画像電子学会誌
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49 巻, 1 号
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随想
論文
  • 森田 雅貴, 芦澤 恵太, 山谷 克
    2020 年 49 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    ディジタル画像の非可逆圧縮では,モスキートノイズと呼ばれるエッジ近傍の歪が問題になる.我々は,矩形波を基底とするハール変換を適応的に用いたモスキートノイズの軽減方法について研究している.本論文では,縦横斜めの直線的なエッジを想定し,これらのエッジと平行にDCTを適用した後,その直流成分にのみ直交変換(ハール変換)を適用する方法を提案する.提案手法の優位性を検証するために,一様乱数を用いて生成した400種類のエッジ画像に対して,交流成分にもハール変換を適用した場合と圧縮性能比較を行った.次に,種々の特徴を有する標準画像を用い,モスキートノイズの軽減効果を主観的に評価したあと,PSNRとMSSIMにより圧縮性能の客観的評価を行い,先行方式と比較した.その結果提案手法の明らかな優位性を示すことができた.

  • 小澤 辰典, 西村 広光, 田中 博
    2020 年 49 巻 1 号 p. 12-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    手話はろう者が用いるコミュニケーション方法の最も一般的な方法の一つであるが,聴者の多くはそれを習得していないため,ろう者と聴者とのコミュニケーションには大きな障壁が存在している.そこで手話の自動翻訳が実現できれば,ろう者と聴者によるコミュニケーションの円滑化に寄与すると考えられる.著者らは,スマートフォンに内蔵されている光学式カメラとCPUを用いた手話翻訳の実現を最終目標に取り組んでいる.本論文ではカラー手袋と光学式カメラを用いた手話認識手法の検討を行い,認識のための特徴要素として,カラー手袋の色領域の重心位置と面積から6種の特徴要素を抽出する.そして,それらの特徴量をHidden Markov Model (HMM), Support Vector Machine (SVM), Discriminant Analysis (DA), Linear Classification Model (LCM), k-Nearest Neighbor algorithm (k-NN), Decision Tree (DT) という判別方法の異なる6種の識別器それぞれに入力し,各識別器の単独の性能を評価する.さらに高精度な認識の実現を目標に,それらの識別結果を組み合わせる方法を提案した結果,35単語に対して単独では73.1%,組み合わせでは76.8%の性能を確認した.

  • 吉田 匠吾, 彭 以琛, 謝 浩然, 張 家銘, 宮田 一乘
    2020 年 49 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    近年3Dプリンタを利用するデジタルファブリケーションの研究が注目されているものの,大規模な造形手法は依然として挑戦的な課題である.この課題を解決するため,本研究では階層的プロジェクションマッピング技術を提案する.提案技術により,専門的スキルを持たない一般ユーザでも手軽に大規模な造形物の制作が可能となる.提案手法は造形物の構成要素に依存しない汎用性が有するが,本論文では特にバルーンアートに注目して提案技術を検証した.提案手法の流れは,制作対象となる3次元モデルの分割,階層ごとのキャリブレーション,深度計算及び数字の投影である.また,楽しさを演出するために投影する数字の動画エフェクトを適用した.提案システムを使用して,複数のユーザが楽しく協力し,様々な色やサイズのバルーンを用いて大規模なバルーンアートを完成させることができた.

システム開発論文
  • 戸倉 暢史
    2020 年 49 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    円筒形の金属製品の画像処理による外観検査は,外周状態をカメラ画像として撮像するうえで,照明の陰影の均一化が容易でないことから,従来は困難とされていた.本稿では,被検査物を360°回転させるラインカメラシステムを用いた実験によるデータの実測と,光の入反射特性によるシミュレーションに基づく裏づけ検証とを行い,課題であった取得画像の「明暗ムラ」の発生原因を明らかにしたうえで,その対策方法について述べる.

ショートペーパー
  • 生田 亜裕, 大島 あみ, 浦野 友理, 柴崎 幸次, 神谷 直希
    2020 年 49 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー

    紙は,原材料の繊維や紙料調成及び抄紙の条件によって性質が異なり,構造や紙層形成など,多角的な研究が行われている.古文書などの紙における繊維組成解析は,主に官能検査による主観的判断が主である.また,客観的な繊維組成解析は,薬品溶液による染色を行うため,紙の破壊が伴い,解析対象によっては非破壊による手法が望ましい.そこで本稿では,デジタルカメラにより非破壊で得られたデジタルマクロ画像を使用し,VGG-16による紙の繊維組成の自動分類法を提案する.その結果,紙の厚み方向における繊維の層状構造を判定することが難しい,ボケが含まれる画像に対する分類精度は課題として残るものの,3回の実験における予測分類結果と繊維組成試験結果との平均一致率は94.2%となり,高い精度で繊維組成を分類することが可能となった.そのため,今後は,サマルカンド紙をはじめとする歴史的文化財を用いた紙の伝播解明のための解析技術として,本提案手法を使用する予定である.

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