3次元点群のレジストレーションは,モデリングやオブジェクト認識などの応用技術の前処理としてよく使われる.進化計算による方式は,初期位置に依存せず高精度にレジストレーションできるという特長をもつが,他の方式と比較して計算量が大きいという問題がある.この原因は,評価関数を求めるための最近傍探索回数が多いためと考えられる.探索回数の削減には点群のリサンプリングがよく用いられるが,これはレジストレーション精度が低下することが多い.そこで,キーポイントの周囲の点のみを抽出した点群(キーポイントパッチ) を進化計算によるレジストレーションに用いる手法を提案する.また,更なる高精度化及び高速化を実現するため,境界の活用によるオクルージョンの悪影響の低減,キーポイントパッチの個数削減,キーポイントパッチのリサンプリングによる点数の削減を提案する.8種類のデータセットを用いた実験結果から,提案方式は従来方式と比較して,レジストレーション精度を維持しつつ約100倍以上高速化できることを確認した.
本論文では,道路上の白線検出の精度を上げるために,車載動画におけるワイパー領域修復法を提案する.ここでいうワイパー領域修復とは,ワイパー領域を抽出し,抽出した領域を背景として補完することである.従来のワイパー領域修復法は,ワイパー画素の抽出と,ワイパー画素の補間という2 つの処理とから構成される.前者では,輝度値とフレーム間差分を用いてワイパー画素を抽出していたが,その精度は十分ではなく,ワイパーの誤抽出や抽出漏れが生じていた.また,後者では,直前の入力フレームを使用して補完していたため,2フレーム連続したワイパー領域ではワイパー画素の補完ができないという問題があった.そこで本論文では,抽出したワイパー画素からワイパー角度を推定し,この角度に基づいてワイパー領域を覆うマスク処理を行うことにより誤抽出と抽出漏れを減少させる方法を提案する.この提案では,修復された直前のフレームを利用してマスク領域を補完することにより,2 フレーム連続したワイパー領域を補完できるようになる.従来法と提案法とで白線検出の正検出総数ならびに正検出率を比較することによって,提案法の有効性を示す.
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