている.しかし,8K内視鏡カメラは従来よりも被写界深度が浅く,血管や縫合糸など複数の対象にフォーカスを同時に合わせることが困難である.そこで本研究では8K内視鏡映像に対し信号処理を施すことで,フォーカス合わせが不十分であっても精細感を得られるよう映像を改善する手法を提案する.また,提案手法の性能を定量化するため主観評価実験により手術で使用される縫合糸の視認性とノイズによる画質劣化について評価した.実験の結果,ノイズの増幅による画質劣化が避けられ,縫合糸をより短時間で視認できることを確認した.

  • 井上 和輝, 高橋 裕樹
    2020 年 49 巻 4 号 p. 301-314
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    アンビグラムとは文字を異なる方向から見ても読み取れるようにした文字である.しかし,アンビグラムの制作には手間や可読性を維持するためのデザイン的技量が必要である.そこで,ひらがなアンビグラムを文字構造特徴から生成する手法を検討する.まず,文字を細線化してストロークの抽出を行い,ストロークを単純化することで文字の特徴点を得る.次に,特徴点をノードとしたグラフから部分グラフを抽出し,部分グラフの同型性を調べることで対象文字間の共通部分を検出する.さらに,共通部分の対応関係を基にアフィン変換することで,アンビグラムの文字構造を生成した.最後に,可読性向上のためにストロークの太さに変化を加えて筆文字化することで,ひらがな46文字を一対一で対応付けた1,081組のアンビグラムを生成した.また,可読性の評価を行った.その結果,単一文字に対しては,作成可能であることが示唆されているアンビグラム724文字中325文字,作成できるかが不明なアンビグラム357文字中93文字が可読であった.さらに,可読率の低いアンビグラム1文字を含めたひらがな4文字で構成される単語の可読性の評価を行った結果,246文字中216文字が可読であった.

  • 伊藤 謙祐, 五十嵐 悠紀
    2020 年 49 巻 4 号 p. 315-325
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    木目込み細工とは,溝が彫られた木製の型に布を貼り付けて制作する伝統工芸品である.手芸用品店などで販売されている制作キットを使用すれば,初心者でも簡単に制作することができる.しかし,オリジナルデザインの木目込み細工を制作することは,初心者にとって困難である.本論文では,木目込み細工のためのデザイン支援システムの提案を行う.対象とする木目込み細工は平面及び平面を組み合わせた立体的な形状とした.ユーザがイラストを描くようにデザインを行い,そのデザインをもとにシステムが自動で木目込み細工の型を生成する.デザイン制作の途中で,システムが木目込みを行った後の再現画像を提示することで,ユーザは完成形をイメージしながらデザイン制作ができる.ユーザのデザインをもとに,システムが制作時間を推定し提示することによって,ユーザのレベルにあわせたデザインを制作することを目指した.

ショートペーパー
  • 山下 祐貴, 森本 有紀
    2020 年 49 巻 4 号 p. 326-331
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,画像の内容を指定する簡単な点入力から写実的な植物の画像やアニメーションを生成する深層学習モデルの構築を行う.従来の深層学習による画像生成では,生成のための入力データと出力される画像とが画素単位で1対1に対応する必要があったため,ラフな入力が難しいほか,アニメーションを生成するために大量の入力データが必要であった.また,画像の特徴量を抽出・操作して画像を連続的に変化させる手法では,植物の画像生成において細部まで鮮明に表現された高品質なアニメーションを得ることが難しい.本研究では,点ラベル画像を入力とし,2つの段階からなる深層学習モデルを用いる.これによって,少ない学習データからの質の高い画像生成や,植物が滑らかに変化するアニメーションを生成できる.本手法で生成した画像の定量的評価では,既存手法に比べて鮮明で,葉の配置や植物全体の大きさなど外見的特徴に偏りの少ない,高品質の画像およびアニメーションが得られることがわかった.

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