本論文では,多数のAndroid 携帯端末による同時撮影を行うためのシステム構成とその動作について述べる.Android 端末を多視点で使用することで,機器のコストを抑え,なおかつ様々なセンサ情報を映像とともに得ることができる.得られた多視点映像やセンサ情報を統合して利用する場合,時刻やフレームの同期の管理が必要となるが,各々が自由に撮影を行った場合,映像間の対応を探し出すコストが問題となる.これを解決する手段の一つとして本論文では使用する撮影機器を同時に作動させる方法を提案する.映像第一フレームを全カメラで同時刻のものとすることで,その後の映像統合処理の手間を軽減することが期待できる.しかし,ただ単に撮影開始命令を同時に発するだけでは,端末固有の差による撮影開始時刻のずれが積み重なる.そこで本研究ではNetwork Time Protocol(NTP) と事前に獲得した各端末の撮影開始遅延特性を利用した制御方法を提案する.さらに,撮影における同期性能について検証した結果,制御起点の端末に対して最大でも約110ms のずれで15 台の端末を同時制御することが確認できた.これは30fps で4 フレーム以内のずれであり,映像間の対応付けを容易にすることが期待できる.
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